2015.05.30 | ニュース

糖尿病の血液検査、HbA1cは太った人に厳しすぎ!?

中国4千人の検査結果から
from The Journal of clinical endocrinology and metabolism
糖尿病の血液検査、HbA1cは太った人に厳しすぎ!?の写真
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糖尿病の検査として、血液検査で「HbA1c」という物質を調べるのが、血糖値の検査と並んで標準的です。HbA1cは検査前1か月から2か月程度の血糖値を反映すると考えられ、持続的に血糖値が高くなっているかどうかの目安にされます。中国の研究班から、HbA1cによって糖尿病を見分けようとすると、肥満の人では間違いが多くなることが報告されました。

◆中国の4,325人を診断

糖尿病の診断は「経口ブドウ糖負荷試験」(OGTT)という検査によってなされます。OGTTはブドウ糖を飲んだ前後で血糖値を測ってその変化を見る検査です。HbA1cを測ってもOGTTの結果とある程度一致すると考えられていますが、この研究ではその正確さを調べました。

研究の対象者は下記の通りです。

中国のハルビンで行う、人口全体に対する横断研究として、以前に糖尿病と診断されたことのない20歳から74歳の人4,325人を対象とした。

以前に糖尿病と診断されたことのない人4,325人が対象となりました。

研究班は、HbA1cとOGTTのそれぞれで対象者を正常・前糖尿病状態・糖尿病の3段階に分け、HbA1cによって分けた結果がOGTTによる正しい診断と一致するかどうかを見ました。特に、肥満の程度を表すBMI(体重÷身長の2乗)によって結果に違いがあるかどうかを調べました。

 

◆BMIが高い人にはHbA1cの基準を上げたほうが当てはまる

統計解析の結果、HbA1cによる診断の正確さは、以下のようにBMIによって変わっていました。

BMIが大きいほど、HbA1cとOGTTの診断結果は不一致が多くなった(正常体重でκ = 0.359、BMI≧25の過体重でκ = 0.312、BMI≧30の肥満でκ = 0.275)。

糖尿病状態に対して80%の特異度糖尿病に対して97.5%の特異度をクリアするHbA1cの最適なカットオフ値は、正常体重では前糖尿病状態に対して5.6%、糖尿病に対して6.4%であり、過体重では前糖尿病状態に対して5.7%、糖尿病に対して6.5%、肥満では前糖尿病状態に対して6.0%、糖尿病に対して6.5%だった。

BMIが25以上の「過体重」の人、BMIが30以上の「肥満」の人ではHbA1cによる診断がOGTTによる診断と一致しない場合が多くなり、次のようにBMIによってHbA1cの基準値を変えると、OGTTの結果に最もよく当てはまりました。

  • BMIが25未満のとき
    • HbA1cが5.6%以上を前糖尿病状態とする
    • HbA1cが6.4%以上を糖尿病とする
  • BMIが25以上30未満のとき
    • HbA1cが5.7%以上を前糖尿病状態とする
    • HbA1cが6.5%以上を糖尿病とする
  • BMIが30以上のとき
    • HbA1cが6.0%以上を前糖尿病状態とする
    • HbA1cが6.5%以上を糖尿病とする

 

日本で使われている、日本糖尿病学会による診断基準では、HbA1cの基準値をBMIによって変えてはいません(WHOの基準では、HbA1cを診断のための情報に含めていません)。

BMIが30以上だとOGTTが正常でもHbA1cが高めになりやすいという傾向が、もしどこででも再現されるものなら、健康状態の評価に影響があるかもしれません。糖尿病を専門にされている医師の方は、BMIとHbA1cの関係を感じたことがありますか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Increased hemoglobin a1c threshold for prediabetes remarkably improving the agreement between a1c and oral glucose tolerance test criteria in obese population.

J Clin Endocrinol Metab. 2015 May

[PMID: 25751104]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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