糖尿病とがんの関係、信頼できる研究は約2割

糖尿病ががんと関係するという指摘はしばしばあり、複数の研究をまとめて評価した「メタアナリシス」や「システマティックレビュー」と呼ばれる種類の研究も出ています。アメリカとヨーロッパから集まった研究班が、これまでのメタアナリシス、システマティックレビューをさらにまとめて検討し、「質の高い研究は一部しかない」と結論しました。
◆複数の研究のまとめをさらにまとめて検討
研究班は、論文データベースなどから、糖尿病のうちで生活習慣と関係が深いとされる2型糖尿病と、
20種類のがんの発生と7種類のがんによる死亡について、2型糖尿病との関連を調べたメタアナリシス27件が集まりました。
◆最も質が高いグループに27件中の6件
調査の結果、1,000人より多い患者の情報を集めて統計的に強い関連を指摘するなど、「質が高い」と判断されたメタアナリシスは7件にとどまりました。
そのうちでさらに、ある程度以上に質の揃った、まとめて評価するのに適した組み合わせのデータを集めていたものは6件でした。これら6件の中では、2型糖尿病と乳がん、胆道がん(肝内胆管がんと肝外胆管がんを含む)、大腸がん、子宮体がん、胆のうがんの関連が検討され、乳がん、肝内胆管がん、大腸がん、子宮体がんに統計的に
研究班は、「2型糖尿病と発がん・がん死亡に関連があると言われることが多いが、バイアス(偏り)の疑いなくその関連を頑健に支持する根拠は比較的わずかしかない」と述べています。
質が高い論文6件が選び出されましたが、「患者1,000人」などの基準は、それにかなわなかった論文を「無効である」と評価するものではありません。また、比較的「質が高くない」とされた論文がより多いとしても、いくつかの種類のがんと2型糖尿病の関連は、「質が高い」研究によって支持されることが改めて確認されたともいえます。
この研究には、読者に「ひとつひとつの論文を、その限界も意識しつつ読み解く」という注意を促す側面があるといえるでしょう。
執筆者
Type 2 diabetes and cancer: umbrella review of meta-analyses of observational studies.
BMJ. 2015 Jan 2
[PMID: 25555821]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。