2015.06.11 | ニュース

排卵誘発薬が男性の先端巨大症に効果あり

ブラジルにおける研究から
from The Journal of clinical endocrinology and metabolism
排卵誘発薬が男性の先端巨大症に効果ありの写真
(C) Sergey Nivens - Fotolia.com

先端巨大症は手足や顔の一部が肥大する病気で、脳の下垂体という場所から出る成長ホルモンが異常に分泌されることで起こります。治療法の1つとして、女性ホルモン(エストロゲン)を投与すると成長ホルモンの分泌が抑えられることが知られています。今回、エストロゲンに似た物質であり女性では排卵を促すクエン酸クロミフェンが、男性の先端巨大症にも効果を示したという研究結果が報告されました。

◆16人の男性先端巨大症患者への投与

著者らはクエン酸クロミフェンの効果を測るため、外科手術や放射線療法などを施しても効果がなかった先端巨大症の男性患者に対し、以下の検討を行いました。

前向きでオープンラベルかつ単一施設での研究において、研究開始以前の治療に加えてクエン酸クロミフェン(50 mg/日)を3ヶ月間投与した。ホルモン測定は治療の前と経過途中に行った。

16人の男性患者(年齢の中央値は52.8歳、36歳から79歳まで)が以下の基準を満たした。IGF-1濃度が、内科治療にも関わらず最低1年間正常範囲の上限値を越え、かつT濃度が健康な人の下位1/3以下に位置する場合。

つまり他の治療では効果がなかった患者に対し、クエン酸クロミフェンを3ヶ月間投与して効果を観察しました。その際に着目したのがインスリン様成長因子(IGF-1)と甲状腺ホルモン(T)です。先端巨大症において血中IGF-1濃度は上昇し、血中T濃度は低下することが知られています。そこで、これらの濃度変動を先端巨大症改善の目安にしました。


◆クエン酸クロミフェン投与でおよそ40%のIGF-1低下、T濃度は3倍に上昇

著者らは以下の結果を得ました。

血中IGF-1は41%低下し(平均値±標準偏差は424 ± 108 から250 ± 83 ng/mL、P<0.0004)、患者の44%(16人中7人)は正常範囲のIGF-1濃度に到達した。トータル血中T濃度は209%増加し(282 ± 201 から497 ± 310 ng/mL)、性腺機能低下症と考えられたうちの67%(6人中4人)はT濃度の正常範囲に達した。

つまりクエン酸クロミフェン投与によって、男性の先端巨大症患者でもホルモン濃度が改善方向へ変化しました。
著者らは、「現状の利用出来る手段では制御不可能な先端巨大症の男性患者において、クエン酸クロミフェンの添加は選択肢となり、コストが抑制される利点もある。さらに併発した中心性腺機能低下症の患者においてTレベルの改善も期待出来る」と述べています。

クエン酸クロミフェンが結合するエストロゲン受容体は男性にも存在するので、直接あるいは間接的に脳に働きかけることで、同じ効果が出るのだと思われます。つまり脳の一部の機能では、男女共に女性ホルモンによって同じ作用がもたらされることが示唆されました。他の類似化合物でも、同様な効果を出すものがあるかもしれません。

執筆者

高田

参考文献

Clomiphene citrate for treatment of acromegaly not controlled by conventional therapies.

J Clin Endocrinol Metab. 2015 May;

[PMID: 25738590] http://press.endocrine.org/doi/full/10.1210/jc.2014-3913

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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