かすいたいせんしゅ
下垂体腺腫
脳の下垂体にできる良性腫瘍。様々なホルモンを大量に作り、ホルモンによる症状が出ることが多い
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最終更新: 2023.06.23
下垂体腺腫の基礎知識
POINT 下垂体腺腫とは
脳には下垂体という臓器があり、身体の成長や維持のために必要なホルモンを分泌しています。下垂体腺腫はホルモンの分泌に異常を起こすもの(機能性下垂体腺腫)と起こさないもの(非機能性下垂体腺腫)の2つに大別されます。異常な分泌が起きたホルモンの種類や腫瘍が大きくなったことによる周りへの影響によって現れる症状が異なります。下垂体腺腫が疑われる人には頭部MRI検査などの画像検査や血液検査が行われます。専門的な検査や治療は内分泌内科や脳神経外科で行われるので、当てはまる症状がある人は受診をお勧めします。
下垂体腺腫について
- 脳の
下垂体 というところにできる良性腫瘍 - 病気の分類
機能性 下垂体腺腫:腫瘍 が下垂体ホルモン を大量に作ってしまい、そのホルモンが多すぎることによって症状があらわれる- 非機能性下垂体腺腫:腫瘍自体は、下垂体ホルモンを作らない
- 全脳腫瘍の約20%を占める、比較的多い腫瘍
- 成人に多い
- 機能性は30代に多い
- 非機能性は50代に多い
- 成人に多い
- 下垂体腫瘍の中の内訳
- 非機能性腺腫 (約40%)
- プロラクチン産生腺腫(プロラクチノーマ) (約30%)
- 成長ホルモン産生腺腫 (約20%)
副腎皮質刺激ホルモン 産生下垂体腺腫 (約5%)甲状腺 刺激ホルモン産生下垂体腺腫 (約1%)- その他 (約4%)
下垂体腺腫の症状
- 増えてくる
腫瘍 細胞が、下垂体 ホルモン を作るかどうかによって、様々な症状があらわれる 機能性 下垂体腺腫で起こることが多い症状- 非機能性下垂体腺腫で起こることが多い症状
- 視神経の圧迫によって起こる症状
- 視野障害
- 視力低下
- 正常な下垂体を圧迫することで起こる症状
- 下垂体ホルモンの作られる量が落ちる(下垂体前葉機能低下症と呼ぶ)
- 無月経(女性)
- 勃起不全、性欲低下(男性)
- 視神経の圧迫によって起こる症状
下垂体腺腫の検査・診断
- 血液検査、尿検査:
ホルモン の値を調べる 視力検査 :視野や視力を調べる- 画像検査:
腫瘍 の状況を検査頭部MRI 検査:腫瘍の大きさや位置を調べる
下垂体腺腫の治療法
ホルモン 不足による症状に対しては、ホルモン薬で補う- 症状がある場合は、基本的には手術で全摘出を目指す
- 症状がなくても
腫瘍 の大きさなどによって手術を検討する
- 症状がなくても
- 主な手術:腫瘍の状況によって「開頭手術」か「経鼻
内視鏡 手術」が選択される- 開頭手術
- 経鼻内視鏡的手術
- 経鼻内視鏡的手術は特に専門性が高く、行える施設は限られている
- 腫瘍の大きさ、部位、周囲構造との関係によっては、複数回の手術が必要な場合もある
放射線治療 - 周囲の血管、動脈、脳などに
癒着 し、全摘出が難しい場合に行う
- 周囲の血管、動脈、脳などに
- 術後に様々なホルモンのバランスが崩れることがあるが、多くの場合は
内服薬 でコントロールできる - 再発率が高いため、治療後も定期的に経過を観察する必要がある
- 小さな非
機能性 下垂体腺腫の場合は、定期的に頭部MRI や血液検査でホルモンの値を確認し経過観察 する