[医師監修・作成]睡眠障害の悩み:日常生活の工夫・治らない場合にはどうすればいいのか? | MEDLEY(メドレー)
すいみんしょうがい
睡眠障害
睡眠に何らかの問題がある状態。寝付くことができない、途中で目が覚める、熟眠感がない、など様々なパターンがある
9人の医師がチェック 199回の改訂 最終更新: 2021.10.28

睡眠障害の悩み:日常生活の工夫・治らない場合にはどうすればいいのか?

睡眠障害は日常の過ごし方と関係しているので、日常生活の工夫がポイントになります。薬物治療でなかなか睡眠障害が良くならない場合には日常を上手に過ごすことが大切です。

1. 睡眠障害の日常生活の工夫

睡眠障害に対しては睡眠薬などによる治療は有効ですが、日常生活の工夫も大切です。「生活習慣の工夫」、「環境面での工夫」、「眠る前の工夫」の3つに分けて説明します。

生活習慣の工夫

生活習慣は睡眠障害に深く関係しています。このため、生活習慣を改善するだけで睡眠障害がよくなることも珍しいことではありません。次のことに気をつけてみてください。

■起床時間を一定にする

人間には体内時計が備わっていて、定期的な睡眠をとるように身体ができています。決まった時間に寝て決まった時間に起きるようにすれば一定のリズムを保つことができますが、毎日同じ時間で行動するのは簡単ではありません。

日中の生活時間が不規則な人はまずは起床時間を一定にすると良いかもしれません。就寝時間に関わらず起床時間はなるべく同じ時間にすることで、長い目で見れば睡眠時間が大きく乱れることが少なくなります。

特に休日の起床時間には気をつけなければなりません。寝だめという言葉があるように、仕事や学校がないとついつい起床時間が遅れがちになりますが、起床時間の遅れはその夜に眠れなくなる原因となります。夜に良い睡眠をとるためにも休日も平日と同じ時間に起床するよう意識してください。

■昼寝をしないまたは短時間で切り上げる

日中に強い眠気を感じるため昼寝をする人がいます。確かに昼寝を上手くとりいれることでその後の作業効率などを上がることがあります。しかし、昼寝を長時間するとその夜に眠れなくなる原因になるので、昼寝をしすぎないように注意してください。

■適度な運動を行う

運動などで身体を動かした日の夜に深い眠りについた経験は多くの人が持っていると思います。運動による疲れは夜の睡眠に良い影響を及ぼします。もちろん過度の運動は体に負担をかけてしまうので、心地よい疲労感を感じる程度の運動が望ましいです。

運動は睡眠によい影響を及ぼすのですが、できれば日中行うようにしてください。就寝前に運動をするとその影響で眠れなくなることがあります。

■寝る前にテレビやパソコン、携帯電話の使用を控える

テレビやパソコン、携帯電話などから発せられる光の刺激で眠れなくなることがあります。このため、就寝前にはこれらの機器の使用を控えるようにしてください。

眠れない時の暇つぶしとしてテレビや携帯電話などを見がちです。しかし、就寝前にモニターや画面を見ると、ますます眠れなくなることがあるので注意が必要です。

環境面での工夫

睡眠障害を解消するには環境面にも工夫が必要です。環境面の中でも特にポイントとなる「自分にあった寝具」「寝室の明るさ」について説明します。

■自分にあった寝具

寝具が自分に合っていないと、寝付きが悪くなったり、睡眠の途中で目が醒めたりする原因になります。快適な睡眠を行うためには、自分にあった寝具を選ばなければなりません。例えば、マットレスが硬いと感じる場合には少し柔らかいものを選んで使うだけでも睡眠の質が良くなることもあります。

■寝室の明るさ

個人差はありますが、寝室はできるだけ日光などの光が入らないようにしておいた方が睡眠にはよいです。部屋が明るいと身体が覚醒しようとして、睡眠の妨げになります。

例えば、周りに建物が多くて夜でも照明の光が部屋に入ってくる場合には、遮光性の高いカーテンを使うことが有効です。また、照明をつけたまま寝ているのであれば照明を消して就寝してみることなども試してみてください。

眠る前の工夫

良い睡眠をとるために寝る前にするべき工夫があります。就寝前に「リラックスする時間をもうける」ことと「寝る前のアルコール・カフェインを控える」ことの2点を例に挙げて説明します。

■リラックスする時間をもうける

人はリラックスした状態で深く眠ることができます。そのため、睡眠の前にリラックスした状態になっていると良い睡眠が得られやすいのですが、リラックスするにはコツが要ります。また、睡眠障害の人は睡眠に対して不安をもっていることも多く、なかなかリラックスできない人も多いです。

睡眠前にリラックスするためには、テレビやパソコン、携帯電話など刺激になるもの見ずに、読書や単純な作業を行うとより効果が発揮されてリラックスできる場合があります。自分の好みの音楽を聞くことも良いかもしれません。

■寝る前のアルコール・カフェインを控える

アルコールは意識をぼんやりさせるので眠りやすくなります。このため、就寝前にアルコールを飲むこと(寝酒)が習慣化していることがあります。

しかし、実は寝る前にアルコールを摂取すると逆効果であることがほとんどです。就寝前の飲酒によって眠りが浅くなるため、睡眠中や朝早くに目が覚めてしまう原因になります。寝る前にアルコールを飲む習慣がある人は寝酒を避けるようにしてください。

また、カフェインには覚醒作用があり睡眠障害の原因になります。カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶、コーラなどは就寝前に飲まないようにするべきです。就寝時間が一定でない場合、夕方以降に摂らないように気をつけると確実です。

2. 治らない睡眠障害にはどうすればいいのか?

治療をしてもなかなか治らない睡眠障害もあります。治らない睡眠障害に困っている人が確認するべきものは次の2つです。

  • 生活習慣について
  • 持病や常用薬について

これらの対策についてもう少し詳しく説明します。

生活習慣に改善するところはないか?を確認する

睡眠薬などによる治療を開始してもなかなか睡眠障害がよくならないことがあります。原因の1つとして生活習慣が関与していることが考えられます。生活習慣に原因がある場合は、それを改善しなければ睡眠障害はよくはなりません。

睡眠に悪影響を及ぼす生活習慣には次のものがあります。

  • 就寝前の飲酒
  • 就寝前のカフェインの摂取:お茶、コーヒー、栄養ドリンク(エナジードリンク)
  • 長時間の昼寝
  • 不規則な就寝時間

通院をしてきちんと薬も飲んでいるのになかなか睡眠障害がよくならない場合、生活習慣に問題がないかを確認するようにしてください。これらの詳しい内容はこのページの「睡眠障害の日常生活の工夫」で説明しているので参考にして改善に役立ててください。

持病や内服薬をお医者さんに十分に伝えられているか?を確認する

睡眠障害を起こす病気(持病や過去に治療した病気)や薬は多くあります(睡眠障害の原因になる病気や薬は「睡眠障害の原因」を参考)。病気や薬など原因がはっきりしている場合、治療や薬の調整などでよくなることが期待できます。

しかし、病気(持病や過去に治療した病気)や服用中の薬をお医者さんに正確に伝えなければなにが原因となっているかを判断してもらえません。一方で、病気(持病や過去に治療した病気)や服用中の薬の数が多いと、医療関係者に正確に伝えるのが難しくなります。上手に伝えるためのポイントについて説明します。

■病気(持病や過去に治療した病気)の伝え方

持病や過去に治療した病気を伝える際には次の場面ごとに思い浮かべるとよいです。

  • 通院して治療している病気もしくは過去に通院して治療した病気
  • 入院した経験
  • 手術した経験

この3つを中心に思い起こすともれなく自分の病気について伝えることができます。お医者さんに病気を伝える場合には「この病気は関係がなさそうだから伝えなくてもよい」といった自分の中で取捨選択はしないほうが良いです。思いもかけない病気が原因になって睡眠障害が起きていることも十分にありえます。

また、病名は聞いていないけれど気になる症状がある場合には、それも伝えるようにしてください。思わぬ病気が隠れていて睡眠障害の原因になっていることもあるからです。

かかりつけの医療機関以外に受診する場合は、かかりつけのお医者さんに紹介状(「診療情報提供書」)をつくってもらうとよいです。紹介状には今までの治療経過や内容などが記載されているので、上手く利用することで医療機関を変わってもスムーズな診療を受けることができます。

■服用中の薬の伝え方

たくさんの薬を飲んでいると、それぞれの薬の種類をすべて覚えておくのは簡単ではなくなります。服用中の薬を上手に伝える方法として「お薬手帳」を活用するとよいです。お薬手帳には「薬の種類」や「薬の開始時期」などが記されているので、これをみせることでもらさずに服用している薬の詳しい情報を医療者に伝えることができます。

お薬手帳は便利で有効なものですが、医療機関から処方される薬だけしか記載されていません。自分で購入したサプリメントや市販薬がある場合には、お薬手帳とは別で伝える必要があります。サプリメントや市販薬が睡眠障害の原因になることもあるのでこれらについてもしっかりと伝えるようにして下さい。

参考文献
・日本睡眠学会認定委員会睡眠障害診療ガイド・ワーキンググループ/編, 睡眠障害診療ガイド, 文光堂, 2011
・小川朝生, 谷口充孝/編, 内科医のための不眠診療はじめの一歩, 羊土社, 2013
・日本睡眠学会/編, ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン, 2010