こうじょうせんにゅうとうがん
甲状腺乳頭がん
甲状腺がんの一種で、甲状腺がんの9割以上を占める。進行はゆっくりであることが多い
5人の医師がチェック
49回の改訂
最終更新: 2021.12.23
甲状腺乳頭がんの基礎知識
POINT 甲状腺乳頭がんとは
甲状腺がんで最も多いタイプのがんであり、90%以上が乳頭がんであるとされています。症状は甲状腺(前頸部)のしこりで、進行すると首のリンパ節に転移して首にしこりとして触れます。がんが進行すると、声帯を動かす神経が麻痺して声がれがでたり、飲み込みにくさなどの症状がでます。診断は甲状腺超音波を行い、腫瘍に針を刺して細胞を調べる検査で行います。その他に、血液検査、頸部CT検査、PET-CT検査などを行います。治療は原則として手術で、甲状腺を半分もしくは全て摘出します。進行度に応じて術後に放射線のついたヨードを内服する、追加治療を行います。進行が遅く、手術後の10年生存率は90%以上と良好です。甲状腺のしこりの原因は様々であり、まずは一般内科の受診で構いませんが、甲状腺や内分泌の病気に対応している内科が望ましいです。手術などの治療は耳鼻咽喉科や甲状腺外科で行います。
甲状腺乳頭がんについて
甲状腺乳頭がんの症状
がん の早期は無症状 であることが多い- 健康診断などで偶然見つかることもある
- がんが大きくなると、
甲状腺 のしこりとして触れる- 首の
リンパ節 に転移 すると、首にしこりを触れることがある - 甲状腺にあるがんが、触れないほど小さい場合でも、首のリンパ節に転移していることもある
- 首の
- がんが進行すると声がれや、飲み込みづらさが出ることがある
- 声帯を動かす神経が
麻痺 して声がれが起こる - 声帯が麻痺すると、むせやすくなり、飲み込みにくさが出る
- 声帯を動かす神経が
甲状腺乳頭がんの検査・診断
頸部超音波検査 (エコー 検査)喉頭ファイバー スコープ検査- 声がれがある場合には、声帯の
麻痺 がないかを調べる - 鼻から細くて柔らかい
カメラ を入れて、のどの奥を観察する
- 声がれがある場合には、声帯の
- 血液検査
甲状腺 機能検査など
- 病理検査
がん を疑うしこりに針を刺して細胞を取り、悪性の細胞がないかを顕微鏡で調べる
- 頸部
CT 検査 PET-CT検査 - 全身に
転移 がないかどうかを調べる
- 全身に
甲状腺乳頭がんの治療法
- 手術で
がん を切除するのが治療の原則- がんの広がりの程度で、
甲状腺 のとる範囲を決める- 甲状腺全摘術:甲状腺を全て摘出する
- 甲状腺葉峡部切除術:がんのある甲状腺を摘出する
腫瘍 の切除に加えて甲状腺の周りのリンパ節 の摘出を行う- 首に
リンパ節転移 がある場合は、首のリンパ節を全体的に摘出する手術を行う(頸部郭清術:けいぶかくせいじゅつ) - 1cm以下の小さな乳頭がんに関しては
経過観察 をすることもある
- がんの広がりの程度で、
- 進行の程度で甲状腺全摘術後に追加治療を行う
- 手術後に甲状腺ホルモン、カルシウムを維持する飲み薬を必要とすることがある
- 甲状腺を全て摘出した場合は、甲状腺ホルモンを一生内服する
- 甲状腺の裏にある副甲状腺を一緒に摘出した場合には、カルシウムなどの飲み薬が必要
ビタミンD 製剤:通常ビタミンD製剤のみの内服で、カルシウムの維持が可能- カルシウム製剤:ビタミンD製剤のみでカルシウムを維持できない場合に内服する
- 手術後の10年生存率は90%以上