にゅうがん
乳がん
乳腺に発生する悪性腫瘍。女性に多いが、男性に発症することもある
14人の医師がチェック 163回の改訂 最終更新: 2021.03.31

乳がんのQ&A:男性乳がん、若年性乳がんなど

乳がんは乳房に発生するがんです。乳房の悩みは人には打ち明けにくいものも多くあります。ここでは乳がんで少し気になるけれど聞きづらいと思われる内容について説明します。 

乳がんは乳汁を分泌する乳管という場所に発生します。男性にも乳管はあるので、男性が乳がんになることは有り得ます。

男性の乳がんはまれです。「がんの統計 '19」によると乳がん患者さんの中で男性の割合は約0.7%(95,252人中674人)でした。もう少し多いという報告もありますが、いずれにしても男性が乳がんにかかることはかなりまれだと考えられます。

かなりまれなために定期的な検査は不要だと考えられます。乳房にもししこりや痛みなどを自覚するような場合には乳腺外科を受診することをお勧めします。

男性乳がんの初期症状は女性とほとんど同じくしこりなどの自覚を契機に発見されることが多いと考えられています。他の症状は女性と同様ものが現れると考えられています。
乳がんの初期の症状としては、しこり以外には、疼痛(痛み)、血性乳頭分泌物(乳頭から血のようなものがでる)、乳頭陥凹(乳頭がくぼむ)、腋窩腫瘤(しこり)、乳房の浮腫(むくみ)などが症状として現れます。

男性の乳がんの初期症状として多いものは、しこりです。痛みも症状として認めると考えられますが、多くはありません。胸の痛みは、他に狭心症逆流性食道炎胸膜炎などの乳房以外を原因とする病気も考えなければなりません。
胸の痛みが続くときには速やかに医療機関を受診して原因について精査をおこなうことが大事です。

女性の乳がんと大きく変わる所はありません。転移がなければ、手術を行いその後再発予防を目的とした薬物療法を行います。転移がある場合は、薬物療法を中心とした治療を行います。

男性乳がんの経過は女性の乳がんとほとんど同じだと考えられています。男性に発生した乳がんだからといってその後の経過が悪いことはありません。

若年乳がんの定義は色々と有りますが、一般的には34歳以下の女性に発生した乳がんを若年性乳がんと呼ぶなどの言い方があります。

「がんの情報 ’19」に掲載されている統計をもとに、2016年に乳がんを新しく診断された人の数(罹患者数)を年代ごとに分けると以下の通りになります(もとの統計は5年ごとの年齢階級別で集計されています)。全年齢の合計では、2012年の乳がんの罹患者数は82,773人でした。

  0-19歳 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 80歳以上
罹患者数 2人 296人 4,063人 18,594人 18,196人 23,879人 17,742人 12,076人


乳がんは40代以上で見つかる人が大多数である一方、30代までで診断される人も少数ながらいることが表れています。

表のうち、30-39歳としてまとめた30-34歳と35-39歳での罹患者数は次のとおりでした。

  • 30-34歳:1,005人 
  • 35-39歳:3,008人

34歳以下を若年性乳がんと考えると、乳がん全体に対する割合は1.7%という計算になります。少ないながらも若年性乳がんはあります。

「がんの統計 ’19」では、2012年に10代で乳がんに罹患した人は2人と報告されています。がんなどの病気に絶対はありませんが、10代で乳がんを発症することはかなりまれだと考えられます。

ストレスが直接的に乳がんの原因になるかどうかは明らかではありません。

ストレスと一口に言ってもストレスの種類などによっても異なり、同じストレスでもその人で感じ方が大きく異なります。またストレスは数値化などが困難なことも問題の一因を担っています。このためにストレスという漠然としたものと乳がんの関係については結論が出せないのが現状です。
現代社会ではある程度のストレスを抱えて生きていかねばなりません。ストレスと乳がんの関係はさておいても、多くの病気の原因となるストレスとはうまく付き合って行くことが重要です。

乳がんは自覚症状から発見される人が半数以上を占めます。乳がんの代表的な症状は、しこりですが、それ以外には疼痛(痛み)、血性乳頭分泌物(乳頭から血のようなものがでる)、乳頭陥凹(乳頭がくぼむ)、腋窩腫瘤(しこり)、乳房の浮腫(むくみ)などがあります。

乳がんでも乳房に痛みを生じることがあります。しかしながら、乳房が痛む原因には乳がん以外にも乳腺症、乳腺炎などがあります。乳腺症は生理(月経)とともに痛みが強くなり、月経終了後には痛みが軽くなるなどの症状があります。乳腺炎は授乳中などに起きることがあります。乳頭に傷が付いていたりして、そこから細菌が入り込み乳房に炎症を起こします。
まれな乳がんとしてしこりなどはないものの痛みなどを中心に発症する炎症性乳がんというものもあるので、注意が必要です。炎症性乳がんでは乳房に熱感を自覚したり皮膚がオレンジ色になることなどを特徴としています。
乳房が痛む原因は良性の病気を原因とすることが多いですが、長引く痛みなどに対しては原因をはっきりさせておくことが重要です。

乳房のかゆみや皮膚のただれは乳がんの典型的な症状ではありませんが、乳房に発生するパジェット病という病気がかゆみや皮膚のただれを症状の特徴としています。乳房パジェットは乳がんが乳管を経て乳頭および乳輪の表皮内に進展したものです。乳房パジェット病も乳がんと同様に手術により治療を行います。

だるさや発熱は乳がんの典型的な症状ではありません。発熱だるさなどの訴えがある人に対しては、最初に乳がんを疑うことはありません。微熱や倦怠感が続くときは様々な病気の可能性があります。だるさや発熱が続くときには医療機関を速やかに受診して原因をしらべることが重要です。

乳房をマッサージすることで、乳がんを予防できるかは明らかではありません。マッサージではありませんが、自己検診というものがあります。自己検診とは、乳房を定期的に眺めたり触ったりして観察することです。自己検診は乳がんを早期発見することが目的とされています。乳がんは自覚症状から発見される人が半数以上を占めます。

マッサージで乳がんの予防ができるとは現時点ではいえません。