ドリエルなどの睡眠補助薬の成分はアレグラなどと同類の抗ヒスタミン薬!
この記事のポイント
2.ジフェンヒドラミン塩酸塩がドリエルなどの睡眠補助薬の成分になる“ワケ”
3.ドリエルと花粉症治療薬の飲み合わせについて
一説によると日本人の4-5に一人は睡眠に不安を抱えていると言われ、不眠改善の選択肢としてOTC医薬品(市販薬)で睡眠補助薬が販売されています。ここでは主に「ドリエル」を例として、その作用の仕組みと薬の飲み合わせについて解説します。
◆ OTC医薬品(市販薬)の睡眠補助薬(ドリエル®など)の成分とは?
不眠症(睡眠障害の
睡眠補助薬である「ドリエル(製剤名:ドリエル®、ドリエル®EX)」などの主な成分はジフェンヒドラミン塩酸塩という薬剤です。ジフェンヒドラミン塩酸塩は一般的に「抗
◆ ジフェンヒドラミン塩酸塩がドリエルなどの睡眠補助薬の成分になる“ワケ”
ジフェンヒドラミン塩酸塩などの「抗ヒスタミン薬」は主に体内伝達物質のヒスタミンに関わることで作用をあらわします。もう少し詳しくみていくと、鼻炎、皮膚の痒み、咳などのアレルギー症状などを引き起こす因子となるヒスタミンの作用する受容体を阻害し、ヒスタミンの作用を抑えることで抗アレルギー作用などをあらわします。
一方で抗ヒスタミン薬は中枢抑制作用や抗コリン作用(体内物質
◆ ドリエルと花粉症治療薬の飲み合わせについて
睡眠補助薬である「ドリエル®」が抗ヒスタミンであるジフェンヒドラミン塩酸塩の眠気を利用した製剤であるため、当然他の疾患などで使われる抗ヒスタミン薬とは飲み合わせに注意が必要になってきます。
例として「ドリエル®EX」の添付文書には「使用上の注意」における「本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も使用しないでください」として「他の催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を含有する
「かぜ薬」「解熱鎮痛薬」「鎮咳去痰薬」には抗ヒスタミン薬が配合されていることがあり重複する場合が考えられます。例として鎮咳・鎮痛・解熱剤として使われるカフコデ®N配合錠(医療用医薬品)などには抗ヒスタミン薬が配合されています。但し、例えば解熱鎮痛薬でも「ロキソニン®」(医療用医薬品として「ロキソニン®錠60mg」、OTC医薬品として「ロキソニン®S」 など)などのように(抗ヒスタミン薬でない)単一の解熱鎮痛成分によって造られている薬剤であれば、併用可能であることが多いため購入時によく確認しておくことが大切です。
「他の催眠鎮静薬」に関しては、催眠鎮静薬そのものは(特に医療用医薬品においては)抗ヒスタミン薬以外の薬剤であることが一般的ですが、催眠鎮静薬自体に中枢抑制作用などがありますので、眠気、ふらつきなどが助長されることが考えるため注意が必要となります。
ちなみに医療機関の受診を経て治療を行う場合には、医師の診断の下、症状などを考慮した上で副作用などに注意しつつ、同じ系統の薬剤をあえて重複させて治療を行うことがあります。抗ヒスタミン薬に関しても同様で、例えば総合感冒薬のPL配合顆粒(抗ヒスタミン薬としてプロメタジンメチレンジサリチル酸塩を含有)とアレグラ®(成分名:フェキソフェナジン塩酸塩)などの抗ヒスタミン薬が同時に処方されることもあります。
今回は「ドリエル®」などのOTC医薬品における睡眠補助薬とその成分・飲み合わせなどについてみていきました。不眠とアレルギーというあまり接点がないように見える症状においても使われる薬剤が実は同じ(同じ系統)の薬剤であることも考えられます。また抗ヒスタミン薬は花粉症などのアレルギー疾患の他、湿疹などの皮膚疾患、喘息などの呼吸器疾患など多くの病気や症状に使われている薬剤であり、知らず知らずに重複して使用してしまう可能性があるため注意が必要です。
冒頭でも紹介したように、不眠症を含めた睡眠障害は基本的に医療機関の受診による治療が推奨されています。実際にドリエルなどを数回服用しても症状がよくならない場合は医師、薬剤師などに相談し、医療機関の受診を視野に入れることが一般的とされています。OTC医薬品としての睡眠補助薬を正しく理解して健康維持などのため適切に使うことが大切です。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。