新たな糖尿病治療薬「カナグリフロジン」、痩せる効果とHbA1cを下げる効果

2型糖尿病の新しい治療薬であるカナグリフロジンは既存の薬と違って減量効果があり、更に糖尿病の検査値であるHbA1cや血圧を下げます。体重減少が原因でHbA1cや血圧が下がることもあるので、著者らがデータを解析したところ、カナグリフロジンは体重減少と別にHbA1cや血圧低下にも直接的な効果をもたらしていたという結果が出ました。
◆2,250人のカナグリフロジン投与フェイズ3研究の再解析
著者らは以下の調査を行いました。
フェイズ3偽薬対照研究4件から統合した2型糖尿病患者2,250人分の研究データを再利用して解析した。それぞれの研究で、患者は偽薬、カナグリフロジン100mgか300mgを1日一回26週間投与したグループに分けられた。体重、HbA1cとSBPのベースラインからの変化は26週で計測し、体重減量効果のHbA1cと
収縮期血圧 低下の寄与度はANCOVAから算出した。
つまり既に行われたカナグリフロジン投与試験のデータを利用して、改めてHbA1cや血圧の変化が体重減少と独立した効果かどうか、調べています。
◆体重減少に加えHbA1cや血圧低下効果を持つ
解析の結果、以下の結論を得ました。
カナグリフロジン100mgか300mg投与では、平均体重、HbA1cと収縮期血圧共に偽薬と比べて減少した(それぞれP<0.001)。
カナグリフロジンによって体重減少と独立してHbA1cと収縮期血圧が低下した割合を解析したところ、HbA1c抑制効果の約85%と収縮期血圧低下効果の約60%が、体重減少とは独立した事象であった。
つまり体重減少とは別に、HbA1や血圧を下げる効果が、カナグリフロジンにありました。
著者らは「2型糖尿病患者においてカナグリフロジンが治療的に意味ある体重減少をもたらし、体重減少はHbA1c濃度と収縮期血圧の低下の一因となった」と結論づけています。
カナグリフロジンは、日本では2014年に承認されたばかりの新しい薬です。
執筆者
Effects of canagliflozin on body weight and relationship to HbA1c and blood pressure changes in patients with type 2 diabetes.
Diabetologia. 2015 Jun
[PMID: 25813214] http://link.springer.com/article/10.1007/s00125-015-3547-2※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。