かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 143回の改訂 最終更新: 2023.02.03

花粉症の基礎知識

POINT 花粉症とは

花粉症とはアレルギー性結膜炎と、アレルギー性鼻炎をあわせた状態です。花粉症の原因としては2−4月のスギ花粉が最多ですが、季節によって種々の植物が原因になります。症状は目の充血やかゆみ、鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻づまり、鼻水などです。診断は症状のみでつくことが多いですが、原因の特定のために血液検査を行うことがあります。治療は内服薬、目薬、点鼻薬などで行います。治療は一般内科や耳鼻科、眼科のクリニックで行うことができます。根治を目指す治療としては注射や舌下錠での免疫療法がありますが、副作用や長期間の定期通院が必要などの注意点があります。免疫療法を希望される場合は、医療機関に問い合わせてから受診しましょう。

花粉症について

  • 植物の花粉に対するアレルギー反応
    • アレルギー反応を起こす部位は鼻や目
  • 原因となる花粉は季節によって異なる
    • 春の花粉の代表はスギ、ヒノキ
    • 夏の花粉の代表はイネ科(カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなど)
    • 秋の花粉の代表はブタクサ、キク科のヨモギ、クワ科のカナムグラなど
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花粉症の症状

  • 鼻の症状
    • くしゃみ:発作的にでて、なかなか止まらない
    • 鼻水:サラサラして水のような鼻水
    • 鼻づまり
    • 鼻のかゆみ
  • 目の症状
    • 目のかゆみ
    • 異物感:ゴロゴロする症状
    • 充血
    • なみだ目
  • のどの症状
    • のどのかゆみ
    • 痰のない咳
  • 皮膚の症状
  • その他
    • 眠気:鼻づまりで夜に眠れないことによる
    • 頭痛:鼻づまりによる呼吸障害
      • 鼻水が喉に流れて咳が出る
      • 気道が花粉で過敏になって咳が出る
症状の詳細

花粉症の検査・診断

  • 問診
    • 花粉症は鼻や目のアレルギー症状が、一定の季節のみに見られる
    • 問診では、決まった季節に症状が出ているかを確認する
  • 視診
    • 症状のある部位を診察して、粘膜の変化を診察して診断する
  • 好酸球検査
    • アレルギーがあるかどうかを診断する検査
    • 花粉症の症状がある部位に好酸球がいるか調べる
    • 鼻水や目やにの好酸球を調べる
  • 何のアレルギーかを調べる検査
    • アレルゲンを調べることで、その花粉が飛ぶ時期に重点的に治療ができる
      • 皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト
      • 血清特異的IgE検査
検査・診断の詳細

花粉症の治療法

  • 薬物治療

    • 花粉症の症状が少しでも出たら内服を開始する
    • 症状が強い場合は、数種類の薬を組み合わせて使用する
      • 内服薬:抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬など
      • 点鼻薬:鼻噴霧用ステロイド薬など
      • 点眼薬:抗ヒスタミン薬、ステロイド点眼薬など
      • 注射薬:抗体製剤
    • 病院での処方薬と同じ主成分の市販薬もあるので、すぐに病院に行けない時などに利用しても良い
  • 手術治療

    • 局所麻酔で行うレーザー治療
      • 花粉症によって腫れた鼻粘膜を収縮させる治療方法
      • 鼻づまりに効果的
    • 全身麻酔で行う鼻の手術
      • 鼻の粘膜を切り取って縮小させる手術
      • 鼻水を出す神経を切断する手術
  • 感作治療

    • アレルギーを根本的に治すことができる治療方法
    • アレルゲン免疫療法とも言う
    • アレルギーの原因となっているアレルゲンを少しずつ体に入れて、慣らしてアレルギーが起こりにくくする治療 
    • 減感作治療の種類
      • 皮下免疫療法:注射で行う
      • 舌下免疫療法:舌の下へ薬剤を投与して行う
    • 舌下免疫療法で治療可能なアレルゲンはスギとダニのみ
  • セルフケア

    • 花粉症の症状を軽くするために、花粉との接触を避けることが重要
      • 外出時にマスク、ゴーグルなどを使用する
      • コンタクトをしていると花粉が付着しやすいので、できれば避ける
      • 飛散が多い時期には布団や洗濯物の外干しを避ける
      • 帰宅時に、衣服や髪をよく払ってから部屋に入る
治療法の詳細

花粉症に関連する治療薬

抗ヒスタミン薬(内服薬・注射剤・貼付剤)

  • 神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え蕁麻疹、花粉症、喘息などによる、皮膚の腫れや痒み、鼻炎(くしゃみや鼻みずなど)、咳などの症状を改善する薬
    • 蕁麻疹、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息などでは何らかの原因によって体内でアレルギー反応が起こり症状があらわれる
    • 神経伝達物質のヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす体内物質のひとつ
    • 本剤はヒスタミンの働きを抑える作用(抗ヒスタミン作用)をあらわす
  • 抗ヒスタミン作用に加え、ほかの作用によってもアレルギー反応を抑える薬剤もある
抗ヒスタミン薬(内服薬・注射剤・貼付剤)についてもっと詳しく

スギ花粉症の減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬)

  • スギ花粉を原料としたエキスを含む薬剤を少量から投与し、徐々に体に慣らしていくことで、スギ花粉症の諸症状を改善する薬
    • スギ花粉症はスギの花粉が原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼の痒みなどのアレルギー症状を引き起こす
    • 減感作療法(アレルゲン免疫療法)は、アレルギー症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)を少量から投与し維持量まで徐々に増やしていき、体を慣らしていくことでアレルギー症状を改善する治療法
    • 本剤はスギ花粉エキス(アレルゲン)を含む製剤で、スギ花粉症に対する減感作療法に使われる
  • 注射剤に加え、舌下投与の剤形(剤型)がある
スギ花粉症の減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬)についてもっと詳しく

花粉症の経過と病院探しのポイント

花粉症が心配な方

花粉症は、アレルギー性結膜炎アレルギー性鼻炎を合わせた概念です。目の充血やかゆみ、鼻水といった症状がみられます。このような症状があって花粉症の診察を希望される方は内科のクリニックでの受診をお勧めします。アレルギー科のクリニックでももちろん良いのですが、花粉症であれば内科クリニックで幅広く対応可能です。アレルギーの原因を調べたい場合や、詳細は後述しますが舌下免疫療法と呼ばれる根治療法を検討している場合はアレルギー科のクリニックが良いでしょう。

花粉症の診断は問診と診察で行います。それ以外に、特にアレルギーの原因物質を確認するためには血液検査を行いますが、検査の正確性が必ずしも高くないため、花粉症であるというだけで行われることは少ないです。最も多いのは2-4月のスギ花粉ですが、それ以外にも様々な花粉があります。

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花粉症でお困りの方

点眼薬(目薬)、点鼻薬、内服薬でアレルギー症状を抑えるのが基本的な治療です。

根治を目指す治療として、舌下免疫療法があります。口の中に含んでしばらくしたら飲み込む液体の薬です。こちらは治療が完了するまでに3-5年かかること、その間通院を続けなければならないことなど、様々な注意点があります。治療開始の前にアレルギー専門医から十分に説明を受ける必要があります。すべての医療機関でこの治療を行っているわけではありませんから、舌下免疫療法に対応しているかどうかを問い合わせて確認の上で、医療機関を受診すると良いでしょう。

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