せんたんきょだいしょう(きょじんしょう)
先端巨大症(巨人症)
成長ホルモンの過剰分泌により起こる。若いころに起これば巨人症、大人になってから起こると先端巨大症となる
9人の医師がチェック 121回の改訂 最終更新: 2018.11.21

先端巨大症(巨人症)の基礎知識

POINT 先端巨大症(巨人症)とは

成長ホルモンの過剰な分泌によって起こる病気で、成長期に起こると巨人症になり、大人になってから起こると先端巨大症になります。成長ホルモンの過剰な分泌は下垂体という脳からぶら下がったような位置にある臓器の異常によって起こることもあります。先端巨人症では手足が大きくなる、下あごが出ている、汗をかきやすいといった特徴的な症状が現れます。先端巨人症が疑われる場合は血液検査や画像検査によって診断が行われます。下垂体に異常がみつかった場合は、その大きさや症状を鑑みて手術をするかどうかが決められます。また、成長ホルモンを抑える薬によって治療することもできます。先端巨大症が心配な人は脳神経外科や内分泌内科を受診してください。

先端巨大症(巨人症)について

  • 成長ホルモンが過剰に分泌されることによって外見などに変化が出る病気
  • 成長ホルモンを分泌する下垂体(脳の奥にある)にできる良性腫瘍下垂体腺腫)が原因で起こる
  • 骨の成長が可能な時期に成長ホルモンがたくさん出ると巨人症になり、大人になってから起こると先端巨大症になる
  • 日本全国で推定1万人程度いる
    • 男女の差はないと言われている
    • 40~50歳代の先端巨大症で見つかることが多い
    • まれに10歳後半〜20歳代で高身長の人で見つかることがある

先端巨大症(巨人症)の症状

  • 外見に特徴がある他、全身に症状が現れる
    • 症状には成長ホルモンの過剰分泌によるものと下垂体腺腫によるものがある
  • 成長ホルモンの過剰分泌により起こる症状
    • 手足が大きくなる
    • 顔つきの変化
      • 下あごが出ている
      • 額、舌、鼻、唇が大きい
    • 歯の噛み合わせが悪くなる
    • 全身の症状
      • 汗をかきやすい(特に手汗)
    • 疲れやすい
    • 月経不順
  • 腫瘍の圧迫により起こる症状
    • 視力が下がる
    • 視野が狭くなる
    • 頭痛
  • 高血圧症糖尿病脂質異常症高脂血症)、睡眠時無呼吸症候群がん大腸がんなど)などを合併する危険性がある
  • さらに進行すると狭心症心筋梗塞脳梗塞にいたる可能性もあるため注意が必要

先端巨大症(巨人症)の検査・診断

  • 血液検査:血中のホルモン値や血糖値、コレステロール値などを測定する
  • 負荷試験:ブドウ糖を投与し血糖値や成長ホルモン値の変化を確認する
  • 画像検査
    • レントゲン検査:手足、頭の軟部組織の厚みを調べる
    • 頭部CTMRI下垂体腺腫があるかどうかなどを調べる

先端巨大症(巨人症)の治療法

  • 下垂体腺腫があるかどうか、大きさ、また症状を総合的に判断して治療を決める
  • 下垂体腺腫が見つかれば、治療の原則は手術(経蝶骨洞手術)
  • 腫瘍が大きく手術が難しい場合や血中の成長ホルモンが異常な場合はガンマナイフ(放射線治療の一種)や薬物療法が行われる
  • 薬物療法
    • ブロモクリプチン、カベルゴリン:成長ホルモンの分泌を抑える
  • 経済的な負担を減らすために国の特定疾患治療研究事業による医療費助成を受けることができる

先端巨大症(巨人症)の経過と病院探しのポイント

先端巨大症(巨人症)が心配な方

先端巨大症下垂体腺腫という腫瘍から成長ホルモンが過剰に分泌され外見に変化が出たり、腫瘍が周りを圧迫することで視力視野の障害や他のホルモンの症状として様々な合併症が出たりする病気です。

先端巨大症は外見の変化や様々な合併症をきっかけとして発見されることが多いです。ご自身が先端巨大症ではないかと心配になった時、受診の候補としては内分泌代謝内科か脳神経外科の病院が適しています。両方の診療科を受診して検査を行って、診断が確定します。珍しい病気であり、またホルモンの検査を行う為には入院も必要な為、両方の診療科が揃っている大きな総合病院、大学病院を受診するのが望ましいです。

先端巨大症の診断は問診と診察、手足のレントゲン、頭部CTやMRI、各種ホルモン検査で行われます。

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先端巨大症(巨人症)でお困りの方

先端巨大症では下垂体腺腫という腫瘍が成長ホルモンを過剰に分泌したり、周りを圧迫することが原因で症状が出現します。そのため治療の原則は手術で腫瘍を取ることです。腫瘍が大きくて手術が難しい場合、他の病気が原因で手術ができない場合は、薬物治療や放射線療法が行われます。また手術をしても症状が残った場合は、同様に薬物治療、放射線療法が行われます。

手術は鼻に内視鏡を挿入して、蝶形骨洞という副鼻腔を介して行われます。経験数が多い、あるいは内視鏡が得意な脳神経外科の医師の手術を受けるのが良いでしょう。症状が残った場合の薬物治療、あるいは腫瘍や手術が原因で起きた下垂体の他のホルモン異常に関しては、外来で脳神経外科、もしくは代謝内分泌科に通院して受ける必要があります。手術で症状が改善しきれなかった場合や下垂体の他のホルモン異常に関しては、長い年月をかけて治療を続けることになります。

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