たんどうがん
胆道がん
胆道に発生する悪性腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の総称
6人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2022.10.17

胆道がんの抗がん剤治療:効果や副作用についての解説

胆道がんには効果のある抗がん剤治療はいくつかあります。ここでは効果のある抗がん剤治療や抗がん剤治療中の生活などについても解説します。

1. 胆道がんの抗がん剤治療の目的は?

胆道がんで抗がん剤治療を使うのは遠隔転移がある場合や手術でがんがとりきれない場合です。抗がん剤で胆道がんを根治することは難しいと考えられています。根治とは体からがん細胞をなくすことです。胆道がんでの抗がん剤治療の目的は、がんが大きくなったりして進行するのを抑えて余命を延長することが中心になります。

遠隔転移は胆道から離れた臓器への転移のことです。領域リンパ節以外のリンパ節転移は遠隔転移です。遠隔転移がある場合は全身にがん細胞が散らばっていると考えます。全身に散らばっているがん細胞には抗がん剤治療が適していると考えられます。抗がん剤は血液の流れにのって全身に行き渡ります。

胆道がんが進行すると手術でがんを取り除くのは難しいと判断されることもあります。その時は遠隔転移がある場合と同様に抗がん剤治療が中心になります。

2. 抗がん剤治療で耳にするレジメンって何のこと?

抗がん剤では医師から「レジメン」という言葉を耳にするかもしれません。耳に馴染みのない言葉だと思いますので説明します。

レジメンとは使用する抗がん剤の種類や投与する量、期間、手順などを時間の流れで表した計画表のことです。抗がん剤のレジメンは臨床試験などを経て効果が確認されたものです。

標準的なレジメンをいつでも厳守しないといけないわけではありません。副作用の出やすさなどは人によって違うことがあります。副作用が出た場合など、患者さんの状態に合わせて調整しながら治療が続けられます。

3. 標準治療とはどんな治療なのか?

標準治療は、実際に多くの患者さんが治療を受けた結果に基づいて、効果があると判断された治療です。根拠となる情報には臨床試験も含まれますが、少数の事例の報告なども加味されます。

標準治療という名前からは「平凡な治療」ということを想像されるかもしれません。しかし決してそうではありません。標準治療は、過去に知られた情報を積み重ねた結果に基づくものなので、最も確実で安全な治療と言うこともできます。

つまり標準治療でない治療は、標準治療よりも何かの点で効果と安全性の証拠が弱いと言えます。たとえば「最新治療」という言葉をよく見かけます。「最新治療」は新しいからといって「最も優れた治療」という意味ではありません。最新治療として始まった治療が多くの人に使われ、実際に効果と安全性を示し続けることによって、標準治療に取り込まれるかどうかが決まっていきます。

4. 臨床試験とはどんな試験なのか?

抗がん剤治療には臨床試験から得られた情報が使われています。

臨床試験は、抗がん剤の効果や副作用などを、実際に患者さんの治療に使うことで確かめる試験です。新しい治療の効果が認められるには臨床試験が必要です。特に新しい薬の開発のために、まだ保険で承認されていない薬を試す臨床試験は治験(ちけん)とも言います。

古い治療と新しい治療のどちらを選ぶべきかにも臨床試験が役立ちます。実際に両方の治療を試してどちらかが優れた結果を出せば、そちらを優先して使うべきかもしれません。必ずしも新しい治療が優れているとは限りません。

標準治療が選ばれるにあたっては多くの臨床試験による情報が参考にされています。

5. GC療法とは?

GC療法はゲムシタビン(Gemcitabine)とシスプラチン(Cisplatin)の2種類の抗がん剤を使う治療です。ゲムシタビンとシスプラチンの頭文字をとってGC療法と呼ばれることがあります。

GC療法の効果は?

GC療法の効果を試した臨床試験があります。

局所で進行したまたは遠隔転移のある胆道がんの人に対して、GC療法とゲムシタビン単独療法の効果が比較されました。局所進行または遠隔転移のある胆道がんの人をランダムにGC療法、ゲムシタビン療法の2つのグループに分けて治療がされました。評価の項目は生存期間、進行までの期間、治療による副作用です。

  GC療法 ゲムシタビン単独療法
生存期間 11.7ヵ月 8.1ヵ月
進行までの期間 8.0ヵ月 5.0ヵ月

結果は上の表に示した通りでした。表の数字は中央値です。中央値は、順位がちょうど真ん中となる値です。

ゲムシタビン単独療法よりGC療法のほうが生存期間、進行までの期間が長いことが確認されました。この結果から胆道がんに対する抗がん剤治療はGC療法が第一選択として考えられています。

参考文献:N Eng J Med.2010;362:1273-81

GC療法の方法は?

GC療法のレジメンの例を示します。

 

1 2-7 8 9-21
ゲムシタビン 1000mg/m2 休薬 休薬
シスプラチン 25mg/m2 休薬 休薬

投与量は体表面積というものを基準にして決められます。体表面積は身長と体重から計算されます。

上記のスケジュールを3週間(21日)を1サイクルとして繰り返していきます。

この他に副作用対策として一般的に5-HT3受容体拮抗薬(吐き気止め)副腎皮質ホルモンなどが併用されます。また治療中は抗がん剤の効果、副作用、腎臓などの機能や骨髄機能などを確認します。

6. S-1単独療法とは?

S-1単独療法はS-1という薬の一剤による抗がん剤治療です。

S-1単独療法の効果は?

S-1単独療法の効果が確かめられた臨床試験を紹介します。

ゲムシタビン単独療法で進行が見られた胆道がんに対してS-1療法の効果が試されました。この研究に参加した人のうち64%が手術後に再発をした人です。

S-1療法の治療結果は全生存期間の中央値が13.5ヵ月、病気が進行するまでの期間の中央値が5.4ヵ月でした。中央値は、順位が真ん中となる値です。

重い副作用としては、好中球の減少(5%)、貧血(5%)が認められました。その他の副作用としては吐き気(27%)、食思不振(55%)、顔、爪などへの色素沈着(32%)が報告されました。

この研究の結果からS-1療法は最初の抗がん剤治療でがんが進行したあとなどに使われることがあります。

参考文献:Invest New Drugs.2012;30:708-13

S-1単独療法の方法は?

S-1は内服薬(飲み薬)です。成分名で言うとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤です。S-1の一剤による抗がん剤治療で効果が確かめられています。S-1は胆道がんのほかにも膵臓がん大腸がんなどの治療で用いられることがあります。

通常「28日連日服用後、14日間休薬」を1サイクルとし、1サイクルを繰り返して使います。

1-28 29-42
S-1 80mg/m2 ◯(連日服用) 休薬

用量は通常、体表面積によって変更されます。体表面積1.25m2未満の人であれば80mg/日、1.25〜1.5m2であれば100mg/日、1.5m2以上であれば120mg/日となります。全身の状態などによっても増減が考慮されます。副作用にはやや注意が必要で、下痢が多い人には特に注意するべきと考えられます。

7. GS療法とは?

GS療法はゲムシタビン(Gemcitabine)とS-1の2種類の抗がん剤を使う治療です。ゲムシタビンとS-1の頭文字をとってGS療法を言われることがあります。

GS療法の効果は?

局所で進行したまたは遠隔転移のある胆道がんの人に対してGS療法の効果を確かめた臨床試験があります。遠隔転移は胆道から離れた場所に転移があるまたは領域リンパ節以外のリンパ節に転移がある場合のことです。

GS療法の効果は効果が認められているゲムシタビン単独療法と比較されました。対象となった患者さんはランダムにそれぞれの治療法に分けられて治療が行われました。

  GS療法 ゲムシタビン単独療法
1年生存率 52.9% 40.0%
進行までの期間(中央値) 7.1ヵ月 4.2ヵ月

結果を上の表に示します。

1年生存率と、半分の人が進行するまでの期間はGS療法がよいという結果が得られました。入院が必要な副作用の頻度はGS療法の方が多いと報告されています。副作用は白血球減少、ヘモグロビン減少、血小板の減少などです。

進行した胆道がんに対してはゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法が最初に用いられる治療ですが、今後はGS療法との比較などが行われる可能性があります。

参考文献:Cancer Sci.2013;105:1211-6

GS療法の方法は?

ゲムシタビンは1、8、に点滴で投与します。21日を1サイクルとして繰り返して行います。

S-1は内服薬(飲み薬)です。成分名で言うとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤です。S-1の一剤による抗がん剤治療で効果が確かめられています。S-1は胆道がんのほかにも膵臓がん大腸がんなどの治療で用いられることがあります。

通常「14日連日服用後、7日間休薬」を1サイクルとし、1サイクルを繰り返して使います。

1 8 14 21
ゲムシタビン 1000mg/m2          
S-1 60mg/m2    

投与量は体表面積というものを基準にして決められます。体表面積は身長と体重から計算されます。体表面積1.25m2未満の人であれば60mg/日、1.25-1.5m2であれば80mg/日、1.5m2以上であれば100mg/日となります。

8. 抗がん剤治療中の過ごし方は?

胆道がんで抗がん剤を使う目的はがんが大きくなることを抑えたりして余命を延長することです。そのために抗がん剤治療は長期に及ぶことも多いです。抗がん剤治療を受けていると生活で注意する点が増えるのはやむを得ないことですが、自ら生活を制限することは必要ありません。

抗がん剤治療中の主な症状

  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 発熱
  • 脱毛
  • 下痢
  • 口内炎

抗がん剤はがん細胞を攻撃しますが、正常な細胞にも影響を与えます。吐き気を抑える治療法は近年かなり進歩しているので以前に比べると抗がん剤治療を継続できなくなるほど厳しい症状は出なくなってきています。しかしそれでも吐き気が支障になる人はいます。吐き気は医師に相談してできるだけ抑えることが大事です。

日常生活でも吐き気が増す匂いや食べ物などをできるだけ避けることが大事です。吐き気は食欲などをなくす原因にもなります。

下痢がひどいと体から水分が失われて脱水などの症状が現れることがあります。下痢も受診した際に相談してみることが大事です。

発熱性好中球減少症(はつねつせいこうちゅうきゅうげんしょうしょう)とは?

発熱は注意が必要な症状です。特に体の中から細菌などを排除する好中球という細胞が減少している状況では重い感染症にかかる可能性があります。発熱性好中球減少症といいます。発熱性好中球減少症は早めの対処が大事です。抗がん剤治療中は血液検査が定期的に行われます。血液検査を受けた後には自分がどのような状態かを確認しておくことが大事です。

9. 胆道がんで使う抗がん剤の詳細情報

胆道がんで使う抗がん剤治療について解説します。作用や副作用などに注目してください。

ゲムシタビン(略号:GEM)(商品名:ジェムザール®など)

ゲムシタビンは細胞分裂に必要なDNA合成の過程を阻害し、がん細胞の増殖を抑える代謝拮抗薬という種類に分類される抗がん剤です。

細胞内で代謝された後、DNA鎖に取り込まれることによって細胞の自滅(アポトーシス)を誘発させる作用などによって抗腫瘍効果をあらわします。

胆道がんではシスプラチン(CDDP)との併用によるGC療法(GEM+CDDP療法)やS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)との併用療法などが治療の選択肢となっています。

他にも非小細胞肺がん膵がん卵巣がん膀胱がん乳がんなど多くのがんに保険適用を持つ抗がん剤です。

注意すべき副作用に骨髄抑制、間質性肺炎、吐き気や食欲不振などの消化器症状、発疹などの皮膚症状、肝機能障害などがあります。また発熱は特に初回の治療後に出現しやすいとされ、感染症にかかっている可能性なども考慮し、発熱があらわれた場合は自己判断せずに医師などの指示に従い適切に対処することも大切です。

シスプラチン(略号:CDDP)(商品名:ランダ®、ブリプラチン®など)

化学構造中にプラチナ(白金:Pt)を含むことからプラチナ製剤という種類に分類される抗がん剤です。細胞増殖に必要な遺伝情報を持つDNAに結合することでDNA複製を阻害し、がん細胞の分裂を止め、がん細胞の自滅(アポトーシス)を誘導することで抗腫瘍効果をあらわします。

胆道がんの治療ではゲムシタビン(GEM)との併用によるGC療法(GEM+CDDP療法)などが治療の選択肢となっています。

シスプラチンは多くのがん化学療法のレジメン(がん治療における薬剤の種類や量、期間、手順などの計画書)で使われる薬剤で、胆道がん以外にも肺がん食道がん子宮頸がん乳がん胃がん膀胱がんなど色々ながん治療に対して承認されています。

注意すべき副作用に腎障害(急性腎障害など)、過敏症、骨髄抑制、末梢神経障害、消化器障害、血栓塞栓症、低マグネシウム血症などがあります。その他、難聴・耳鳴り、しゃっくりなどがあらわれることもあります。

また治療中に水分を摂る量が減ると腎障害の増悪などがおこる可能性があります。医師から治療中の具体的な水分摂取量が指示された場合はしっかりと守ることも大切です。

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(略号:S-1)(商品名:ティーエスワン®など)

テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムという3種類の成分からできている配合剤で、略号から「S-1」と呼ばれる抗がん剤です。

中心となるのはテガフールです。テガフールは体内でフルオロウラシル(5-FU)という成分に徐々に変換され抗腫瘍効果をあらわします。5-FUはがん細胞の代謝を阻害し、がん細胞を死滅させる代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)という種類に分類され、細胞増殖に必要なDNAの合成を障害する作用やRNAの機能障害を引き起こすことでがん細胞の自滅(アポトーシス)を誘導させます。

テガフール以外の2種類の成分はテガフールを補助する役割を果たします。

ギメラシルは5-FUを分解するDPD(dihydropyrimidine dehydrogenase)という酵素の活性を阻害することで5-FUの血中濃度を高めて抗腫瘍効果を増強する役割を果たします。

オテラシルカリウムは5-FUの主な副作用である消化器症状(消化管粘膜障害)を軽減する作用をあらわします。

S-1は元々、胃がんの抗がん剤として承認を受けました。その後、頭頸部がん、大腸がん肺がん(非小細胞肺がん)、乳がん膵がんに対して追加承認され、2007年には胆道がんに対しても承認されています。

胆道がんの治療では本剤の(抗がん剤として)単独療法やゲムシタビンとの併用療法などが治療の選択肢となっています。

本剤は休薬期間を設ける場合も多く「28日間連日服用後、14日間休薬」や「14日間連日服用後、7日間休薬」などの服薬スケジュールが指示される場合があります。処方医や薬剤師から服薬方法などをしっかりと聞いておくことも大切です。

S-1の副作用として、オテラシルカリウムによって負担が軽減されているとはいえ食欲不振、吐き気、下痢、口内炎などの消化器症状には注意が必要です。他に骨髄抑制、肝機能障害、間質性肺炎などにも注意が必要です。

また、皮膚や爪などが黒くなる色素沈着や流涙(涙管が狭まり涙があふれ出る)といった症状があらわれる場合もあります。色素沈着は直射日光にあたるところにできやすいという報告もあり、日差しの強い場所を避けたり、外出時に帽子や衣類で直射日光をできるだけ避けることも大切です。

S-1は内服薬(飲み薬)ですが、嚥下機能の状態などによりカプセル(ティーエスワン®配合カプセルなど)が飲み込みにくい場合には口腔内崩壊錠(ティーエスワン®配合OD錠など)や顆粒剤(ティーエスワン®配合顆粒など)といった剤形(剤型)の変更も可能です。

10. 抗がん剤の副作用への対応は?

抗がん剤はがん細胞だけに影響を与える訳ではありません。私達の正常な細胞にも影響を与えます。正常な細胞に与える影響を副作用と呼びます。

ここではいくつかの副作用への対処法を解説します。

アレルギー症状

ゲムシタビンを投与すると起きることがある薬に対する過敏反応です。全ての人に出る訳ではありません。

■どんな症状か?

皮膚に湿疹などが起きます。発熱が同時に見られることがあります。過敏反応が重い場合にはアナフィラキシーという状態になります。気分が悪くなる、呼吸困難、血圧が下がるなどの症状がみられます。

■自分で気をつけることは?

ゲムシタビンは点滴で投与しますが点滴の最中から喉や呼吸の変化はないかなどに注意しておくことは大事です。少しでも違和感をかんじたら医師や看護師にすぐに相談してみてください。皮膚の症状は点滴が終了してから現れることが多いです。

吐き気

吐き気はシスプラチンという抗がん剤により起こることが知られています。吐き気に対しては予防的薬の投与が有効です。

■どんな症状か?

抗がん剤の投与後、数時間して起きることがあります。数日間続く場合もありますが抗がん剤の影響がなくなると収まります。吐き気の種類として抗がん剤が始まる前から吐き気を催す場合があります。吐き気のタイミングに応じて適した薬を使います。

■自分で気をつけることは?

もし予防的な吐き気止めなどの処方があればそれを指示されたタイミングで内服するのが大事です。吐き気があるときには食事は無理に取る必要はないと思います。入院中であれば点滴により水分が補えるので心配はいりません。もし自宅であれば水分摂取を優先することが大事です。

■相談するタイミングは?

水分が摂取できない時は脱水などの症状もでて体への負担が大きくなります。この場合には医師に相談して点滴などによって体の状態を改善させることが大事です。

口内炎・粘膜症状

口内炎・粘膜障害は多くの抗がん剤の副作用です。胆道がんで使う抗がん剤ではS-1で多いです。

■どんな症状か?

口の中が赤くなったり腫れ上がったりします。食事や飲み物がしみることがあり食事を摂れなくなることもあります。

■自分で気をつけることは?

口内炎・粘膜障害は口の中を清潔にしておくことで発症が抑えられる可能性があります。喫煙は悪影響なのでできれば禁煙することが望ましいと思います。口内炎・粘膜障害ができると歯磨きなども痛みで難しいこともありますが、柔らかい歯ブラシなどでできる限り清潔に保つことが大事です。

■相談するタイミングは?

口内炎・粘膜障害が原因で食事や飲水ができなかったりする場合は医師に相談してみて今の食事の方法などに問題がないかなどの確認をしてみることも大事です。

下痢

下痢はS-1の内服で注意が必要な副作用です。

■どんな症状か?

胆道がんで手術をしている場合、手術後は下痢をしやすくなっています。このために下痢の様子からはS-1が原因かどうかを見分けることは難しいです。下痢が続くとひどい脱水になることがあるので注意が必要です。

■自分で気をつけることは?

たかが下痢と考える人は少ないと思いますが、できるだけ回数や様子について観察して季禄しておくことが大事です。診察の時に医師は患者さんの状態を把握しやすくなります。

■相談するタイミングは?

下痢があるとひとまずはスポーツドリンクなどで水分の補給に努める方がいいです。我慢しすぎるとひどい脱水に陥るので長引く場合は医師に相談してみて薬を一時休んだり、点滴などをするのがよいと思います。

皮膚障害・脱毛

皮膚障害はS-1でよく見られる症状です。脱毛はゲムシタビンやS-1の副作用として知られています。

■どんな症状か?

S-1でみられる皮膚に影響する副作用には皮膚に色がつく色素沈着や手のひらや足の裏が赤くなる手足症候群があります。手足症候群は腫れて痛みがでることがあります。脱毛は1-2か月経過した時点から目立ち始めます。

■自分で気をつけることは?

手足症候群ではできるだけ乾燥を避けることが大事です。乾燥は症状を悪化させる原因になります。保湿などが効果的なこともあるのでこまめに体のケアをすることが大事です。

■相談するタイミングは?

手足症候群の症状がひどくなるとものを持ったりするのも難しくなる人が中にはいます。副作用により生活がしづらくなるのはあまりよいことではありません。休薬などして症状の緩和を行うのも一つの考え方です。

赤血球の減少(貧血)

赤血球は酸素を運ぶ役割などを果たしています。赤血球が減少した状態を貧血といいます。

貧血はどのような抗がん剤が原因でも起こりうる副作用です。

■どんな症状か?

貧血がおきると体に酸素が送れなくなり動悸がしたり全身の倦怠感が現れます。

■自分で気をつけることは?

抗がん剤治療中には血液検査が定期的に行われます。この際には医師から結果について説明があると思いますが、一つの注目するポイントにしてみてください。また貧血の状態ではあまり無理はしないことをお勧めします。車の運転なども可能であるならば付き添いの人などにお願いする方がいいと思います。

■相談するタイミングは?

医師は血液検査で赤血球の値を確認していますが、貧血による症状は数値とはかけ離れてでることがあります。例えば、数値は軽度の貧血であったとしても倦怠感などが強い場合はよくあります。その際には一度治療を休憩するの一つの考え方です。倦怠感や息切れなどがひどい場合には医師に相談してみてください。

白血球の減少

白血球は体からウイルスや細菌などの外敵から身を守る役割を果たしています。白血球の減少も抗がん剤の副作用として比較的よく見られる副作用です。

■どんな症状か?

白血球が減るだけでは症状が出ることはほとんどありません。しかし白血球が減少した状態で細菌感染症にかかると重い症状になることがあります。

■自分で気をつけることは?

白血球は定期的に血液検査を行うことで医師は数値を把握しています。医師から血液検査の説明があった場合には白血球は注目しおいた方がよい項目です。そしてもし白血球が下がっている時期であれば感染にはいつもよりさらに気を配って手洗い、うがいなどをすることをお勧めします。

■相談するタイミングは?

医師から血液検査の結果が聞けると思うのでその値には注意しておくことが大事です。また白血球が減少ししているときに感染症にかかると重い状態になることがあります。医師から注意が促されているタイミングでの発熱は直ちに治療中の医療機関を受診することを勧めます。

血小板の減少

血小板は出血したときに血液を固めて止血の役割を果たしています。

■どんな症状か?

血小板が減少することに症状はありません。血症板が減少しているときに体を打ちつけたりすると皮下出血がひどくなるなどの症状がでることがあります。

■自分で気をつけることは?

抗がん剤治療中には定期的に血液検査をして異常な数値がないかを確認します。医師から血液検査の結果説明があったときには血小板の値にも注目することが大事です。

血小板が減少しているときには、少し傷を負うだけで止血ができなかったりすることがあります。このためにできるだけ傷を負うような機会を普段より避けることが大事です。

■相談するタイミングは?

もし体に傷がついて止血する様子などがないときには早めに治療をしている医療機関や近くの医療機関を受診して対応してすることが大事です。

腎臓の機能の低下

腎臓は尿を作り体の中の電解質バランスを整えるなどの役割を果たしています。腎臓はシスプラチンという抗がん剤でダメージを受けやすいので医師は血液検査などで注意をしてみています。

■どんな症状か?

腎臓の機能が少し低下しても症状を認めることはほとんどありません。腎臓の機能が低下している時に点滴などをすると足が浮腫むなどの症状がでることがあります。

■自分で気をつけることは?

腎臓の機能を落とさないためにはできるだけ水分を摂取することが大事です。水分摂取の1日目標量などが医師から告げられることがあります。できるだけ水分の摂取をすることが大事です。

■相談するタイミングは?

腎臓の機能は血液検査などで定期的に確認しています。また腎臓の機能が低下したことによる症状はかなり機能が低下するまでは現れません。医師からはできるだけ水分を摂取するように言われることが多いので腎臓の機能が少し低下していると言われている人で飲水などができないときには医師に相談することをお勧めします。