こつそしょうしょう
骨粗しょう症
骨がもろくなって、骨折の危険が高くなってしまう病気。高齢女性で特に多い
9人の医師がチェック 190回の改訂 最終更新: 2026.01.22

骨粗しょう症の治療について:食事療法、運動療法、薬物療法

骨粗しょう症は骨がもろくなって折れやすくなっている状態です。治療ではカルシウムやビタミンの摂取、適度な運動が効果的です。また、薬物療法も有効であり、骨密度や過去の骨折歴などを考慮して総合的に治療薬が選択されます。なお、関節リウマチ副甲状腺機能亢進症など、病気が原因で骨粗しょう症が起きている人は、その病気自体の治療が優先されます。

1. 栄養・食事療法

カルシウムとビタミンDとを適量摂ることで、骨密度上昇や骨折予防に期待ができます[1]。

カルシウムは乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆などに多く含まれています。骨粗しょう症の人は、1日あたり700-800mg 程度摂るとよいです。

ビタミンDの量は魚類やキノコ類に主に含まれて、1日10-20μg程度摂取することが勧められています。それぞれの食品にどれくらいカルシウムやビタミンDが含まれているのかについての詳しい情報は、下記の表を参考にしてください。

【カルシウムを多く含む主な食品】

食品名 一回の使用量 カルシウムの量
牛乳 200g 220mg
ヨーグルト 100g 120mg
プロセスチーズ 20g 126mg
干しえび 5g 355mg
木綿豆腐 75g 70mg
納豆 50g 45mg
小松菜 80g 136mg
チンゲンサイ 80g 80mg

【ビタミンDを多く含む主な食品】

食品名 一回の使用量 ビタミンDの量
サケ 60g 19.2μg
サンマ 60g 11.4μg
カレイ 60g 7.8μg
ウナギの蒲焼 100g 19.0μg
干しいたけ 5g 0.9μg
乾燥キクラゲ 1g 0.9μg

参考
・農林水産省「大切な栄養素カルシウム
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

なお、ビタミンDは日光浴をすることで体内で合成されます。どれくらい日光を浴びれば必要なビタミンDが合成されるのかは、季節、天候、時間、場所などによって違いますが、参考までに日本で行われた研究[2]を一つ紹介します。

【必要最低限のビタミンDを合成するために要した日光浴の時間】

  • 冬の晴れた日の正午において
    • 沖縄で8分
    • つくばで22分
    • 札幌で76分
  • 夏の晴れた日の正午において
    • 沖縄で3分
    • つくばで4分
    • 札幌で5分

あくまでも一つの目安ですが、炎天下で激しく日焼けするほど強い日差しを浴びる必要はないといえそうです。手の甲や腕など、さほど気にならない部分があれば日焼け止めを塗らないようにして、上記の時間を目安に日中に屋外へ出る習慣をつけるとよいです。

さらに健康な骨をつくるためには、タンパク質、ビタミンK、ビタミンBといったさまざまな栄養素もバランスよく取る必要があります。そのために、1日3食きちんと食べ、主食(ごはん、パン、麺類など)、主菜(肉、魚、大豆、卵など)、副菜(野菜、海藻、きのこなど)の3つがそろった食事を意識すると良いです。

普段の食事内容を記録に残しておくのも意識づけに役立ちます。一週間の記録を振り返って、食べ過ぎたものや不足しているものがあれば、翌週の食事で調整するなども良い方法です。

2. 運動療法

骨粗しょう症の治療では運動療法が重要です。ウォーキングをすることで背骨(腰椎)や太ももの骨(大腿骨)の骨密度が上昇したという報告もあります[3]。歩行が骨に刺激を与え、骨が強くなると考えられています。

また、筋力トレーニングには骨折予防に有効です。背筋のトレーニングが背骨(腰椎)の骨折のリスクを減らすのに効果的であるという報告もあります[4]。

背筋を鍛える方法を一つ紹介します。

  • うつ伏せの姿勢になる
  • 背中の筋肉を使って上半身を床から浮かせ、その状態を5-10秒程度維持する
  • これを数回繰り返す

5回を1セットとして、無理のないように1日1セットから始めてみてください[1]。慣れてきたら1日2セット、3セットと徐々に増やしていくとよいでしょう。うまく上半身を起こせない人は、手や肘を床につけたままやったり、お腹の下に枕を入れてやったりしてもよいです。

過度な運動は怪我につながりますので、無理のない程度の運動にとどめておくことも重要です。運動して痛みが出るようなときなどには、すぐに中止してください。

3. 薬物療法

骨は常に新しく作り替えられています。破骨細胞という細胞が古くなった骨を壊し(骨吸収といいます)、壊れた部分に骨芽細胞が骨を新しく作る(骨形成といいます)ことで、老朽化を防ぎ健康な骨を保っています。通常は骨吸収と骨形成の働きが釣り合っていて骨量は一定に保たれていますが、このバランスが崩れて破骨細胞の働きが骨芽細胞のそれを上回ってしまうと、骨がもろくなり骨粗しょう症となります。

薬物治療では、骨量の低下を抑えたり骨を強くする目的で、骨吸収を抑える薬や骨形成を増強する薬を使用します。

活性型ビタミンD製剤:エルデカルシトール(エディロール®など)

活性化ビタミンD製剤には小腸からのカルシウムの吸収を増やす作用があります。体内のカルシウム量が増えることで骨がカルシウムを調達しやすくなり、骨量の増加につながります。活性化ビタミンD製剤にはいくつか種類がありますが、その一つであるエディロール®️には破骨細胞の働きを抑える効果も期待できるため、骨粗しょう症に人によく使われる薬です。1日1-2回内服します。

主な副作用として、高カルシウム血症、消化器症状(吐き気、下痢、胃分不快感)、尿路結石 腎機能障害、皮膚症状などがあります。

ビスホスホネート製剤:アレンドロン酸(ボナロン®など)、リセドロン酸(アクトネル®など)、ミノドロン酸(ボノテオ®など)

破骨細胞の働きを抑えることで、骨密度を保つ効果が期待できます。薬には内服薬と注射薬があります。内服薬は飲む頻度がさまざまで、毎日1回服用する薬、週1回服用する薬、月1回服用する薬があります。注射薬には年1回点滴で投与するリクラスト®️があります。主な副作用は、胃部不快感、便秘、あごの骨の炎症(顎骨炎)です。

多くの骨粗しょう症の人に使われている効果的な薬ですが、服用する際には2点の知っておくとよいことがあります。

【ビスホスホネート製剤を服用する際の注意】

  • 服用を始める前に歯医者さんに受診しておく
    • ビスホスホネートの使用後にまれに生じる「あごの骨の炎症(顎骨壊死といいます)」は、抜歯などの歯科治療などをした後に起こりやすくなります。このため歯の治療が必要な状態であれば、治療を済ませてからビスホスホネートを始めるとよいです。
    • ビスホスホネートを使いはじめたあとの歯科治療については、必要な抜歯であれば原則として薬を使ったまま行うことが多いですが、担当の医師、歯科医師とよく相談してから行うことになります。
    • ビスホスホネートの使用中に、「口の中の痛み」「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」「あごが腫れてきた」「歯がぐらついてきて自然に抜けた」などの症状がみられた場合は放置せず、医師、歯科医師、薬剤師に連絡してください。
  • コップ1杯の水と一緒に飲む(一部の製剤を除く)
    • 薬を飲んだ時に水が少ないと、食道に薬剤がついたままとなって食道が荒れてしまうことがあるからです。なかには、食道に潰瘍ができてしまう人もごくまれにいますが、コップ1杯の水を飲むことで防げます。

選択的エストロゲン受容体調節薬:バゼドキシフェン(ビビアント®など)、ラロキシフェン(エビスタ®など)

女性ホルモンの一つ、エストロゲンには骨吸収を抑制する作用があり、これによって骨代謝のバランスが保たれています。閉経後の女性ではこのエストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌が著しく減少するため、骨密度が低下し骨がもろくなります。このことに着目して作られたのが選択的エストロゲン受容体調節薬です。エストロゲンの骨代謝に関わる受容体を主に調節することで、骨代謝のバランスを整えます。閉経後の女性に対して使われる薬であり、男性や閉経前の女性には使われることは基本的にはありません。

1日1回内服する薬です。主な副作用として、皮膚炎嘔気肝機能障害があります。また、ごくまれではありますが、知っておくと良い副作用として深部静脈血栓症があります。深部静脈血栓症の代表的な症状は、片側の脚のむくみや痛みです(詳しい症状はこちら)。深部静脈血栓症になることはあまりありませんが、脚の症状に気づいたときには医療機関に相談をしてください。

ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤:デノスマブ(プラリア®

破骨細胞の成熟や機能などを促進するRANKLという物質にくっついて、その働きを邪魔することで効果を発揮する薬です。破骨細胞による骨吸収を抑えることで骨密度を上昇させます。

6ヶ月に1回注射します。副作用として低カルシウム血症が起きることがあり、それを防ぐためにカルシウム製剤や活性化ビタミンD3製剤を併用するのが一般的です。また、あごの炎症(顎骨壊死)、皮膚症状、肝機能障害などが生じることもまれにあります。ビスホスホネートのところでも説明しましたが、あごの炎症(顎骨壊死)を予防するためには、初回投与前にあらかじめ歯科を受診して、治療を要する歯があれば治療を済ましておくとよいです。

  • デノスマブの使用後にまれに生じる「あごの骨の炎症(顎骨壊死といいます)」は、抜歯などの歯科治療などをした後に起こりやすくなります。このため歯の治療が必要な状態であれば、治療を済ませてからデノスマブを始めるとよいです。
  • デノスマブを使いはじめたあとの歯科治療については、必要な抜歯であれば原則として薬を使ったまま行うことが多いですが、担当の医師、歯科医師とよく相談してから行うことになります。
  • デノスマブの使用中に、「口の中の痛み」「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」「あごが腫れてきた」「歯がぐらついてきて自然に抜けた」などの症状がみられた場合は放置せず、医師、歯科医師、薬剤師に連絡してください。

ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体:ロモソズマブ(イベニティ®

スクレスチンは骨形成を抑えて骨吸収を促す作用のある物質であり、この作用に着目して作られたのがロモソズマブです。スクレスチンの効果を弱めることで骨密度を高め骨折を予防します。1ヶ月に1回、定期的に病院に通院して注射することになります。

骨折予防効果が高い薬ですが、使用上の主な制限として2つが挙げられています。1つは使用期間の上限が1年間であることです。1年間使用した後は、抗RANKL抗体などに切り替えて治療を継続することが多いです。2つ目は重症の骨粗しょう症の人に限って使われる点です。重症かどうかは、骨密度や今まで起きた骨折の重症度などによって総合的に判断がなされます。これら2つの制限は、臨床試験データから安全性と有効性などを検討された結果指定されているものです。

主な副作用には、注射部位の腫れ、痛み、あごの炎症(顎骨炎)です。あごの炎症を予防するためには、ビスホスホネートや抗RANKL抗体と同様に、使用前にあらかじめ歯科を受診するとよいです。

副甲状腺ホルモン製剤:テリパラチド(テリボン®フォルテオ®など)、アバロパラチド(オスタバロ®)

骨芽細胞を活性化させ、骨の形成を促すことによって、骨の量を増やす薬です。

副甲状腺ホルモンには破骨細胞の働きを促す作用がありますが、断続的に濃度を高めることで骨芽細胞を活性化することができ、この効果をねらって使います。ただし過剰に使用したり長期に渡って使用したりすると、逆に骨吸収が骨形成を上回り骨密度が低下してしまいます。用法用量を守って使うことが重要です。

毎日1回または週2回自己注射する方法や、週1回医療機関で注射してもらう方法などがあります。冷所保存が必要な薬なので、自己注射する人は忘れずに製剤を冷蔵庫に入れておいてください。主な副作用は、めまい、ふらつき、吐き気、皮膚炎です。投与直後にはふらついてしまうことがあるので、高所作業や車の運転は控えたほうが無難です。

参考文献

1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会, 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.

2. Miyauchi M, et al. The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan. J Nutr Sci Vitaminol. 2013;59(4):257-63. doi: 10.3177/jnsv.59.257.

3. Howe TE, et al. Exercise for preventing and treating osteoporosis in postmenopausal women. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jul 6;(7):CD000333. doi: 10.1002/14651858.

4. Sinaki M, et al. Stronger back muscles reduce the incidence of vertebral fractures: a prospective 10 year follow-up of postmenopausal women. Bone. 2002 Jun;30(6):836-41. doi: 10.1016/s8756-3282(02)00739-1.