2015.08.08 | ニュース

異常なホルモン分泌を抑える新薬、パシレオチドが先端巨大症を治療

198人の第3相ランダム化試験
from The lancet. Diabetes & endocrinology
異常なホルモン分泌を抑える新薬、パシレオチドが先端巨大症を治療の写真
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先端巨大症は成人の体で成長ホルモンが過剰に分泌されることにより、顔や手足が大きくなったりする病気です。成長ホルモン分泌を抑えるタイプの新薬であるパシレオチドを治療に使ったところ、既存の薬の効果が十分でなかった人に対して効果が見られました。

◆既存の治療薬から変更して使用

先端巨大症は、脳腫瘍の一種である下垂体腺腫が異常にホルモンを分泌するなどの理由で起こります。脳腫瘍が原因であれば腫瘍を取り除く手術がありますが、手術ができない場合などに成長ホルモン分泌を抑える薬が使われます。これまでにオクトレオチド、ランレオチドといった薬がありましたが、効果が十分に得られない場合もあります。

この研究では、オクトレオチドまたはランレオチドで治療されたのち効果が十分でなかった患者198人を対象として、次の3グループにランダムに分けて治療を行いました。

  • もとの薬の治療を続けるグループ(実対照群)
  • パシレオチドを28日ごとに40mg使うグループ
  • パシレオチドを28日ごとに60mg使うグループ

 

◆過剰なホルモン減少の効果あり

24週間の治療から次の結果が得られました。

24週後、実対照群の患者は誰も生化学的制御を達成しなかったのに比べて、パシレオチド40mg群の患者10人(15%)、パシレオチド60mg群の患者13人(20%)が生化学的制御を達成した(実対照群との絶対差はパシレオチド40mg群で15.4%、95%信頼区間7.6-26.5、P=0.0006、パシレオチド60mg群では20.0%、11.1-31.8、P<0.0001)。最も多い有害事象は高血糖(パシレオチド40mgの治療を受けたうちの21人、33%、パシレオチド60mgの19人、31%、実対照群の9人、14%)、糖尿病(13人、21%、16人、26%、5人、8%)、下痢(10人、16%、12人、19%、3人、5%)であり、多くは重症度でグレード1または2だった。深刻な有害事象はパシレオチド40mg群の患者6人(10%)、パシレオチド60mg群の2人(3%)、実対照群の3人(5%)について報告された。

成長ホルモンなどの血液検査値の目標を達成した人が、パシレオチド40mgのグループ、60mgのグループともに、実対照群よりも多くなりました

研究班はこの結果から、パシレオチドが「先端巨大症の患者で、第1世代ソマトスタチンアナログ製剤を使って適切なコントロールが得られなかった人に対して、下垂体に作用する新たな標準的治療となりうる」と述べています。


パシレオチドはヨーロッパ・アメリカで承認されているほか、日本でも先端巨大症および下垂体性巨人症の治療薬として承認申請中です(2015年7月)。この研究で見られたように、ほかの薬では十分でない人にも効果が得られれば、より多くの人の助けになれるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Pasireotide versus continued treatment with octreotide or lanreotide in patients with inadequately controlled acromegaly (PAOLA): a randomised, phase 3 trial.

Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Nov

 

[PMID: 25260838]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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