じこめんえきせいすいえん
自己免疫性膵炎
免疫の異常により免疫細胞が自分の膵臓を攻撃する病気
6人の医師がチェック 51回の改訂 最終更新: 2022.06.20

自己免疫性膵炎の基礎知識

POINT 自己免疫性膵炎とは

免疫の異常により免疫細胞が自分の膵臓を攻撃する病気です。膵臓を攻撃している免疫細胞の種類により1型と2型に分けられます。症状として腹痛や黄疸が現れます。膵臓が攻撃されているか確認するため血液検査を行ったり、CT検査、MR検査、超音波検査などで膵臓が腫れているかを確認します。 膵臓が腫れる病気には膵がんが存在していることがあるため、がんの有無を確認することが非常に重要です。治療としてはステロイドの内服を行います。膵管や胆管閉塞により緊急性が高い場合には内視鏡を用いてドレナージチューブ(ステント)を入れることもあります。診断や治療のためには消化器内科を受診してください。

自己免疫性膵炎について

  • 免疫の異常により免疫細胞が自分の膵臓を攻撃する病気
    • IgG4という物質が体内で増加することが多く、病気に関連していると考えられている(IgG4関連疾患
  • 膵臓を攻撃する免疫細胞の種類により2つのタイプに分けられる
    • 1型自己免疫性膵炎
      • リンパ球が膵臓を攻撃している
      • 日本に多い
      • 高齢男性に多い
      • IgG4関連疾患と関連する
    • 2型自己免疫性膵炎
      • 好中球が膵臓を攻撃している
      • 欧米に多い
      • 比較的若い人に多く、男女差はない
      • IgG4は上昇しない
      • しばしば潰瘍性大腸炎合併する

自己免疫性膵炎の症状

  • 主な症状
    • 腹痛
    • 背部痛
    • 黄疸
    • 体重減少
    • 食欲不信、
    • 全身倦怠感
  • 自己免疫の異常による涙腺炎、唾液腺炎胆管炎などが起こることもある

自己免疫性膵炎の検査・診断

  • 血液検査
    • 酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)の値や炎症の程度を調べる
    • 血液中のIgG4値など、免疫関連の検査項目について調べる
  • 画像検査
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
    • 腹部MRI検査(MRCP検査)
    • 超音波内視鏡検査
    • ERCP検査 など
    • 典型的には膵臓の腫大(腫れぼったくなっていること)や膵管の狭細像(通常よりも狭く細くなっていること)が見られる
  • 膵臓がん慢性膵炎胆管がんなどの他の病気ではないことも併せて検査することが重要
    • 超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引細胞診EUS-FNA)では膵臓の腫大した部分に針を刺して細胞を採取し、病理検査(顕微鏡の検査)でがん細胞がないかを調べる
    • ステロイド薬の治療を開始し、その治療効果を参考に判断することもある

自己免疫性膵炎の治療法

  • ステロイド薬の内服による治療を行う
    • 内服の量は状態を見ながら徐々に減量するが、長期間にわたる内服が必要になることが多い
  • 黄疸などがある場合は胆道ドレナージなどの治療を行ってから内服治療を行うこともある

自己免疫性膵炎のタグ

自己免疫性膵炎に関わるからだの部位