[医師監修・作成]睡眠障害とは?症状・原因・検査・治療など | MEDLEY(メドレー)
すいみんしょうがい
睡眠障害
睡眠に何らかの問題がある状態。寝付くことができない、途中で目が覚める、熟眠感がない、など様々なパターンがある
9人の医師がチェック 199回の改訂 最終更新: 2021.10.28

睡眠障害とは?症状・原因・検査・治療など

睡眠障害は睡眠の問題によって日常生活に問題が起こることを指します。ここでは睡眠障害の症状・原因・診断に用いられる検査・治療などについて説明します。

1. 睡眠障害とはどんな状態なのか?

睡眠障害と聞くと不眠を想像する人が多いかも知れませんが、不眠だけではありません。「眠っている途中で目が覚める」、「日中の強い眠気」なども睡眠障害によって起こります。睡眠障害によって日常生活に問題が起こります。

睡眠障害が日常生活に与える影響

睡眠は日中の疲労をとるために欠かせません。一方で、睡眠が不十分になると日中に疲労感や眠気を感じるようになります。この睡眠の障害があると作業効率の低下や事故のもとになることもあります。よい日常生活を送るために、よい睡眠をとることが大切です。

2. 睡眠障害の症状

睡眠障害と聞くと眠れない状態(不眠)を想像する人も多いと思いますが、他にもさまざまな症状があります。

【睡眠障害の主な症状】

  • 睡眠に関する主な症状
    • 寝付きが悪い:入眠障害
    • 睡眠中に目が覚める:中途覚醒
    • 朝早くに目が覚める:早朝覚醒
    • ぐっすり眠った感じがしない:熟眠障害
    • 睡眠中に呼吸が止まる
  • 日中の主な症状
    • 日中の強い眠気・居眠り
    • 日中の身体のだるさ

原因を調べるときや治療をするとき、どういった症状が見られているのかが特に重要になります。例えば、睡眠中に大きないびきや呼吸が止まる症状がある人は、原因として睡眠時無呼吸症候群を考えられるため検査(睡眠時ポリソムグラフィー)が行われます。また、原因に適した治療が選ばれます。

症状については「睡眠障害の症状」で詳しく説明しているので参考にしてください。

3. 睡眠障害の原因

睡眠障害の原因は人によってさまざまです。主な原因は次のものがあります。

  • 身体の変化
  • 生活習慣
  • 薬の副作用
  • 病気の影響

また、原因が1つのこともあれば、いくつかが重なって睡眠障害が起こっていることもあります。このため、原因として疑われるものをもらさず詳しく調べなければなりません。

上に挙げた4つの原因の具体的な内容について説明していきます。

睡眠障害の原因になる身体の変化

加齢や肥満といった身体の変化によって睡眠障害が起きることがあります。一般的に年齢を重ねると睡眠の深さが浅くなり「睡眠の途中で目が覚める」、「眠れない」といった睡眠障害が起きやすくなります。

また、寝ている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸」によって睡眠障害が起こることがあります。睡眠時無呼吸症候群肥満の人に多く起きることが分かっているため、肥満を改善することで睡眠障害を軽くすることもできます。

睡眠障害の原因になる生活習慣

生活習慣が睡眠障害の原因になっていることがあります。睡眠に悪影響を及ぼす生活習慣は次のものです。

  • 就寝前の飲酒
  • 就寝前のカフェインの摂取:お茶、コーヒー、栄養ドリンク(エナジードリンク)
  • 長時間の昼寝
  • 不規則な就寝時間

睡眠障害に悩んでいる人はこれらの生活習慣を改善してみると良いかもしれません。生活習慣によって睡眠障害が起こっている場合は、睡眠薬による治療だけで改善することは多くありません。生活習慣そのものを改善することが最も効果的な治療となることが多いです。

とはいえ、習慣を変えるのは簡単ではありません。家族など周りの人の手なども借りながら、少しずつでもよいので変えていけるような取り組みをしてみてください。

生活習慣の改善については「睡眠障害の悩み:日常生活の工夫・治らない場合にはどうすればいいのか?」でも説明しているので参考にしてください。

睡眠障害の原因になる薬

持病の治療のために飲んでいる薬が睡眠障害の原因になることがあります。睡眠障害を起こす薬として主に次のものが知られています。

服用中の薬によって睡眠障害になっている人は、薬の中止や変更を行う必要があります。このため、医療機関にかかって睡眠障害の原因について調べられているときには、服用している薬の内容について医療者に伝えるようにして下さい。また、サプリメントなども睡眠障害の原因になることがあるので薬と同様に伝えてください。

睡眠障害の原因になる病気

睡眠障害を起こす病気はさまざまです。その中には「睡眠障害を起こしやすい病気」もあれば「まれに起こす病気」もあります。

睡眠障害の原因になる病気は次のものです。

睡眠障害を起こす病気は沢山あるため、睡眠障害の症状だけでなく持病や過去に経験した病気についてもお医者さんに伝えるようにしてください。原因がわかると治療法が変わってきます。

持病や経験したことのある病気の上手な伝え方は「睡眠障害の悩み」で説明しているので参考にしてください。

4. 睡眠障害の検査

睡眠障害で受診したら、症状や原因を調べるために、問診や身体診察などが行われます。睡眠障害の症状や原因を正しく把握することで、適切な治療を受けることができます。

睡眠障害で行われる「問診」「身体診察」「睡眠時ポリグラフ検査」について説明します。

問診

問診では今の状況や飲んでいる薬など、生活背景に関わることが尋ねられます。あまり今の症状と関係ないようなことが聞かれることもあります。

症状や原因を詳しく調べるために問診は重要です。睡眠障害は原因や症状に適した治療が必要なすため、問診で睡眠の状態や背景を把握して、最も適した治療が行われます。

身体診察

問診に続いて行われる身体診察では、身体の状態についてくまなく観察されます。身体診察の方法にはいくつかあります。

【身体診察の方法】

  • 視診:身体の外見を観察する診察
  • 聴診:聴診器を使って身体の中の臓器の音を聞く診察
  • 触診・打診:お医者さんが身体を触ったり優しく叩いたりして身体の中の状態を調べる診察

身体診察ではさまざまな方法があり、これらを組み合わせることで身体の状態をより詳しく調べることができ、病気の可能性についても絞りこむことができます。

睡眠時ポリグラフ検査(終夜ポリグラフ検査、終夜睡眠ポリグラフィー検査)

睡眠時ポリグラフ検査では睡眠中の「脳波」「身体の動き」「呼吸の状態」などを調べることができます。特殊な病気が睡眠障害の原因になっていると考えられる場合、睡眠時ポリグラフ検査が行われます。この検査の対象となる特殊な病気は次のものです。

睡眠ポリグラフ検査で調べる必要がある病気の人では睡眠時に症状が現れたり身体に異常が起きたりします。睡眠時ポリグラフ検査で異常と診断された場合には、全身にどの程度影響が及んでいるのかも併せて調べられます。

睡眠障害の検査については「睡眠障害の検査」で詳しく説明しているので参考にしてください。

5. 睡眠障害の治療

睡眠障害の治療には、「睡眠薬を中心とした薬を使ったもの(薬物治療)」と「薬を使わないもの(非薬物治療)」の2つがあります。この2つの治療を上手に組み合わせることで睡眠障害をよくすることができます。

薬を使わない治療:非薬物治療

薬を使わない治療(非薬物治療)は睡眠の妨げになる心理(気持ち)や行動を取り除くことを目的としています。主な治療法は次の3つがあります。

  • リラクゼーション法:眠る前に心や体の緊張をほぐす
  • 睡眠指導:睡眠に対する正しい知識をつける
  • 睡眠日誌:日々の睡眠の記録をつける

睡眠障害の治療と聞くと睡眠薬を中心とした薬物治療を想像されるかもしれません。睡眠薬を上手に使うと睡眠のリズムを整えることができ有効ですが、同じように非薬物治療も有効です。副作用がない点が薬物治療と比べて優れているので、睡眠障害に悩んでいる人はまず試してみるべき治療です。

それぞれの治療の詳しい内容は「睡眠障害の治療」で説明しているので参考にしてください。

薬を使った治療:薬物治療

睡眠薬を中心とした薬物治療は睡眠障害に対して有効です。睡眠障害には睡眠薬だけではなく抗うつ薬や漢方薬なども用いられます。

【薬物治療に用いられる薬】

睡眠障害に用いられる薬は多くの種類があり、睡眠薬だけでもいくつも種類があります。睡眠障害の状態や薬の効果の強さ、副作用などを考慮して適したものが選ばれます。薬物治療の内容は「睡眠障害の治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。

6. 睡眠障害の日常生活の工夫

睡眠障害の原因は日常生活の中に潜んでいることもあります。このため、治療とともに日常生活の工夫も大切です。次のような工夫が有効です。

  • 生活習慣の工夫
    • 起床時間を一定にする
    • 昼寝をしないまたは短時間にする
    • 適度な運動を行う
    • 寝る前にテレビやパソコン、携帯電話の使用を控える
  • 環境面での工夫
    • 寝具が自分に合っているかを確認する
    • 寝室の明るさを見直す
  • 寝る前の工夫
    • リラックスする時間をもうける
    • 寝る目のアルコール・カフェインを控える

生活習慣の中に睡眠障害の原因がある場合、生活習慣の改善が必要です。根本的な原因が解決されていない場合、なかなか睡眠障害が治らずに睡眠薬が長期間必要になってしまったりすることにもつながるので避けるべきです。

それぞれについての詳しい説明は「睡眠障害の悩み:日常生活や治らない場合にはどうすればいいのか?」を参考にして下さい。

参考文献
・日本睡眠学会認定委員会睡眠障害診療ガイド・ワーキンググループ/編, 睡眠障害診療ガイド, 文光堂, 2011
・小川朝生, 谷口充孝/編, 内科医のための不眠診療はじめの一歩, 羊土社, 2013