くもまくかしゅっけつ(ひがいしょうせいくもまくかしゅっけつ)

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)

脳血管の一部が破裂してくも膜と脳の隙間の出血が起こるタイプの脳卒中の一種。突然の頭痛・首の硬化・意識障害などが特徴だが、症状が軽く気付きにくい場合もある

病気に関連する診療科の病院を探す
25人の医師がチェック 384回の改訂 最終更新: 2017.06.15

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の基礎知識

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)について

  • 脳血管の一部が破裂して脳の周りの「くも膜脳や脊髄を包む3層の膜(髄膜)のうち、中央にある薄い膜。この内側がくも膜下腔と呼ばれ、ここに生じる出血がくも膜下出血である下腔」という場所に出血が起きる病気
  • 英語のsubarachnoid hemorrhageを略してSAH(ザー)とも言う
  • くも膜下出血は脳の周りで起こる出血の一種
    • 脳は「軟膜脳や脊髄を包む3層の膜(髄膜)のうち、最も内側にある薄い膜。脳の表面を覆うように存在している」「くも膜」「硬膜脳や脊髄を包む3層の膜(髄膜)のうち、最も外側にある厚い膜。頭蓋骨のすぐ内側にある」という3つの膜で包まれている
    • 軟膜とくも膜の間のスペースをくも膜下腔と呼ぶ
    • 狭い意味での脳出血は軟膜に包まれた脳自体の出血であり、くも膜下出血と区別して脳実質内出血とも言う
    • くも膜下出血脳出血脳梗塞を合わせて脳卒中と言う
  • 主な原因
  • クモ膜下出血の治療
    • クモ膜下出血全体での死亡率は10-67%と高く、診断の遅れが予後病気の長期的な経過や、回復の見込みの悪化につながるため、迅速で的確な診断と専門医による治療が必要である

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の症状

  • 主な症状
    • 突然の激しい頭痛(「突然バットで殴られたような痛み」などと表現される)
    • 吐き気、嘔吐
    • 意識がもうろうとする、意識を失う
  • 麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれることなどの症状を起こすことは少ない
  • 比較的症状が軽い場合もある

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の検査・診断

  • 身体診察:髄膜刺激症候と呼ばれる症状を見る
    • 首が硬くなり前に倒せない(項部硬直)
    • 仰向けで片足を上げ、膝を伸ばすことができない(ケルニッヒ徴候)
    • 仰向けで首を曲げると足が勝手に曲がる(ブルジンスキー徴候)
  • 眼底検査眼底鏡などの道具を使って、眼の内部にある眼底の状態を観察する検査
    • くも膜下出血では脳の周りの液体(髄液脳や脊髄の周囲を満たしている体液)の圧力が上がり、目の中を見ることで変化を見つけられることがある
    • 眼底鏡瞳孔から眼の内部を観察するための診察器具。主にレンズとライトからなるという道具を目に当てて、瞳の中を覗き込む
    • 眼球の中身(硝子体)は透明なので、後ろにある網膜眼球の内側を覆っている膜。目から入った光は網膜に届き、網膜が明るさや色を電気信号に変えることによって情報が脳に伝達されるなどが見える
    • 網膜の中に、視神経がつながっている部分(視神経乳頭)が見える
    • くも膜下出血があると視神経乳頭がぼやけて見える(うっ血血液の流れが悪く、体の一部に血液が溜まってしまった状態乳頭)
  • 髄液検査背中側から背骨の間に針を刺して、髄液と呼ばれる液体を採取する検査。脳や脊髄に異常がないかを確認するために行う
    • 背中に針を刺して髄液を取り出す(腰椎穿刺背中側から背骨の間に針を刺して、髄液と呼ばれる液体を採取する検査。脳や脊髄に異常がないかを確認するために行う
    • くも膜脳や脊髄を包む3層の膜(髄膜)のうち、中央にある薄い膜。この内側がくも膜下腔と呼ばれ、ここに生じる出血がくも膜下出血である下腔は脳から背骨背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれるの中(脊柱管リング状の骨である、背骨が縦につながってできたトンネルの部分)につながっているので、背中から髄液を取り出せる
    • くも膜下出血があると髄液に血液が混ざる
    • 眼底検査でうっ血乳頭があるときは腰椎穿刺をしてはいけない
      ・頭の中から背中へ髄液が急に流れ出し、脳の一部が本来の位置から動いて隣り合う部分を圧迫することで、呼吸が止まる恐れがあるため(大後頭孔ヘルニア臓器などが、周囲の組織から圧力を受けて本来あるべき部位からはみ出してしまった状態のこと。椎間板ヘルニアや鼠径ヘルニアなどが有名
      ・腰椎穿刺の前に眼底検査を行う
  • 画像検査:くも膜下出血の有無、程度などを調べる
    • 頭部CT検査X線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多い:脳の隙間に血液が溜まり、ヒトデ型またはペンタゴン(五角形)と呼ばれる特徴的な白い影が写る
      ・ペンタゴンがなくても脳の隙間の出血が見つかることがある
    • 造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすることCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査:造影することで、動脈瘤の大きさや形が分かる
    • くも膜下出血を見つけるにはMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査よりCTが適している
  • 頭部血管造影検査造影剤を用いて、頭の中の血管の状態を調べる検査。脳動脈瘤などで行われることがあるカテーテル検査腕や脚の血管から細長い管(カテーテル)を挿入して、血液の流れや血管の中の状況を詳しく調べる検査。心臓や脳の血管を調べるために行われることが多い):動脈瘤の形などを更に詳しく調べる
    • 手術の前など、詳しい検査が必要な場合に行うことが多い
    • カテーテルという細い管を血管に入れ、X線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査透視X線(レントゲン)を使って、体の中を撮影しながらリアルタイムに動画で確認することで観察しながら、脳の血管にまで届かせる
    • カテーテルの先から造影剤を注入し、血管の形を造影する
    • カテーテル検査をして、そのままカテーテルを用いた治療(コイル法)を行うこともある

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の治療法

  • くも膜下出血は非常に重篤な病気なので、入院治療が必要
  • 急性期の治療
    • 出血によって脳が圧迫され、命の危険がある場合は開頭手術で血腫体の中にできた血のかたまりのこと。何らかの原因で体内に出血した場合に生じるを取り除き、圧を下げる
    • 急性期は水頭症や、脳血管攣縮(れんしゅく)と言って血腫による刺激で脳の血管が細くなって脳梗塞が起こることがあり、非常に重篤な状態になりうる
    • 肺炎電解質異常てんかんなど様々な合併症ある病気や治療によって引き起こされる、別の病気や病態のことが起こる可能性が高く、それらに対する予防と早期発見、早期治療が行われる
    • 中等症以上の重症度であれば、集中治療室で治療することが多い
  • 脳動脈瘤の再出血は高い死亡率と不良な転帰をもたらすので細心の注意が必要
    • くも膜下出血発症症状や病気が発生する、または発生し始めること直後は再出血を予防するため、安静を保ち侵襲的な検査や処置は避けるべき
    • 再発予防のためには、十分な鎮痛、鎮静、降圧が望ましい
  • 脳動脈瘤の再破裂を防ぐ治療
    • 発症してすぐに行われることもあれば、2週間以上経って落ち着いてから行われることもあり、個々の状況に応じた治療が選択される
  • 再破裂を防ぐための主な治療
    • 脳動脈瘤クリッピング術(開頭手術)
      脳動脈瘤は血管にできたこぶの形をしているので、その根本をクリップ(洗濯バサミのような形の金属)で挟む
    • コイル塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまう術(カテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法
      ・太ももの付け根の血管からカテーテルという細いワイヤーを動脈瘤まで進め、動脈瘤の中に細くて柔らかい金属のコイルを詰める
      ・詰められたコイルによって脳動脈瘤の中の血流がなくなり、破裂しなくなる
  • 発症後に注意すべき点
    • くも膜下出血後4-14病日に血管攣縮(スパズム)が起こりうるので注意が必要。脳槽内血腫の早期除去や攣縮の薬物療法を考慮する
    • (発生した際には)血管内治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法を考慮する

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)に関連する治療薬

ADP阻害薬(抗血小板薬)

  • 血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑え血管をつまらせないようにする薬
    • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
    • 体内にADPという血小板凝集を促進させる物質がある
    • 本剤は血小板でのADPの作用を抑えることで、抗血栓作用をあらわす
ADP阻害薬(抗血小板薬)についてもっと詳しく

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の経過と病院探しのポイント

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)かなと感じている方

くも膜下出血脳卒中の一種です。突然の頭痛や意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれる(会話ができなくなるなど)で発症症状や病気が発生する、または発生し始めることすることで知られています。

くも膜下出血は、脳神経外科、脳外科が専門の診療科ですが、病院や症状によっては神経内科で診療を行う場合もあります。もし心当たりがあれば、脳神経外科(脳外科)のある総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないを受診することをお勧めします。脳卒中センターを設けている病院は専門性が高く高度な医療を提供していることが多かったり、ICUICU = intensive care unit 「集中治療室」のこと。重症度の高い患者さんが入院する病棟 (intensive care unit), HCU (high care unit), SCU (stroke care unit) などと呼ばれるような集中治療室がある病院だと手術後の経過をよりしっかりと追うことができたりといった違いはありますが、実際のところは救急車で搬送される場合も多いです。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、適切な病院を判断し案内してくれますので、安心して対応を任せてください。

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)に関連する診療科の病院・クリニックを探す

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)でお困りの方

くも膜下出血の診断はCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査で行います。国内の総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないであればほとんどのところにCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

くも膜下出血の根本治療としては、カテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法脳動脈瘤クリッピング手術があります。この両者は、くも膜下出血の原因となった動脈瘤の場所や、動脈瘤の形によって使い分けられます。
病院によって、カテーテル治療とクリッピング手術のうち、相対的に得意な(手術数が多い)治療法を選択する場合が多いです。どちらが絶対的に良いということはありませんので、医師と相談しながら、その病院が得意とする方の治療で行うことが良い結果につながりやすいでしょう。しかし、もしどちらかの治療しか行っていないというようなことであると、ややバランスが偏った医療機関である可能性があります。

くも膜下出血で後遺症が残ってしまった場合、長期間のリハビリテーションが必要となります。後遺症が大きく一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院病気の発症直後の検査や治療に特化した病院。24時間体制で診療を受け付けているが、慢性期病院と役割を分担しており、病状が安定してきてからの診療は専門としていないから回復期病院急性期病院で治療を受けて病状が安定した後に、リハビリテーションを主体とした治療を行うための病院リハビリ病院急性期病院で治療を受けて病状が安定した後に、リハビリテーションを主体とした治療を行うための病院療養型病院病気の発症直後ではなく、病状が安定してきてからの検査や治療に特化した病院。急性期病院と役割を分担しており、発症直後の診療は専門としていない)に転院して、リハビリを行うことになります。急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。

一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法体の障害に対して、動かしたり、電気や熱で刺激したりすることを通じて行う治療。理学療法士はPT(Physical Therapist)と呼ばれる士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフです。患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところは病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか。1日に受けられるリハビリの総時間や、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)に関連する診療科の病院・クリニックを探す

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)が含まれる病気


くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)のタグ


くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)に関わるからだの部位

トップ