えいちあいぶいかんせんしょう
HIV感染症
HIVウイルスに感染している状態。AIDSが発症していない状態も含む
5人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2017.12.06

HIV感染症の基礎知識

POINT HIV感染症とは

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した状態のことを指します。感染してから数年から数十年で免疫力(特に細胞性免疫)が低下しエイズを発症します。主に性行為や輸血などで感染がうつりますが、特に肛門性交を行う男性同性愛者の間で流行が目立ちます。感染してすぐに出てくる症状は風邪のようなものが多く、発熱・咽頭炎・リンパ節腫脹・皮疹・筋肉痛などになります。そのためインフルエンザなどのかぜ症候群と間違うことも多いです。 血液検査を行って診断します。治療には抗HIV薬を用います。感染症の背景から考えると、同性間性交を行う人・頻繁に肛門性交を行う人・不特定多数と性行為を行う人は特に注意が必要になります。HIV感染症が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

HIV感染症について

  • ヒト免疫不全ウイルスHIV)に感染した状態
    • HIVは、血中にある免疫の司令塔であるリンパ球白血球の一種)に付着し、CD4陽性細胞を破壊しながら、また次のリンパ球に感染していく
    • AIDSエイズ)はHIV感染症が進行したことによって、免疫不全を起こして日和見感染悪性腫瘍が生じた状態
    • HIV感染患者が適切な治療を受けずにいることで免疫力が大幅に低下すると、数年ー10年で健康な人であれば何ともない菌やウイルスにより、様々な病気がおこる
    • その病気が、「エイズ関連症候群」 とされる病気にあてはまると、「エイズ発症した」 と診断される
  • 病気の経過
    • HIVに感染すると、約2週間後に発熱などの症状がでる(多くの人は自然に症状が治る)
    • 無治療の場合、数年から10年くらい無症状のまま経過してから、エイズ関連症候群が起こり、その後エイズを発症する
  • 主な原因
    • 性行為による感染:粘膜や傷口からの感染
    • 血液感染:注射の回し打ち(麻薬や覚せい剤など)や輸血、臓器移植など
    • 母子感染:分娩時に起こる母から子への感染
  • 日本では約2万人以上が感染していると考えられている
    • 毎年1000人以上の新規感染者の報告がある

HIV感染症の症状

  • HIV感染初期の症状
    • 感染してから約2週間後に以下のようなインフルエンザに似たような症状が現れ、数日から数週間後には一旦治まる
      ・発熱
      リンパ節の腫れ
      ・のどの痛み(急性咽頭炎
      皮疹
      ・筋肉痛
      ・下痢
  • AIDS発症するまでの数年から10年くらいは無症状のことが多い
  • エイズ発症期は感染や合併した悪性腫瘍による症状がでる
  • その他に、認知症症状(HIV脳症)や、腎障害などが生じる

HIV感染症の検査・診断

  • 血液検査:HIVへの感染が疑われる場合は抗体検査でHIVに感染しているかどうかを調べる
    • 感染が分かった後は、治療の経過や免疫の状態を調べるために定期的に検査を行う
  • その他合併している感染症悪性腫瘍に対して必要に応じて検査を行う

HIV感染症の治療法

  • 基本的な治療方針
    • HIVを完全になくすことはできないが、ウイルスの増殖を抑える抗HIV療法を行うことで、HIV感染からエイズ発症までの期間を長くすることができる
    • HIV感染が判明した早期から治療を開始することが重要
  • 主な治療
    • 抗HIV薬の多剤併用療法が行われる
      ・核酸系逆転写酵素阻害薬
      ・非核酸系逆転写酵素阻害薬
      ・プロテアーゼ阻害薬
      ・インテグラーゼ阻害薬
    • 治療は全国各地にあるエイズ治療拠点病院で行うことができる
    • 近年では合剤(一錠中に複数の薬効成分を含むもの)が登場し、飲みやすさが簡便になってきている
    • 治療を受けたHIV感染症患者の平均余命は非感染者とほぼ同等
  • 予防
    • コンドームを適切に使用し、また体液の接触を回避することによって感染を予防できる

HIV感染症に関連する治療薬

インテグラーゼ阻害薬(抗HIV薬)

  • インテグラーゼという酵素を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内での感染拡大を抑える薬
    • HIVはリンパ球に感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
    • HIVは宿主細胞に自身の遺伝子を組み込むことで感染を成立させ、この組み込み反応にはインテグラーゼという酵素が必要となる
    • 本剤はインテグラーゼ阻害作用をあらわしHIVの宿主細胞への感染を不成立にする作用をあらわす
  • 本剤は他の抗HIV薬と併用し多剤併用療法(ART)に用いる
インテグラーゼ阻害薬(抗HIV薬)についてもっと詳しく

プロテアーゼ阻害薬(抗HIV薬)

  • プロテアーゼという酵素を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内での感染拡大を抑える薬
    • HIVはリンパ球に感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
    • HIVは標的となる細胞に感染しウイルス粒子を産生することで増殖していくが、ウイルス粒子産生に必要な機能タンパク質を作るためにはプロテアーゼという酵素などが必要となる
    • 本剤はプロテアーゼを阻害しウイルス粒子の産生を抑える作用をあらわす
  • 本剤は他の抗HIV薬と併用し多剤併用療法に用いる
プロテアーゼ阻害薬(抗HIV薬)についてもっと詳しく

非核酸系逆転写酵素阻害薬(抗HIV薬)

  • 逆転写酵素という酵素の活性を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の宿主細胞への感染を抑える薬
    • HIVはリンパ球に感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
    • HIVは標的となる宿主細胞に侵入した後、自身の遺伝子を逆転写酵素という酵素によってDNAに変換し宿主の染色体に組み込むことで感染を成立させる
    • 本剤はHIVの逆転写酵素に結合することで、逆転写酵素の活性を阻害する
  • 本剤は他の抗HIV薬と併用し多剤併用療法(ART)に用いる
非核酸系逆転写酵素阻害薬(抗HIV薬)についてもっと詳しく

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