きゅうせいいちょうえん
急性胃腸炎
下痢・吐き気・腹痛などを起こす病気。食中毒やほかの患者からうつることが原因。抗生物質が効くのは一部の場合だけでほとんどは自然に治る
21人の医師がチェック 158回の改訂 最終更新: 2018.02.08

急性胃腸炎とは?原因、症状、検査、治療、食べ物など

急性胃腸炎は胃腸の炎症が急に起こる病気の総称です。腹痛・嘔吐・下痢などを中心に症状が現れます。原因はさまざまで、ウイルス感染・細菌感染・ストレス・薬剤の副作用などが主なものになります。

1. 胃腸炎とはどんな状態?

胃腸炎とは何らかの原因によって胃腸に炎症が起こっている状態です。ウイルス感染によるものが最も多いですが、その原因は多岐にわたります。

  • ウイルス感染
  • 細菌感染
  • ストレス
  • 薬剤の副作用
  • 放射線
  • アニサキス
  • 魚の骨
  • アルコール

胃腸炎といっても胃の炎症と腸の炎症は少し異なります。炎症の起こる部位を分けて考えてみます。

胃炎の場合

胃炎とは胃壁に炎症が起こった状態です。急性胃炎の場合は突然症状が起こります。起こる頻度の高い病気で、さまざまなことが原因となります。

胃炎の症状を感じやすい状態は以下になります。

  • 細菌感染
    • ヘリコバクター・ピロリ菌(ただし、多くの場合は慢性的に炎症を起こす)
  • ウイルス感染
  • 薬剤
    • 解熱鎮痛薬
    • 抗菌薬
    • ステロイド
  • ストレス
    • やけど
    • 手術
    • 怪我
    • 精神的ストレス
  • アルコールの多飲
  • 加齢
  • 異物
    • アニサキス
    • 魚の骨
  • 持病の存在
  • 胆汁や膵液の逆流

また、よくある症状は、吐き気・嘔吐・吐血下血腹部膨満感・腹痛などになります。アルコールや刺激的な食べ物を避けたり解熱鎮痛薬を変更したりすることで、症状の改善や予防が期待できます。

腸炎の場合

腸炎は腸管の壁に炎症が起こった状態です。急性腸炎では突然症状が起こります。腸炎も胃炎と同じく感染によって起こることが多いですが、そのほかにも腸炎を引き起こす原因はあります。

  • 細菌感染
    • 黄色ブドウ球菌
    • 大腸菌
    • カンピロバクター
    • 赤痢菌
    • サルモネラ菌
    • コレラ
    • クロストリジウム・ディフィシル
  • ウイルス感染
    • ノロウイルス
    • ロタウイルス
    • アデノウイルス
  • 薬剤
    • 解熱鎮痛薬
    • 抗菌薬
  • アルコール多飲
  • 放射線
  • 加齢
    • 腸蠕動の問題
    • 血流の問題
  • 持病の問題

これらが急性腸炎を起こす代表的なものです。

急性腸炎になると、下痢・下血・嘔吐・腹部膨満感・腹痛・発熱・食欲低下などの症状が現れます。下痢を起こすと脱水になることがあり、脱水は全身状態を悪化させます。そのため水分摂取が非常に重要になりますが、その際に牛乳や果実ジュースを飲むと下痢がさらに悪化することがあるので注意が必要です。水や吸収に優れた飲料(オーエスワン®やポカリスエット®など)を摂取することが望ましいです。

2. 急性胃腸炎の症状

上でも簡単に述べましたが、急性胃腸炎になるとさまざまな症状が見られます。ここではその代表的な症状に関して詳しく説明します。

下痢

胃腸で炎症が起こると食べたものを消化しにくくなります。すると栄養素や水分を腸管が吸収することができなくなるため、下痢が起こります。

水のようなシャーシャー出る便(水様便)のこともあれば、血液の混じった赤い便(血便)のこともあります。前者は小腸で炎症が起こった場合に多く、後者は大腸で炎症が起こった場合に多いと言われています。

下痢になった場合には特に脱水に注意して下さい。下痢は多くの水を体外に出しますし、水分摂取をしても吸収が難しいため、脱水になりやすくなります。脱水になると全身状態が悪化し、入院が必要になることがあります。

脱水を疑う状態は以下になります。

  • 口の渇きが強い
  • 眼がくぼむ
  • 涙が出ない
  • 汗が出ない
  • 尿が出ない
  • 疲れが非常に強い
  • 立ちくらみがする
  • 脈が早い(目安:1分間に100回以上)

これらの症状が感じられた場合には、医療機関を受診して診察を受ける必要があります。

嘔吐

嘔吐は胃腸炎でしばしば見られる症状です。また、実際に嘔吐しなくても吐き気や胃の膨満感を覚えることも多いです。

胃腸炎によって胃腸の動きが悪くなると、飲食したものをうまく肛門の方に進めることができなくなるため嘔吐が起こります。嘔吐は下痢と同じく水分を体外に出してしまうため、脱水になりやすいです。上で述べた脱水を疑う症状がある場合は、医療機関を受診するようにして下さい。特に飲んでも吐くことが続く場合には、脱水に注意が必要です。

腹痛

胃腸炎になると胃腸の壁に炎症が起こります。その影響で腹痛を感じることがあります。また、腸の動きが悪くなると麻痺腸閉塞といった状態になり腹痛が見られるようになります。

胃腸炎で腹痛が強い場合は食事を摂ることは難しいです。無理に食べると腹痛が悪化することも多く、水分をゆっくりと摂取することが大切です。また、腹痛が非常に強い場合や歩くだけでお腹に痛みを感じる場合には、腹膜炎と呼ばれる重症の状態の可能性があります。我慢せずにお医者さんの診察をうけるようにして下さい。

発熱

発熱は炎症が起こると生じる生理的な反応です。胃腸炎の際に発熱が起こることはあります。発熱が起こっても特に慌てることはありませんが、高熱の場合(目安として38.3度以上)には身体で起こっている炎症が強い可能性があります。思っている以上に体内から水分が蒸発していますし、水分をこまめに取るようにして下さい。

また、悪寒戦慄(おかんせんりつ)という寒気や震えが止まらない状態は非常に危険です。血管内に細菌が侵入していたり、炎症が極めて強い状態になっていたりしている可能性があるので、必ず医療機関を受診して下さい。

急性胃腸炎の症状の説明は「急性胃腸炎の症状にはどんなものがあるか:下痢、嘔吐、腹痛、発熱など」で詳しく説明していますので参考にして下さい。

3. 急性胃腸炎の原因

急性胃腸炎の原因は多くのものが考えられます。ウイルス感染やストレス薬剤の副作用などの多くの原因が考えられますが、それらは「感染性胃腸炎」と「非感染性胃腸炎」の2つに大別することができます。

この章では胃腸炎を起こす原因を細かく分けて説明します。

感染による胃腸炎(1):細菌性胃腸炎

しばしば細菌感染によって胃腸炎が起こります。黄色ブドウ球菌による腸炎や腸管出血性大腸菌感染症(O-157)などが非常に有名です。この他にもサルモネラ菌やカンピロバクターなど多くの細菌が急性胃腸炎を引き起こします。

原因となる細菌の種類ごとに胃腸炎の特徴を説明していますので、こちらを参考にして下さい。

感染による胃腸炎(2):ウイルス性胃腸炎

ウイルス感染が原因となって胃腸炎が起こることも多いです。ノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎が有名です。

原因となるウイルスの種類ごとに胃腸炎の特徴を説明していますので、こちらを参考にして下さい。

ストレスによる胃腸炎

精神的ストレスも胃腸炎に関連する可能性があります。ストレスを受けることで胃酸が増えたり胃粘膜が荒れたりする可能性があります。しかし、ストレスによって胃腸炎が起こるとは明確に証明されていません。

急性胃腸炎と同じ症状が現れる過敏性腸症候群(IBS)という病気があります。こちらに関してはストレスによって起こりやすくなると考えられており、特に胃腸の持病を指摘されていない人がストレスによって下痢や腹痛を起こす場合には過敏性腸症候群を疑います。

いずれにしても、心身を健康的に生きるためには、ストレスを溜めないほうが良いです。体を動かしたり楽しい時間を過ごしたりしながら、適度にストレスを発散することは重要です。

薬剤による胃腸炎

薬の影響を受けて胃腸炎になることがあります。非常に有名なのが、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)という痛み止めと抗生物質(抗生剤、抗菌薬)です。

  • 非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症剤は痛み止めとして非常によく使われる薬です。NSAIDsの代表的な薬剤は以下になります。

  • アスピリン
  • インドメタシン
  • イブプロフェン
  • ジクロフェナク
  • ロキソプロフェン
  • フェルビナク
  • ナプロキセン
  • セレコキシブ

NSAIDsは消化管(特に胃)の粘膜障害を起こします。少し難しい話になります。NSAIDsはCOX-1という物質を阻害することで、粘膜細胞を保護するプロスタグランジンI2やプロスタグランジンE2などが減少してしまうため、粘膜障害が起こりやすくなります。そのため急性胃腸炎を引き起こすことがあります。

上で挙げた薬の中でもセレコキシブはCOX-2選択的阻害薬と呼ばれており、NSAIDsの中では消化管の粘膜障害を起こしにくいことがわかっている薬です。

  • 抗生物質(抗生剤、抗菌薬)

抗菌薬は細菌感染症を治療する上で非常に重要な役割を担っています。その一方で、副作用や耐性菌の出現が問題となっており、適切な抗菌薬使用が求められています。

抗菌薬の使用によって腸炎が起こることがあります。これを抗菌薬関連腸炎といいます。

腸の中には常在菌(正常細菌叢)として多くの細菌が存在しています。その多くが一般的に善玉菌と言われている細菌で、これらは腸に侵入した外敵から人体を守ってくれています。抗菌薬を使用すると、感染を起こしている細菌を殺すだけでなく、この常在菌も殺してしまいます。すると常在菌のバランスが崩れて、別の細菌が増えてきます。このバランスの乱れが原因となって腸炎が起こります。特に、セフェム系抗菌薬、広域ペニシリン系抗菌薬、クリンダマイシンなどで起こりやすいことが分かっています。

抗菌薬関連腸炎の中でも有名なのがクロストリジウム・ディフィシル感染症CDI:Clostridium difficile Infection)です。これ以外には、ウェルシュ菌やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが起炎菌になることが多いです。

  • ステロイド薬

ステロイド薬の副作用で胃腸炎が起こる可能性があります。

以前はステロイド薬によって胃腸の潰瘍ができると考えられていましたが、最近のデータから胃腸の消化性潰瘍はステロイド薬によって増えないことが一般的見解となっています。2015年に出された消化性潰瘍診療ガイドラインではステロイド薬単独使用では胃腸の潰瘍を増やさないとしており、ステロイド薬の使用で消化管潰瘍を増やすとは考えなくて良さそうです。

一方で、ステロイド薬を長期的に使用したり大量に使用したりした場合には、感染症のリスクが上がることが分かっています。そのため、ステロイドによって感染性胃腸炎の危険性が上昇する可能性はあります。ステロイド薬を飲んでいる人で下痢が続く場合は、一度原因を調べてもらうようにして下さい。

【参考】

消化性潰瘍診療ガイドライン2015

Corticosteroids and peptic ulcer: meta-analysis of adverse events during steroid therapy

J Intern Med 1994;236:619–32

放射線による胃腸炎

放射線の影響で胃腸炎が起こることがあります。ここでは特に腸炎が問題になります。

放射線と言ってもレントゲン写真やCT検査で腸炎が起こることは少なく、がんなどの治療で大量の放射線を受けた場合に起こります。卵巣や子宮、前立腺といった腸の周辺臓器に対する放射線治療で起こりやすいです。

腸管が大量の放射線を浴びると、粘膜が萎縮したり、蠕動運動が低下したり、血流が悪くなったりすることで腸炎が起こると考えられています。大抵の場合は急性には起こらずに、放射線治療をしてある程度時間が経ってから起こります。

異物による胃腸炎

口から異物が入ってくることで胃腸炎が起こることがあります。代表的なものは次の2つになります。

アニサキスという線虫が原因で起こる病気です。アニサキスはアジ・イカ・サバ・イワシなどに寄生していて、魚と一緒に寄生しているアニサキスを生で食べることが原因で発症します。

アニサキスは胃や腸に噛み付いて、強烈な腹痛や吐き気(悪心)を起こします。食後数時間で症状が出現することが多いです。冷凍処理や加熱をすることでアニサキスがいても感染性がなくなることがわかっていますが、酢でしめても感染性がなくならないので注意が必要です。(特にしめサバ)

  • 魚の骨

魚の骨によって突然胃腸炎が起こることは少なくありません。鋭い魚の骨が胃や腸の壁に刺さって、周囲に炎症をおこすことが原因です。時間とともに刺さった骨が抜けたり、消化液の影響を受けて骨が溶けますが、刺さっているうちはなかなか症状が改善しません。また、ひどい場合には刺さった骨が腸の壁を突き破って腹膜炎を起こすことがあります。

骨の小さくない魚を食べたあとに急な腹痛を覚えて受診した場合には、お医者さんに魚を食べたことを伝えるようにして下さい。

アルコールによる胃腸炎

アルコールによって胃腸炎が起こることがあります。適量を超えたアルコールを飲んだ場合やアルコール度数の高いお酒を飲んだ場合に起こりやすいです。アルコールを飲んだ後に下痢や腹痛が出やすい人は、一度お医者さんに相談してみると良いかもしれません。

急性胃腸炎の原因に関しては、「急性胃腸炎の原因は?感染性胃腸炎、薬剤性胃腸炎、異物による胃腸炎など」のページで詳しく説明していますので参考にして下さい。

4. 急性胃腸炎の検査:血液検査、画像検査、内視鏡検査、細菌検査など

強い下痢や腹痛の治療のために医療機関を受診することはあります。症状や状況から急性胃腸炎が疑われた場合には、特に検査を受けずに治療が行われることは少なくありません。しかし、症状が強い場合や繰り返される場合には、原因を確かめるための検査が行われることがあります。

急性胃腸炎の際に行われることのある主な検査は以下になります。

  • 血液検査
  • 画像検査
  • 内視鏡検査
  • 細菌検査

各々の検査について詳しく説明していきます。

血液検査

血液検査で急性胃腸炎の原因を特定することは難しいです。しかし、血液検査で全身状態を推測することはできます。重症の急性胃腸炎や再発を繰り返す急性胃腸炎では血液検査を行います。

  • 全身炎症の程度
  • 脱水の有無
  • 腎機能
  • 肝機能
  • 貧血の有無
  • 凝固系バランス(血のさらさらの程度)

血液検査では上で述べたような項目について調べることができます。

この中でも特に注意するべきなのは脱水の程度です。急性胃腸炎になると下痢や嘔吐が起こりやすくなるため、脱水になりやすいです。脱水になると容易に全身状態が悪化するため、下痢の強さや水を飲めているかについて特に注意しなくてはなりません。

  • 水を全く飲めないような状態
  • 口の中が乾いて仕方ない
  • 身体が熱いのに汗が全く出ない
  • 意識が朦朧(もうろう)とする

これらの症状に合致する場合には、医療機関を受診して治療を受けることが望ましいです。

画像検査

急性胃腸炎の原因に特殊な病気が隠れていそうな場合や何か合併症がないかを調べる場合に画像検査が行われます。急性胃腸炎で行われることの多い画像検査は2つあります。

  • 腹部X線写真(レントゲン検査)
  • 腹部CT検査

腹部X線検査は放射線を用いて体の状態を調べる検査です。影絵のような写真を得ることができます。腹部X線写真ではお腹の状態が詳細には分かりませんが、低被ばくですぐに調べることができるので、さまざまな場面で行われる検査です。

一方で腹部CT検査はX線写真よりも詳細に調べることができます。CT検査を行うと身体の輪切りの画像を見ることができます。造影剤を用いてさらに詳細に調べることもできます。

内視鏡検査

内視鏡検査には上部消化管内視鏡検査胃カメラ)と下部消化管内視鏡検査大腸カメラ)があります。1cm程度の細い管を口や鼻から入れて食道や胃などを調べるのが胃カメラで、肛門から入れて大腸などを調べるのが大腸カメラです。

内視鏡検査では消化管の中の様子を見るだけでなく、異変のある部位を採取して顕微鏡で調べることができます。

細菌検査

便の細菌検査には便培養・血液培養・遺伝子検査などがあります。これらは便の中にどんな微生物がいるのかを調べる検査です。便の中には常在菌だらけなので検査の結果をしっかりと吟味しなくてはなりませんが、原因菌を特定するためには非常に重要な検査です。

以上で急性胃腸炎で行う検査について簡単に説明しましたが、検査についてもっと詳しく知りたい人は「急性胃腸炎の検査はどんなことを行う?」を参考にして下さい。

5. 急性胃腸炎の治療:補液、抗菌薬治療など

急性胃腸炎の治療は原因によって異なります。しかし、どんな胃腸炎に対しても最も重要なのが脱水を改善するために行われる補液です。胃腸炎で脱水が起こると致死的になりますので、補液はとても重要な役割を担っています。

また、場合によっては抗菌薬(抗生物質)も有効です。多くの人は「感染症の治療には抗菌薬が必要」と認識していると思います。しかし、感染性胃腸炎の大半はウイルスによるものですので、抗菌薬は全く効果がないばかりか悪影響が懸念されます。次に挙げる細菌感染症は抗菌薬の効果が期待できます。

下痢が止まらないときにしばしば下痢止め(止痢薬)が使われます。下痢は体内の不要物(細菌やウイルス、毒素など)を体外に出す意味があるため、止痢薬を安易に使用するとかえって状態が悪くなることがあるため注意が必要です。胃腸炎の原因が何かを考えてから止痢薬を使うようにして下さい。

急性胃腸炎の治療は原因によって方法がさまざまです。治療についてもっと詳しく知りたい方は「急性胃腸炎にはどんな治療をする?」を参考にして下さい。

6. 急性胃腸炎の感染性

急性胃腸炎の中でもノロウイルスによる胃腸炎やコレラに代表される感染が原因となっている胃腸炎は他人にうつります。どういった場合にうつるのでしょうか。また、予防するためにはどういったことをすればいいでしょうか。

どうやってうつるのか

感染性の強い感染症は人から人にうつります。ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)やコレラは通常生活の中でも人から人にうつる可能性があります。人から人にうつるタイプの感染症は特に感染対策が大事です。原因微生物を体内に入れないことが大事ですので、手洗いやマスクの着用や汚物の管理を徹底して下さい。

また、大腸菌や黄色ブドウ球菌やカンピロバクターやサルモネラ、ビブリオなどは細菌に汚染されていた食べ物や飲み物を介して人に感染を起こします。

予防はできるのか

感染性胃腸炎を予防する方法はあります。

  • 手洗いを行う
  • 汚物(便や吐物)を隔離する
  • 予防接種を打つ

これらを行うことで感染がうつされにくくなります。とはいえ、どんなに徹底した予防を行っても完全に予防することはできません。下痢や嘔吐が止まらない場合や水が飲めない場合は医療機関にかかって診察を受けて下さい。

7. 急性胃腸炎になったときの食事

急性胃腸炎になると食事を摂るのが難しくなります。食事を摂っても吐き気や下痢が悪化することが多く、なにを食べたら良いのか迷うことも多いと思います。

また、急性胃腸炎が重症になると飲水も難しくなります。飲んでも吐いてしまったり吸収できなくなったりします。

この章では急性胃腸炎になってしまった場合にどんな飲食をすればよいのかを説明します。

どんな食べ物を食べたら良いのか

急性胃腸炎で下痢や嘔吐がひどいときにものを食べると症状が悪化します。そのような状態で食べてもほとんど吸収されませんので、無理に食べる必要はありません。吐き気や下痢が落ち着いてから食べ物を取るようにして下さい。

通常の栄養状態の人は数日食べなくても栄養失調になることはありません。無理に食べて症状が悪化するリスクを考えたら、症状が落ち着くまではあまり慌てることなく、食事は様子見とするほうが良いです。とはいえ、急性胃腸炎の人が脱水になると容易に全身状態が悪化しますので、こまめに飲水するようにして下さい。

急性胃腸炎になったときに特に避けるべき食べ物があります。次に挙げる2つには注意が必要です。

  • 香辛料を多く含むもの
  • 脂分を多く含むもの

香辛料は胃腸の壁を刺激します。胃腸炎によって壁に炎症が起こっている状態がさらに刺激されると状態は悪化します。また、脂分は消化・吸収するのは簡単ではありません。多くの消化酵素が必要です。そのため、急性胃腸炎で脂質を多く摂取すると、炎症が起こっている胃腸に負担がかかってしまい状態が悪化することがあります。

食べるものに気をつけていても、過食も良くありません。単純に胃腸の壁を引き伸ばすだけでなく、消化運動を引き起こすため胃腸に負担がかかります。1回の食事摂取はいつもより少ない量にするように心がけて下さい。

どんな飲み物を飲んだら良いのか

急性胃腸炎の際に飲水は非常に大切です。脱水になると重症になるので、飲水は急性胃腸炎を治療する際の命綱です。一方で胃腸炎がひどくなると、水を飲んでも吐いたり下痢になるばかりで吸収できません。一体どんなものを飲むようにしたらようのでしょうか。

急性胃腸炎になったときに避けるべき飲み物があります。

  • 牛乳(ヨーグルト)
  • 果物ジュース
  • アルコール

また、厳密に言うと飲み物ではありませんが、胃腸炎で下痢しているのでヨーグルトを食べると良いと考える人がいます。乱暴な言い方をするとヨーグルトは牛乳を腐らせたものです。少なくとも胃腸炎の急性期を回復させることにヨーグルトは貢献しません。ここに挙げたものを避けるようにして下さい。