かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 278回の改訂 最終更新: 2026.07.31

花粉症の治療①:医療機関で処方する内服薬、目薬、点鼻薬やレーザー治療など

病院で受けられる花粉症の治療にはどのようなものがあるのでしょうか。処方薬には、市販薬に比べて作用が強い薬や市販されていない薬もあります。また、レーザーを用いた手術や免疫治療などもあります。

1. 病院で受けられる花粉症の治療について

花粉症は市販薬を使って自分で治療することもできますし、医療機関でより専門的な治療を受けることも可能です。このページでは医療機関で受けられる治療について説明します。
医療機関で受けられる主な治療は次のものです。

  • 薬物治療
    • 内服薬
      • ヒスタミン
      • ロイコトリエン受容体拮抗薬​​​​
      • 漢方薬
    • 点鼻薬
      • 鼻噴霧用ステロイド薬
      • 交感神経刺激薬
      • ケミカルメディエーター遊離抑制剤
      • 抗ヒスタミン薬
    • 点眼薬(目薬)
      • アレルギー点眼薬
      • ステロイド点眼薬
    • 注射薬
      • 抗体製剤
  • 手術
  • 感作療法

これらの治療を上手に組み合わせることで、症状を和らげることができます。次にそれぞれの治療について説明していきます。

2. 花粉症の薬物治療

花粉症の薬物治療はくしゃみや鼻水などの症状を抑えることが目的です。症状に合わせて内服薬、点鼻薬、点眼薬が用いられます。治療で使う主な薬は以下のものになります。

馴染みのない言葉が並んで難しそうな印象を受けるかもしれません。この次ではそれぞれについて易しく説明していきます。

内服薬

花粉症は花粉に対するアレルギー反応が原因となって起こります。アレルギー反応にはヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が関与しています。内服薬はこれらの化学物質の働きを邪魔することによって効果を発揮します。 また、花粉症の内服薬は症状が強い時に使われるほかに、初期療法という治療にも使われます。初期療法とは、花粉が飛散する1-2週間前から治療薬を飲み始めることです。初期療法によってそのシーズンの症状が軽くすることができると考えられています。

次に、花粉症の内服治療の中心であり初期療法にも用いられる抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬について説明し、加えて漢方薬についても説明していきます。

抗ヒスタミン薬アレジオン®ジルテック®タリオン®アレグラ®アレロック®クラリチン®ザイザル®など)

抗ヒスタミン薬は花粉症の治療によく使われます。ヒスタミンという化学物質の作用を邪魔してアレルギー反応を抑えて、くしゃみ、鼻水などの症状を和らげます。

副作用には眠気、喉の渇き、尿閉(尿が出なくなる)、便秘、眼圧の上昇などがあります。持病に緑内障前立腺肥大症などがある人は特に注意が必要なので、お医者さんに持病を伝えるようにしてください。また、運転をする際には副作用の眠気に注意が必要です。抗ヒスタミン薬の中には眠気が出やすいものと出にくいものがあるので、日頃運転する機会が多い人は必ずその旨を伝えて眠くなりにくいものを使ってください。

ロイコトリエン受容体拮抗薬オノン®キプレス®シングレア®など)

ロイコトリエン受容体拮抗薬はアレルギー反応に関わるロイコトリエンの働きを阻害することにより効果を発揮します。花粉症の治療薬としてよく使われる抗ヒスタミン薬に比べると、鼻づまりに効果が高いとされています。

速やかに効果を発揮する抗ヒスタミン薬に比べて、効果が出るのに時間がかかり、1週間程度かかることが多いです。副作用として下痢や腹痛、眠気などがあります。

くしゃみや鼻水より鼻づまりのほうがつらいという人は、ロイコトリエン受容体拮抗薬に期待できるかもしれませんので、一度お医者さんに相談してみてください。

抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬については「アレグラ、アレロック、アレジオンなど花粉症の治療薬を解説」でも詳しく説明しているので参考にしてください。

■漢方薬

漢方薬の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は鼻づまりに対して効果があるとされています。小青竜湯には麻黄(まおう)という成分が含まれていて、この成分が鼻づまりに対して効果を発揮します。抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の副作用で眠気が強い場合、その代わりとして小青竜湯を使うと、眠気を抑えつつ症状も上手にコントロールできるかもしれません。

 ただし、漢方薬は症状や体質などによって効果や副作用の出やすさが違ってきます。このため、漢方薬を希望される場合は、症状や体質を医師や薬剤師に伝えて、効果を得られやすそうかを聞いてみてください。漢方薬と症状・体質の関係については「漢方薬の選択は十人十色」でも詳しく説明しています。

点鼻薬

花粉症に対して病院で処方される主な点鼻薬は、鼻噴霧(びふんむ)用ステロイド薬と、血管収縮薬です。その他に、抗ヒスタミン薬や、ケミカルメディエーター遊離抑制剤などを含むものもあります。

それぞれ違った作用で花粉症の症状を改善することができます。ここでは主に用いられる鼻噴霧用ステロイド薬と血管収縮薬の2つについて説明します。

■鼻噴霧ステロイド薬(アラミスト®ナゾネックス®エリザス®など)

鼻噴霧用ステロイド薬は症状の改善効果が高い薬です。鼻粘膜の炎症を抑えて、効果を発揮します。早ければ使用開始から1−2日で効果があらわれて、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が和らぎます。症状がでてから早めに使用することで、花粉の飛散がピークの時の症状が和らぐことも報告されています。このため、症状が悪化する前に使用を開始することが重要です。 また、ステロイドと聞くと副作用が心配になりますが、鼻噴霧用ステロイドは局所に作用する薬であるため、通常の用法用量では全身への影響は一般に少ないとされています。一方で、鼻の乾燥、刺激感、鼻出血などの局所の副作用が起こることがあるので、気になる場合は医師に相談してください。鼻噴霧用ステロイドを使っても体内に吸収されるステロイドはか全身での副作用はほとんどみられません。

1日1回のみの使用で効果を発揮する鼻噴霧用ステロイドの特徴を下記にあげます。効果は同等なので、自分にあったものを使用しましょう。

処方薬 剤形 対象年齢 特徴
アラミスト 液剤 2歳以上 においがない
眼の症状に対する効果が報告されている
ナゾネックス 液剤 3歳以上 においがない
エリザス 粉末剤 15歳以上 液だれしない
使用感が少ない

■血管収縮薬(プリビナ®トラマゾリン

鼻づまりは、鼻粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで起こります。粘膜の腫れは血管の拡張が関係しており、血管収縮薬を点鼻すると血管が収縮して腫れが引き、鼻の通りが一時的によくなります。

血管収縮薬は即効性があり、強い鼻づまりには効果が期待できますが、鼻水やくしゃみには効果が乏しいため、必要に応じて他の治療と組み合わせて考えます。

注意点として、連用や頻回使用をすると効きにくくなったり、使用をやめた後にかえって鼻づまりが悪化する薬剤性鼻炎(リバウンド)を起こすことがあります。使用する場合は、短期間にとどめ、用法用量を守ることが重要です。

花粉症の点鼻薬については「花粉症などアレルギー性鼻炎の点鼻薬(ザジテン、リボスチンなど)の効果・副作用」でも詳しく説明しているので参考にしてください。

点眼薬(目薬)

花粉症で病院で処方される目薬は抗アレルギー薬とステロイド薬です。それぞれ特徴が異なるので別々に説明します。

■抗アレルギー点眼薬

抗アレルギー点眼薬の成分は次の2つです。

  • 抗ヒスタミン作用:すでに放出されたヒスタミンの働きを抑え、かゆみなどの症状を和らげる
  • ケミカルメディエーター抑制作用:ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されにくい状態にし、症状が出にくくなるよう働く

馴染みのない言葉ですので説明します。 ヒスタミンはアレルギー反応に関係している物質です。抗ヒスタミン作用はヒスタミンの働きを阻害することによって症状が出るのを抑えます。 ケミカルメディエーター(化学伝達物質)はヒスタミンやロイコトリエンなどの物質のことを指します。ここでヒスタミンがまた出てきましたが、抗ヒスタミン作用とケミカルメディエーター抑制作用は違う働きです。抗ヒスタミン作用は放出されたヒスタミンの働きを邪魔するのに対して、ケミカルメディエーター抑制作用はヒスタミンなどの物質が放出されるのを少なくさせようとします。

抗アレルギー点眼薬の中にはこの2つの作用を両方含んだものと片方だけ含んだものがあります。両方入っているから良い薬というのではなく、症状などに合わせて処方が行われます。点眼薬の効果が少ないときや副作用が気になるときにはお医者さんに相談してみてください。

■ステロイド点眼薬

症状が強い時はステロイドが含まれている目薬(ステロイド点眼薬)を使用します。目のかゆみと炎症を抑える効果に優れています。

副作用の1つに眼圧の上昇があります。眼圧が急に上がると視力などに影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。緑内障など眼圧が上がりやすい病気を持っている人はお医者さんに必ず伝えてください。

◎コンタクトをしたままさせる目薬
コンタクトレンズを利用している人は多く、着用時の目薬の使用は気になる話題だと思います。結論から言うと防腐剤の入っていない点眼薬であれば、コンタクトをしたまま目薬をさすことは可能です。

以下は防腐剤(ベンザルコニウム塩化物)の入っていないアレルギー用点眼薬の製品例です。

それぞれには含まれている成分や使い方に違いがあります。自分の症状や生活スタイルにあったものを選んでください。選ぶ際には医師や薬剤師などに相談するとよいです。
花粉症の点眼薬は「抗アレルギー薬(点眼薬)」でも説明しているので参考にしてください。

注射薬:抗IgE抗体

オンズリマブ(ゾレア®)は重症の花粉症で、他の治療で十分な効果が得られない場合に検討される抗IgE抗体製剤です。もともとは気管支喘息や慢性蕁麻疹などに用いられてきた薬で、花粉症では一定の条件を満たす場合に使用されます。

IgEはアレルギー反応に関わるタンパク質で、オマリズマブはIgEに結合して作用します。投与量は体重と血中IgE濃度に応じて決まり、2週または4週ごとに皮下注射を行います。

即効性の対症薬というより、花粉飛散期に向けて計画的に用いる治療です。開始時期や適応は限られるため、希望する場合は主治医と相談してください。

費用は薬剤量などによって大きく変わります。公的医療保険の適用や高額療養費制度により自己負担が軽減される場合もありますが、飛散期には定期的な投与が必要となるため、経済的な負担も含めて検討が必要です。

3. 花粉症の手術:レーザー治療など

薬物治療で鼻水やくしゃみはある程度抑えられても、鼻粘膜の腫れ(鼻閉)が強いと、鼻づまりがなかなか改善しないことがあります。こうした鼻づまりが主症状のケースでは、手術が選択肢になることがあります。手術にはいくつか方法がありますが、外来で比較的短時間に行えるものとしてレーザー治療があります。

レーザー治療の方法

治療では、まず鼻の中に麻酔薬を含ませたガーゼなどを入れて局所麻酔を行います。麻酔が効いたことを確認したうえで、鼻粘膜にレーザーを照射して治療します。麻酔の時間を含めて、全体で1時間程度で行われることが一般的です(施設により異なります)。

レーザー治療後

治療後は鼻出血を防ぐため、しばらくの間は長時間の入浴、飲酒、激しい運動など、血流がよくなる行動を控えます。軽い鼻血が出ることはありますが、少量であれば様子見でよい場合が多いです。出血が多い、繰り返す、といった場合は治療を受けた医療機関に連絡してください。

また、処置後しばらくは炎症の影響で、一時的に鼻づまりが悪化することがあります。多くは時間とともに改善しますが、1週間を過ぎても改善が乏しい、または悪化する場合は医療機関に相談してください。

レーザー治療の費用

花粉症に対するレーザー治療は保険が適用されるので数千円−一万円程度で行うことができます。施設ごとに異なることがありますので、医療機関に問い合わせてみると確実です。

レーザー治療の効果とその他の手術

レーザー治療の効果は1〜3年程度とされ、症状が再び強くなった場合には再治療が行われることもあります(個人差があります)。

レーザー治療以外にも、鼻粘膜を縮小させる手術や、鼻水に関わる神経を対象とする手術など、症状や鼻の形態に応じた選択肢があります。レーザー治療で十分な効果が得られない場合に検討されることがあります。

4. 花粉症の減感作療法

減感作療法(アレルゲン免疫療法)は、アレルギーの原因となっている物質(アレルゲン)を少量から継続的に体に取り込み、体を慣らしていくことで、アレルギー反応を起こしにくい状態を目指す治療です。花粉症では原因となる花粉(アレルゲン)に対して行います。

免疫療法には主に2種類があります。

  • 「注射による減感作療法(皮下免疫療法)」
  • 「舌下錠による減感作療法(舌下免疫療法)」

皮下免疫療法は以前から行われてきましたが、通院回数が多いこと、注射が必要であること、まれに強い副反応が起こる可能性があることなどから、広く普及しにくい面がありました。

一方、現在広く行われているのは舌下免疫療法です。舌の下の粘膜から薬を吸収させる方法で、注射に比べて取り組みやすいことが利点です。

【舌下免疫療法の特徴】

  • 痛みが少ない(注射ではない)
  • 通院回数が比較的少ない
  • 自宅で継続しやすい
  • 比較的安全に行える(ただし副反応は起こり得ます)

懸念点もあった「注射による減感作療法」と比べると、舌下免疫療法には多くの優れた点があります。

花粉症の舌下免疫療法はどんな人に行うことができるのか

日本では、花粉症に対する舌下免疫療法としてスギ花粉(ほかにダニなど)を対象にした治療が行われています。スギ以外の花粉については、現時点で舌下免疫療法の対象が限られるため、適応は医療機関で確認が必要です。

また、舌下免疫療法を受けられない場合や、注意が必要な場合があります。以下はあくまで目安で、最終的には主治医が判断します。

  • 舌下免疫療法が難しい人/できないことがある人
    • 年齢が適応外(製剤により異なる)
    • 重症の気管支喘息喘息発作を誘発する可能性があるため
    • 全身状態や治療内容によって実施が難しい場合

  • 舌下免疫治療に注意が必要な人
    • 気管支喘息患者
    • 悪性腫瘍、免疫系に影響を及ぼす全身性疾患(自己免疫疾患、免疫複合体疾患、免疫不全症など)があるとき
    • 高齢者:65歳以上
    • 妊婦、授乳婦

上の条件に当てはまる人は必ずお医者さんに相談するようにしてください。

花粉症の舌下免疫療法はどのようにして行うのか

舌下免疫療法は、アレルゲンを含む薬(舌下錠など)を舌の下に置き、溶かして服用します。開始初期は副反応が出る可能性があるため、初回は医療機関で服用し、一定時間経過観察を行ったうえで、問題なければ以後は自宅で毎日継続します。

副反応がなければ維持量へ移行し、年単位(一般に2〜3年以上)の継続が必要になります。治療中は月1回程度の通院となることが多いです(施設により異なります)。

花粉症の舌下免疫療法はいつ始めるのがよいのか

花粉が飛散が多い時期に開始すると副作用が強く出ることがあるので、スギ花粉症の舌下免疫療法は花粉が飛散が少ない時期に始めるのがよいとされています。

スギ花粉症の飛散が多くなる時期は2月から4月です。ただし、地域によって飛散量が多い時期にズレがあるので詳しくは「花粉症の原因②:スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど」で説明しているので参考にしてください。

花粉症の舌下免疫療法の副作用

スギ花粉症に対して舌下免疫療法を行うと20%程度の人に副作用が起きるとされています。
報告された副作用は次のものです。

  • 舌や口腔のかゆみ、しびれ、むくみ
  • 鼻水の増加
  • 皮膚のかゆみ
  • 蕁麻疹

この中でも舌の下の浮腫(むくみ)が強い場合は治療を一時中止する必要があるので、症状が現れた場合には舌下免疫療法を一時やめて、すみやかに治療を受けている医療機関を受診してください。

花粉症の舌下免疫療法の効果

舌下免疫療法は、すべての人に同じ効果が出るわけではありませんが、症状や薬の使用量が減るなど、改善が期待できる治療です。効果の程度には個人差があり、十分な効果を得るには継続が重要です。

5. 花粉症が心配なときには何科にかかればいいのか?

花粉症の症状は目や耳に症状があらわれるので耳鼻咽喉科や眼科を受診することが多いと思いますが、内科や小児科でも治療は可能です。ただし、専門科にかかったほうがいい場合もあります。具体的には鼻の症状が強い場合は耳鼻咽喉科、目の症状が強い場合は眼科です。

耳鼻咽喉科では炎症を起こしている鼻の粘膜を見て、治療方法の提案をされます。症状に加えて鼻の粘膜の状態を参考にすることで、より適切な薬を選ぶことができます。また、鼻づまりの症状が強い場合、レーザー治療ができることがあります。

眼科でも、目の症状にあわせて処方薬を調整できます。症状が強い場合は、ステロイド点眼薬を使用することもあるかもしれません。ステロイド点眼薬は効果が大きいのですが、長期間使用すると眼圧が高くなることがあります。眼圧が高い状態が長く続くと視力に影響をおよぼすこともあるので、効果の強いステロイドを使っている時は定期的に眼圧を計ってもらうほうがより安全です。