2016.11.21 | ニュース

顔や手足が変形する先端巨大症の新薬シグニフォーの効果は?

薬を替えたときの効果を解析
from BMC endocrine disorders
顔や手足が変形する先端巨大症の新薬シグニフォーの効果は?の写真
(C) elena281 - Fotolia.com

先端巨大症は、成長ホルモンが異常に多く分泌されることにより、顔や手足の変形などを起こす病気です。治療薬をほかの薬からパシレオチド(商品名シグニフォー)に変更したときに効果の改善が見られたことが報告されました。

ここで紹介する研究は、先端巨大症の治療薬であるパシレオチドの効果を調べる研究の参加者を対象として、もとの研究に引き続き、薬を変更したときの変化を調べています。

もとの研究では、対象となった先端巨大症の患者は、パシレオチドを使うグループと、既存の薬であるオクトレオチドを使うグループに分けられました。どちらのグループでも、治療開始から12か月の時点で成長ホルモンの検査値が悪い場合、今回の研究に参加して、薬を切り替えることができるとされました。

オクトレオチドからパシレオチドに切り替えた人が81人、パシレオチドからオクトレオチドに切り替えた人が38人参加しました。

切り替えてから12か月後の検査値が比較されました。

 

次の結果が得られました。

クロスオーバーから12か月後、パシレオチド長時間作用型徐放性製剤群の17.3%、オクトレオチド長時間作用型徐放性製剤群の0%の患者が成長ホルモン<2.5μg/lおよびIGF-1正常値(主要評価項目)を達成した[...]。

オクトレオチドからパシレオチドに替えた人のうち17.3%が一定基準を満たす検査値の改善を得られました。パシレオチドからオクトレオチドに替えた人では同様の改善は一人もいませんでした。
副作用について次の結果がありました。

パシレオチド長時間作用型徐放性製剤の安全性プロファイルは、高血糖関連有害事象の頻度と程度を除いてオクトレオチド長時間作用型徐放性製剤と類似していた。

オクトレオチドとパシレオチドで現れる副作用は類似していると見られました。副作用の可能性があることのうち頻度が高かったものに、高血糖、糖尿病などがありました。

 

先端巨大症に対してオクトレオチドで効果が十分でなかった場合、パシレオチドに替えることで改善する場合があるという結果が示されました。

変形した顔や手足が元に戻るという効果ではないものの、成長ホルモン過剰の状態が続くと高血圧などさまざまな異常の原因にもなるため、治療として役に立つかもしれません。

パシレオチド(商品名シグニフォー)は日本でも2016年9月に承認されました。先端巨大症に対して手術ができない場合、手術をしたが効果が十分でなかった場合の使用が認められています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Switching patients with acromegaly from octreotide to pasireotide improves biochemical control: crossover extension to a randomized, double-blind, Phase III study.

BMC Endocr Disord. 2016 Apr 2.

[PMID: 27039081]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。