2016.05.29 | ニュース

子どもの胃腸炎に薄めたリンゴジュース!電解質維持液との違いは?

647人で比較

from JAMA

子どもの胃腸炎に薄めたリンゴジュース!電解質維持液との違いは?の写真

電解質維持液を飲むことで、水分と同時に失われやすいナトリウムなどもバランスよく補うことができます。しかし、症状が軽いときにまで必要はあるのでしょうか。胃腸炎の子どもを対象に、薄めたリンゴジュースと比較する研究が行われました。

◆リンゴジュースでちゃんと治るのか?

ここで紹介するカナダの研究では、胃腸炎があるが重い脱水は起こしていない子どもを対象に、電解質維持液を飲ませるか、薄めたリンゴジュースと好きな飲み物を飲ませるかで結果に違いがあるかを調べています。

平均生後28.3か月の子ども647人が対象となりました。対象者はランダムに、リンゴの風味をつけた電解質維持液を飲むグループと、薄めたリンゴジュースと好きな飲み物を飲むグループに分けられました。結果として、脱水を補う点滴や入院が必要になるなど、状態が悪化した割合を比較しました。

 

◆電解質維持液よりも悪化が少ない

次の結果が得られました。

薄めたリンゴジュースを飲んだ子どもは、電解質維持液を与えられた子どもよりも治療失敗が少なかった(16.7% vs 25.0%、差-8.3%、97.5%信頼区間-∞から-2.0%、劣性の検定でP<0.001、優越性の検定でP=0.006)。

薄めたリンゴジュースを飲んだ子どものほうが、悪化する割合が少なくなりました

 

重症でなければ電解質を心配しすぎる必要はなく、特に子どもではリンゴジュースの飲みやすい味や口当たりも関係して、いい結果に結び付くのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis: A Randomized Clinical Trial.

JAMA. 2016 May 10.

[PMID: 27131100]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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