しぇーぐれんしょうこうぐん
シェーグレン症候群
涙や唾液の分泌量が減って、ドライアイやドライマウスの症状が出る病気。自己免疫性疾患の一種
12人の医師がチェック 121回の改訂 最終更新: 2019.03.05

シェーグレン症候群とは?病気のしくみ、関連する病気、医療費助成など

シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺(涙や唾液が出る場所)が壊され、ドライアイドライマウスのなどの症状があらわれる病気です。芸能人の和田アキ子さんや菊池桃子さんが診断された病気として耳にした方もいるかもしれません。

シェーグレン症候群では免疫の異常により涙腺や唾液腺の破壊が起こると考えられています。そのため、シェーグレン症候群は免疫が自己を攻撃してしまう病気である自己免疫疾患膠原病(あとで詳しく説明します)に分類されます。

1. シェーグレン症候群の人はどれくらいいる?

2011年に厚生労働省が中心となりシェーグレン症候群の調査が実施されました。その調査報告によれば、日本のシェーグレン症候群の患者数は7万人程度いるとされています。

2. シェーグレン症候群は女性に多い?なりやすい年齢は?

2011年の厚生労働省の調査では、シェーグレン症候群の患者数は女性の方が男性より17倍多く、平均年齢は60歳でした。

3. シェーグレン症候群の生存率は?

2016年に約8000人を対象としたシェーグレン症候群の生存率に関する研究結果が発表されました。 この研究は、9年間に渡ってシェーグレン症候群の人の経過を観察したもので、一般の人とシェーグレン症候群の人を比べたときに、死亡率には差がないという結果が得られました。ただし、涙や唾液を出す場所(涙腺や唾液腺)以外の臓器に影響が及んでいる人に注目すると、死亡率は一般の人に比べて1.77倍高いこともわかりました。これは肺や腎臓などの大事な臓器が傷害されたことが原因と考えられています。肺や腎臓に異常が起きると咳やむくみが現れることがあります。新しく症状が現れた場合は、お医者さんに相談してみてください。

【参考】

Rheumatology (Oxford). 2016 Mar; 55(3): 450–460.

4. シェーグレン症候群の原因は?

シェーグレン症候群は免疫の異常により起こる病気です。免疫とはウイルス細菌などの外敵や異物が体の中に入ると排除する体の中のシステムのことです。免疫は通常、外敵や異物だけを攻撃し、自分の体は攻撃しないように制御されています。しかしながら、免疫に対する制御が上手く働かなくなり、免疫が自分の体を攻撃することでシェーグレン症候群は起こると考えられています。ただ、その詳しいメカニズムに関しては分かっていない部分も多いです。

5. 原発性シェーグレン症候群と2次性シェーグレン症候群の違いは?

シェーグレン症候群とは涙腺や唾液腺(唾液や涙がでる場所)が壊されドライアイドライマウスの症状がでる病気です。免疫の異常により涙腺や唾液腺が攻撃されるのが病気の原因と考えられています。そのため、免疫の異常により起こる他の病気が原因となってシェーグレン症候群が起こることがあります。このようなケースを2次性シェーグレン症候群と呼びます。一方、原因となる病気がないシェーグレン症候群を原発性シェーグレン症候群と呼びます。シェーグレン症候群のうち60%が原発性で40%が2次性であると考えられています。

6. 2次性シェーグレン症候群の原因となる疾患とは?

2次性シェーグレン症候群の原因となる病気には以下のものがあります。

シェーグレン症候群の方は、これらの病気が隠れていないかチェックする必要があります。

関節リウマチ

関節リウマチは免疫の異常により関節の腫れや痛みが起こる病気です。関節の腫れや痛みは主に手の指、手首などの小さい関節を中心に複数箇所にあらわれます。関節の腫れや痛みは持続すると関節の変形を起こします。関節リウマチは30-50代の女性に起こることが多い病気で、リウマチ因子、抗CCP抗体といった抗体との関連が知られています。これらの抗体が血液中にあるかは病院で検査することができます。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは免疫の異常により自分の体が攻撃され起こる全身疾患です。症状は発熱、頬にできる赤い発疹、関節の腫れや痛み、けいれん、息切れ、血尿、尿の泡立ち(蛋白尿)、手足のむくみなどがあります。20-40代の女性に起こることが多いです。抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、抗U1-RNP抗体と関連が知られています。

皮膚筋炎・多発性筋炎

皮膚筋炎は免疫の異常により皮膚や筋肉が攻撃される病気です。皮膚への攻撃がなく、筋肉のみが攻撃されている場合には多発性筋炎よ呼ばれます。皮膚筋炎多発性筋炎の違いは皮膚筋炎では皮膚に症状があるのに対して、多発性筋炎では皮膚の症状がないことです。皮膚筋炎多発性筋炎では筋肉の痛み、筋肉に力が入らない症状(筋力低下)が現れます。抗Jo-1抗体、抗Mi-2抗体、抗ARS抗体といった抗体との関連が知られています。

全身性強皮症

皮膚を中心として体のさまざまな臓器が線維化する(弾力性を失って機能が落ちる)病気です。免疫の異常により起こる自己免疫疾患の一種です。全身性強皮症の症状としては、指のある部分から先が真っ白になる(レイノー現象)、指先を中心として皮膚が硬くなる、咳、息苦しさ、食べ物が胸でつっかえる感じがする、胸焼けがするといったものがあります。全身性強皮症は抗セントロメア抗体、抗Scl70抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体といった抗体と関連が知られています。

混合性結合組織病

混合性結合組織病MCTD)は全身性エリテマトーデス全身性強皮症多発性筋炎に見られる症状が混ざって現れる病気です。全身性強皮症は免疫の異常により全身が攻撃され、皮膚や内臓が硬くなる病気です。混合性結合組織病の症状はレイノー現象、手の指全体の腫れ、息切れ、食べ物の胸でのつっかえ感、筋力低下など様々です。レイノー現象とは寒さや精神的な緊張により手や足の指の血流が悪くなることで真っ白や青紫に変色することをいいます。混合性結合組織病は抗U1-RNP抗体と強い関連が知られており、混合性結合組織病の方では必ず陽性になります。

7. シェーグレン症候群と似ている病気、ミクリッツ病(IgG4関連疾患)とは?

シェーグレン症候群は免疫の異常により涙腺や唾液腺が攻撃され、壊されることでドライアイドライマウスをきたす病気です。実はシェーグレン症候群と同じように、免疫の異常により涙腺や唾液腺が攻撃される病気が他にもあります。ミクリッツ病です。最近になりミクリッツ病の多くは血液中でIgG4という抗体が上昇するということが分かりました。そのため、IgG4関連疾患の一部として扱われることもあります。また、IgG4の血液検査ができるようになったのは最近であるため、以前シェーグレン症候群と診断されていた人の中にミクリッツ病が混ざっているのではないかという指摘があり、ミクリッツ病といいます。

以下ではミクリッツ病について説明します。

患者数

厚生労働省研究班により2009年に実施された調査によるとミクリッツ病の患者数は4300人程度であると推定されています。

診断

ミクリッツ病はIgG4という抗体との密接な関係が知られている病気です。診断には以下の項目が使われます。

  • 涙腺や唾液腺が腫れているか
  • 血液検査でIgG4が上昇しているか
  • 涙腺や唾液腺の組織の一部を取ってくる生検検査を行い、その検査結果がミクリッツ病のものと合致しているか

治療

ミクリッツ病の治療にはステロイドを使うことが多く、またステロイドにより症状がよくなるのも一つの特徴です。ステロイドは炎症を抑える作用のある薬です。さまざまな病気に対して効果があり、目的に応じて外用薬(塗り薬など)としても使われますが、ミクリッツ病に対しては飲み薬が使われることが多いです。

ミクリッツ病とシェーグレン症候群の違いとは?

ミクリッツ病とシェーグレン症候群はどちらも涙腺や唾液腺が攻撃され、ドライアイドライマウスを引き起こす点は共通しています。しかしミクリッツ病とシェーグレン症候群は違う病気です。血液検査で調べることができる抗体 において陽性となるものが異なります。

  • ミクリッツ病:IgG4
  • シェーグレン症候群:抗SS-A抗体、抗SS-B抗体

またもう一つ大事な違いとして、ステロイド治療により症状が改善するかどうかという点があります。ミクリッツ病はステロイドにより症状の改善が見込めるのに対して、シェーグレン症候群はステロイドの治療による症状の改善は難しいとされます。治療の方針が違うという点でもミクリッツ病とシェーグレン症候群を見分けることが非常に重要と言えます。

8. 指定難病、医療費助成について

厚生労働省は原因が十分にわかっておらず治療法が確立されていない疾患を指定難病(難病)と分類しています。シェーグレン症候群も難病のひとつになります。一定の重症度を超える場合に医療費の助成を受けることができます。

助成を受けるには、必要書類を揃えて、住んでいる市区町村窓口で申請します。都道府県知事から認定された指定医に臨床調査票を作成してもらう必要があります。

指定難病として認定されると、医療券が発行されます。結果が出るまでには3ヶ月程度の時間がかかります。

詳しくは「シェーグレン症候群の治療は?難病の医療費助成はある?」のページで説明しています。