[医師監修・作成]病院で受けられる花粉症の治療:内服薬、点眼薬(目薬)、レーザー治療など | MEDLEY(メドレー)
かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 137回の改訂 最終更新: 2021.02.08

病院で受けられる花粉症の治療:内服薬、点眼薬(目薬)、レーザー治療など

病院で受けられる花粉症の治療にはどのようなものがあるのでしょうか。市販薬に比べて作用が強い薬や、市販されていない薬もあります。また薬による治療以外にもレーザーを用いた手術や免疫治療などもあります。

1. 病院で受けられる花粉症の治療について

花粉症は市販薬を使うことで自分で治療することもできますし、医療機関ではより専門的な治療を受けることも可能です。ここでは医療機関で受けられる治療について説明します。
医療機関で受けられる主な治療は次のものです。

  • 薬物治療
    • 内服薬
      • ヒスタミン
      • ロイコトリエン受容体拮抗薬​​​​
      • 漢方薬
    • 点鼻薬
      • 鼻噴霧用ステロイド薬
      • 交感神経刺激薬
      • ケミカルメディエーター遊離抑制剤
      • 抗ヒスタミン薬
    • 点眼薬(目薬)
      • アレルギー点眼薬
      • ステロイド点眼薬
    • 注射薬
      • 抗体製剤
  • 手術
  • 感作療法

これらの治療を上手に組み合わせることで、症状を和らげることができます。次にそれぞれの治療について説明していきます。

2.花粉症の薬物治療

花粉症の薬物治療はくしゃみや鼻水などの症状を抑えることが目的です。症状に合わせて内服薬、点鼻薬、点眼薬が用いられます。治療で使う主な薬は以下のものになります。

馴染みのない言葉が並んで難しそうな印象を受けるかもしれません。この次ではそれぞれについて易しく説明していきます。

内服薬

花粉症は花粉に対するアレルギー反応が原因となって起こります。アレルギー反応にはヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が関与しています。内服薬はこれらの化学物質の働きを邪魔することによって効果を発揮します。 また、花粉症の内服薬は症状が強い時に使われるほかに、初期療法という治療にも使われます。初期療法は花粉が飛散する1-2週間前から治療薬を飲み始めることです。初期療法によってそのシーズンの症状が軽くすることができると考えられています。

次に、花粉症の内服治療の中心であり、初期療法にも用いられる抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬、それに加えて漢方薬について説明していきます。

抗ヒスタミン薬アレジオン®ジルテック®タリオン®アレグラ®アレロック®クラリチン®ザイザル®など)

抗ヒスタミン薬は花粉症の治療によく使われます。ヒスタミンという化学物質の作用を邪魔してアレルギー反応を抑えて、くしゃみ、鼻水などの症状を和らげます。一方、副作用には眠気や喉の渇き、尿閉(尿が出なくなる)、便秘、眼圧の上昇などがあります。持病に緑内障前立腺肥大症などがある場合には特に注意が必要なので、お医者さんに持病を伝えるようにしてください。また、運転をする際には副作用の眠気に注意が必要です。抗ヒスタミン薬の中には眠気が出やすいものと出にくいものがあるので、日頃運転する機会が多い人は必ずその旨を伝えて眠くなりにくいものを使ってください。

ロイコトリエン受容体拮抗薬オノン®キプレス®シングレア®など)

ロイコトリエン受容体拮抗薬はアレルギー反応に関わるロイコトリエンの働きを阻害することにより効果を発揮します。花粉症の治療薬としてよく使われる抗ヒスタミン薬に比べると、鼻づまりに効果が高いとされています。

速やかに効果を発揮する抗ヒスタミン薬に比べて、効果が出るのに時間がかかり、1週間程度かかることが多いです。副作用として下痢や腹痛、眠気などがあります。

くしゃみや鼻水より鼻づまりの方がつらいという人は、ロイコトリエン受容体拮抗薬に期待できるかもしれませんので、一度お医者さんに相談してみてください。

抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬については「アレグラ、アレロック、アレジオンなど花粉症の治療薬を解説」でも詳しく説明しているので参考にしてください。

■漢方薬

漢方薬の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は鼻詰まりに対して効果があるとされています。小青竜湯には麻黄(まおう)という成分が含まれていて、この成分が鼻づまりに対して効果を発揮します。抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の副作用で眠気が強い場合、その代わりとして小青竜湯を使うと、眠気を抑えつつ症状も上手にコントロールできるかもしれません。 ただし、漢方薬は症状や体質などによって効果や副作用の出やすさが違ってきます。このため、漢方薬を希望される場合は、症状や体質を医師や薬剤師に伝えて、効果を得られやすそうかを聞いてみてください。漢方薬と症状・体質の関係については「漢方薬の選択は十人十色」でも詳しく説明しています。

点鼻薬

花粉症に対して病院で処方される主な点鼻薬は、鼻噴霧(びふんむ)用ステロイド薬と、交感神経刺激薬です。その他に、抗ヒスタミン薬や、ケミカルメディエーター遊離抑制剤などを含むものもあります。

それぞれ違った作用で花粉症の症状を改善することができます。ここでは主に用いられる鼻噴霧用ステロイド薬と交感神経刺激薬の2つについて説明します。

■鼻噴霧ステロイド薬(アラミスト®ナゾネックス®エリザス®など)

鼻噴霧用ステロイド薬は症状の改善効果が高い薬です。鼻粘膜の炎症を抑えて、効果を発揮します。使用開始から1−2日で効果が現れて、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が和らぎます。症状がでてから早めに使用することで、花粉の飛散がピークの時の症状が和らぐことも報告されています。このため、症状が悪化する前に使用を開始することが重要です。 また、ステロイドと聞くと副作用が心配になりますが、鼻噴霧用ステロイドを使っても体内に吸収されるステロイドはかなり少ない量です。全身での副作用はほとんどみられません。

1日1回のみの使用で効果を発揮する鼻噴霧用ステロイドの特徴を下記にあげます。効果は同等なので、自分にあったものを使用しましょう。

処方薬 剤形 対象年齢 薬価 特徴
アラミスト 液剤 2歳以上 2017.1円 においがない
眼の症状に対する効果が報告されている
ナゾネックス 液剤 3歳以上 1912.3円(56噴霧用) においがない
1か月用のサイズがある(112噴霧用で薬価3832.5円)
エリザス 粉末剤 15歳以上 1779.5円 液だれしない
使用感が少ない

■交感神経刺激薬(プリビナ®、トラマゾリン)

鼻づまりは鼻の粘膜が腫れて鼻水の流れが悪くなることによって起こります。鼻の粘膜の腫れは粘膜の血管が広がることが原因です。交感神経刺激薬を使うと広がった血管が縮んで、正常に近い太さになり鼻の粘膜の腫れがひくので鼻の通りがよくなります。

交感神経刺激薬は鼻づまりに対しては高い効果が期待できますが、鼻水やくしゃみなどの症状には効果がありません。このため、他の症状も同時に良くしたいと考えているのであれば交感神経刺激薬以外のの薬も検討した方がよいです。

花粉症の点鼻薬については「花粉症などアレルギー性鼻炎の点鼻薬(ザジテン、リボスチンなど)の効果・副作用」でも詳しく説明しているので参考にしてください。

点眼薬(目薬)

花粉症で病院で処方される目薬は抗アレルギー薬とステロイド薬です。それぞれは特徴が異なるので別々に説明します。

■抗アレルギー点眼薬

抗アレルギー点眼薬の成分は次の2つです。

  • 抗ヒスタミン作用
  • ケミカルメディエーター抑制作用

馴染みのない言葉ですので説明します。 ヒスタミンはアレルギー反応に関係している物質です。抗ヒスタミン作用はヒスタミンの働きを阻害することによって症状が出るのを抑えます。 ケミカルメディエーター(化学伝達物質)はヒスタミンやロイコトリエンなどの物質のことを指します。ここでヒスタミンがまた出てきましたが、抗ヒスタミン作用とケミカルメディエーター抑制作用は違う働きです。抗ヒスタミン作用は放出されたヒスタミンの働きを邪魔するのに対して、ケミカルメディエーター抑制作用はヒスタミンなどの物質が放出されるのを少なくさせようとします。

抗アレルギー点眼薬の中にはこの2つの作用を両方含んだものと片方だけ含んだものがあります。両方入っているから良い薬というのではなく、症状などに合わせて処方が行われます。点眼薬の効果が少ないときや副作用が気になるときにはお医者さんに相談すると薬の変更などが行われます。

■ステロイド点眼薬

症状が強い時はステロイドが含まれている目薬(ステロイド点眼薬)を使用します。目のかゆみと炎症を抑える効果に優れています。

副作用の1つに眼圧の上昇があります。眼圧が急に上がると視力などに影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。緑内障など眼圧が上がる病気を持っている場合にはお医者さんに必ず伝えてください。

◎コンタクトをしたまま目薬をさせる?
コンタクトレンズを利用している人は多く、着用時の目薬の使用は気になる話題だと思います。結論から言うと防腐剤の入っていない点眼薬であれば、コンタクトをしたまま目薬をさすことは可能です。

以下は防腐剤(ベンザルコニウム塩化物)の入っていないアレルギー用点眼薬の製品例です。

それぞれには含まれている成分や使い方に違いがあります。自分の症状や生活スタイルにあったものを選んでください。選ぶ際には医師や薬剤師などに相談するとよいです。
花粉症の点眼薬は「抗アレルギー薬(点眼薬)」でも説明しているので参考にしてください。

注射薬:抗IgE抗体

オンズリマブ(ゾレア®)は2020年から最重症の花粉症に使用できるようになった薬です。気管支喘息や慢性蕁麻疹の治療に用いられてきました。花粉症では他の治療では十分な効果が得られない人に使用が検討されます。

IgEというアレルギー反応に関係するタンパク質に結合して効果を発揮します。体重および血液中のIgE濃度に応じた量を2週間または4週間ごとに皮下注射します。すでに起きている花粉症の症状を速やかに抑える効果はないため、スギ花粉の飛散初期に投与を受ける必要があります。

投与量にもよりますが、1回の注射で10万円以上の薬価になることがあります。医療保険が適応されると3割や1割の負担になり、高額医療費の対象にもなるので、負担は少し軽減されます。しかしスギ花粉の飛散時期には定期的に注射を受けるため、経済的な負担も大きいです。使用開始に際しては主治医と十分に相談してください。

3. 花粉症の手術:レーザー治療など

薬物治療では鼻水やくしゃみなどの症状をある程度を抑えることはできますが、鼻粘膜の腫れが強いと鼻づまりがなかなか治らないことがあります。なかなか治らない鼻づまりに対しては手術も選択肢の1つです。手術の方法はいくつかありますが、外来で簡単に行うことができるものにレーザー治療があります。

レーザー治療の方法

方法について少し詳しく解説します。
まず、鼻の中に麻酔薬のついたガーゼを入れて麻酔を行います。麻酔が十分に効いていることを確認して鼻の粘膜をレーザーで焼きます。麻酔時間を含めて1時間程度で行うことができます。

レーザー治療後

治療後は鼻血を防ぐために、血流がよくなる長時間の入浴や飲酒、運動を避けてもらいます。鼻血がでることはありますが軽くて済むことがほとんどです。量が少ない場合は様子見で問題ありません。量や回数が多い場合には治療を受けた医療機関に連絡して下さい。 処置後は1週間程度、鼻詰まりの悪くなることがありますが、時間の経過とともに良くなっていきますので心配することはありません。ただし、1週間を過ぎても症状が変わらないまたは悪くなるようであれば治療を受けた医療機関に相談してみて下さい。

レーザー治療の費用

花粉症に対するレーザー治療は保険が適用されるので6,000−10,000円程度ので行うことができます。費用は施設ごとに少しちがうことがあるので、治療費は医療機関に問い合わせてみると確実です。

レーザー治療の効果とその他の手術

レーザー治療の効果は1−3年です。症状が悪化した場合は、再びレーザー治療を行うこともできます。レーザー治療以外の手術には鼻の粘膜を縮小させる方法や、鼻水を出す神経を切断する方法などをがあり、レーザー治療で症状のコントロールが良くない場合に検討されることがあります。

4. 花粉症の減感作療法

減感作療法はアレルゲン(花粉症では花粉)を少しずつ身体の中に入れることにより、免疫を変化させてアレルギー反応を起こしにくくする治療方法です。

減感作療法とは?

減感作療法(アレルゲン免疫療法)はアレルギーの原因となっている、アレルゲン(花粉症では花粉)を少しずつ体に入れて、アレルゲンに体を慣らして、アレルギーを起こりにくくする治療方法です。 減感作療法には2種類あります。「注射による減感作療法(皮下免疫療法)」と「舌下錠・舌下液による減感作療法(舌下免疫療法)」の2つです。

以前から「注射による減感作療法」は行われていました。しかし、通院の頻度が多いことや注射をしなければいけないこと、稀に副作用で強いアレルギー反応が出ることなどの欠点のためにあまり普及しませんでした。

それに対して、現在、広く行われているのは、2014年から保険適応になった「舌下錠・舌下液による減感作療法(舌下免疫療法)」です。これは舌の下からアレルゲンを身体に取り込む治療で、「注射による減感作療法」と比べると次のような利点があります。

  • 痛みが少ない
  • 通院が少ない
  • 簡単
  • 安全

欠点もあった「注射による減感作療法」と比べると、舌下免疫療法には多くの優れた点があります。では舌下免疫療法はどのような人に行うことができるのでしょうか。

花粉症の舌下免疫療法はどんな人に行うことができるのか

花粉症の舌下免疫療法はスギ花粉に対して治療することができます。それ以外の花粉に関しては舌下免疫療法では治療をする事ができません。

また舌下免疫療法を行うことが出来ない人や行う際に注意が必要な人がいます。

  • 舌下免疫療法ができない人
  • 舌下免疫治療に注意が必要な人
    • 気管支喘息患者
    • 悪性腫瘍、免疫系に影響を及ぼす全身性疾患(自己免疫疾患、免疫複合体疾患、免疫不全症など)があるとき
    • 高齢者:65歳以上
    • 妊婦、授乳婦

上の条件に当てはまる人は必ずお医者さんに相談するようにしてください。

花粉症の舌下免疫療法はどのようにして行うのか

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、舌の下にアレルゲンが含まれた液体状の薬を霧吹きします。最初の治療は薬に対してアレルギーが出る可能性があるので、処方をしてもらった医療機関で行い1時間程副作用が出ないか確認し、それ以降は自宅で行えます。

副作用がなければアレルゲンの量を徐々に増量していき、一定の量を最低2年間は使い続けます。治療中は1ヶ月に1回通院することが多いです。

花粉症の舌下免疫療法はいつ始めるのがよいのか

花粉が飛散が多い時期に開始すると副作用が強く出ることがあるので、スギ花粉症の舌下免疫療法は花粉が飛散が少ない時期に始めるのがよいとされています。

スギ花粉症の飛散が多くなる時期は2月から4月です。ただし、地域によって飛散量が多い時期にズレがあるので詳しくは「花粉は秋にも飛ぶ?ブタクサ、カモガヤ他の種類ごとのシーズン」で説明しているので参考にしてください。

花粉症の舌下免疫療法の副作用

スギ花粉症に対して舌下免疫療法を行うと20%程度の人に副作用が起きるとされています。
しかし、注射による免疫療法で見られた重いアナフィラキシーショック喘息発作はありませんでした。報告された副作用は以下のものです。

  • 舌や口腔のかゆみ、しびれ、むくみ
  • 鼻水の増加
  • 皮膚のかゆみ
  • 蕁麻疹

この中でも舌の下の浮腫(むくみ)が強い場合は治療を一時中止する必要があるので、症状が現れた場合には舌下免疫療法を一時やめてすみやかに治療を受けている医療機関を受診してください。

花粉症の舌下免疫療法の効果

厚生労働省の研究ではスギ花粉症に対する舌下免疫療法は70%以上の人に有効で、症状が軽くなったと報告されています。

5. 花粉症が心配なときには何科にかかればいいのか?

花粉症の症状は目や耳に症状が現れるので耳鼻咽喉科や眼科を受診することが多いと思いますが、内科や小児科でも治療は可能です。ただし、専門科にかかった方がいい場合もあります。具体的には鼻の症状が強い場合は耳鼻咽喉科、目の症状が強い場合は眼科です。

耳鼻咽喉科では炎症を起こしている鼻の粘膜を見て、治療方法の提案をされます。症状に加えて鼻の粘膜の状態を参考にすることで、より適切な薬を選ぶことができます。また、鼻詰まりの症状が強い場合、レーザー治療ができることがあります。

眼科では、目の症状にあわせて処方薬を調整できます。症状が強い場合は、ステロイド点眼薬を使用することもあるかもしれません。ステロイド点眼薬は効果が大きのですが、長期間使用すると眼圧が高くなることがあります。眼圧が高い状態が長く続くと視力に影響をおよぼすこともあるので、効果の強いステロイドを使っている時は定期的に眼圧を計ってもらうほうがより安全です。