[医師監修・作成]甲状腺がんの薬物治療:分子標的薬、ホルモン治療など | MEDLEY(メドレー)
こうじょうせんがん
甲状腺がん
甲状腺にできるがんのこと。様々なタイプがあるが、甲状腺乳頭がんというタイプが非常に多い
11人の医師がチェック 128回の改訂 最終更新: 2021.11.26

甲状腺がんの薬物治療:分子標的薬、ホルモン治療など

甲状腺がんの主な治療は手術ですが、手術後の治療として薬物治療が重要です。薬物治療はホルモン治療と、再発や転移放射線治療やホルモン治療ができない場合の抗がん剤治療があります。ホルモン治療は再発リスクが高い乳頭がんや濾胞がんに対して甲状腺ホルモン薬を内服する治療です。抗がん剤治療は他の治療ができない甲状腺がんに対して行われます。甲状腺がんは抗がん剤治療が効きにくいがんでしたが、分子標的薬で治療可能な場合も出てきました。ここでは薬物治療の方法や副作用について説明します。

1. 甲状腺がんの薬物治療はどんな人に行う治療なのか:治療の適応

甲状腺がんのはじめの治療(初回治療)の中心は手術治療になります。ある治療が選択可能な場合を適応があると呼びます。薬物治療の適応になる人は主に手術治療を行った後の人です。例外的に未分化がんで手術が難しい場合には、初回治療として薬物治療を使うことがあります。

甲状腺がんに行う薬物治療はホルモン治療と抗がん剤治療に分けられます。

ホルモン治療の目的は甲状腺がんの手術を行った後に、不足した甲状腺ホルモンを補充することと、甲状腺がんの再発を防ぐことがあります。

抗がん剤治療の目的は手術ができない甲状腺がんに対するがんの進行抑制です。対象になるのは、再発や転移をして手術治療や放射線治療ができない場合と、診断時にすでに大きく手術ができない甲状腺未分化がんの場合です。

甲状腺がんの薬物治療は大きく下記に分けられます。

  1. 甲状腺を取り除いて不足した甲状腺ホルモンを補充する治療
  2. 甲状腺がんの再発を防ぐ治療
  3. 手術ができない甲状腺がんに対する治療
    1. 未分化がんなどで手術が難しい場合
    2. 甲状腺の手術後に再発し手術が難しい場合

◎甲状腺を取り除いて不足した甲状腺ホルモンを補充する治療

甲状腺がんの手術には、甲状腺をすべて取り除く手術(甲状腺全摘術)と半分のみ取り除く手術(甲状腺葉峡部切除術)があり、がんの大きさや広がりに応じて使い分けます。

甲状腺は体を活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンが不足すると、体がだるくなったり、眠くなったり、寒がりになったりします。甲状腺ホルモンは身体に不可欠なホルモンです。

甲状腺の手術後では、甲状腺が半分残る甲状腺葉峡部切除術後であっても一時的に甲状腺ホルモンが不足することがあります。甲状腺ホルモンを一定の量に保つために甲状腺ホルモンを補充する治療が必要になることがあります。甲状腺全摘術を受けた人は全員、甲状腺ホルモンを補充する治療が一生必要になります。

◎甲状腺がんの再発を防ぐ治療:TSH抑制療法

甲状腺がんの多くは悪性度が低く、進行しにくいがんです。しかし、手術前に転移がある場合や、切り取った甲状腺がんをよく調べてみると悪性度が高い場合もあります。そのような場合には再発しやすいので、再発を防ぐために甲状腺ホルモンを通常より多めに補充するホルモン治療を行います。

ホルモン治療は乳頭がんと濾胞がんに行われる治療です。体内のホルモンバランスを変えることで、がんの増大を防ぎます。乳頭がんや濾胞がんは甲状腺刺激ホルモンによって増大します。ホルモン治療は甲状腺刺激ホルモンを減らす治療です。甲状腺刺激ホルモンの本来の機能は、正常な甲状腺組織を刺激して、甲状腺ホルモンの分泌を増やすことです。血液中の甲状腺ホルモンが多くなると、甲状腺刺激ホルモンの分泌が減って、甲状腺ホルモンの分泌も減ることで、甲状腺ホルモンの量が一定に保たれています。

そこで、甲状腺ホルモンを薬として多く飲むことで、甲状腺刺激ホルモンを減らすことができます。これが甲状腺がんのホルモン治療です。ホルモン治療はTSH抑制療法と呼ばれます。詳しくは「TSH抑制療法」で説明しています。

◎手術ができない甲状腺がんに対する治療

甲状腺がんの基本的な治療方針は手術治療です。手術ができない場合には抗がん剤治療を行います。

初めの診断の時点で手術ができない場合は、未分化がんなどでがんが大きく手術ができない場合や、髄様がんで離れた臓器に転移がある場合です。再発時の手術ができない場合としては、肺にたくさんの転移がある場合や、色々な臓器に多くの転移がある場合などです。初めの診断時に手術ができない場合や、甲状腺がんが再発して手術ができない場合には抗がん剤治療を行います。

2. 甲状腺がんの薬物治療:ホルモン治療

甲状腺がんの薬物治療は、使う薬の違いによってホルモン治療と抗がん剤治療に分けられます。まずホルモン治療について説明します。

ホルモン治療には、甲状腺を取り除いて不足した甲状腺ホルモンを補充する治療と、甲状腺がんの再発を防ぐために行うTSH抑制療法があります。

この2つの治療方法は、どちらも甲状腺ホルモンを薬として飲む方法です。違う点としては、使用する薬の量が異なります。ホルモン補充療法の場合は甲状腺ホルモン値を正常な人と同様の値にすることを目指しますが、TSH抑制療法の場合には甲状腺ホルモン値を高めに保ちます。目標とする甲状腺ホルモンの値が異なるため、内服する薬の量が異なります。

正常な甲状腺は、甲状腺ホルモンとして働くトリヨードサイロニンサイロキシンチロキシン)という2種類の物質を作っています。甲状腺がんのホルモン治療で使用する薬は合成されたサイロキシンのレボチロキシンナトリウム(商品名:チラーヂン®S)であることがほとんどです。通常、1日1回の内服です。

ホルモン補充療法

不足した甲状腺ホルモンを補充する治療方法です。下記の人が行います。

  • 甲状腺を全て取り除く手術(甲状腺全摘術)の後で再発リスクが低い場合
  • 甲状腺を半分取り除く手術(甲状腺葉峡部切除術)の後で甲状腺ホルモンが不足している場合

甲状腺全摘術後で再発リスクが高い場合にはTSH抑制療法を行いますが、再発リスクが低いと判断された場合には、ホルモン補充療法のみを行います。

甲状腺葉峡部切除術後の場合は、甲状腺ホルモンが不足している場合にのみ甲状腺ホルモンを補充します。一般的には数ヶ月たつと残った甲状腺から十分なホルモンが分泌されるようになるため、ホルモンの補充が不要になることがほとんどです。

内服する薬は合成された甲状腺ホルモンのレボチロキシンナトリウム(商品名:チラーヂン®S)です。1日1回の内服です。

薬の副作用、内服する時の注意点を下記の「ホルモン治療の副作用や注意点など」に記載してありますので、参考にしてください。

TSH抑制療法

甲状腺がんの手術後で再発リスクが高いと考えられる場合に行う治療です。主に下記のような人が行う治療です。

<高リスク群:以下のいずれかがある場合>

  • がんが見た目で甲状腺の外に広がっている場合
  • がんを摘出した端にがんが残っていた場合(切除断端陽性)
  • がんが遠くの臓器に転移している場合(遠隔転移
  • 甲状腺全摘出術後にサイログロブリンが高値の場合
  • 頸部リンパ節に転移していて、リンパ節転移の大きさが3cm以上の場合
  • 濾胞がんで血管やリンパ管に4か所以上で入り込んでいる場合

甲状腺がんは正常な甲状腺の性質が残っているため、その性質を利用して治療を行います。甲状腺の濾胞細胞は、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulating Hormone:TSH)の刺激を受けて増殖します。甲状腺がんのうち、乳頭がんと濾胞がんは正常な甲状腺濾胞細胞と同じように、TSHの刺激で増えると考えられています。そこでTSHを減らすことで甲状腺がんの細胞が増えることを防ぎ、再発を予防するのがTSH抑制療法です。TSHは下垂体から分泌されていますが、下垂体は血液中の甲状腺ホルモンが多いとTSHの分泌を減らすので、薬として甲状腺ホルモンを多めに飲むことでTSHを減らすことができます。

TSH抑制療法では1日1回甲状腺ホルモンを内服します。適宜、血液検査を行いながら、適切な内服量を決定します。甲状腺ホルモンが過剰になりすぎても副作用が出るため、甲状腺ホルモンを正常上限程度に維持して、TSHを低めにします。『甲状腺腫瘍診療ガイドライン』では、血中TSHを0.1mU/lより低く維持すべきとされています。再発リスクが低いと考えられる人は、副作用を考えて血中TSHは正常下限(0.3-2mU/l)に維持するのが良いとされています。

欧米における研究では乳頭がん、濾胞がんの再発を減らすことができたと報告されています。

しかしながら、甲状腺ホルモン値を高く保つことで、骨粗鬆症不整脈心房細動など)、虚血性心疾患のリスク増加が報告されているため、人によってはこうした危険性を考えるとTSH抑制療法が適していないと判断される場合もあります。特に高齢者ではTSH抑制療法を行うかどうか、個々の状況に応じて決めます。

ホルモン治療の副作用や注意点など

ホルモン治療に使われる薬は甲状腺ホルモンを人工的に合成した薬です。本来甲状腺が作っている甲状腺ホルモンはトリヨードサイロニンとサイロキシン(チロキシン)という2種類がありますが、ホルモン治療で主に用いられるのは合成したサイロキシンのレボチロキシンナトリウム(商品名:チラーヂン®S)です。通常1日1回の内服です。

◎副作用

チラーヂン®Sの副作用は基本的にはありません。しかし、チラーヂン®Sに含まれる添加物で副作用が起こることがあります。代表的なものに、アレルギー反応があります。皮膚へ発疹やかゆみがでるアレルギー症状や、薬剤による肝機能障害がでることがあります。そのため、チラーヂン®Sを内服している時には、TSHや甲状腺ホルモンを血液検査で調べると同時に肝機能も調べます。

また、甲状腺ホルモンが過剰になると、不整脈心筋梗塞狭心症などが誘発される可能性があり注意が必要です。

◎食べ物の注意点

チラーヂン®Sの吸収が低下するような食べ物や飲み物と一緒に内服しないようにしてください。鉄分を多く含むもの(バジル、海苔、あゆ、ひじき、あさりなど)は腸の中でチラーヂン®Sと結合するため、一緒に内服するとチラーヂン®Sの吸収が低下することが報告されています。野菜ジュース、青汁などの食物繊維が多い飲み物やコーヒーなども、チラーヂン®Sの吸収が低下することが報告されています。

食事に上記のものを食べたり飲んだりしたい場合などには、チラーヂン®Sを食事の前後30分以上離した時間に飲むようにしてください。

◎一緒に内服する薬の注意点

下記の薬と一緒に内服すると、腸からのチラーヂン®Sの吸収が低下する恐れがあります。そのため、これらの薬はチラーヂン®Sと内服する時間をずらすなどの工夫が必要です。

  • コレスチラミン(商品名:クエストラン®)、コレスチミド(商品名:コレバイン®)(陰イオン交換樹脂)
  • 水酸化アルミニウム(ほかの成分も含む配合剤の主な商品名:マーロックス®、コランチル®)(酸中和薬(制酸薬))
  • 炭酸カルシウム(主な商品名:カルタン®) 、グルコン酸カルシウム(主な商品名:カルチコール®) 、ポリカルボフィルカルシウム(主な商品名:コロネル®) (カルシウム製剤)
  • 硫酸鉄(主な商品名:フェロ・グラデュメット®)(経口鉄剤)
  • 活性炭(主な商品名:クレメジン®)(球形吸着炭)
  • 塩酸セベラマー(商品名:レナジェル®、フォスブロック®) (高リン血症治療薬)
  • スクラルファート(主な商品名:アルサルミン®)(防御因子増強薬(消化性潰瘍治療薬))
  • ポラプレジンク(主な商品名:プロマック®)(防御因子増強薬(消化性潰瘍治療薬)
  • オメプラゾール(主な商品名:オメプラール®、オメプラゾン®)(プロトンポンプ阻害薬)
  • ラロキシフェン(主な商品名:エビスタ®) (選択的エストロゲン受容体調節薬)
  • シプロフロキサシン(主な商品名:シプロキサン®)(ニューキノロン系抗菌薬

ここに挙げたものは一例で、ほかにも類似した薬剤が甲状腺ホルモンの吸収を妨げることは考えられます。そのため甲状腺がんの治療とは別に飲んでいる薬があれば漏れなく主治医に伝えてください。

◎体調不良時や飲み忘れた時の注意点

内服を忘れたことに気がついた場合には思い出した時に内服してください。次の日になってから前日内服し忘れたことに気がついた場合は、いつもどおりその日の分だけ内服してください。2倍量内服しないでください。

体調不良の時もできるだけ内服を続けてください。チラーヂン®Sを一度飲むと数日程度は血液の中に残っていて、半減するのに7日ほどかかります。そのため数日内服を忘れてもすぐには甲状腺ホルモンが不足することはありませんが、7日以上にわたって内服できない場合には主治医に相談してください。他の病院に受診する時も、甲状腺ホルモンを内服していることを伝えてください。

◎ホルモン治療中に妊娠した場合の注意点

甲状腺ホルモンは、妊娠中にも内服が必要です。甲状腺ホルモンは胎児の脳の成長にも必要です。妊娠中には増量して内服する必要がありますので、妊娠したら早めに担当医に伝えてください。妊娠中は内服薬に制限がありますが、甲状腺ホルモンは胎児にも必要な薬です。

参考文献
・Timing and magnitude of increases in levothyroxine requirements during pregnancy in women with hypothyroidism. N Engl J Med. 2004 Jul 15;351(3):241-9.

◎長期間のTSH抑制療法の副作用

長期間にわたる甲状腺ホルモンの過剰投与で骨粗鬆症や、不整脈のリスクが増えるという報告があります。

骨粗鬆症はTSH抑制療法をしている50歳以上ではリスクが高くなります。閉経後の女性や、閉経前でも検査で骨塩量の低下が認められた女性ではカルシウム製剤ビタミンD製剤ビスホスホネート製剤などの内服治療の併用を検討します。

心臓への影響は虚血性心疾患がある場合に、狭心症の悪化や高齢者では心房細動のリスクが高くなるという報告があります。

以上から、高齢者の場合、虚血性性心疾患がある場合、50歳以上の女性で骨粗鬆症のリスクが高い場合には、TSH抑制療法のメリットとデメリットを考えて治療を行います。

3. 甲状腺がんの薬物治療:抗がん剤治療

薬物治療にはホルモン治療のほかに抗がん剤治療があります。甲状腺がんに対する治療薬として、分子標的薬に分類されるものが使われています。分子標的薬を「抗がん剤」と区別する立場もあるのですが、このページでは分子標的薬も抗がん剤に含むものとして説明します。

甲状腺がんに対する抗がん剤治療は、甲状腺がんの種類によって異なります。

◎甲状腺分化がん:乳頭がん、濾胞がん

甲状腺の乳頭がんと濾胞がんの基本的な治療の流れは手術です。再発リスクが高い場合には、ホルモン治療や放射性ヨード内用療法を手術の後に行います。その後はホルモン治療を行いながら定期的に外来通院を行いますが、再発した場合には追加で治療を検討します。再発後にはじめに行う治療は手術や放射性ヨード内用療法です。放射性ヨード内用療法は乳頭がんや濾胞がんにヨードを取り込む機能がある場合には有効ですが、治療を何回も行っていくうちに、ヨードを取り込む機能の低下が起きる場合や、ヨードを取り込む機能があっても放射性ヨード内用療法でがんが小さくならない場合があります。このように、放射性ヨード内用療法の効果が乏しくなった場合には抗がん剤治療を検討します。

放射性ヨード内用療法の効果がなくなったと判断する条件は下記です。

  • 放射性ヨードの取り込みがない
  • 放射性ヨード内用療法後12ヶ月以内でのがんの悪化
  • 放射性ヨード内用療法で使用した放射性ヨードの合計量が600mCi以上(22GBq)

甲状腺乳頭がんでは進行が遅く、肺などに転移した場合でも2年以上がんが大きくならない場合や、大きくなる速度が遅い場合もあります。その場合にはすぐに抗がん剤での治療を行わずに経過観察とします。なぜなら抗がん剤には色々な副作用があるからです。抗がん剤の副作用というデメリットと、抗がん剤で得られる治療の効果というメリットを合わせて検討し、メリットが大きいと判断された場合には、抗がん剤治療を行います。

行う抗がん剤治療は分子標的薬という薬を用いた治療です。分子標的薬は、がん細胞が増殖するのに必要なタンパク質をピンポイントで攻撃するので、以前の抗がん剤よりも副作用が少ないという利点があります。しかし、分子標的薬特有の副作用もありますので、効果と副作用をみながら使用します。

甲状腺髄様がん

再発のある甲状腺髄様がんで、手術ができない場合に対しても、分子標的薬の効果が報告されており、保険適用となっています。

甲状腺未分化がん

甲状腺未分化がんはまれにしか現れないものの、発病後の生存期間は平均して極めて短く治療が難しいがんです。進行が早いため、見つかった時はすでに手術で取りきるのが難しい大きさであることが多く、抗がん剤を用いて小さくなれば手術を行うなどの治療を行っています。手術前の抗がん剤としてドキソルビシンやパクリタキセルといった薬が使用されています。パクリタキセルは効果があるとするデータがあります。

分子標的薬のうち、レンバチニブ(商品名:レンビマ®)は未分化がんにも一定の効果があるとされ、保険適用となっています。分子標的薬特有の副作用に加え、がんのある部分から出血したり、皮膚に穴があいたりする副作用が報告されており、使用の際は注意が必要です。

表 甲状腺がんに対する分子標的薬と適応症

一般名 商品名 分化がん(乳頭がん、濾胞がん) 髄様がん 未分化がん
ソラフェニブ ネクサバール® ×
レンバチニブ レンビマ®
バンデタニブ カプレルサ® × ×

ソラフェニブ(商品名:ネクサバール®)

ソラフェニブは分子標的薬に分類されます。分子標的薬とは、身体の中にある特定の物質に働きかけることで作用をあらわす薬剤の総称です。ソラフェニブは、がん細胞の増殖やがんに栄養を送る血管が作られることを抑えて、がんの成長を妨げます。

◎薬の作用の仕組み(作用機序)

ソラフェニブは細胞増殖や腫瘍進行などに関わるCRAF(C-Raf)、BRAF(B-Raf)、ELT-3、c-KIT、RETなどの物質を阻害することで細胞増殖のシグナル伝達系に対して阻害作用をあらわします。また、がん細胞の増殖には酸素や栄養などを運ぶ血管が新たに作られる(血管新生が行われる)必要があります。ソラフェニブは血管新生に関与するVEGFR(血管内皮増殖因子受容体)やPDGFR(血小板由来成長因子受容体)の活性を阻害することで血管新生を阻害します。

このようにソラフェニブは腫瘍細胞における細胞増殖のシグナル伝達を阻害することや血管新生を阻害することで抗腫瘍効果をあらわします。

ソラフェニブは元々、2008年に腎がん(切除不能又は転移性腎細胞がん)の治療薬として承認を受け、2009年に肝がん(切除不能な肝細胞がん)の治療薬としても承認されました。その後、進行性の甲状腺がんへの有用性などから、2014年に「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対しても追加承認されています。(甲状腺がんの治療薬としては2016年に効能・効果が「根治切除不能な甲状腺がん」へ変更されています)

◎服用方法

ソラフェニブ(商品名:ネクサバール®錠 200mg)は通常、1回400mg(2錠分)を1日2回(1日量として800mg(計4錠))服用します。

基本的に服用するタイミングは食事の有無に関わらず決まった時間とします(ただし、担当医から「食前1時間」や「食後2時間」などの指示があった場合はその指示にしたがって下さい)。

使用開始後に安全性などの面で問題がない場合は、同じ服用量の内服を継続していきます。副作用の状態などによっては減量(又は休薬)の指示が出される場合もあります。例えば、1日の服用量を400mg(計2錠)へ減量する、1回400mg(計2錠)を隔日投与(1日おきに服用)する、などの指示が出される場合が考えられます。

服用量や服用方法の変更、服用の中止などは、医師が患者個々の状態を診察して判断します。自己判断での中止や用量変更は危険なので避けてください。もしも気になる症状や心配なことがある場合、また薬を飲み忘れた時や飲む量を間違えた時なども担当医に連絡・相談してください。

◎食事などに関する注意

薬草(ハーブ)としても使われるセントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む食品(サプリメントなどを含む)は、薬の効き目を弱めてしまう可能性があり注意が必要です。

ほかにも高脂肪食(1食当たり約900〜1000kcalで脂肪含有量が50〜60%)を摂取した後でソラフェニブを服用した場合、薬の効き目に影響があらわれる可能性があります。一般的に高脂肪食を食べた時は食前1時間〜食後2時間の服用を避けることが無難とされています。

一般的な日本食であれば高脂肪食となる可能性は少ないのですが、洋食や脂肪分が多いデザートなどを食べた場合には注意が必要となります。

◎副作用

手足症候群や皮膚症状

ソラフェニブの副作用により手や足底に皮疹が出て、赤く腫れたり、皮膚がむけたり、痛みを伴ったりすることがあります(手足症候群)。その他、脱毛、皮疹、掻痒症、色素沈着などの皮膚症状があらわれる場合もあります。

これらの症状が現れたら、できるだけ刺激を与えないようにすることが大切です。洗いものの際に熱いお湯を使用することや長時間の入浴、刺激が強い石鹸などの使用、窮屈な靴を履くこと、長時間の歩行などは皮膚へ刺激を与える要因となるため避けることが無難です。

また患部を清潔に保つようにし、保湿(例えば、保湿クリームを使用する)などにより症状を軽減または予防する事も大切です。

■高血圧(高血圧クリーゼ

副作用によって血圧が上がることがあります。(服用開始から6週頃までは特に注意が必要とされています)

重症の場合は心筋梗塞などの深刻な状態を引き起こす可能性もあるため、治療中は定期的に血圧を測定します。多くの場合は、高血圧になっても降圧薬を併用するなど適切に対処することでソラフェニブの治療を続けることができます。

■出血傾向

出血傾向とは、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりすることです。ソラフェニブの副作用としては主に血小板が減少することが原因で出血傾向が現れます。歯茎からの出血や鼻血、便に血が付くことなどで気付くことがあります。怪我に注意することも大切です。またもともとの持病に対してワルファリンカリウム(主な商品名:ワーファリン)などの血液が固まるのを抑える薬(抗凝固薬など)による治療を行っている場合は出血傾向が強くなる可能性もあるため、事前に医師や薬剤師にその旨を話しておくことが大切です。

■消化器症状

下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が現れる場合があります。消化器症状がある時の食事は特に少しずつゆっくり食べ、熱いものや辛いものなど刺激の強いものはできるだけ避けてください。また嘔吐や腹痛などの症状が激しい場合は、放置せず主治医に連絡してください。

■疲労感などの全身症状

疲れやだるさなどを感じる事があります。多くの場合、休薬をはさむことなどによって改善します。

■肝機能障害

ソラフェニブは主に肝臓で代謝を受けるため、肝胆道系に障害が現れることがあります。ソラフェニブ使用中の疲れやだるさ、食欲不振、吐き気、黄疸、かゆみなどは肝機能低下のシグナルである可能性があり、これらの症状を感じた場合は放置せず、医師や薬剤師へ連絡するなど適切に対処することが大切です。

■膵機能低下

ソラフェニブは膵臓に影響する場合もあります。膵機能低下によって胃のあたりがムカムカする、食欲がないなどの症状が現れることがあります。臨床試験では膵臓の機能低下を検査値で評価した結果、リパーゼ上昇やアミラーゼ上昇などが報告されています。

骨髄抑制/感染症

血液をつくっている骨髄に薬剤成分が影響することで、赤血球白血球、血小板が少なくなることがあります。中でも白血球(好中球)が少なくなると病原体に対する身体の免疫力が弱くなり、感染症を引き起こしやすくなります。日頃から手洗い・うがいなどを心がけるなど感染症に対しての対策が重要です。発熱や咳などがあらわれた場合は重症になる可能性もあるため自己判断せず、早めに医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■呼吸器症状

嗄声(しわがれ声)が現れる場合があります。特に声を使う職種に就いている人は事前に医師からしっかりと説明を聞いておくことが大切です。

また呼吸器症状としては咳、息苦しさなどが現れる場合があります。さらに頻度はまれとされていますが間質性肺炎などが現れる可能性もあるため、咳や息苦しさ、発熱などの症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡してください。

低カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が低下することで、けいれんや手足・口周囲のしびれなどの症状が現れる場合があります。通常、定期的な血液検査を行い、必要に応じてカルシウム剤やビタミンD製剤の併用などが検討されます。

■創傷治癒遅延

ソラフェニブの抗腫瘍効果をあらわす仕組みのひとつに、血管が新しく作られる過程を阻害する(血管新生を阻害する)作用があります。傷などは治っていく過程で血管を新たに作ることで治癒していきます。血管新生阻害作用は腫瘍だけではなく傷にも影響するので、通常、手術後や出血性潰瘍などがある場合のソラフェニブの使用は傷の治癒状態などを十分考慮した上でおこないます。

この他、歩行時のふらつき、口のもつれなどの症状を伴う可逆性後白質脳症症候群(かぎゃくせいこうはくしつのうしょうしょうこうぐん)などの副作用があらわれる可能性もあります。副作用の種類や症状によっては至急の治療を要するものもあるため、医師や薬剤師から注意事項などに関して、事前によく説明を聞いておくことが非常に大切です。

レンバチニブ(商品名:レンビマ®)

レンバチニブは分子標的薬に分類されます。分子標的薬とは、身体の中にある特定の物質に働きかけることで作用をあらわす薬剤の総称です。レンバチニブは、がん細胞の増殖やがんに栄養を送る血管が作られること(血管新生)を抑えるなどの作用により、がんの成長を妨げます。

◎薬の作用の仕組み(作用機序)

がん細胞の増殖には酸素や栄養などを運ぶ血管が新たに作られる(血管新生が行われる)必要があります。レンバチニブは、血管新生に関与するVEGF(血管内皮増殖因子)の受容体であるVEGFRや、細胞の分化や増殖を促進するFGF(線維芽細胞増殖因子)の受容体であるFGFRを阻害する作用をあらわします。また、がんの悪性化などに関わるPDGFRα(血小板由来増殖因子受容体)、KIT(幹細胞因子受容体)、RET(Rearranged during Transfection)に対しても阻害作用をあらわします。

甲状腺がんでは特にVEGFRやFGFRによる腫瘍血管新生が深く関わり、また多くの甲状腺がんの発症及び増殖にRETが深く関わるとされています。レンバチニブはこの3つの因子(物質)を阻害することで分化がん、未分化がん、髄様がんといった甲状腺がんに対して抗腫瘍効果をあらわすことが期待できます。また作用の仕組みの特徴などからRAFやPDGFRβといった物質に対する懸念が少なく、これにより二次発がんなどへのリスクが少ないというメリットも考えられています。

◎服用方法

レンバチニブ(商品名:レンビマ®カプセル)は通常、1回24mg(4mgカプセル1個分と10mgカプセル2個分)を1日1回服用します。基本的に服用するタイミングは食事の有無に関わらず決まった時間とします(ただし、担当医から「空腹時」などの指示があった場合はその指示にしたがって下さい)。

使用開始後に安全性などの問題が現れない場合は、同じ服用量の内服を継続していきます。副作用の状態などによっては減量(又は休薬)の指示が出される場合もあります。例えば、1日の服用量を20mg、14mg、10mgなどに減量するといった指示が出される場合が考えられます。

服用量や服用方法の変更、服用の中止などは、医師が患者個々の状態を診察して判断します。自己判断での中止や用量変更は危険なので避けてください。もしも気になる症状や心配なことがある場合、また薬を飲み忘れた時や飲む量を間違えた時なども担当医に連絡・相談してください。

◎食事などに関する注意

食事に関しては特別な指示がない場合には基本的に消化の良いものを少量ずつ食べ、脱水症状などの防止のため水分を適切に摂取することも大切です。副作用として考えられる下痢や吐き気などの消化器症状などの観点から、刺激が強いもの(香辛料を多く含むもの等)や脂肪分を多く含むものはできれば避けた方が無難といえます。

また、薬草(ハーブ)としても使われるセントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む食品(サプリメントなどを含む)は、薬の効き目を弱めてしまう可能性があるため注意が必要です。

◎副作用

■高血圧(高血圧クリーゼ)

副作用によって血圧が上がることがあります。

重症の場合は心障害や血栓塞栓症などを引き起こす可能性もあるため、治療中は定期的に血圧を測定します。多くの場合は、高血圧になっても降圧薬を併用するなど適切に対処することでレンバチニブの治療を続けることができます。もしも血圧が急に上昇した場合や、頭痛、吐き気、意識がもうろうとすることなどを感じた場合にはすぐに医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処することが大切です。

■出血傾向

出血傾向とは、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりすることです。鼻血や歯茎からの出血、便に血が付くことなどで気付くことがあります。怪我に注意することも大切です。またもともとの持病に対してワルファリンカリウム(主な商品名:ワーファリン)などの血液が固まるのを抑える薬(抗凝固薬など)による治療を行っている場合は出血傾向が強くなる可能性もあるため、事前に医師や薬剤師にその旨を話しておくことが大切です。

■手足症候群や皮膚症状

手や足底に皮疹が出て、赤く腫れたり、皮膚がむけたり、痛みを伴ったりすることがあります(手足症候群)。その他、脱毛、皮疹、掻痒症、色素沈着などの皮膚症状があらわれる場合もあります。

これらの症状が現れたら、できるだけ刺激を与えないようにすることが大切です。洗いものの際に熱いお湯を使用することや長時間の入浴、刺激が強い石鹸などの使用、窮屈な靴を履くこと、長時間の歩行などは皮膚へ刺激を与える要因となるため避けることが無難です。

また患部を清潔に保つようにし、保湿(例えば、保湿クリームを使用する)などにより症状を軽減または予防する事も大切です。

■消化器症状

下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛などが現れる場合があります。消化器症状がある時の食事は特に少しずつゆっくり食べ、熱いものや辛いものなど刺激の強いものはできるだけ避けてください。また嘔吐や腹痛などの症状が激しい場合は、放置せず主治医に連絡してください。

■疲労感などの全身症状

疲れやだるさなどを感じる事があります。多くの場合、休薬をはさむことなどによって改善します。

■腎障害

タンパク尿(尿が泡立つなど)、むくみ、尿量の減少、だるさなどが現れる場合があります。これらの症状がある場合、腎臓の機能が低下している可能性があるため、医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■骨髄抑制/感染症

血液をつくっている骨髄に薬が影響することで、赤血球、白血球、血小板が少なくなります。中でも白血球(好中球)が少なくなると病原体に対する身体の免疫力が弱くなり、感染症を引き起こしやすくなります。日頃から手洗い・うがいなどを心がけるなど感染症に対しての対策が重要です。発熱や咳などがあらわれた場合は重症になる可能性もあるため自己判断せず、早めに医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■肝機能障害

疲れやだるさ、食欲不振、吐き気、黄疸、かゆみなどは肝機能低下のシグナルである可能性があり、これらの症状を感じる場合は放置せず、医師や薬剤師へ連絡してください。

低カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が低下することで、けいれんや手足・口周囲のしびれなどの症状が現れる場合があります。通常、定期的な血液検査を行い、必要に応じてカルシウム剤やビタミンD製剤の併用などが検討されます。

■創傷治癒遅延

レンバチニブの抗腫瘍効果をあらわす仕組みのひとつに、血管が新しく作られる過程を阻害する(血管新生を阻害する)作用があります。傷などは治っていく過程で血管を新たに作ることで治癒していきます。血管新生阻害作用は腫瘍だけではなく傷にも影響するので、通常、手術後や出血性潰瘍などが見つかっている場合のレンバチニブの使用は傷の治癒状態などを十分考慮した上でおこないます。

この他、歩行時のふらつき、口のもつれなどの症状を伴う可逆性後白質脳症症候群(かぎゃくせいこうはくしつのうしょうしょうこうぐん)などの副作用があらわれる可能性もあります。副作用の種類や症状によっては至急の治療を要するものもあるため、医師や薬剤師から注意事項などに関して、事前によく説明を聞いておくことが非常に大切です。

バンデタニブ(商品名:カプレルサ®)

バンデタニブは分子標的薬に分類されます。分子標的薬とは、身体の中にある特定の物質に働きかけることで作用をあらわす薬剤の総称です。バンデタニブは、がん細胞の増殖やがんに栄養を送る血管が作られることを抑えるなどの作用により、がんの成長を妨げます。

◎薬の作用の仕組み(作用機序)

がん細胞の増殖には酸素や栄養などを運ぶ血管が新たに作られる(血管新生が行われる)必要があります。バンデタニブは血管新生に関与するVEGF(血管内皮増殖因子)の受容体であるVEGFR(VEGFR-2)を阻害する作用をあらわします。また、がん細胞の増殖などに関わるEGFR(上皮増殖因子受容体)やRET(Rearranged during Transfection)などに対しても阻害作用をあらわします。

甲状腺がんの中でも髄様がんの形成・進展にはRET遺伝子の活性化が重要な役割を担っているとされ、バンデタニブの持つRETの活性を抑える有用性などにより、日本では2015年に根治切除不能な甲状腺髄様がんに対して承認されています。

◎服用方法

バンデタニブ(商品名:カプレルサ®錠100mg)は通常、1回300mg(100mg錠を3錠分)を1日1回服用します。使用開始後に安全性などの問題が現れない場合は、同じ服用量の内服を継続していきます。副作用の状態などによっては減量(又は休薬)の指示が出される場合もあります。例えば、1日の服用量を200mgもしくは100mgに減量するなどの指示が出される場合が考えられます。

服用量や服用方法の変更、服用の中止などは、医師が患者個々の状態を診察して判断します。自己判断での中止や用量変更は危険なので避けてください。もしも気になる症状や心配なことがある場合、また薬を飲み忘れた時や飲む量を間違えた時なども担当医に連絡・相談してください。

◎飲食物に関する注意

薬草(ハーブ)としても使われるセントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む食品(サプリメントなどを含む)は、薬の効き目を弱めてしまう可能性があるため注意が必要です。

◎副作用

■高血圧(高血圧クリーゼ)

副作用によって血圧が上がることがあります。

場合によっては重度の不整脈や心障害などを引き起こす可能性もあるため、治療中は定期的な血圧測定が重要です。多くの場合は、高血圧になっても降圧薬を併用するなど適切に対処することでバンデタニブの治療を続けることができます。もしも血圧の著しい上昇、過度な動悸、めまい、失神などが現れた場合はすぐに医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処することが大切です。

■消化器症状

下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が現れる場合があります。

消化器症状がある時の食事は特に少しずつゆっくり食べ、熱いものや辛いものなど刺激の強いものはできるだけ避けてください。脱水を伴う重度の下痢などが現れた場合には放置せず主治医に連絡してください。必要に応じて補液や下痢止め薬のロペラミド(主な商品名:ロペミン®)などによる治療も考慮されます。

■出血傾向

出血傾向とは、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりすることです。鼻血や歯茎からの出血、便に血が付くことなどで気付くことがあります。怪我に注意することも大切です。またもともとの持病に対してワルファリンカリウム(主な商品名:ワーファリン)などの血液が固まるのを抑える薬(抗凝固薬など)による治療を行っている場合は出血傾向が強くなる可能性もあるため、事前に医師や薬剤師にその旨を話しておくことが大切です。

■皮膚障害

発疹、ざ瘡にきび)、皮膚の赤みやかゆみ、脱毛などが現れる場合があります。また手や足底に皮疹が出て、赤く腫れたり、皮膚がむけたり、痛みを伴ったりすることもあります。

この他、日光過敏症といって日光などの光線照射に伴う紅斑、痛み、色素沈着などが現れることもあり、必要に応じて皮膚科への受診なども考慮されます。光線過敏症の予防には衣服によって皮膚を日光にさらさないようにする、日焼け止めを使うなどの工夫も有効とされ、事前に医師や薬剤師から日常生活での注意などをよく聞いておくことも大切です。

■眼障害

角膜が混濁する、ものの形がみえにくくなる、霧がかかったように見えるなどの眼障害が現れる場合があります。必要に応じて眼科の協力を仰ぐことなども考慮されます。

間質性肺炎

頻度はまれとされますが、間質性肺炎、肺臓炎、肺線維症などの間質性肺疾患が現れる場合もあります。少し無理をしたりすると息切れがする、息苦しくなる、空咳が出る、発熱がするなどの症状があり、これらの症状が急に現れたり続いたりする場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■疲労感などの全身症状

疲れやだるさなどを感じる事があります。多くの場合、休薬をはさむことなどによって改善されます。

■腎障害

タンパク尿(尿が泡立つなど)、むくみ、尿量の減少、だるさなどが現れる場合があります。これらが現れた場合、腎臓の機能が低下している可能性があるため、医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■骨髄抑制/感染症

血液をつくっている骨髄に薬が影響することで、赤血球、白血球、血小板が少なくなります。中でも白血球(好中球)が少なくなると病原体に対する身体の免疫力が弱くなり、感染症を引き起こしやすくなります。日頃から手洗い・うがいなどを心がけるなど感染症に対しての対策が重要です。発熱や咳などがあらわれた場合は重症になる可能性もあるため自己判断せず、早めに医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処してください。

■肝機能障害

疲れやだるさ、食欲不振、吐き気、黄疸、かゆみなどは肝機能低下のシグナルである可能性があり、これらの症状を感じる場合は放置せず、医師や薬剤師へ連絡するなど適切に対処してください。

低カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が低下することで、けいれんや手足・口周囲のしびれなどの症状が現れる場合があります。通常、定期的な血液検査を行い、必要に応じてカルシウム剤やビタミンD製剤の併用などが検討されます。

■創傷治癒遅延

バンデタニブの抗腫瘍効果をあらわす仕組みのひとつに、血管が新しく作られる過程を阻害する(血管新生を阻害する)作用があります。傷などは治っていく過程で血管を新たに作ることで治癒していきます。血管新生阻害作用は腫瘍だけではなく傷にも影響するので通常、手術後や出血性潰瘍などがある場合のバンデタニブの使用は傷の治癒状態などを十分考慮した上でおこないます。

この他、歩行時のふらつき、口のもつれなどの症状を伴う可逆性後白質脳症症候群(かぎゃくせいこうはくしつのうしょうしょうこうぐん)などの副作用があらわれる可能性もあります。副作用の種類や症状によっては至急の治療を要するものもあるため、医師や薬剤師から注意事項などに関して、事前によく説明を聞いておくことが非常に大切です。

その他の抗がん剤

甲状腺がんは通常の抗がん剤の効果が出にくいがんです。甲状腺未分化がんに対して、現在までに色々な抗がん剤が使われてきましたが、分子標的薬以外には有効な抗がん剤がないのが現状です。そのような中で、パクリタキセルを毎週点滴する治療方法は何らかの効果があるかもしれないと報告されています。

参考文献
・The Safety and Efficacy of Weekly Paclitaxel Administration for Anaplastic Thyroid Cancer Patients: A Nationwide Prospective Study. Thyroid. 2016 Sep;26(9):1293-9.