バセドウ病の治療:手術、薬、アイソトープ治療
バセドウ病の治療法は主に手術、薬、
目次
1. バセドウ病の3つの治療法
バセドウ病の主な治療法は次の3種類です。
- 手術
- 薬
- 放射線療法(
アイソトープ 治療)
どの治療が向いているかは人によって異なります。また、それぞれにメリットとデメリットがありますので、以下で順に説明します。
2. バセドウ病の手術に向いている人は誰?
バセドウ病の手術は以下に当てはまる人に向いています。
- 甲状腺腫瘍がある
- すぐに治したい
- バセドウ病の手術は薬やアイソトープ療法よりも早く効果があらわれます
- 妊娠している
- バセドウ病の薬やアイソトープ療法はお腹の子どもに影響する恐れがあるため、手術が良い選択になります
- 薬と放射線療法を試したが治らなかった
- ほかの治療法で効果が十分でなかった場合や再発した場合にも手術なら比較的確実に効果があります
- 薬も放射線療法も使えない
- 胎児に対する副作用の恐れなどで抗
甲状腺 治療薬やアイソトープが使用できないときも手術はできます
- 胎児に対する副作用の恐れなどで抗
ただし、妊娠中に手術をする場合は、
バセドウ病の手術はどんな手術?
バセドウ病の手術は、首の前側にある甲状腺の全部または一部を取り出す方法が一般的です。バセドウ病では甲状腺が異常に働きすぎています。甲状腺の手術をすると、目が飛び出す
手術のメリットとして次のことが言えます。
【バセドウ病の手術のメリット】
- 素早く効果が出る
- 確実に効果が出る
- 甲状腺腫瘍がある場合、一緒に切除できる
- 妊娠中でも胎児に影響を与えない
- 再発が少ない
甲状腺腫瘍がある人、妊娠中の人はほかに強い理由がなければ手術が向いています。素早く、確実に、再発が少ないように治療したいときに手術がおすすめできます。
一方で、デメリットもあります。
【バセドウ病の手術のデメリット】
- 1週間前後の入院が必要
- のどに傷痕が残る
- 簡単な手術ではないので、習熟した医師に切ってもらう必要がある
- 首を通る神経を傷付けて症状を起こすことがある
- しゃべりづらい、飲み込みづらいなど
- 副甲状腺を取ることにより症状が出ることがある
- けいれん、不整脈、感覚異常など
副甲状腺(ふくこうじょうせん)というのは、甲状腺の表面に貼りついている米粒ほどの大きさの臓器です。甲状腺を取り除くときに副甲状腺も一緒に取ってしまうことで、副甲状腺の働きが足りなくなり、不整脈などを起こすことがあります。
また、手術により過剰な
手術にはこのようなデメリットもあるので、まずは薬物療法やアイソトープ療法を試したうえで、必要なら手術をするという考え方が主流になっています。
3. バセドウ病で手術するかを選ぶための5つのポイント
バセドウ病と言われて、手術をするかどうか迷ったら、自分は手術が向いている場合・向かない場合のどちらに当てはまるかを考えてみましょう。
ポイント1:症状が重い
バセドウ病で目が飛び出す、手が震える、息切れがするなどの症状が重く、早く確実に治したいときには手術が向いています。
ポイント2:他に持病がある
バセドウ病のほかにも病気があるときには、同時に治療を考える必要があります。
例えば、甲状腺腫を
ポイント3:以前にもバセドウ病の治療をしたことがある
薬やアイソトープ療法を使ったことがあり、効果不十分や再発で治療したいときは手術が向いています。
ポイント4:妊娠している
妊娠していればバセドウ病の薬とアイソトープ療法は使えません。妊娠5か月程度を過ぎてから手術するのがいいでしょう。
ポイント5:甲状腺腫瘍もある
甲状腺腫瘍の治療は主に手術です。バセドウ病と甲状腺腫瘍が同時にあるときは、手術で甲状腺腫瘍を含めて甲状腺を取り除くのが適しています。
ただし、甲状腺がんがある場合は、
4. バセドウ病の手術をする人が気を付けること
バセドウ病に対して甲状腺の手術をするときには、手術の前と後にそれぞれ気を付けることがあります。
手術前の注意
甲状腺の手術をすると、甲状腺にストレスがかかって甲状腺ホルモンが大量に放出されることがあります。そのため、手術の前に薬を飲んで予防する必要があります。
妊娠が理由で手術を決めたときは、一部の薬が使えません。安全なプロピルチオウラシルや無機ヨード薬を使います。
手術前の薬は間違いなくきっちり飲みましょう。
手術後の注意
手術のあとには手術による問題が起こらないかに気を付けてください。甲状腺の手術で起こりうる問題は主に3種類です。
- 甲状腺ホルモンが不足する
- 甲状腺を取り過ぎて甲状腺ホルモンが不足することがあります。だるい、皮膚がむくんで乾燥するなどの症状が出たらすぐ主治医に知らせてください。取り過ぎないように甲状腺を多く残すとバセドウ病が再発しやすいので、甲状腺ホルモンの不足を防ぐのは非常に難しいです。甲状腺ホルモンを飲んで補充することで対処できます。
- しゃべりづらい、飲み込みづらい症状が出る
- 首を通っている神経、特に反回神経(はんかいしんけい)という神経が手術で傷付いてしまい、しゃべりにくい、飲み込みにくいなどの症状が出る可能性があります。症状を感じたらすぐ主治医に知らせてください。リハビリテーションを行うことで、機能を回復させることができます。
- けいれん、不整脈、感覚異常が出る
- 甲状腺と一緒に副甲状腺が取り除かれ、けいれんが出たり、不整脈や感覚の異常を感じることがあります。これらは薬で治療できますので、症状を感じたらすぐ主治医に知らせてください。
5. バセドウ病の薬はどんな薬? 抗甲状腺薬について
バセドウ病は甲状腺(こうじょうせん)という臓器が働きすぎて、甲状腺ホルモンが多くなりすぎる病気です。バセドウ病で病院に行ったとき出される薬は、抗甲状腺薬(こうこうじょうせんやく)と言って、甲状腺が甲状腺ホルモンを作るのを抑える薬です。
よく使われる抗甲状腺薬は次の2種類です。
- チアマゾール(商品名:メルカゾール®)
- 高い効果があります。妊娠中、授乳中は使えません。
- プロピルチオウラシル(商品名:チウラジール®、プロパジール®)
- 妊娠中にも使うことがある薬です。
バセドウ病を抗甲状腺薬で治療する場合、通常1年以上の治療期間がかかります。
バセドウ病の薬は太る?
抗甲状腺薬自体に肥満や体重増加の副作用はありません。
しかし、バセドウ病の症状として異常な体重減少があらわれることがあります。治療によって症状がなくなった結果、体重が増えてバセドウ病の
チアマゾール(商品名:メルカゾール®)はどんな薬?
チアマゾールは抗甲状腺薬の中でも特に高い効果があり、
チアマゾールの副作用は?
甲状腺ホルモンを減らす作用はかなり高い一方で、薬の成分の一部が胎盤を通過し胎児へ移行することがわかっています。妊娠中にチアマゾールを使用すると、まれに胎児の甲状腺が十分働かなくなったり、甲状腺腫などを引き起こす可能性があります。そのため、近い将来妊娠を希望しているときには、ほかの薬が適しています。
また、チアマゾールは母乳に移行することもわかっています。チアマゾールを使用中は授乳を避けてください。
他の副作用としては、非常にまれですがチアマゾールが無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)を引き起こす可能性があります。無顆粒球症は、
プロピルチオウラシル(商品名:チウラジール®、プロパジール®)はどんな薬?
プロピルチオウラシルは、チアマゾールと同様の仕組みによって甲状腺ホルモンが過剰につくられるのを抑える薬です。チアマゾールのほうが強い作用がありますが、プロピルチオウラシルはより安全性が高い薬になっています。
プロピルチオウラシルの副作用は?
副作用として、非常にまれに無顆粒球症などがあらわれる可能性もありますので注意は必要です。
プロピルチオウラシルは妊娠・授乳していても使える?
プロピルチオウラシルはあまり胎盤を通過しないので、近い将来妊娠を希望する女性に適しています。授乳はできれば避けたほうがいいのですが、希望するときは処方したお医者さんに相談してください。
抗甲状腺薬を使うときの注意
抗甲状腺薬は効きすぎに注意が必要です。効果を出して症状を抑えながら、効きすぎにもならないようにするため、通常は症状の改善を見ながら薬を徐々に減らしていく「漸減」(ぜんげん)という方法を使います。漸減はテーパリングとも言います。
さらに無顆粒球症などが起こらないか監視するために定期的に血液検査をします。
バセドウ病と言われたら、薬を出される前に、いま妊娠しているか、近い将来妊娠を希望するかを伝えてください。
お医者さんも副作用などによく注意していますが、副作用に最初に気付くことができるのは自分です。治療中にもし突然の高熱、寒気、のどの痛みといった症状を感じたら、早めに処方したお医者さんや薬剤師に相談してください。
6. バセドウ病を放射線で治すアイソトープ治療とは?
バセドウ病は甲状腺の働きすぎで起こる病気です。甲状腺の働きを抑える治療にアイソトープ治療があります。
バセドウ病の治療に使うアイソトープとは、「放射性ヨウ素」のことです。主に放射性ヨウ素が入ったカプセルを飲むことによって治療を行います。
甲状腺にはヨウ素を取り込む性質があるので、飲んだ放射性ヨウ素は甲状腺に集まります。すると、放射性ヨウ素からでた放射線が甲状腺の組織の一部を減らし、腫れている甲状腺を小さくしたり、過剰につくられている甲状腺ホルモンを減らして症状を和らげます。
一方で、甲状腺ホルモンが減りすぎることに注意が必要です。
また、放射線を使うので妊娠中や授乳中にはできません。
アイソトープ治療が向いている人は?
「放射性ヨウ素内用療法に関する
- 抗甲状腺薬で副作用があった場合
- 副作用が出た薬はストップして、ほかの治療を試すのがいいでしょう
- 抗甲状腺薬でコントロール不良の場合
- 薬の効果が十分に出ないときは、ほかの治療を試すのがいいでしょう
- 外科的甲状腺手術(亜全摘、片摘)後に再発した場合
- 手術をしても再発したときは、ほかの治療を試すのがいいでしょう
- 患者が手術、抗甲状腺薬の治療を希望しない場合
- バセドウ病の治療にはそれぞれ一長一短があります。主治医に「アイソトープがいいです」と伝えれば、アイソトープ治療が合っているか積極的に考えてもらえます
- 心肺疾患(心不全、不整脈他)、周期性四肢麻痺などにより確実なコントロールを必要とする場合
- 重症のバセドウ病では心臓や手足の運動機能にも症状が出ます。確実に治療しなければ危険がある場合、アイソトープ治療が重要な手段になります
アイソトープ治療をしてはいけない人は?
「放射性ヨウ素内用療法に関するガイドライン」にはアイソトープ治療をしてはいけない人も挙げられています。
- 妊娠または現在妊娠の可能性がある女性
- 授乳婦
アイソトープ治療は放射線を使うので、妊娠中、授乳中は子どもに影響する恐れがあります。妊娠中などは同じ理由でアイソトープ検査もできなくなります。
また、18歳以下の人はアイソトープ治療を慎重に行うべきとされています。18歳以下で、なんらかの理由により他の治療法が選択できない時は、アイソトープ治療をするべきかお医者さんとよく相談してください。
アイソトープ治療の効果を出すために気を付けること
アイソトープ治療では、効果をしっかり出すために気を付けることがあります。
- ヨウ素の摂取を控える
- 治療前の一定期間、ヨウ素を多く含む昆布やひじきなどの海藻類などを食べたり、ヨウ素が入ったうがい薬(例:イソジンガーグル液)を使うのは控えてください。
- 抗甲状腺薬を休薬する
- すでに抗甲状腺薬による治療を行っている場合、アイソトープ治療の少し前から薬をお休み(休薬)してください。
食事制限や休薬が必要な期間は病気の状態などによっても異なるため、お医者さんから期間をしっかり聞いておきましょう。
アイソトープ治療の悪影響を出さないために気を付けること
アイソトープ治療で飲んだ放射性ヨウ素のうち、甲状腺に取り込まれなかったもののほとんどは尿によって排出されます。微量の放射線が体の中から、また尿や便、唾液などからも出ているため、治療後しばらくは周りの人に影響しないように、注意することがあります。
- 数日間は十分に水分を摂る
- 早くアイソトープを体外へ出すために十分に水分を摂ってください
- 数日間はトイレで尿や便を飛び散らせないよう配慮する
- 例えば、水は念のため2回流す、男性は便座に座った状態で排尿するなど
- 数日間はお風呂は最後に入る。家族と一緒に入らない
- 数日間はキスやセックスは避ける
- 数日間はタオルをほかの人と共有しない
- 数日間は衣類の洗濯は別にする。同じ洗濯機を使うときは2回に分ける
- 数週間は子どもや妊婦の近くで長時間過ごすことを避ける
- 添い寝や長時間の抱っこなどはしない
- 6ヶ月間は避妊する
アイソトープ治療は入院が必要?
バセドウ病のアイソトープ治療は多くの場合で入院になります。軽症なら日帰りでアイソトープ治療ができることもあります。入院するときにも、しないときにも、気を付けることを守ってください。入院と関係して注意事項が変わってくる場合もあるので、治療を担当するお医者さんに、注意することを尋ねておいてください。
放射線の影響は?
バセドウ病の治療に使う放射性ヨウ素は放射性物質で、放射線を出します。放射線は大量に浴びると害があります。胎児や成長途上の子供は放射線の影響を受けやすいので、妊娠中や授乳中は放射性ヨウ素を使うべきではありません。
しかし、妊娠や授乳をしていない成人は、バセドウ病のアイソトープ治療をしても安全です。ただし、上記注意点の中でも特に、子どもや妊婦に接触しすぎないことと、避妊することに気を付けてください。
アイソトープ治療後に使う薬とは?
アイソトープ治療は甲状腺の働きを抑えてバセドウ病を治療します。効果が出ると甲状腺ホルモンが減るのですが、甲状腺ホルモンが減りすぎて症状が出ることはかなり多いです。
このためアイソトープ治療のあとは甲状腺ホルモンを飲んで量を調整し、バランスを取ります。
甲状腺ホルモンには
甲状腺ホルモン製剤の副作用は?
甲状腺ホルモン製剤はもともと体内にある
7. バセドウ病の目の症状にステロイドが効く?
バセドウ病で
アイソトープ治療後に一時的に眼の症状が悪化することがあり、予防的にステロイドを使う場合もあります。アイソトープ治療後に目の症状が続く場合にもステロイドが有効です。
ステロイド内服薬は用量を守ることがとても大切です。急にやめたり、処方された用量を変えて飲んだりすると、体内のホルモンバランスが崩れてしまい危険です。
副作用にも注意が必要です。処方した医師や薬剤師から注意点や副作用が出たときの対処をよく聞いておき、正しく使ってください。ステロイド内服薬の副作用についてはコラム「ステロイド内服薬の副作用とは」で詳しく説明しています。
8. バセドウ病の症状を和らげるβ遮断薬とは?
バセドウ病では甲状腺に働く薬以外にも、
β遮断薬という薬は、主に狭心症、不整脈、高血圧などの病気で使われている薬で、心臓の拍動をゆっくりにし、血圧を下げる作用があります。β遮断薬の作用により、動悸や震えの症状を改善することが期待できます。バセドウ病に使われているβ遮断薬の例としてプロプラノロール(商品名:インデラル®など)などがあります。
抗甲状腺薬の効果があらわれて動悸がなくなれば、β遮断薬をやめることができます。
β遮断薬の副作用は?
β遮断薬をもともと血圧が低い人が使う場合には注意が必要です。血圧低下によるめまいやふらつきが起こることがあります。また、β遮断薬には
9. バセドウ病に効く漢方薬とは?
バセドウ病による動悸、手足の震え、暑がり、汗をかく、イライラするなどの症状には漢方薬が有効な場合があります。バセドウ病の症状に効果が期待できる漢方薬をいくつか挙げて説明します。
炙甘草湯(シャカンゾウトウ)
疲れやすく、動悸や息切れがあるような症状に対して効果が期待できる漢方薬です。
脈が速い、動悸、息切れ、貧血などに加えて、疲労感、手足のほてり、口の渇きなどが伴う症状に対して適しています。
炙甘草(シャカンゾウ)という生薬が主な成分です。炙甘草は多くの漢方薬に含まれる甘草(カンゾウ)をあぶったものです。他にも地黄(ジオウ)、麦門冬(バクモンドウ)、桂皮(ケイヒ)など計9種類の生薬を含んでいます。
注意したいのは、麻子仁(マシニン)という下剤作用をあらわす生薬を含むことです。お腹が緩くなる可能性があるので便秘気味な人には適しますが、お腹の下りには注意が必要です。
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
比較的体力があり、動悸、不安やイライラ、肩こりなどがあるような症状に効果が期待できる漢方薬です。
抗ストレス作用がある柴胡(サイコ)、不安や不眠、胃痛などに効果が期待できる牡蠣(カキ)の貝殻が原料となった生薬の牡蛎(ボレイ)などを含みます。
白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
比較的体力があり、ほてりや喉の渇きがあるような症状に効果が期待できる漢方薬です。
汗をかいたり、のぼせ、熱感、
体内の熱や口の渇きなどを改善する働きをあらわす石膏(セッコウ)、脱水を抑え渇きを改善する働きをあらわす粳米(コウベイ)などの生薬成分を含んでいます。
石膏などによる下痢や食欲不振などの胃腸症状があらわれる場合があり、胃腸が弱い人は注意が必要です。
苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)
立ちくらみのようなめまいやふらつきなどの症状に効果が期待できる漢方薬です。体力が中等度からやや不足気味の人に使われ、動悸や息切れ、脱力感など、バセドウ病であらわれる症状に対しても効果が期待できます。
尿を出しやすくする茯苓(ブクリョウ)、水分の流れを改善する蒼朮(ソウジュツ)などの生薬を成分として含みます。
漢方薬の注意点は?
上で挙げたほかにも、体力が虚弱気味で疲れやすく、動悸、息切れなどへの柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)などがバセドウ病の症状改善に使われることがあります。
一般的に漢方薬は副作用が少なく、体質や症状に合った薬を使った場合の安全性は非常に高い薬です。ただし、副作用が全くないわけではなく自然由来の生薬成分自体が体質や症状に合わなかったりすることもあります。また、生薬成分の適正な量を超えて服用した場合などでは好ましくない症状があらわれることもあります。
特に甘草(カンゾウ)は、漢方薬の約7割に含まれる生薬成分で、炙甘草湯、苓桂朮甘湯、白虎加人参湯、柴胡桂枝乾姜湯にも含まれていますが、他の病気で既に漢方薬を服用している場合や甘草の成分(グリチルリチン酸)を含む製剤(グリチロン®配合錠など)を服用している場合などでは、甘草の過剰な摂取に繋がる可能性もあります。これにより偽
万一漢方薬による症状があらわれたとしても多くは漢方薬を中止することで解消できます。適切な漢方薬を使うためには、自身の体質や症状、現在使用している薬などをしっかりと医師や薬剤師へ伝えることが大切です。
10. バセドウ病の診療ガイドラインはある?
バセドウ病のガイドラインとして『バセドウ病治療ガイドライン2019』があります。日本甲状腺学会が作成したものです。
『バセドウ病治療ガイドライン2019』は書店などで購入でき、これを参照することで診療に役立てられます。ただし、ガイドラインはあくまでも指針の一つであり、お医者さんは患者さんの一人ひとりの状態に合わせて最も良い治療を選びます。