ばせどうびょう(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
若い女性に多く、甲状腺から過剰に甲状腺ホルモンが分泌される病気。症状は汗、動悸、手の震え、体重減少、下痢が多く、眼球突出は3割ほどの人に起こる
16人の医師がチェック 154回の改訂 最終更新: 2018.11.02

バセドウ病の治療:妊娠や副作用も考える手術、薬、放射線の選び方

バセドウ病の治療法は主に手術、薬、放射線療法の3種類です。手術は妊娠中や早く治したいときに適しています。放射線療法は妊娠中・授乳中に使えないほか、食事の注意があります。薬の効果・副作用とあわせて説明します。

1. バセドウ病の3つの治療法

バセドウ病の主な治療法は次の3種類です。

  • 手術
  • 放射線療法(アイソトープ治療)

それぞれに向いている場合と良い点・悪い点があります。順に説明します。

2. バセドウ病の手術が向いている人は誰?

バセドウ病の手術は以下に当てはまる人に向いています。

  • 甲状腺腫瘍がある
  • すぐに治したい
  • 妊娠している
  • 薬と放射線療法を試したが治らなかった
  • 薬も放射線療法も使えない

ただし、妊娠中に手術をする場合は、早産流産を防ぐ必要があります。妊娠5-7ヶ月になって安定期に入ってから手術をすることが望ましいです。

詳しくは「バセドウ病は手術で治る?甲状腺の手術に向いている人と待つべき人」で説明しています。

バセドウ病の手術はどんな手術?

画像:甲状腺の場所の図。バセドウ病の手術は甲状腺の一部または全部を取り出す。

バセドウ病では甲状腺が異常に働きすぎています。

バセドウ病の手術は、首の前側にある甲状腺の全部または一部を取り出す方法が一般的です。

甲状腺の手術をすると、目が飛び出す症状も収まることが多いです。

手術の良い点として次のことが言えます。

  • 素早く効果が出る
  • 確実に効果が出る
  • 甲状腺腫瘍がある場合、一緒に切除できる
  • 妊娠中でも胎児に影響を与えない
  • 再発が少ない

悪い点としては以下があります。

  • 入院が必要
  • のどに傷痕が残る
  • 簡単な手術ではないので、習熟した医師に切ってもらう必要がある
  • 首を通る神経を傷付けて症状を起こすことがある
    • しゃべりづらい、飲み込みづらいなど
  • 副甲状腺を取ることにより症状が出ることがある
    • けいれん、不整脈、感覚異常など

入院期間は?

バセドウ病の手術では通常1週間前後の入院になります。

3. バセドウ病の薬はどんな薬は?

バセドウ病の治療薬として抗甲状腺薬が使われます。よく使われる抗甲状腺薬は次の2種類です。

  • チアマゾール(商品名:メルカゾール®)
    • 高い効果があります。妊娠中、授乳中は使えません。
  • プロピルチオウラシル(商品名:チウラジール®、プロパジール®)
    • 妊娠中にも使うことがある薬です。

詳しくは「バセドウ病の薬の効果と副作用は?抗甲状腺薬、アイソトープ治療など」で説明しています。

服用期間は?

バセドウ病を抗甲状腺薬で治療すると、通常1年以上の治療期間がかかります。

バセドウ病の薬は太る?

抗甲状腺薬自体に肥満や体重増加の副作用はありません

薬の取扱説明書にあたる添付文書には副作用も記載されていますが、チウラジールの副作用メルカゾールの副作用ともに、肥満や体重増加は記載されていません。浮腫むくみ)などは記載されていて、副作用として現れる可能性があります。

一方、バセドウ病の症状として異常な体重減少が現れることがあります。治療によって症状がなくなった結果、体重が増えてバセドウ病の発症前まで戻ることはありえます。これは薬の副作用ではなく、手術でも放射線療法でも同じです。

4. バセドウ病の放射線療法(アイソトープ治療)が向いている人は誰?

「放射性ヨウ素内用療法に関するガイドライン」では、次の場合に放射線療法が勧められています。

  • 抗甲状腺薬で副作用を認めた場合
  • 抗甲状腺薬でコントロール不良の場合
  • 外科的甲状腺手術(亜全摘、片摘)後の再発
  • 患者が手術、抗甲状腺薬の治療を希望しない場合
  • 心肺疾患(心不全不整脈他)、周期性四肢麻痺などにより確実なコントロ ールを必要とする場合

放射線を使うので、妊娠中・授乳中は放射線療法ができません。

詳しくは「バセドウ病の薬の効果と副作用は?抗甲状腺薬、アイソトープ治療など」で説明しています。

バセドウ病の放射線療法とは?

バセドウ病の放射線療法は、甲状腺を放射線で弱くする治療法です。アイソトープ治療とも言います。

放射線療法には放射性ヨウ素を飲みます。飲んだ放射性ヨウ素は甲状腺に集まります。

放射性ヨウ素は甲状腺の中で放射線を放出します。すると甲状腺は放射線の効果で弱くなります。

バセドウ病の放射線療法は数日程度入院して行うことが多いです。

5. バセドウ病の治療中に食事はどうする?

バセドウ病には食事に含まれるヨウ素が関係しています。ヨウ素を多く含む食品を下の表にまとめます。

表 食品100gあたりのヨウ素含有量

食品

ヨウ素含有量

こんぶ

200-300mg

とろろこんぶ

200-300mg

ひじき

30mg

わかめ

10mg

寒天

2mg

味付け海苔

7.5mg

青のり

6.5mg

海苔の佃煮

0.5mg

(「バセドウ病治療ガイドライン2011」より)

ヨウ素の摂取量は1日250μgから10mgが適切です。適切な量のヨウ素を摂取していれば、バセドウ病にはほとんど影響がありません。「バセドウ病にいい食事はある?甲状腺とヨードの関係」でも説明しています。

ただし、放射線療法をするときは特に注意が必要です。放射線療法の前の一定期間は、ヨウ素を多く含む食品は避けてください。
 

6. バセドウ病の診療ガイドラインはある?

バセドウ病の診療ガイドラインとして『バセドウ病治療ガイドライン2011』があります。日本甲状腺学会が作成したものです。

『バセドウ病治療ガイドライン2011』は書店などで購入でき、主治医が参照することで診療に役立てることができます。

7. バセドウ病の病院は何科?

バセドウ病の治療は代謝内分泌内科や乳腺甲状腺外科が専門です。近くに専門の診療科がないときや、まだ診断されていないときは症状に応じて耳鼻咽喉科や一般内科で相談してください。詳しくは「甲状腺の病院は何科?耳鼻科、内分泌内科、一般内科のメリット・デメリット」で説明しています。