2015.10.27 | ニュース

若い女性に多い慢性甲状腺炎(橋本病)の原因となるウイルス、その働きは?

甲状腺細胞の分析から
from Human pathology
若い女性に多い慢性甲状腺炎(橋本病)の原因となるウイルス、その働きは?の写真
(C) Photographee.eu - Fotolia.com

橋本病は免疫の異常によって甲状腺が攻撃され、甲状腺機能低下症としてむくみやだるさの症状を起こす病気です。伝染性紅斑(りんご病)の原因としても知られるパルボウイルスB19の感染後に起こることがあり、そのしくみについて研究が行われました。

◆なぜパルボウイルスB19の感染後に橋本病が起こるのか

ウイルスに感染したことがきっかけで免疫の異常が起こり、いくつかの病気につながることがあると言われています。20代から40代ごろの女性に多く見られる橋本病はそのひとつで、パルボウイルスB19の感染後に起こることがありますが、パルボウイルスB19によってどのような異常が引き起こされるのか、詳しくは明らかになっていません。

研究班は、体内で作られている物質で、免疫に関わる細胞を刺激すると言われるPRDM1というタンパク質に注目しました。橋本病の患者から取り出した甲状腺の細胞、正常な甲状腺の細胞などからPRDM1の量を調べ、あわせてパルボウイルスB19が見つかるかも調べました。

 

◆パルボウイルスB19とPRDM1は同じ場所にある

次の結果が得られました。

我々は、PRDM1タンパク質が、正常な甲状腺の細胞(30例中0)または非中毒性結節性甲状腺腫の細胞(20例中0)に比べて、橋本甲状腺炎で障害された濾胞上皮細胞で有意に高く発現することを見出した(86例中83例、P<0.001)。橋本甲状腺炎において、PRDM1の発現パターンはPVB19のパターンと同様であり、その一方でPRDM1とPVB19は病巣の上皮細胞において共存していた。統計解析から、PRDM1とPVB19の有意な相関が示された(P<0.001)。

PRDM1は、正常な甲状腺の細胞よりも、橋本病の甲状腺の細胞で多くなっていました。また、PRDM1が多いところでは、パルボウイルスB19も多く見つかる傾向が見られました

研究班は「この発見は、橋本甲状腺炎の病態発生においてPRDM1とPVB19に以前には知られていなかった役割があることを示唆する」と述べています。

 

この研究は自然に起こっていることを観察する方法で行われているため、それぞれの要素の因果関係ははっきりとはわかりません。さらに進んだ実験ができれば、橋本病の治療につながる情報が得られるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

PRDM1 expression via human parvovirus B19 infection plays a role in the pathogenesis of Hashimoto thyroiditis.

Hum Pathol. 2015 Sep 10 [Epub ahead of print]

[PMID: 26475096]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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