ぜんしんせいきょうひしょう

全身性強皮症

皮膚を中心として体のさまざまな臓器が線維化する(弾力性を失って機能が落ちる)病気

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7人の医師がチェック 147回の改訂 最終更新: 2017.05.14

全身性強皮症の基礎知識

全身性強皮症について

  • 皮膚を中心として体のさまざまな臓器が線維化臓器が機能を失ってしまうこと。それに伴って臓器は弾力を失い、本来の細胞が線維細胞と呼ばれる機能をもたない細胞に置き換わってしまうする(弾力性を失って機能が落ちる)病気
  • 免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の異常により起こる自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称の一種と考えられている
  • 日本国内の患者数は2万人以上
    • 男女比は1:10と女性に多い
  • 全身性強皮症は、主に2つに分類される
    • びまん皮膚硬化型全身性強皮症:肘や膝を越えて皮膚硬化が起こる
    • 限局皮膚硬化型全身性強皮症:肘や膝よりも先の部分だけに皮膚硬化が起こる
      クレスト症候群は限局型の一種
    • 限局型からびまん型へ病気が進行することもある

全身性強皮症の症状

  • まずレイノー現象や皮膚変化が生じることが多い
    • その後、どれくらいの期間でどの内臓の症状が起きるかは人によって異なる
  • 主な症状
    • レイノー現象:指のある部分から先が真っ白になる
    • 皮膚症状:指先の腫れぼったさから起こることが多い
    • 爪の症状:爪の甘皮の部分に小さな出血が起き、黒い点のように見える
    • 間質性肺炎、肺線維症:通常はスポンジのように柔らかい肺が固くなり、咳が出たり、十分な酸素の取り込みができなくなって息苦しくなる
    • 消化器症状:食道や腸が食べ物を先に送る運動が障害され、食べ物が胸につかえたり、胸焼けがしたり、しつこい便秘になったりする
  • 稀な症状
    • クリーゼ主に体の働きを調節するホルモンの分泌に異常が起き、ホルモンが多すぎる、または少なすぎることで体が陥る危機的状態のこと。ホルモン以外についても用いられることがある:腎臓にいく血管が障害され、急に血圧が上がる
      急性腎不全や多臓器不全の原因にもなる重篤な病態病気の状態や、その病気の原因・発生機序などを指して用いられる言葉
    • 肺高血圧症:肺に血液を送りにくくなり心臓に負担がかり、息切れなどが起こる
    • 心臓の病気:心筋炎不整脈がおこる。
  • その他の症状として、不整脈・下痢・便秘なども起こることがある

全身性強皮症の検査・診断

  • 血液検査:全身性強皮症に特徴的な自己抗体本来は外敵を倒すための働きをする抗体(免疫物質の一つ)のうち、何らかの異常によって自分自身の臓器や器官に向かってしまうものの有無を調べる
    • どのような抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするが陽性かによって、タイプが異なる
      ・抗セントロメア抗体陽性:限局皮膚硬化型
      ・抗トポイソメラーゼI抗体陽性:間質性肺炎合併ある病気や治療によって、他の病気や病態が引き起こされることしやすい
      ・抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性:腎クリーゼ主に体の働きを調節するホルモンの分泌に異常が起き、ホルモンが多すぎる、または少なすぎることで体が陥る危機的状態のこと。ホルモン以外についても用いられることがある発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしやすい
  • 画像検査
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査(胸部、腹部)検査:肺が固くなる変化が出ていないか、食道や腸が拡張していないかを調べる
    • 呼吸機能検査空気を吸う力と吐く力を測定する検査。スパイロメトリーと呼ばれる機械を使用する:肺活量など、肺の機能が障害されていないか調べる
  • 肺高血圧症が疑われる場合に行う検査
    • 心臓超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査
    • 心臓カテーテル細く長い管(カテーテル)を血管内に入れて、心臓の状態を詳しく調べる検査。心筋梗塞などの病気で行われることが多い検査

全身性強皮症の治療法

  • どの臓器にどの程度の障害が起こっているかによって、治療法が大きく異なる
  • 薬物療法
    • 少量のステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている内服(大量のステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているは腎クリーゼ主に体の働きを調節するホルモンの分泌に異常が起き、ホルモンが多すぎる、または少なすぎることで体が陥る危機的状態のこと。ホルモン以外についても用いられることがあるを誘発するとの報告がある)、免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患抑制薬(シクロホスファミドなど)
      ・異常に働いている免疫を抑える
      間質性肺炎に対してはシクロフォスファミドを使用
    • ACE阻害薬
      ・腎クリーゼによる血圧上昇を改善する。予防的に内服することの意義ははっきり分かっていない。
    • プロトンポンプ阻害薬 (PPI)
      逆流性食道炎がある場合に使われ、胃酸の分泌を抑えて悪化を予防する
    • エンドセリン受容体拮抗薬、プロスタグランジン製剤など
      肺高血圧症に対して使われ、血管を拡張させて病態病気の状態や、その病気の原因・発生機序などを指して用いられる言葉を改善する
  • 長期的な経過
    • 病気が進行するにつれて、皮膚だけでなく内臓(食道など)への障害が出現する
    • 心臓、肺または腎臓の組織に障害が起きた場合、特に腎臓の障害がある場合、余命に影響が出る
    • 軽症だった経過が急速に悪化して、致死的な症状を起こす場合もあるので長期にわたって注意が必要
  • 診断からの10年生存率は65%と報告されている

全身性強皮症の経過と病院探しのポイント

全身性強皮症かなと感じている方

全身性強皮症では、手の色の変化(一時的に真っ白になるレイノー現象)や、皮膚の変化(色や質感の変化)が典型的な症状です。手足の筋力が弱くなったり、全身のだるさ、また、まぶたまぶたのこと。眼球の上下にある皮膚の部分を指し、それぞれを上眼瞼、下眼瞼と呼ぶや手などに皮膚の変化(色や質感の変化)が出現します。

ご自身が全身性強皮症でないかと心配になった時、最初に受診するのは膠原病複数の臓器に炎症がみられる病気の総称。有名なものとしては関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがある科かリウマチ科の病院が適しています。専門の医師はリウマチ専門医になりますが、リウマチ専門医には内科系の医師と整形外科系の医師がいるため区別が必要です(両者を認定しているのは同じ学会です)。その医師が内科に所属しているのか、整形外科に所属しているのかが分かれば判断がつくかと思いますが、全身性強皮症を診療するのは内科系のリウマチ専門医になります。

全身性強皮症の診断は問診医師が、ある症状や病気についての経過を聞き、質問を繰り返すことと診察、血液検査、そして胸部レントゲン X線(放射線)によって撮影する画像検査の一種で、心臓や肺、骨などの状態を調べるために行われるCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査で行います。血液検査は一般内科では測定しない特殊な項目も確認しますので、内科のクリニックを受診してその日のうちに診断がつく、というような病気ではありません。既に病気が進行して症状がはっきりとした全身性強皮症でない限り、専門の医師でないと診断をつけることは難しいかもしれません。

特殊な医療機関としては、リウマチセンターを開設している病院もあります。これらの医療機関では、全身性強皮症を専門とする医師やその他スタッフが多く、重症度が高かったり、他の病気と似ていて診断の確定に難渋しているような方に適しています。なお、俗に「リウマチ」とだけ言うと医学的には関節リウマチを指すことが多いですが、「リウマチ系疾患」、「リウマチセンター」というような場合については、関節リウマチに限らず、その他の関節や全身の痛みを伴う疾患(膠原病疾患と重なります)をまとめて指します。全身性強皮症もこの中に含まれる疾患の一つです。

もしかかりつけの内科医師がすでにいるようであれば、いずれの場合でもそこから診療情報提供書前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。俗に「紹介状」と呼ばれているものを指す紹介状前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。正式名称は「診療情報提供書」)をもらった上でより専門的な病院を受診することをお勧めします。全身性強皮症を診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。

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全身性強皮症でお困りの方

全身性強皮症は自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称といって、免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患細胞(白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担う)が不適切に活動してしまうことが原因の病気です。したがって治療は、免疫細胞の働きを抑えるような内服薬飲み薬のことになります。また、肺や食道などに病気が進展してきた場合にはそれぞれについての対症療法病気による症状自体を抑えるための治療。病気の根本の原因を治す治療(根本治療)と区別されるを行います。

患者さんによって効果的な薬が異なること、同じ薬でもどの程度の量で効果があるかが異なることから、通院しながら少しずつ薬を調整して、その人に合った処方を探します。多くの方にとって、治療のために必ず入院しなければならないというような病気ではありませんが、完治が簡単に望める病気でもないため(症状が取れたり、薬の内服が必要なくなったりすることはあります)、継続的に通院を続ける必要があります。

全身性強皮症で入院が必要となるのは、最初の診断確定の検査に必要な場合、そして全身性強皮症で生じやすい間質性肺炎肺高血圧症の治療を行う場合です。

膠原病複数の臓器に炎症がみられる病気の総称。有名なものとしては関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがあるは専門性の高い分野ですので、膠原病科(あるいはリウマチ科)の医師の中でも、専門とする分野が分かれていることが多いです。全身性強皮症のような自己抗体本来は外敵を倒すための働きをする抗体(免疫物質の一つ)のうち、何らかの異常によって自分自身の臓器や器官に向かってしまうもの関連疾患(関節リウマチ全身性エリテマトーデスなど)を中心で診ている人もいれば、脊椎背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれる関節炎(強直性脊椎炎など)や血管炎(顕微鏡的多発血管炎など)などを専門に見ている人もいます。小さな病院では膠原病が専門の医師がそもそもおらず、診療が難しい場合もあるでしょう。膠原病科のある総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないであれば、それぞれの分野の専門家がいるでしょうから、適切な医師が担当となったり、院内で連携相談しながら治療に当たってくれることが多いです。他の科の病気と比べると、適切に診療できる経験をもった医師が少ないのが膠原病でもありますが、長く付き合っていく病気であるため、信頼できる主治医を見つけることが大切です。

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