最近疲れやすさを感じる様になった40代女性
バセドウ病の症状は、気のせいかなと思って済ませてしまいがちです。特に女性では性
目次
1. 疲れやすさが目立つようになってきた
40代中頃の女性の鈴木さんは、最近疲れやすくなった気がしています。仕事に一生懸命、遊びにも一生懸命のライフスタイルで今まで過ごしてきましたが、どうも週明けに疲れが抜けていないと感じる機会が増えています。
気付けば仕事でもイライラしてカーっとなることがあります。
あるとき、鈴木さんは後輩のミスを見て強く叱責してしまいました。叱責しながら
「あれ、今までだったら私がかばってあげたんじゃなかったかな?」
ふと我に返ってみるとこんな疑問が浮かんできます。
「最近疲れてるのかな?」
そんなことを思いながら、鈴木さんは心の奥に不安を抱えています。友達との話で聞いた更年期障害ではないかという気持ちです。更年期障害は同世代の友達との会話にもちょくちょく挙がってくるようになりました。
鈴木さんは自分に起こっている最近の変化を冷静に振り返ってみました。
ポイント:バセドウ病の症状は更年期障害の症状によく似ている
鈴木さんには疲れやすい・イライラする・動悸といった症状が出ています。これは更年期障害でも出やすい症状です。しかし、バセドウ病でも同じ症状が出ます。バセドウ病と更年期障害で共通の症状は以下になります。
- 顔
- 顔がほてる
- 皮膚
- かゆみが出る
- 毛が抜けやすくなる
- 心臓
- 脈が早くなる
- ドキドキする
- すぐに息切れするようになる
- 胃腸
- 食欲が増す/落ちる
- 口が乾く
- 心理
- イライラする
- 集中力が落ちる
- 落ち着かない気持ちになる
- 眠れなくなる
- 全身
- 暑がりになる
- 疲れやすくなる
- だるさが出る
バセドウ病に特徴的な、
バセドウ病の症状について詳しくは「バセドウ病の初期症状は甲状腺の腫れ?目、首、震え、汗、生理にも注意」で説明します。
2. 同僚に表情が変わったと指摘される
疲れている影響か更年期障害のせいであろうと思いながらも、鈴木さんはいつものように仕事を頑張っていました。その2週間後、友人たちと旅行にでかけた時のことです。鈴木さんは友人から「なんか最近疲れてる? 表情が変わった気がするよ。もっとリラックスしなくちゃね。」と言われました。なんだか痛いところを突かれて、沈む気持ちとやっぱりそうかという気持ちで鏡を見てみると、愕然としました。いつもの自分と違うギョロッとした目つきになっているのです。これはもしかしてと思い出したのがバセドウ病という病気の名前でした。
鏡を合わせて横顔を見ると、目が飛び出てはいないようです。安心していいものかどうか、一体何が起こって表情が変わったんだろうという落ち着かない気持ちが襲ってきました。
ポイント:バセドウ病になると表情が変わることが多い
バセドウ病になると眼に症状が出ることが多いです。
特に多い症状は以下になります。
- 目がとび出る
まぶた が閉じきれなくなる- まぶたが腫れているように見える
このように、眼がギョロッとしたり、まぶたが厚くなったりするため表情が変わったと認識されることは多くなります。
3. 思いがけなくバセドウ病と診断される
目が飛び出ていないのでバセドウ病ではないかもしれないと思うものの、更年期障害で表情が変わるのはおかしいと感じた鈴木さんは、病院に行くことにしました。
近所の
「今日はどうしましたか?」
鈴木さんはことのいきさつをお医者さんに話しました。するとお医者さんは「バセドウ病かもしれませんね。
ポイント1:バセドウ病は代謝内分泌内科が専門
バセドウ病は甲状腺の病気です。
詳しくは「甲状腺の病院は何科?耳鼻科、内分泌内科、一般内科のメリット・デメリット」で説明します。
ポイント2:バセドウ病で目のとび出ないことは結構多い
バセドウ病の症状の中でも、目が飛び出るという症状は特に有名です。しかし、実は目が飛び出る症状はバセドウ病の3割の人にしか出ないといわれています。バセドウ病では、まぶたが閉じきれないことが多く、目がとび出なくてもギョロ目になってしまうために目が飛び出ているように見えることがあります。
4. バセドウ病の治療方法を選択する
鈴木さんは代謝内分泌内科を紹介されて行ってみました。身体の診察を終えたところで、代謝内分泌内科のお医者さんは「甲状腺が腫れていますね。おそらくバセドウ病だと思いますが、血液の検査と
1週間後に検査の結果を聞きに来た鈴木さんは「血液の検査結果が出ました。バセドウ病です。治療のことで相談しましょう。」と言われました。
「バセドウ病の治療方法は3通りあります。薬を飲む・放射線を活用した薬を飲む・手術をするのいずれかになります。鈴木さんはまずは薬を飲むのが良いかもしれません。」
鈴木さんは放射線も手術も少々大仰に聞こえたので「わかりました。おねがいします。」と答えました。
ポイント:バセドウ病の治療は3種類ある
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰になってしまう病気です。バセドウ病の治療には、甲状腺ホルモンを出させなくする薬・放射線の飲み薬・手術の3パターンがあります。
- 甲状腺ホルモンを出させなくする薬
- 薬で過剰な甲状腺ホルモンを減らせます。ホルモンの量を見ながら最も適切な薬の量を決めます。1-2年薬を飲めばバセドウ病が治る人もいますが、なかなか治らないことも多く、放射線の飲み薬か手術に切り替えることになります。
- 放射線を活用した薬
アイソトープ 治療という治療のことです。甲状腺にヨードが集まりやすいことを利用して、放射線を出すヨードを飲んで甲状腺の細胞を減らします。甲状腺ホルモンが減りすぎることが多く、甲状腺ホルモンを飲み薬で補充することで適切な量に調整します。
- 手術
- 甲状腺を切除する手術は素早く甲状腺ホルモンを減らすのに適しています。手術後に甲状腺ホルモンを補充する必要が出てくることが多いです。
治療後に甲状腺ホルモンを補充するぐらいなら、治療しないほうが良いのではないかという疑問が生まれます。しかし、やり過ぎることがあっても治療はしたほうが良いです。
バセドウ病は
これは特に出産を考えている人には大きなことになります。子供に免疫のバランスの乱れが伝わることがあるのですが、治療しておけばこれを予防できます。
手術について詳しくは「バセドウ病は手術で治る?甲状腺の手術に向いている人と待つべき人」の項で、薬とアイソトープ治療については「バセドウ病の薬の効果と副作用は?抗甲状腺薬、アイソトープ治療など」の項で説明しています。
5. どんな生活をすればよいのか
鈴木さんは飲み薬で治療していくことにしました。しかし、まだ不安がないわけではありません。バセドウ病を治療しているとき、日常生活はどうすればよいのでしょうか。
ポイント1:バセドウ病の人は運動してはいけないのか?
バセドウ病の人は運動しても大丈夫です。ただし、動悸や息切れの症状が出ているときに運動することは身体に負担がかかりすぎてしまうので避けたほうが良いです。症状が強くないときの運動はストレスの解消にもなるので、むしろおすすめになります。治療開始時は症状が強いことが多いので、治療を始めて少し状況が落ち着いてから運動を再開するようにして下さい。
ポイント2:バセドウ病の人は食事をどうすればよいのか?
バセドウ病で食べてはいけないものはありません。ヨードを多く含む食事を摂っても長期的には影響ありません。一般的な注意点と同じですが、バランスを考えた食事を摂りましょう。バセドウ病はストレスで悪化することがあります。あまり考えすぎずに食事を楽しむ事のほうが大切です。
6. 2年で甲状腺ホルモンが落ち着いたので治療を終了できた
その後、鈴木さんはバセドウ病の治療としてメルカゾール®という薬を飲み始めて2年経ったときに、ホルモンバランスが落ち着いたので飲み薬を中止できました。
このようにバセドウ病はしっかりと治療することで治ることもあります。治療法は大きくわけて3種類(薬物治療・アイソトープ治療・手術療法)ありますが、自分の状況に合わせてそこから選択する必要があります。
バセドウ病にお悩みの人は、ぜひこのサイトの他のページも参考にしてください。