[医師監修・作成]頭痛も花粉症の症状?咳・喉がかゆい・熱などの症状と風邪との見分け方 | MEDLEY(メドレー)
かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 137回の改訂 最終更新: 2021.02.08

頭痛も花粉症の症状?咳・喉がかゆい・熱などの症状と風邪との見分け方

花粉症は主に目や鼻、皮膚に症状がでます。ひどい症状では喉や咳の症状もあります。スギ花粉の時期は、かぜ症候群を合併しやすい時期なので、どちらの症状か悩みますね。かぜの見分け方などを含めて説明します。

1. 花粉の症状:くしゃみ・鼻水・目や喉のかゆみ・肌荒れ・湿疹など

花粉症の症状は、主に鼻と目に出ます。その他にも喉や皮膚がかゆいと感じる人もいるかもしれません。それらも花粉の一症状なのでしょうか。それぞれ詳しくみていきましょう。

鼻の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり

花粉症の鼻の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つです。くしゃみは発作的に突然出て、なかなか止まりません。鼻水は、サラサラして水のような鼻水です。ただし花粉症の症状が出ている時に風邪を引くと、鼻水はサラサラした水のようなものから、粘り気のある黄色いものに変化することがあります。

その他に、鼻のかゆみなどもおこります。

目の症状:かゆみ、なみだ目、目やになど

花粉症の目の症状は、かゆみ、ゴロゴロした感じ、なみだ目、目やに、充血などです。

目のかゆみは、目の症状で最も特徴的な症状です。目そのもののかゆみのほか、まぶたや、まぶたの縁の部分がかゆくなることもあります。

ゴロゴロする異物感も高頻度で見られます。軽いかゆみを異物感と認識する場合と、まぶたの裏の隆起によって感じる場合があります。アレルギー炎症が強くなると、まぶたの裏に好酸球を含む炎症細胞によって、隆起(盛り上がった部分)ができます。これが、眼球の表面にあたって異物感を感じます。

花粉症の目やには、サラサラから少し粘り気のある目やにが多いです。

喉のかゆみ

スギ花粉症患者では、30-70%に咳の症状があり、のどのかゆみ、痛み、違和感などの症状を伴うことが報告されています。咳は痰(たん)を伴わない乾燥した咳で、のどの違和感があります。

花粉症に伴うのどの違和感の原因は、喉頭アレルギーと考えられています。喉頭アレルギーは、鼻や目で花粉に対して起こるアレルギーと同様のしくみで、喉頭でアレルギーが起こるものです。喉頭アレルギーの二大症状は、のどの違和感と、しつこい咳です。花粉症の時期は鼻づまりなどが強く、口呼吸になるため、喉頭に到達する花粉が多くなり、喉頭アレルギーが起こりやすくなります。

皮膚症状:肌荒れ・湿疹など

花粉症の時期に一致して、皮膚のあれや湿疹を起こすことはあります。スギ花粉が接触したことにより接触性皮膚炎発症することがあります。

花粉症患者のアンケート調査では、鼻や目以外の症状として、口が乾く、皮膚のかゆみを訴える人が多くみられました。皮膚のかゆみは、男性より女性に多く、花粉症の症状が重い人は皮膚のかゆみも強い人が多かったです。原因の花粉は、スギ花粉が最多ですが、イネ科の花粉では皮膚の症状が強い傾向がありました。

花粉症に合併する皮膚炎としては、アトピー性皮膚炎がもともとある患者でアトピーが悪化する場合と、アトピー性皮膚炎などがなく、花粉症の時期にのみ皮膚炎が発症する場合があります。

治療は、花粉症に対する治療と、接触性皮膚炎に対する治療を適宜組み合わせます。花粉症に対する治療は抗ヒスタミン薬の内服で、接触性皮膚炎に対する治療は、ステロイド外用薬などの使用です。

予防は、花粉にできる限り接触しないことが基本です。メガネ、マスク、マフラーなどで直接皮膚に花粉が付着しないようにしましょう。外出後はシャワーなどで、よく顔、くび、頭を洗って、花粉を除去します。屋外で干したシーツや服などについた花粉で皮膚炎を生じることがあるので、直接皮膚に触れることがあるシーツ、下着、服などは原因の花粉が飛散する時期は、家の中で干すようにしましょう。

参照:アレルギー・免疫 2009年2月号(Vol.16 No.2)P11(149)~14(152)

2. これは花粉症の症状?:眠い・頭痛・咳・熱

花粉症の症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみが主です。他に、のどや皮膚のかゆみなどもあります。しかし、花粉症の時期になると、眠い、頭痛がする、咳、熱っぽいなどの症状が出ることがあります。これらの症状は花粉症の症状なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

眠気

花粉症の時期に眠いのは、花粉症が原因かもしれません。

花粉症は、一年中症状のある通年性アレルギー性鼻炎に比較して、睡眠障害が起こりやすいとされます。これは、花粉症では鼻症状が急速に出現、悪化するため、鼻づまりの影響が強く出ることが原因と考えられます。通年性アレルギー性鼻炎では、症状がいつもあるため、睡眠障害の症状にあまり気がつかない状態と考えられます。

2016年に花粉症で医療機関を受診した1,000人のアンケートでは、32.8%が睡眠障害や眠りが良くないと答えています。2008年の1,188人へのアンケートでは、睡眠にやや影響がある、とても影響があると答えた人は76.8%でした。睡眠障害のうちわけは、熟睡できない56.7%、翌日だるく眠気がある53.8%、寝付きが悪い35.3%、夜中に目がさめる27.7%となっています。

参照:花粉症患者の受療・市販薬使用実態 調査結果報告書第3回アレルギー疾患対策推進協議会(資料)

なぜ花粉症では眠いのか?

花粉症を含むアレルギー性鼻炎睡眠障害を起こすしくみとしては、下記が考えられます。

  1. 鼻づまりにより、睡眠時の呼吸障害(いびき、無呼吸など)を起こす
  2. 鼻づまり自体が睡眠障害を引き起こす
  3. アレルギー性鼻炎自体が睡眠障害を引き起こす

このうち、1が原因の多くを占めます。アレルギー性鼻炎で鼻づまりがある場合は、鼻づまりがない場合に比較して、中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸になる確率が1.8倍になると報告されています。

寝つきの悪さに関しては、姿勢によって鼻づまりを感じる程度が異なることが、原因と考えます。鼻づまりは、体を起こしている状態より、寝た姿勢で強く感じます。正常成人と睡眠呼吸障害患者ともに、座った姿勢から仰向けに寝ると、60%以上の人で鼻通りが悪化すると報告されています。そのため、就寝時に横になると、鼻づまりが悪化して眠れなくなります。

3に関しては、アレルギー性鼻炎に関連する、ヒスタミンなどの化学伝達物質が睡眠に影響を及ぼすことも報告されています。例えば、ヒスタミンは睡眠や覚醒の調整をする働きもあります。

花粉症の治療に用いる抗ヒスタミン薬の副作用には、眠気がありますが、一部のスギ花粉症患者では、眠気の副作用がある抗ヒスタミン薬を使用した方が、熟眠を得られて、眠気が改善したという報告もあります。

参照:J Allergy Clin Immunol. 1997 Feb;99(2):S757-62. Allergy Asthma Proc. 2006 May-Jun;27(3):240-2. 巾田誠一,他:睡眠時無呼吸症候群における鼻腔抵抗値の体位変化.日鼻科会誌,43:391-395. 2004. 菅原一真,原 浩貴,御厨剛史,他:ベシル酸ベポタスチンのスギ花粉症に対する臨床効果~睡眠に関する検討~.アレルギー免疫.17:136-142,2010.

頭痛

花粉症の患者を対象としたアンケート調査では、スギ花粉飛散ピーク時には3.2%で頭痛の訴えがありました。頭痛のもっとも多い原因は、鼻づまりによる呼吸障害です。その他に、花粉症の時に体内の細胞から放出されるヒスタミンは頭痛を誘発します。

花粉症に慢性副鼻腔炎を合併した場合などは頭痛が起こることもあります。花粉症は鼻粘膜が腫れるため、副鼻腔からの粘液の排泄や、副鼻腔と鼻の空気の交換をしにくくなり、慢性副鼻腔炎を合併しやすくなっています。

花粉症の時期になると毎年、咳を繰り返す場合は、花粉症による咳の可能性があります。気管支喘息や、咳喘息を指摘されたことがない場合でも、花粉症による咳が出ることがあります。スギ花粉症患者では、30-70%に咳の症状があり、のどの痒み、痛み、違和感などの症状を伴うことが報告されています。咳は痰を伴わない乾燥した咳で、のどの違和感があります。

咳を起こす原因としては、下記の2つが考えられます。

  1. 鼻漏(こうびろう)
  2. 気道のアレルギー

順番に説明します。

後鼻漏とは、鼻水が鼻の奥をつたって、のどに垂れることです。のどにたれ込んだ鼻水が気管に入ると、それを出そうと咳をします。後鼻漏による咳の場合、鼻水を抑える治療を行うと、後鼻漏の量を減らすことができ、咳を抑えることができます。具体的には、抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などで治療をします。

次に気道のアレルギーですが、これは花粉によって気道が過敏になった状態です。具体的には喉頭、気管、気管支までの間が、炎症を起こしたり、咳を起こしやすくなるものです。喉がかゆくなるのも同じ原理です。こちらの場合は、抗ヒスタミン薬や、吸入ステロイド薬で治療をします。

発熱・熱っぽい

花粉症のみで高熱を出すことはありません。花粉症がつらい時は、だるさを感じたり、熱っぽさを感じたりするかもしれません。鼻づまりによる頭痛や、十分に睡眠が摂れていないことで、だるさや熱っぽさを感じていると考えられます。

3. 花粉症と風邪の症状の違いは?

花粉症も風邪も、鼻の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがある点で、とてもよく似ています。

花粉症では目のかゆみと、外出した後に症状が出ること、毎年同じ時期に症状が出ることが特徴的です。一方、風邪は、鼻の症状の他に、熱やのどの痛み、頭痛などが出ます。

のどの痛みや違和感、頭痛などは花粉症の症状でも出るため、分かりにくいこともあります。

鼻水は花粉症ではサラサラした水のような鼻水が多く、風邪では、もう少し粘り気のものが多いです。しかし、風邪も初期では、サラサラした水のような鼻水のことも多く、区別がつかないこともあります。

診察では、鼻の粘膜は風邪も花粉症も同じように赤く腫れて、水のような鼻水が出ているため、区別がつきにくいです。

目のかゆみがない花粉症や、熱のない風邪を区別することはとても難しいです。本当に区別するには、鼻水の中の好酸球という細胞を調べたり(鼻汁好酸球検査)、皮内テストや血液検査で血清特異的IgE抗体検査などを行います。

4. 花粉でつらい時はどうすればいい?

鼻づまりがつらい時

鼻づまりがつらいと、仕事や勉強に集中できず、夜間の睡眠も妨げられます。鼻づまりが強い時は、血管収縮薬の点鼻薬や、内服のステロイドを考慮します。その他に、薬を使用しない方法として、蒸しタオルで温めるなどの方法があります。

鼻づまりが酷くて生活に支障がでている時は、使用してすぐ効果のでる血管収縮作用を持つ点鼻薬の使用を検討します。血管収縮作用のある点鼻薬は、ナファゾリン硝酸塩、トラマゾリン塩酸塩などがあります。小児では、2歳未満で原則禁忌で、6歳以下でも通常生理食塩水で倍量に薄めて使用します。この薬を連用すると薬の効果が弱まり、最終的には薬剤性鼻炎になるため1日3-4回、7-10日間の使用のみにします。薬剤性鼻炎になると、鼻の粘膜が常に腫れている状態となり、薬を使用しても鼻づまりが改善しません。

最重症の花粉症の場合は、ステロイドの内服薬を4-7日間程度使用することがあります。ステロイドは強力に免疫を抑えることができるため、免疫の過剰反応であるアレルギーも抑えることが可能です。しかし、その反面、副作用も強いです。内服のステロイドは、花粉症の治療には多くの場合で効果が強すぎると考えられ、長期間の内服はすすめられません。使用する場合はごく短期間にとどめます。

ステロイドの注射薬であるデポステロイド(ケナコルト®️)の筋肉注射は保険適応がありますが、副作用もあるため使用する場合は、注意が必要です。

朝起きた時の鼻づまりが辛い時は、鼻の周囲を蒸しタオルで30秒間温めると効果的です。鼻水や鼻づまりは自律神経のうち、副交感神経の作用で現れます。蒸しタオルで温めると、副交感神経の作用が穏やかになり、鼻づまりと鼻水を改善させる効果があります。暗算や短距離ダッシュ、冷水シャワーなどの肉体的精神的負荷をかけることも副交感神経機能を弱くさせて効果的です。

花粉症の治療では、症状が悪化する前から治療すること(初期療法)が有用とされています。以前は、花粉が飛散する1−2週間前程度からの抗ヒスタミン薬の内服が有効とされていましたが、最近の研究では、症状が少しでも出た時点で、内服を開始することで、重症化を防ぐことができるとされています。症状が重症化する前に、少しでも鼻や目のかゆみなどを感じた時点で、治療を開始しましょう。

目のかゆみがつらい時

花粉症で目のかゆみに対しては、抗ヒスタミン薬などの点眼薬を使います。花粉の飛散量が増えると症状が治まらないことがあり、この場合はステロイド点眼薬を追加します。とても効果がありますが、副作用として眼圧が高くなることがあります。2週間以上、ステロイド点眼を使用する場合は、眼科に通院して眼圧を確認してもらいましょう。眼圧が高くなると緑内障などで、視野が狭まることがあります。眼圧が上がった場合でも、点眼の回数を減らしたり、中止すれば眼圧は戻ります。

その他に、薬に頼らない方法として、目の洗浄があります。目についた花粉を洗い流す方法です。

市販されているカップ式の洗浄器具を使用する目の洗浄薬は、あまり勧められません。目を洗った際に、目周囲の皮膚の汚れや皮膚に付着した花粉を目の表面に接触させたり、防腐剤によって目の表面の細胞をいためる可能性があるためです。

目の表面を洗うには、防腐剤の入っていない人工涙液を使用して、水分と一緒に花粉などの汚れを洗い出しましょう。防腐剤の入っていない人工涙液は1日何回でも点眼に使用できます。防腐剤の入っていない使い切りタイプの人工涙液は、数種類市販されています。1回ずつ使い切って、目を洗い流しましょう。目のまわりにあふれた水分を、そのままにすると、目の周りがただれることがありますので、あふれた水分は拭きましょう。目の周りの花粉は、洗顔を行うことで除去できます。