2016.02.29 | コラム

アレグラ、アレロック、アレジオンなど花粉症の治療薬を解説

抗ヒスタミン薬などについて
アレグラ、アレロック、アレジオンなど花粉症の治療薬を解説の写真
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この記事のポイント

1.花粉症がおこる仕組みと治療薬に関して
2.花粉症に使う治療薬① フェキソフェナジン塩酸塩(主な商品名:アレグラ)
3.花粉症に使う治療薬② オロパタジン塩酸塩(主な商品名:アレロック)
4.花粉症に使う治療薬③ エピナスチン塩酸塩(主な商品名:アレジオン)
5.花粉症に使う治療薬④ ケトチフェンフマル酸塩(主な商品名:ザジテン)
6.花粉症に使う治療薬⑤ クロルフェニラミンマレイン酸塩(主な商品名:ポララミン)
7.喘息の治療薬としても使われるロイコトリエン拮抗薬
8.その他の治療

スギ以外にもヒノキ、ブタクサなど花粉症の原因となる花粉は様々で、多くの人の悩みの種となっています。ここでは花粉症の症状に効果が期待できる治療薬に関して解説します。

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉に対して体があらわすアレルギー反応で、主にアレルギー性の鼻炎や結膜炎などがおこります。症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の充血、喉の痒み、皮膚の痒みなどがあらわれます。これらの症状は花粉などのアレルギー反応の原因となる物質に対して体内でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出されることなどにより引き起こされます。

花粉症の治療薬としては、体内物質であるヒスタミンの作用を阻害する抗ヒスタミン薬、ロイコトリエンの作用を阻害するロイコトリエン受容体拮抗薬などの薬剤が使われます。特に抗ヒスタミン薬は治療の中心的な薬剤となっていて、医療用医薬品だけでなくOTC医薬品(市販薬)で使われている薬剤もあります。

抗ヒスタミン薬は多くのアレルギー性症状に効果をあらわし、花粉症などのアレルギー性鼻炎以外にも気管支喘息蕁麻疹皮膚炎皮膚掻痒症などで使われています。有効的な作用をあらわす一方で、抗ヒスタミン薬は中枢抑制作用や抗コリン作用(体内物質のアセチルコリンを阻害する作用)をもっています。これらの作用により眠気、喉の渇き、尿閉、便秘、眼圧上昇などの症状があらわれる場合があり、これらが抗ヒスタミン薬で主に注意すべき副作用となっています。

現在では従来の薬剤に比べて抗コリン作用などを軽減した第2世代の抗ヒスタミン薬が臨床で広く使われています。

 

医療用医薬品、OTC医薬品(市販薬)共に、主に「アレグラ®」の商品名で使われている薬です。一般的に第2世代の抗ヒスタミン薬に分類されます。

一番の特徴は抗ヒスタミン薬の代表的な副作用ともいえる「眠気」が、一般的にあらわれにくいとされている点です。実際に医療用医薬品のフェキソフェナジン塩酸塩は高所作業者などにおいても服用できる薬剤の1つとなっています。もちろん眠気などが全くないわけではなく注意は必要です。通常、眠気などの副作用を軽減すると主となる抗ヒスタミン作用の効果が弱まることもあるのですが、フェキソフェナジンはアレルギー性症状の改善効果をある程度確保したまま、副作用を軽減させた薬剤であるとされています。

フェキソフェナジン塩酸塩はOTC医薬品として「アレグラ®FX」の名称で販売されていて、セルフメディケーション(自分自身で健康の維持・増進、病気の予防・治療にあたること)の一翼も担っています。

 

花粉症では鼻水などの症状の他、鼻づまり(鼻閉)などが生じる場合があります。中等度以上の鼻づまりなどには抗ヒスタミン薬だけでは効果が不十分であることもあり、そのような症状に使う薬として医療用医薬品ではフェキソフェナジン塩酸塩に交感神経に作用する塩酸プソイドエフェドリンを加えた配合製剤(ディレグラ®配合錠)があります。

塩酸プソイドエフェドリンには鼻粘膜の血管を収縮させ鼻粘膜の充血や腫れなどを軽減する作用が期待でき、これによりディレグラ®配合錠はより症状が重い花粉症などのアレルギー性鼻炎に治療効果が期待できる製剤となっています。

 

一般的に第2世代の抗ヒスタミン薬に分類され、花粉症などのアレルギー性疾患へ高い効果が期待できる薬剤です。医療用医薬品としての主な商品名である「アレロック®」の名前は「アレルギー症状のブロック」に由来します。

オロパタジン塩酸塩は花粉症などのアレルギー性鼻炎の他、蕁麻疹皮膚炎皮膚掻痒症などに使われます。また(主に成人における)尋常性乾癬多形滲出性紅斑といった皮膚疾患に伴う痒みなどにも効果が期待できる薬剤となっています。ヒスタミンへの作用の他、ロイコトリエンへの作用、炎症などに関わる体内物質インターロイキンへの(主に、IL-6及びIL-8の分泌を抑制する)作用などが確認されています。

一方で抗ヒスタミン薬の代表的な副作用である眠気に関しては注意が必要で、薬剤の添付文書には「本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」との記載があります。もちろん眠気などの副作用の発現は服用する人の体質や薬剤の服用量などにもよって変化しますが十分注意する必要があります。

オロパタジン塩酸塩は内服薬(錠剤、OD錠、顆粒剤など)の他、点眼薬(製剤名:パタノール®点眼液0.1%)もあり臨床で使われています。

 

医療用医薬品、OTC医薬品(市販薬)共に、主に「アレジオン®」などの商品名で使われている薬です。一般的に第2世代の抗ヒスタミン薬に分類されます。

医療用医薬品としては錠剤(10mg錠、20mg錠)、散剤(ドライシロップ剤)、点眼薬などがあります。OTC医薬品(市販薬)においては最初は10mg錠(「アレジオン®10」や「アレジラスト®10」 など)のみ発売されていましたが、2015年12月に20mgの規格(「アレジオン®20」)が発売され、有用性などがより広がった薬剤となっています。

内服薬における特徴として、通常「1日1回」の服用で効果が1日中続く薬剤ということです。

一般的には「寝る前」など夜の時間帯に服用(症状や治療方針などにより「朝食後」などに服用する場合もあります)して日中も薬の効果が持続します。また比較的、眠気や喉の渇きなどもあらわれにくい薬剤とされています。

医療用としてのエピナスチン塩酸塩は花粉症などのアレルギー性鼻炎の他、蕁麻疹皮膚炎皮膚掻痒症尋常性乾癬気管支喘息などの治療に使う場合もあります。

 

医療用医薬品、OTC医薬品(市販薬)共に、主に「ザジテン®」などの商品名で使われている薬剤です。一般的に第2世代の抗ヒスタミン薬に分類されます。

医療用医薬品としては花粉症などのアレルギー性鼻炎の他、喘息蕁麻疹皮膚炎皮膚掻痒症などの治療薬として使われています。

内服薬としてはカプセル剤の他、散剤(ドライシロップ剤)、シロップ剤があり、外用薬として点眼薬や点鼻薬もあります。ケトチフェンフマル酸塩は「観察を十分に行い慎重に投与する」という条件の下ですが、乳児に対しても使用できる薬剤となっています。一方で一般的な抗ヒスタミン薬に比べて脳内への薬剤移行性があるとされ、頻度は非常に稀ですが、痙攣の閾値を下げる(通常の状態より痙攣しやすくなる)可能性があります。そのため、てんかん基礎疾患としてもつ患者へは原則禁忌となっています。

ケトチフェンフマル酸塩はOTC医薬品でも色々な製剤の主成分として使用されていて、「ザジテン®ALシリーズ」などには剤形にカプセル剤、スプレー剤(点鼻薬)、点眼薬があり用途や症状に合わせた購入が可能となっています。OTC医薬品においても注意事項は同様で、内服薬の「ザジテン®AL鼻炎カプセル」などの使用上の注意における[次の人は服用しないで下さい]の欄には「てんかん又はけいれん発作を起こしたことがある人」の記載がされています。

 

医療用としては主に「ポララミン®」の名前として使われている薬剤です。一般的には第1世代の抗ヒスタミン薬に分類されます。

第1世代というと第2世代に比べて以前に開発された薬剤なので若干古い(?)薬というイメージが湧くかもしれません。しかし本剤の臨床における有用性は高く、多くの製剤の有効成分の一つとなっています。

クロルフェニラミンマレイン酸塩の有用性が高い理由の一つに安全性の高さが挙げられます。特に医療用医薬品のポララミン®では妊婦への投与が可能となっています。抗ヒスタミン薬は一般的に妊婦への投与に関する安全性は確立されていなく、薬剤によっては「禁忌(使用してはならない)」とされていますが、ポララミン®は妊婦への使用経験が多く催奇形性の報告もないため比較的安全に使用できるとされています(もちろん、使用にあたっては医師の診察を経て、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方され、適切に使用する必要があります)。

クロルフェニラミンマレイン酸塩はOTC医薬品(市販薬)としても多くの製剤の成分として使われていてその代表が「コンタック®シリーズ」です。鼻炎用のカプセル(「コンタック®600プラス」など)や総合感冒薬(「コンタック®総合かぜ薬昼・夜タイプ」など)の有効成分の一つとして使われています。(但し「コンタック®」の名称でもクロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれていない製剤もあります。例:「コンタック600ファースト®」、「コンタック®咳止めST」など)

またクロルフェニラミンマレイン酸塩の特徴として、他の有効成分と合わせた製剤となっていることも多く、医療用医薬品であれば副腎皮質ホルモンとの配合製剤(製剤例:セレスタミン®配合錠)、OTC医薬品であれば塩酸プソイドエフェドリンなどとの配合製剤(製剤例:「コンタック®600プラス」)があり臨床で広く使われている抗ヒスタミン薬の一つとなっています。

 

花粉症などのアレルギー性鼻炎の治療薬としては、これまで紹介してきたように抗ヒスタミン薬が中心となっていますが、その他にも効果が期待できる薬剤はいくつかあります。その中でも気管支喘息などの治療薬であるロイコトリエン受容体拮抗薬は高い有効性が期待できる薬剤となっています。

ロイコトリエン受容体拮抗薬は医療用としてモンテルカストナトリウム(商品名:キプレス®シングレア®)、プランルカスト水和物(主な商品名:オノン®)が主に使用されています。ロイコトリエンは気管支の収縮や炎症を引き起こす因子となる体内物質です。モンテルカストやプランルカストはこのロイコトリエンの働きを阻害することにより、気管支拡張作用や抗炎症作用などをあらわし、気管支喘息の治療薬として高い有効性が期待できる薬剤です。

またロイコトリエンはアレルギー症状の誘発因子ともなるため、ロイコトリエン受容体拮抗薬はアレルギー性鼻炎の改善効果も期待できるのです。鼻づまりなどに関係する鼻腔通気抵抗の上昇を抑える作用や鼻粘膜の浮腫を抑制する作用などによりアレルギー性鼻炎に対して効果をあらわすとされています。

 

その他の治療

ここで紹介してきた薬剤の他、花粉症の治療薬としてはクロモグリク酸ナトリウム(主な商品名:インタール®)などのアレルギー症状を引き起こす化学物質(ケミカルメディエーター)の遊離抑制薬、免疫の中心的な役割を担うリンパ球のヘルパーT細胞に作用することでアレルギー症状を抑えるTh2サイトカイン阻害薬のスプラタストトシル酸塩(主な商品名:アイピーディ®)、鼻噴霧用のステロイド外用剤なども花粉症に効果が期待できる薬剤です。

また薬剤による対症療法以外にも花粉から抽出したエキスの濃度を徐々に上げ慣れさせる免疫療法(減感作療法)など選択肢も広がってきています。各々の体質や生活習慣などに適する薬剤や治療法の選択が大切です。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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