しぇーぐれんしょうこうぐん
シェーグレン症候群
涙や唾液の分泌量が減って、ドライアイやドライマウスの症状が出る病気。自己免疫性疾患の一種
12人の医師がチェック 121回の改訂 最終更新: 2019.03.05

シェーグレン症候群の症状は?

シェーグレン症候群とは免疫の異常により涙腺や唾液腺が攻撃され、ドライアイ(目の乾き)やドライマウス(口の乾き)の症状があらわれる病気です。ドライアイドライマウスなどの涙腺や唾液腺の障害によって起こる症状を腺症状と呼びます。一方、シェーグレン症候群では涙腺や唾液腺だけでなく、身体の他の部位に障害が及ぶことがあります。その結果、関節の痛み、息苦しさ、赤い発疹が出る、発熱、倦怠感リンパ節が腫れるといった症状があらわれます。この涙腺や唾液腺以外に現れる症状を腺外症状と呼びます。ここではこれらシェーグレン症候群の症状に関して説明していきます。

目次

1. ドライマウス(口の乾き)はシェーグレン症候群の症状?

ドライマウスはシェーグレン症候群の代表的な症状です。ドライマウスは唾液が口の中に出なくなることで起こります。唾液は口の中で保湿をしているだけでなく、口の中の動きをなめらかにしたり、口の中をまもったりさまざまな役割を担っています。そのため、ドライマウスになると、単に口の中が乾燥するだけでなく、さまざまな症状が自覚されます。

具体的には、以下のような症状です。

  • 舌と口の中がくっついてしゃべりにくい
  • 食事の味が分からない
  • 口、のどがやたらと渇く

このような症状がある場合は、シェーグレン症候群が原因となっているかもしれません。シェーグレン症候群の可能性がないか、医療機関で相談することをお勧めします。

2. ドライアイ(目の乾き)はシェーグレン症候群の症状?

ドライアイは涙が出なくなるとで起こる目の症状で、シェーグレン症候群の代表的な症状です。涙は目が傷ついたり、ウイルス細菌が増殖するのを防ぐ作用があるので、ドライアイになって涙が少なくなると以下のような症状があらわれることがあります。

  • 目がごろつく、かすむ
  • 目が疲れる
  • 目が痛い、充血する
  • 目がかゆい、目やにが出る
  • 涙が出ない

これらの症状もシェーグレン症候群が原因の可能性があるので、医療機関で相談することをお勧めします。

3. 咳はシェーグレン症候群の症状?

咳はシェーグレン症候群の症状の一つです。これは免疫の異常により涙腺や唾液腺だけでなく、肺も攻撃されることがあるためです。中でもシェーグレン症候群の咳の重要な原因に間質性肺炎があります。

間質性肺炎はシェーグレン症候群の方で10-15%程度の方に起こる肺の障害です。肺の間質という場所に炎症が起こることをいいます。間質は肺の毛細血管が通っている場所であり、血管の中を流れている免疫細胞が肺を攻撃するため、間質に炎症が起こりやすくなります。

間質性肺炎は進行すると息切れや息苦しさの原因となります。また最悪の場合、命に関わる危険性があります。シェーグレン症候群は多くの人はドライアイドライマウスのみで、命に関わることはほとんどありません。しかし、シェーグレン症候群の中で間質性肺炎合併している場合には命に関わるものもあるため、間質性肺炎を合併していないか調べることは非常に重要です。

4. 疲労はシェーグレン症候群の症状?

シェーグレン症候群では疲労感がよくあらわれる症状の一つです。シェーグレン症候群ではドライアイドライマウスにより日常生活の負担が増えたり、異常な免疫により身体が攻撃されることが疲労感の増加と関連していると考えられています。

5. 関節の痛みはシェーグレン症候群の症状?

関節の痛みはシェーグレン症候群でしばしばあらわれます。

関節の痛みもドライアイドライマウスと並んで生活の質を下げる原因になります。シェーグレン症候群の関節の痛みはNSAIDsなどの鎮痛薬で経過を見られることが多いですが、重症な場合はステロイド薬や免疫抑制薬の使用が検討されることもあります。関節の痛みでお困りの場合は担当の医師と相談するようにしてください。

6. シェーグレン症候群ではレイノー現象が起こることがある?

レイノー現象とは寒さや精神的な緊張により手や足の指の血流が悪くなることで真っ白や青紫に変色することをいいます。シェーグレン症候群では3人に1人がレイノー現象を自覚するとされています。

7. シェーグレン症候群の皮膚の症状は?

シェーグレン症候群で皮膚に丸い形をした淡い赤い発疹があらわれることがあり、その見かけから環状紅斑と呼ばれます。環状紅斑はシェーグレン症候群のうち約10%の人に現れます。よくあらわれる場所は顔ですが、他にも首、腕、足などにもあらわれることがあります。

8. シェーグレン症候群は遺伝する?

シェーグレン症候群は、家族内にシェーグレン症候群の人がいると、発症するリスクが上がることが分かっており、遺伝的な要因が絡んでいると考えられています。ただし、血のつながっている家族にシェーグレン症候群の人がいる場合を例にとると発症する確率は2%とも言われており、あまり確率が高くないこともわかっています。

9. シェーグレン症候群はうつる?

シェーグレン症候群はうつる病気ではありません。シェーグレン症候群の人に接しても、うつることはないので安心してください。

10. 甲状腺の病気とシェーグレン病は同時に起こる?

シェーグレン症候群は首にある甲状腺という臓器の病気を合併することがあり、その病気は橋本病といいます。橋本病はシェーグレン症候群と同じく、異常な免疫により引き起こされる病気です。では橋本病とはどのような病気なのでしょうか。

橋本病

橋本病は甲状腺が免疫により攻撃されて、破壊される病気です。慢性的に攻撃され、甲状腺に炎症が起こるため、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。橋本病は九州大学の橋本策先生が1910年頃に初めて報告しました。

甲状腺は体を活発にする甲状腺ホルモンを作る場所です。橋本病では甲状腺が壊されることで、甲状腺ホルモンが作れなくなっています。

橋本病では以下のような症状があらわれます。

  • 甲状腺が腫れる
  • だるい、疲れやすい
  • 体温が低くなった
  • 便秘になる
  • 脈拍が遅くなった
  • 体重が増えやすくなった

橋本病は甲状腺ホルモンを薬として体の中に補うことで症状を改善することができます。シェーグレン症候群の方で橋本病であらわれる症状があって心配な人は主治医と相談をしてみてください。

11. リウマチとシェーグレン症候群は同時に起こる?

関節リウマチとシェーグレン症候群は合併することがしばしばあります。関節リウマチの人の20%にシェーグレン症候群は合併するとされます。関節リウマチは関節の痛みや腫れ、持続することで関節の変形が起こる病気であり、しっかり診断・治療を行うことが重要な病気です。シェーグレン症候群の方で関節の痛みや腫れの症状がある場合には、担当の医師と相談するようにしてください。

12. シェーグレン症候群ではがんの頻度が多い?

シェーグレン症候群の悪性リンパ腫の頻度は一般の人より高いことが知られています。2006年の報告では一般の人より16倍高いという結果でした。ただし、もともと一般人口の悪性リンパ腫の頻度は低いので、16倍といってもシェーグレン症候群の人の多くの方は悪性リンパ腫を発症しません。先ほどの2006年の報告では、シェーグレン症候群の方に約7年間で起こったがんの発生数を調べていますが、その間に悪性リンパ腫を発症した人はシェーグレン症候群の方のうち3.8%程度であるとされています。

出典:Ann Rheum Dis. 2006 Jun; 65(6): 796–803.

以下では悪性リンパ腫について簡単に説明します。

悪性リンパ腫

シェーグレン症候群は免疫をつかさどるリンパ球という血液細胞の異常により起こりますが、このリンパ球ががんになったものが悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫では以下の症状が現れます。

  • 首周り、脇の下、足の付け根が腫れる
  • 38度を超える熱が続く
  • 体重が減少する
  • 食欲がない

シェーグレン症候群の方でこのような症状が現れた場合には、悪性リンパ腫を発症している可能性がありますので主治医と相談してください。悪性リンパ腫の治療として抗がん剤や放射線照射が行われます。

13. シェーグレン症候群は何科にいけばいい?

シェーグレン症候群は膠原病内科、リウマチ内科が中心となって治療が行われます。このため、シェーグレン症候群が疑わしい場合には。膠原病内科、リウマチ内科を受診するとよいです。また、シェーグレン症候群はドライアイドライマウスといった症状が現れるので、それぞれの症状の専門家である耳鼻科や眼科、歯科口腔外科の医師とも協力して治療をすることがあります。

14.膠原病とは?

ヒトの体はたくさんのタンパク質が組み合わさって構成されています。その中で、皮膚、靭帯(じんたい)、骨、軟骨、血管などを構成する重要なタンパクの一つにコラーゲン(膠原)があります。

膠原病(こうげんびょう)はコラーゲンに異常が起こる病気の総称です。現在、膠原病やその仲間の病気とされているものの例を挙げます。

これらの病気は免疫の異常で起こると考えられています。免疫は本来、細菌などの外敵から自分の体を守ってくれるものですが、免疫に異常が起こると間違えて自分の体を敵だと思って攻撃してしまうのです。またこれらの病気はいずれもコラーゲンの障害の結果、関節や皮膚に症状が出やすいという共通点があります。