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IgG4関連疾患
臓器の腫れを特徴とし、IgG4という抗体が血液中で増えたり、腫れた臓器で沈着する病気
1人の医師がチェック 5回の改訂 最終更新: 2023.10.22

IgG4関連疾患の基礎知識

POINT IgG4関連疾患とは

IgG4関連疾患は IgG4という物質が血液中で増えたり、IgG4を作る免疫細胞が集まることで臓器の腫れが起こる病気です。症状としては眼球突出や顎の下のしこりなどがあります。膵臓に腫れができると腹痛の原因になることもあります。診断のためには血液検査でIgG4の値を確認したり、腫れている臓器の組織の一部を取ってきて顕微鏡で何が起きているかを確認する(生検を行う)必要があります。ただし、IgG4の値の上昇はがんなど他の病気でも起こることがあるため、IgG4関連疾患と診断するためには他の病気を除外することが重要です。IgG4関連疾患による腫れは全身さまざまな場所に起こるので、全身くまなく調べるために画像検査を行うこともあります。治療はステロイド薬を用います。ただし、ステロイド薬は一時的に症状を改善するものの、減量の過程で症状をぶり返すことが多いです。心配な人はリウマチ内科・膠原病内科の先生と相談してみてください。また、目に腫れができた場合は眼科、膵臓に腫れができた場合は消化器内科といったように、腫れが起きた臓器の専門の医師が診療の中心となることも多いです。

IgG4関連疾患について

  • 臓器の腫れを特徴とし、IgG4という抗体が血液中で増えたり、腫れた臓器で沈着が確認される病気
  • 涙腺、唾液線、膵臓、腎臓、リンパ節などの臓器の腫れを特徴とする
  • IgG4という抗体が血液中で増えたり、腫れた臓器でIgG4を作る免疫細胞が集まっている
    • IgG4という特徴的な抗体が増える病気であるが、この抗体が病気の原因であるのかについて結論が出ていない
  • 国内の患者数は26,000人程度
  • 50-60歳に多い
  • 単独の臓器に異常が出ている場合は別名で呼ばれることがある
    • 腫れている臓器が涙腺・唾液腺のみの場合は「ミクリッツ病」
    • 膵臓のみの場合は「自己免疫性膵炎
  • 悪性リンパ腫血管炎、キャッスルマン病、膵癌などの病気でも似た症状を来すため、これらの疾患を除外することが必要

IgG4関連疾患の症状

  • 目の症状
    • まぶたの腫れ
    • 眼球突出
    • 目が動かない(眼球運動障害)
    • 目が乾く
  • 口の症状
    • 顎の下(顎下腺)の腫れ
    • 口が乾く
  • 膵臓・胆管の症状
    • 腹痛
    • 体重減少
    • 食欲がない
    • 肌が黄色くなる(黄疸
      • 膵臓の炎症が進むと糖尿病の原因になることもある
  • 腎臓の症状
    • 背部痛
    • 尿が出ないまたは少なくなる
      • 腎臓の近くに形成された腫瘤が尿の通り道を圧迫することで尿が出なくなることになる
  • リンパ節の症状
    • リンパ節の腫れ
    • 痛みを伴わないことが多い
  • 皮膚の症状
    • 赤黒い発疹が現れることがある
  • 血管の症状
    • 腹痛(お腹の大動脈の炎症の結果)
      • 心臓を栄養する血管に炎症が起こることがあるとの報告もある

IgG4関連疾患の検査・診断

  • 血液検査
    • IgG4の計測(135mg/dL以上)
      • その他にも、好酸球・IgE・可用性IL-2受容体(sIL2-R)がしばしば上昇する
    • ビリルビン、アミラーゼ、血糖
      • 膵臓や胆管の評価のため
    • クレアチニン
      • 腎機能の評価のため
    • その他にも、腫瘍マーカーANCA、IL-6なども症状が似た病気の除外するため計測されることがある
  • 画像検査
    • CT検査: IgG4関連疾患の病変の検索を行う。腹部大動脈周囲、膵臓、胆管、膵管、腎臓、肝臓、肺、唾液腺、下垂体、涙腺、前立腺などに病変を生じることが多い
    • MRI検査: 局所病変の詳細な評価に用いられることがある
    • ガリウムシンチグラム: 全身の炎症を反映する検査で、全身の病変検索に用いることがある
    • PET-CT検査: 全身の腫瘍や炎症を反映する検査で、全身の病変検索に用いることがある
  • 生検検査
    • がんでも組織の腫れやIgG4が上昇することがあり、腫れている組織の一部を取ってくる生検検査が必要である
      • 顕微鏡で組織の中にがん細胞が存在しないかを確認する
    • IgG4を産生する免疫細胞が集まっている、線維化、静脈の閉塞などもこの病気に特徴的であるとされる

IgG4関連疾患の治療法

  • ステロイド薬
    • プレドニゾロンを使用する場合、0.5-0.6mg/kgの量で開始し、ほとんどの人がこの量で改善する
    • ただし、ステロイドの減量の過程で再燃を経験することも多い
  • 免疫抑制薬
    • 治療効果のデータはまだ十分には集まっていないが、ステロイドの減量が難しい症例で使用されることがある
  • 分子標的薬(リツキシマブ)
    • 海外で有効性が確認されている
    • 日本では保険適応外