ADP阻害薬(抗血小板薬)
ADP(アデノシン二リン酸)という物質の働きを阻害し、血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑え血管をつまらせないようにする薬
ADP阻害薬(抗血小板薬)の解説
ADP阻害薬(抗血小板薬)の効果と作用機序
血小板 の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓 の形成を抑えることで血管をつまらせないようにする薬- 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
- 体内にADP(アデノシン二リン酸)という血小板凝集を促進させる物質がある
- 本剤は血小板でのADPの働きを抑えることで、血栓形成を抑える作用をあらわす
ADP阻害薬(抗血小板薬)の薬理作用
血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる。血栓により心筋梗塞や脳梗塞などがおこりやすくなる。
体内で血小板を活性化し血小板凝集を亢進させるADP(adenosine diphosphate:アデノシン二リン酸)という物質がある。ADPは自身の受容体となるP2Y12受容体やP2Y1受容体を介して血小板凝集を亢進させる。ADPの働きを抑えることができれば血小板凝集を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などを予防する効果が期待できる。
本剤はADPの受容体であるP2Y12受容体を阻害することでADPの働きを抑え、血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え(抗血小板作用をあらわし)血栓の形成を抑える作用をあらわす。
本剤に含まれるチクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルといった成分はチエノピリジン骨格という共通の化学構造をもつことから、チエノピリジン系抗血小板薬などと呼ばれることもある。
なお、本剤のうちチカグレロルは前述した3成分とは異なる化学構造をもつ成分で、P2Y12受容体のADPの結合部位とは異なる部位へ結合し、この受容体のシグナル伝達を阻害することで抗血小板作用をあらわす。これらの特徴から、例えば、チエノピリジン系抗血小板薬に過敏症がある場合など、ほかの抗血小板薬の投与が困難な場合への有用性が考えられる。
ADP阻害薬(抗血小板薬)の主な副作用や注意点
- 出血傾向
- あおあざができやすい、皮下や歯ぐきの出血、鼻血などの
症状 がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- あおあざができやすい、皮下や歯ぐきの出血、鼻血などの
- 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
- 頻度は非常に稀とされる
- 発熱、
倦怠感 、脱力感、軽度の頭痛などがみられる場合がある - 上記の様な
症状 がみられた場合には放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- 無顆粒球症
- 頻度は非常に稀であるがおこる可能性がある
- 突然の高熱、さむけ、のどの痛みなどがみられる場合がある
- 上記の様な
症状 がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
ADP阻害薬(抗血小板薬)の一般的な商品とその特徴
プラビックス
- クロピドグレル製剤
- 一般的に、同系統の薬剤と比較して副作用の頻度は低いとされる
- 本剤の成分とCOX阻害薬(アスピリン)との配合剤(主な商品名:コンプラビン配合錠)がある
エフィエント
- プラスグレル製剤
- 一般的に、同系統の薬剤と比較して副作用の頻度は低いとされる
- 患者毎の個体差による影響(薬剤の作用の出方の差)が少ないとされる
パナルジン
- チクロピジン製剤
- 細粒剤があり、嚥下能力が低下した患者などへのメリットが考えられる