CCR5阻害薬(抗HIV薬) - 解説(効能効果・副作用・薬理作用など) | MEDLEY(メドレー)
CCR5阻害薬(抗HIV薬)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の宿主細胞への侵入時に必要となるケモカイン受容体の一つ、C-Cケモカイン受容体5(CCR5)とHIVの結合を阻害することで、ウイルスの侵入を阻害し感染拡大を阻止する薬

CCR5阻害薬(抗HIV薬)の解説

CCR5阻害薬(抗HIV薬)の効果と作用機序

  • ヒト免疫不全ウイルスHIV)の宿主細胞への侵入を阻害することで感染拡大を阻止する薬
    • HIVはリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
    • HIVの宿主細胞への感染には、まず細胞内に侵入することが必要であり、その時に使用するケモカイン受容体というものがある
    • 本剤はケモカイン受容体の一つであるCCR5とHIVの結合を阻害することにより、HIVの細胞内への侵入を阻害する
  • 本剤はHIVの中でも細胞内侵入の際にCCR5を使用するCCR5指向性HIVの感染症へ使用する

CCR5阻害薬(抗HIV薬)の薬理作用

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫の中心的な役割を担うリンパ球(主にCD4というタンパク質を発現しているリンパ球)やマクロファージに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす。

HIV感染症の治療は一般的に、抗HIV薬を複数の種類(複数の成分)併用した強力な多剤併用療法(ART)を行う(なお、ARTは、HIVを抑制する効果がより強力な「キードラッグ」と呼ばれる薬とキードラッグを補いウイルス抑制効果を高める「バックボーン」と呼ばれる薬を組み合わせて実施することが一般的だが、近年では「キードラッグ」を2剤(2成分)組み合わせて行う方法なども治療の選択肢となっている)。

HIVは宿主細胞に侵入し感染を成立させ、感染性ウイルス粒子を放出することで感染を拡大させていく。HIVが宿主細胞に侵入する時は、まず宿主細胞のCD4分子に結合し、その後ケモカインという受容体と結合して宿主細胞に侵入する。HIVが使用するケモカイン受容体には、C-Cケモカイン受容体5(CCR5)とC-X-Cケモカイン受容体4(CXCR4)がありHIVの指向性によって使用する受容体が異なり、CCR5指向性HIV(R5ウイルス)、CXCR4指向性HIV(X4ウイルス)、両方の受容体を使用するHIV(二重指向性HIV)に分かれる。

本剤はHIVと宿主細胞のCCR5との結合を阻害することでウイルスの細胞内への侵入を阻害し感染拡大を阻止する。本剤はCCR5への結合を阻害することからR5ウイルスへは有効だが、X4ウイルスや二重指向性HIVに対しては十分な治療効果が得られない。そのため本剤を使用するにあたり、ウイルスの指向性検査の実施などが特に重要なものとなる。

CCR5阻害薬(抗HIV薬)の主な副作用や注意点

  • 皮膚症状
    • 発疹、脱毛症、紅斑湿疹ざ瘡などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 不眠症、めまい、感情障害、末梢性ニューロパシー、傾眠などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 便秘、腹痛、消化不良、吐き気・嘔吐、下痢などがあらわれる場合がある
  • 血液障害
    • 貧血ヘモグロビン減少、好中球減少、白血球減少、血小板減少などがあらわれる場合がある
  • 肝機能障害
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

CCR5阻害薬(抗HIV薬)の一般的な商品とその特徴

シーエルセントリ

  • マラビロク製剤(略号:MVC)
  • 服用方法などに関して
    • 通常、1日2回服用する
    • 食事の有無に関わらず服用可能
    • サプリメントや健康食品との飲み合わせの中でも特にセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズワート)は摂取を避ける(本剤の血中濃度が著しく低下する可能性がある)