2018.01.04 | ニュース

カルシウムとビタミンDで骨折は防げるか?

文献の調査から

from JAMA

カルシウムとビタミンDで骨折は防げるか?の写真

カルシウムとビタミンDは、骨が作られる働きに深く関わる物質です。カルシウムやビタミンDの補充について、対象を骨粗鬆症がある人に限らず、施設外で生活している人で骨折防止になるかという調査が行われました。

カルシウムとビタミンDは市中の50歳以上の人の骨折を防ぐか

中国の研究班が、施設外で生活している50歳以上の人に対してカルシウムとビタミンD脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンの量を体内で適切に調整する働きを持つ。外部から摂取する他に、紫外線を浴びることで体内でも合成されるが骨折を防ぐかどうかについて、文献の調査を行い、結果を医学誌『JAMA』に報告しました。

この調査は、過去の研究データを集めて評価する方法をとっています。

「施設外で生活している」とは、居住型施設ではなく地域社会の中で生活している人を指します。調査対象とした研究からは、ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているの副作用による骨粗鬆症についての研究や、カルシウムとビタミンD以外の骨粗鬆症治療薬を組み合わせた研究などを除きました。

対象となった人が骨粗鬆症と診断されていたかどうかは採用基準に含めていません。またカルシウムやビタミンDの副作用については調査していません。

 

単独でも併用でも骨折防止効果は確認されず

調査の結果、21件の研究が採用されました。集まったデータから、カルシウム、ビタミンD、または両方の併用を偽薬または無治療と比べると、骨折の数について次の結果が得られました。

  • カルシウムについて
    • 股関節骨折:差は確認されず
    • 脊椎背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれる以外の骨折:差は確認されず
    • 脊椎骨折:差は確認されず
    • すべての骨折:差は確認されず
  • ビタミンDについて
    • 股関節骨折:差は確認されず
    • 脊椎以外の骨折:差は確認されず
    • 脊椎骨折:差は確認されず
    • すべての骨折:差は確認されず
  • カルシウム+ビタミンDについて
    • 股関節骨折:差は確認されず
    • 脊椎以外の骨折:差は確認されず
    • 脊椎骨折:差は確認されず
    • すべての骨折:差は確認されず

どの場合にも、カルシウムまたはビタミンDによる骨折防止効果は確認できませんでした

研究班は「これらの結果から、地域で生活する高齢者に対してルーチンにカルシウム、ビタミンD、またはその両方を補充することは支持されない」と結論しています。

 

カルシウムとビタミンDは効かないのか?

カルシウムとビタミンDによる骨折防止についての調査を紹介しました。対象とした範囲では骨折防止効果が確認されない結果となりました。

一般的に、カルシウムとビタミンDは骨を強くする方向に働くと考えられます。たとえば「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」には「骨粗鬆症の治療のためには1日700-800mgのカルシウム摂取が勧められる」といった記載があります。

しかし、どんな場合に骨折防止の結果を期待できるかはさまざまな角度で議論されている点であり、誰でもサプリメントを飲めばいいと単純には言えません。

サプリメントが必要かどうかを考えるには、骨粗鬆症があるかないかなど自分の状態を把握したうえで、うまく当てはまるデータを探すことが判断の助けになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Association Between Calcium or Vitamin D Supplementation and Fracture Incidence in Community-Dwelling Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis.

JAMA. 2017 Dec 26.

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2667071

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

トップ