のうどうじょうみゃくきけい
脳動静脈奇形
生まれつき動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながった状態
8人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2017.12.06

脳動静脈奇形の基礎知識

脳動静脈奇形について

  • 生まれつき動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながった状態
    • 生まれたときからある病気で、個人差はあるが年齢とともに次第に大きくなる
    • 大きくなるにつれててんかん(けいれん)や頭痛が現れる
    • 破裂して出血を起こすこともある
  • 動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながった状態
  • 正常な毛細血管が発達せず、脳動静脈奇形が出来てしまう原因は分かっていない
  • 未治療だと、年間約2%の確率で出血を起こす

脳動静脈奇形の症状

  • 無症状であることも多いが、年齢とともに大きくなるにつれて症状が現れたり破裂して脳出血くも膜下出血を起こしたりする
  • 動静脈奇形による主な症状
    • てんかん
    • 頭痛:特に大きな動静脈奇形の場合
  • 脳出血くも膜下出血発症してから初めて症状が現れ、脳動静脈奇形があることが分かる場合も多い。
  • 脳出血くも膜下出血が起こった時に現れる症状は以下である
    • 頭痛
    • 吐き気、嘔吐
    • 体の片側の運動麻痺や感覚障害
    • 話づらさ
    • 視野の障害   など

脳動静脈奇形の検査・診断

  • 脳血管の画像検査
    • 頭部CT検査
    • 頭部MRI検査
    • 頭部血管造影検査:脳動静脈奇形を詳しく調べるための重要な検査
      ・周囲の血管との関係、病変の大きさ等を調べ、治療方針を決めたり治療後の経過を確認するために行う
  • てんかんについて調べるため脳波検査も行う

脳動静脈奇形の治療法

  • 状況に応じて、開頭手術、血管内カテーテル治療塞栓術)、ガンマナイフ(放射線治療)が行われる。ときには、これらの治療が組み合わされる
    • 脳内出血くも膜下出血がきっかけで動静脈奇形が見つかった場合は、状態が安定するのを待ってから治療する
  • 脳動静脈奇形は大きさ、位置(大切な機能の部位に近いか)、深部の静脈が関係しているかといった評価項目によって、グレードⅠ-Ⅴまでの5段階に分類され、治療方法が検討される
    • グレードⅠ-Ⅲの一部では手術が優先される
    • グレードⅢでも脳の深部で大切な機能のそばにあるものや、グレードⅣ、Ⅴでは、リスクが高すぎて手術ができないことが多い
  • 手術
    • 大きな合併症などがなければ術後2週間程度で家に帰れることが多い
    • 手術のみでは治療が困難な場合は、血管内治療による塞栓術と手術が組み合わされることもある
  • 放射線治療:ガンマナイフやリニアック
    • 3cm以下の小さな脳動静脈奇形には、ガンマナイフがよく効く
    • 最初から3cm以下の場合や、血管内治療や手術によって小さくなった脳動静脈奇形に対して、ガンマナイフが行われる
    • 放射線が効くのは時間がかかり、治療を開始してから完全に閉塞するまで、最短でも数ヶ月から3年程度かかる
  • 血管内治療(カテーテル治療)
    • 血管内治療だけでは脳動静脈奇形を完全に治すことはできないので、手術と放射線治療を補助する治療として使われる
    • 血管内治療で脳動静脈奇形を小さくすることで、手術が安全に行えたり、放射線治療で治る大きさ(3cm以下)になったりする
    • 太ももの血管(動脈)から細いカテーテルを頭まで上げていって、液体の塞栓物質やコイルを用いて、脳動静脈奇形を閉塞させる
  • てんかん

脳動静脈奇形の経過と病院探しのポイント

脳動静脈奇形が心配な方

脳動静脈奇形はそれだけでは何の症状も起こさないのですが、血管がもろくて出血しやすいことが特徴です。これらの血管が切れると脳出血てんかんを引き起こすことになります。

何らかの理由で脳動静脈奇形ではないかと心当たりのある方は診療科は脳外科、脳神経外科の医療機関へ行くことをお勧めします。脳動静脈奇形の診断は頭部CTやMRI、血管造影検査(カテーテル検査)で行われます。脳動静脈奇形脳出血てんかん、頭痛の原因を調べるときに、頭部CTやMRIを撮影した時に発見されることが多いです。診断を確定させるためには、入院して血管造影検査を行うことが必要です。

頭部CTやMRIは、機械が置いてあるクリニックや病院で受けることが出来ます。脳神経外科の疾患として脳動静脈奇形は一般的であるため、脳神経外科を標榜しているところ、脳神経外科専門医でしたら十分、CTやMRIから脳動静脈奇形を疑うことが出来ます。

診断を確定させ、治療方針を考える上では、血管造影検査が出来る脳神経外科のある病院に行く必要があります。最初に受診したクリニックや病院の医師に紹介してもらうか、そのような病院を探して受診しましょう。

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脳動静脈奇形でお困りの方

脳動静脈奇形脳出血を起こして命を落としたり、大きな後遺症を残すため、主に脳出血を予防する目的で治療が行われます。特に一度脳出血を起こした場合、その後2年間での再出血率がかなり上がるため、治療が薦められます。脳動静脈奇形の治療としては、手術(摘出術)、放射線療法、血管内治療の3種類があり、それぞれメリット、デメリットに応じて使い分けられます。また組み合わされることも多いです。なお、根本治療は手術のみです。
脳動静脈奇形の最も確実な治療は手術で摘出することですが、脳動静脈奇形が大きいと手術自体がかなりの危険を伴うため、行うのが厳しくなります。

放射線療法はリニアックやガンマナイフなど色々な照射方法があり、照射方法による効き目の差ははっきりとはしていません。一般的に3cm以下の小さな脳動静脈奇形に対してしか効きません。また放射線療法は効くまでに時間がかかるため、脳動静脈奇形が閉塞するまでに数ヶ月から2年ほどの時間が必要となります。

血管内治療は近年進歩がめざましい分野ですが、現状では脳動静脈奇形が大きくて手術や放射線療法が難しい場合に脳動静脈奇形を小さくする目的で行われます。手術や放射線療法を行いやすくするためです。コイルや液体物質を使って、脳動静脈奇形に流入する血管を閉塞させます。

脳動静脈奇形の治療は主に脳神経外科で、脳神経外科専門医によって行われます。病院、医師によって手術が得意か、放射線療法が出来るか、どの放射線療法が出来るか(リニアックなのかガンマナイフなのか)、血管内治療が出来るかなどが異なります。医師と相談しながら治療方針を相談してみてください。

放射線療法を行う際には放射線科で、放射線科専門医、放射線治療専門医の下で治療を受けることになります。一旦脳神経外科を受診して治療方針を決めて、その後紹介してもらうと良いです。なお一般的な病院ではリニアックという照射方法になります。ガンマナイフができる施設は日本では数十施設しかないため、そのような施設を探していく必要があります。

てんかん、けいれんで困っている場合は、脳神経外科で抗てんかん薬による治療を受けると良いです。根本治療は手術や放射線療法となりますが、例えば手術では良くなる場合もあれば、症状が変わらない場合、時には悪化する場合もあります。

もし妊娠を希望する場合、脳神経外科の医師に相談してください。脳動静脈奇形の方は妊娠に伴い脳出血を起こすことが多く、妊娠に臨むに当たっては慎重な判断と対応が必要です。妊娠して出産する場合は脳神経外科と産婦人科がある病院に入院して、帝王切開をする病院が多いです。

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