2016.01.06 | ニュース

不必要な抗生物質を使うと下痢になりやすい

30人の子どもを対象に調査
from Journal of epidemiology and community health
不必要な抗生物質を使うと下痢になりやすいの写真
(C) Julija Sapic - Fotolia.com

抗菌薬(抗生物質)は子どもに多い感染症の治療でも重要ですが、使い過ぎが話題になることもあります。研究チームは、抗菌薬の副作用としても知られている下痢の頻度について報告しました。

◆抗菌薬の使用量による比較調査

研究チームは、インドで行われた研究データを使った分析を行いました。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんを対象に、現地で通常使われているとおりに抗菌薬が使われた場合と、不必要な抗菌薬の使用を避けた場合では、下痢の起こる確率にどのような差が見られるのか分析しました。

 

◆不必要な抗菌薬を避けると下痢になりにくい

分析の結果、以下のことが分かりました。

生後6ヶ月以前に使用する不必要な抗生物質を取り除くことによる下痢の発生率の差は、子ども30人において1ヶ月間で-0.28だった(95%信頼区間:-0.46から-0.08)。

この研究から、幼少期に不必要な抗菌薬の使用を避けることで、下痢になる確率が低くなる可能性が示唆されました。

 

この研究はインドでのデータを使ったものであり、必ずしも日本でも同じ結果が得られるとは限りません。しかし、日本でも抗菌薬の使用量が問題視されていることも確かです。抗菌薬は、風邪やノロウイルスなどウイルスに対しては効果がありませんが、細菌性髄膜炎のような病気の治療には重要な薬です。どのような時に抗菌薬を使うべきなのか、その都度医師とよく相談することが大切です。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Reduction in diarrhoeal rates through interventions that prevent unnecessary antibiotic exposure early in life in an observational birth cohort.

J Epidemiol Community Health. 2015 Nov 30. [Epub ahead of print]

[PMID: 26621194]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。