2015.11.18 | ニュース

女性の元気がなくなる「橋本病」を画像で診断、エラストグラフィーの性能は?

90人の検査から
from Medical ultrasonography
女性の元気がなくなる「橋本病」を画像で診断、エラストグラフィーの性能は?の写真
(C) Kzenon- Fotolia.com

若い女性に多い橋本病(慢性甲状腺炎)は、免疫の異常により甲状腺が攻撃され、むくみやだるさなどの甲状腺機能低下症の症状が現れる病気です。診断を助ける技術として、エラストグラフィーという画像検査を使ったときの精度が報告されました。

◆弾力性で橋本病を判別

甲状腺はのどの前面にある臓器で、全身を活発にする甲状腺ホルモンを分泌しています。橋本病でダメージを受けた甲状腺は腫れて大きくなり、触診で区別できることもありますが、わかりにくいこともあります。エラストグラフィーは特殊な超音波検査で、組織の弾力性を測定します。

研究班は、橋本病の患者50人と、橋本病ではない人40人(対照群)の甲状腺をエラストグラフィーで検査しました。

 

◆エラストグラフィーで橋本病を発見

次の結果が得られました。

慢性自己免疫性甲状腺炎の患者で、シアウェーブエラストグラフィーによる定量評価は、対照群(1.63±0.12m/s)と比べて有意に高かった(2.56±0.30m/s、P<0.001)。最適なカットオフ値は2.42m/sだった。シアウェーブエラストグラフィーは慢性自己免疫性甲状腺炎の診断に感度77%、特異度71%、陽性正診率92%、陰性正診率81%、正診率87%を示した。

橋本病の患者のほうがエラストグラフィーによる計測値が高く、最適な基準値を設定することで、橋本病がある場合の77%をエラストグラフィーで正しく発見し、橋本病ではない場合の71%を正しく橋本病ではないと判断することができました。

 

研究班は、「[...]この技術は慢性自己免疫性甲状腺炎の診断と治療モニタリングを助けるかもしれない」と結論しています。

より素早く適切な治療を始めるために、診断技術の研究が続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The role of shear wave elastography in the diagnosis of chronic autoimmune thyroiditis.

Med Ultrason. 2015 Sep

[PMID: 26343080]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。