かすいたいぜんようきのうていかしょう
下垂体前葉機能低下症
脳にある下垂体前葉という部分からホルモンが出にくくなり、様々な症状が出る病気
9人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2019.01.08

下垂体前葉機能低下症の基礎知識

POINT 下垂体前葉機能低下症とは

下垂体という脳の一部からホルモンが出にくくなり、さまざまな症状が現れる病気のことです。低下する原因としては頭の怪我、腫瘍、炎症などさまざまです。下垂体機能が低下すると疲れやすくなったり血圧が低くなったり、体重が減少したりします。血液検査や頭部MRI検査によって原因や程度が詳しく調べられます。機能が低下した原因に合わせて治療が行われます。必要に応じてホルモンの補充が行われ、長期間の服用が必要な場合があります。下垂体前葉機能低下症は内分泌内科で検査や治療が行われます。

下垂体前葉機能低下症について

  • 脳にある下垂体という部分から出るホルモンが量が少なくなり、様々な症状が出る病気
    • 下垂体は「前葉」と「後葉」に分けられる
    • 下垂体の前葉は、食欲や体温、体の成長などの調整を行う
      • 副腎皮質刺激ホルモン副腎皮質ホルモンの分泌をコントロール)
      • 甲状腺刺激ホルモン(甲状腺ホルモンの分泌をコントロール)
      • 成長ホルモン(体の成長を促す)
      • 卵胞刺激ホルモン(卵巣に作用して卵胞を刺激し、卵胞の成長を促す)
      • 黄体形成ホルモン(排卵を促す)
      • プロラクチン(母乳の分泌を促す)
    • 下垂体の後葉は、排尿や乳汁を調節する
      • バソプレシン(尿の量を減らす)
      • オキシトシン(乳汁の分泌を促す)
    • 下垂体の機能が低下すると、これらの調整機能が低下する
  • ホルモンが低下する原因

下垂体前葉機能低下症の症状

  • 分泌量が低下するホルモンの種類により、症状が異なる
  • 副腎皮質刺激ホルモンの場合
  • 甲状腺刺激ホルモンの場合
    • 寒がり、体温が低い
    • 毛が抜ける
    • 皮膚が乾燥して荒れる
    • 脈拍が少ない
    • 声が低くなる
    • 元気がなくなり、ぼーっとする
    • 便秘
  • 成長ホルモンの場合
    • 子どもの場合:成長障害(身長が低いなど)
    • 大人の場合:体脂肪が増える、筋肉が減る
    • 骨粗しょう症(骨がもろくなる)
    • スタミナがなくなる
  • 黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの場合
    • 子どもの場合
      • 思春期に二次性徴(男らしく、女らしくなる成長)が遅い
    • 大人の男性の場合
      • 性欲が低下する
      • 勃起しにくくなる
    • 大人の女性の場合
      • 月経(生理)がなくなる
      • 妊娠しにくくなる

下垂体前葉機能低下症の検査・診断

  • 血液検査:血液中のホルモンの値や血糖値・電解質貧血の程度などを調べる
    • ホルモンの分泌を刺激するホルモンを点滴して反応を調べる(負荷試験)
  • 頭部MRI下垂体の状態を調べる

下垂体前葉機能低下症の治療法

  • 主な治療
    • 機能低下を引き起こした原因の治療を行う
      • 腫瘍が原因の場合は手術や放射線療法化学療法など
    • ホルモン補充療法:足りなくなったホルモンを補充する
  • 下垂体が元の状態に回復することはまれでありホルモン補充療法は一生続くことが多い
    • 副腎皮質刺激ホルモンが低下している人に、感染症、発熱、けが、手術などのストレスが加わったときは薬を増やす必要がある

下垂体前葉機能低下症のタグ

下垂体前葉機能低下症に関わるからだの部位