[医師監修・作成]バセドウ病の診断方法は?症状、甲状腺の検査でわかること、検査を受けることのできない人 | MEDLEY(メドレー)
ばせどうびょう(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
若い女性に多く、甲状腺から過剰に甲状腺ホルモンが分泌される病気。症状は汗、動悸、手の震え、体重減少、下痢が多く、眼球突出は3割ほどの人に起こる
16人の医師がチェック 154回の改訂 最終更新: 2018.11.02

バセドウ病の診断方法は?症状、甲状腺の検査でわかること、検査を受けることのできない人

目が飛び出す症状はバセドウ病では出ないことのほうが多いです。ほかの症状を手がかりに、甲状腺の検査をすることで診断がつきます。血液検査やアイソトープ検査からわかることを説明します。

1. こんな人はバセドウ病かも?

バセドウ病が心配になったら、年齢・性別や症状をチェックしてみてください。

  • 女性
  • 20代から30代
  • 目が飛び出してきた
  • 甲状腺が腫れている
  • 手が震える
  • 汗をかく
  • 脈拍が1分に100回以上
  • 体重が最近1か月で1kg以上減った

当てはまるものが多ければ、代謝内分泌内科などで相談しましょう。

甲状腺が腫れているかどうかは、正常な甲状腺の図を参考にしてください。

甲状腺の場所の画像:甲状腺は首の前側、のどぼとけの下、気管の前面で左右の頚動脈の間にある

鏡などを使って横から見たときに甲状腺の部分が盛り上がって見えたら腫れています。触ってみても、周りより膨らんでいると感じたら腫れています。バセドウ病では甲状腺全体が右も左も同じぐらい腫れてきます。

症状について詳しくは「バセドウ病の初期症状は甲状腺の腫れ?目、首、震え、汗、生理にも注意」で説明しています。

2. バセドウ病の検査はなにをするの?

バセドウ病にかかった人を思い浮かべてみましょう。病院に行く前にはこんなことが気になってきます。

40代女性の鈴木さんは、最近目がギョロっとしてきたのが気になって、バセドウ病ではないかと思っています。
心配なので仕事を一日休んで病院に行くことにしました。
病院ではどんなことを聞かれて、どんな検査があるのでしょうか?

問診

問診では気になっている症状などを聞かれます。よく聞かれることを挙げます。

  • なにに困っているか
  • どんな症状が出ているか
  • いつから症状が出ているか
  • 今までどんな病気にかかったことがあるか
  • 家族にバセドウ病の人はいるか
  • タバコは吸うか

どんな症状があるかをなるべく詳しく伝えてください。自分の身体の変化には自分が一番気付きやすいので、お医者さんが診察して見つけられないことも教えてあげられるかもしれません。

問診だけで原因の病気がかなりわかってくるので、問診はとても大事です。

身体診察

バセドウ病を調べるには、全身をくまなく診察されます。甲状腺の病気なのになぜ全身を調べるのか気になるかもしれませんが、バセドウ病の症状は全身に出ます。特に顔と首と手足、心臓に症状が出ることが多いので、出やすい症状がないか診察されます。

血液検査

バセドウ病を診断する上で血液検査は非常に重要です。バセドウ病は免疫のバランスが崩れて甲状腺ホルモンが過剰な状態になる病気ですので、甲状腺ホルモンや免疫に関して調べることになります。

  • 甲状腺ホルモン(T3/fT3、T4/fT4)
    • バセドウ病では甲状腺ホルモンの量が多くなります。検査値ではT3(トリヨードサイロニン)、T4(サイロキシン)、fT3、fT4が甲状腺ホルモンの量を調べています。
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
    • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は甲状腺に甲状腺ホルモンを作らせるホルモンです。バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰なため、甲状腺を休ませようとしてTSHは少なくなります。
  • 自己抗体(TRAb、TSAb)
    • 自己抗体とは自分の免疫が自分の臓器を攻撃しだした時に出てくる物質です。バセドウ病では自己抗体が甲状腺を攻撃して異常を起こしています。TRAbとTSAbという自己抗体は、バセドウ病だと量が多くなります。
  • 一般的な血液検査
    • バセドウ病では、血液検査の一般的な項目にも異常が出やすくなります。
      • コレステロール値の低下
      • アルカリフォスターゼ(ALP)値の上昇
      • 血糖値の上昇
      • 肝障害の検査値(AST、ALT、γ-GTP)の上昇

甲状腺ホルモンとTSHの数値の見方について詳しくは「甲状腺ホルモンとは?甲状腺の働きと血液検査の読み方」で説明しています。甲状腺ホルモンが多く、TSHが少なく、自己抗体が多ければバセドウ病の疑いが強くなります。

アイソトープ検査

アイソトープ検査は甲状腺が甲状腺ホルモンを盛んに作っているかを調べる検査です。

甲状腺ホルモンの量が多いときに、バセドウ病とほかの原因を区別する役に立ちます。

アイソトープ検査は、微量の放射線を出すヨウ素を注射します。甲状腺は甲状腺ホルモンをつくるために必要なヨウ素を取り込んで集めるので、放射線を測定すると、甲状腺にヨウ素が集まっている様子がわかります。

バセドウ病では甲状腺の全体にヨウ素が集まります。

アイソトープ検査をしてはいけない人

鈴木さんは病院でバセドウ病かもしれないと言われ、検査を受けることにしました。
検査の説明のときに「いま妊娠していたり、これから妊娠しようと考えていますか?」と聞かれました。
妊娠するつもりはないので正直に答えたのですが、妊娠していると何が違うのでしょうか?

アイソトープ検査は、レントゲン写真やCTと同じように、放射線を使う検査です。微量の放射線なので、一般的な生活をしている人には問題ありません。しかし、妊娠している人は念のためアイソトープ検査を避けてください。また、アイソトープ検査を行ってから6ヶ月くらいは妊娠しないほうが良いと考えられています。

妊娠予定のある女性が病院に行くときは、最後の生理の日を必ず伝えるようにしてください。

エコー検査

エコー検査(超音波検査)は身体の中を見る画像検査です。のどにジェルを塗って超音波を出す機械(プローブ)を当てるとモニターに画像が出ます。甲状腺の形や大きさ、甲状腺の血流が画像でわかります。

アイソトープ検査と違って、エコー検査は妊婦にも安全です。

3. バセドウ病の診断基準

バセドウ病の診断には基準が決められています。専門的ですが、まずは基準を見てみましょう。

  1. 症状
    1. 頻脈、体重減少、手が震える、発汗が増えた
    2. 甲状腺が腫れている(首が太くなった)
    3. 眼球が突出するなどの目の症状
  2. 検査結果
    1. fT3とfT4のどちらかあるいは両方が血液中に多い
    2. TSHが血液中に少ない
    3. TRAbやTSAbが血液中に多い
    4. アイソトープ検査で甲状腺全体に異常がある

【診断】

  • バセドウ病:1.のabcのいずれか1つ以上+2.のabcdの4つ全て
  • バセドウ病がかなり疑わしい:1.のabcのいずれか1つ以上+2.のabcの3つ
  • バセドウ病が疑わしい:1.のabcのいずれか1つ以上+2.のabの2つ+3ヶ月以上fT3とfT4が高い

大まかに言うと、次の3か条に当てはまればバセドウ病です。

  • バセドウ病らしい症状がある
  • 血液検査で異常がある
  • アイソトープ検査で異常がある

バセドウ病ではないと診断された場合、ほかの原因を探すことになります。「甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症の原因、症状、治療」の項を参考にして下さい。

4. バセドウ病の治療法は?

バセドウ病は薬や手術で治せる病気です。妊娠している女性や、すぐに治したい人は手術が向いています。バセドウ病かもしれないと思ったら、代謝内分泌内科などで相談してください。

詳しくは「バセドウ病の治療:妊娠や副作用も考える手術、薬、放射線の選び方」で治療法によるメリット・デメリットを比較しています。