にゅうがん
乳がん
乳腺に発生する悪性腫瘍。女性に多いが、男性に発症することもある
14人の医師がチェック 163回の改訂 最終更新: 2021.03.31

乳がんの検査③:超音波検査、MRI検査、生検の方法や違いについて

乳がんの検査にはマンモグラフィ超音波検査などの画像検査を使います。診断を確定させるには組織の一部を切り取って観察する生検が必要です。さらに治療方針を決めるための検査もあります。  

乳がんは40歳を超えると増加してきます。マンモグラフィを中心とした乳がん検診は、40歳以上になると2年に1回受診することが推奨されています。

ここでは症状がない人の検査について説明します。

乳がん検診は、視触診、マンモグラフィと必要に応じて超音波検査を行います。視触診では乳房にしこりがないかなどを確認します。しこりとは「塊」という意味です。触って硬いものがないかを探します。

乳がん検診で最も重要な検査は、マンモグラフィです。マンモグラフィは放射線を使用して乳房の画像を撮影します。乳房を圧迫して行う検査なので痛みを伴います。

超音波検査はマンモグラフィではわかりづらかったものがはっきり見える場合があります。

乳がんは自覚症状で発見される人が半数以上です。自覚症状が出るのは、乳がんがある程度の大きさになってからです。乳がんは小さいうちに発見し治療するほうが効果があります。マンモグラフィに代表される乳がんの検査は、乳がんの早期発見を目的とした検査です。

乳がんを診断する検査はいくつかあります。検査にかかる費用について紹介します。医療機関によって異なる場合もあるのでおおよその数値です。これ以外にも初診料などが必要になります。

乳がん検診は40歳以上の人が対象になります。40歳未満の人は全額を自己負担することになります。

■自治体の検診を利用する場合
40歳以上の人が対象です。マンモグラフィを基本として検査が行われます。超音波検査が行われることもあります。負担する金額は自治体によって異なります。費用は0-3,000円ほどです。

■本人希望により随時検査する場合
40歳未満の人や、自治体の検診の予定とは別に検査を受ける場合では、自己負担による検査になります。

  • マンモグラフィ:5,000円前後
  • 超音波検査  :3,500円前後
  • マンモグラフィと超音波検査:10,000円前後

これに初診料などが加わるので、検査費用には15,000-20,000円ほどを用意しておくとよいと思います。

勤めている会社によっては検診制度がある場合もあります。専業主婦の人でも夫の会社による費用の負担が可能な場合があります。会社の制度を一度調べてみることもお勧めします。

乳がんの検査で痛みを伴う検査はいくつかあります。

  • マンモグラフィ 
  • 吸引細胞診 
  • 組織診

マンモグラフィには痛みが伴います。それは乳房をできるだけ圧迫して平たくするためです。乳房を圧迫するのには理由があります。1つは、乳房を延ばすことで乳房内をくまなく観察することができ、鮮明なレントゲン写真を得ることができるからです。もう1つは、乳房を平たく圧迫することで放射線の照射量が減少して、被曝量を少なくすることができるからです。

乳がんが疑わしい場合には、乳がんかどうか確認する必要があります。吸引細胞診や組織診は乳がんを確認する検査です。

乳がんが疑われる場所に対して針を刺して細胞もしくは組織を取り出し検査します。画像や血液などではなく、調べたいものそのものを調べるので信頼性の高い検査です。

吸引細胞診は細い針を刺して細胞を吸い出します。組織診も針を刺すのですが、細胞診より多くの検体(組織)を採取します。その分検査で用いる針も太くなり、痛みも大きいことが多いです。

検査は診断を正確に行うために重要ですが、ある程度の痛みが伴います。痛みには医師も十分気を付け、必要に応じて局所麻酔などを行いますが、痛みは本人にしかわからないものです。一般的には、吸引細胞診は無麻酔で行い、穿刺組織診では、局所麻酔下で行います。検査中痛みが気になるときは遠慮なく検査を行うスタッフに伝えてみてください。痛みを軽くする方法がある場合もあります。痛みが原因でその後の定期検査を受けるのが嫌になるのはあまりよいこととはいえません。

検査結果は早く知りたいものですが、検査の種類によって結果が出るまでの期間にも差があります。主な乳がんの検査は以下のものです。

  • 画像検査
    • マンモグラフィ 
    • 超音波検査 
  • 生体検査
    • 吸引細胞診 
    • 組織診

マンモグラフィは検査当日から1週間後までには結果の説明を受けられることが多いです。時間がかかるのは画像を見て判定する診断医が必要だからです。マンモグラフィの診断医が不在の病院では検査を病院外の医師に依頼することもあります。その一方で、検診を積極的に行っている病院では、マンモグラフィの診断医が充実している所もあります。

超音波検査は、乳腺を専門とする医師が自分で行うことが多いので、その場合は検査終了とともに結果の説明があります。

生体検査とは乳がん検診で異常があったために腫瘍に針を刺して細胞を取ってきて乳がんかどうかを判定する検査です。判定を行うのは病理診断医です。病理診断は時間のかかる検査なので結果は1-2週間後に判明します。

検査結果が報告されるまでの期間は検査を受けた医療機関によって変わる部分が大きいです。

乳がんを診断するための検査は、大きくは画像検査と直接乳房に針を刺して取ってくる検査(生体検査)に分かれます。以下では症状がある場合や検診で何らかの必要を指摘された場合の検査について説明します。

  • 画像検査 
    • マンモグラフィ 
    • 超音波検査 
    • MRI検査
    • PET検査
  • 生体検査
    • 吸引細胞診
    • コアニードル生検
    • 吸引式乳房組織生検
    • 外科的生検

必要な画像検査を行った結果、乳がんの疑いがあると考えられる場合には、生体検査を行い乳房の一部を取り出して調べます。取り出したものを直接調べることで診断が確定します。また、乳がんだった場合には細かいタイプに分類することも生体検査の大切な役割です。

乳がんの治療には多くの場合で薬物療法を使います。乳がんがどのようなタイプかを調べておくことで、どの薬が効きやすいかを予測できます。

マンモグラフィは、乳がんの早期発見を目的に行われる検査です。板と板に乳房を挟んで乳房を圧迫して乳房を薄く伸ばしてレントゲン(X線)による撮影を行います。しこりなどの症状があるときの最初の検査としてもマンモグラフィはよく使います。

マンモグラフィの目的は乳がんが疑わしい病変(正常組織と違って見えるもの)があるかどうかを判断する検査です。マンモグラフィで乳がんが強く疑われる場合でも病変の一部を取ってきて(生検)、乳がんかどうかの判断を行います。マンモグラフィだけで乳がんと診断されることはありません。マンモグラフィで乳がんが疑わしいとされても生検で乳がんではないと診断されることもあります。

マンモグラフィの結果は表の5段階で評価します。

カテゴリー分類

カテゴリー 所見 がんが検出される確率
カテゴリー1 異常なし ごくまれ
カテゴリー2 良性 まれ
カテゴリー3 良性、しかし悪性を否定できず 約5-10%
カテゴリー4 悪性の疑い 約30-40%
カテゴリー5 悪性 約90%

参考:乳がん診療ガイドライン

マンモグラフィの画像から読み取れる特徴(所見)をもとにカテゴリーを分類する基準が決められています。ひとつひとつの所見については煩雑になるのでここでは省きます。

カテゴリーは、「乳がんがありそうか、なさそうか」を分類したものです。がんの分類で「ステージ」という言葉もありますが、カテゴリーとステージの意味はまったく違います。カテゴリー4やカテゴリー5だからといって「末期がんに違いない」と思う必要はありません。カテゴリー4でも調べてみると乳がんではない場合はよくあります。

マンモグラフィの結果は「陽性」という言葉で説明されることもあると思いますが、正確ではありません。「陽性」はカテゴリー3以上を指していると思われます。カテゴリー3とカテゴリー5でがんの可能性は大きく異なります。あるいは、良性の石灰化などがあるだけでも「陽性」と表現されている可能性も考えられます。

マンモグラフィの結果が「陽性」や「要精密検査」でも「乳がんがあった」という意味ではありません。落ち着いて今後の検査方針を聞いて精密検査に臨んでください。

腫瘤(しゅりゅう)とは塊(かたまり)を意味します。「しこり」というのもだいたい同じ意味です。

腫瘤は必ずしも、乳がんを意味するわけではありません。腫瘤と似た言葉で腫瘍(しゅよう)というのも、乳がんだけではありません。腫瘍は良性腫瘍悪性腫瘍に分類されます。乳がんは悪性腫瘍です。良性腫瘍はがんではありません。良性腫瘍ががんに変化することもありません。

腫瘤という言葉には良性腫瘍も悪性腫瘍(乳がん)の両方が含まれ、さらに腫瘍ではないただの塊も含まれます。

腫瘤の中身がどのようなものなのかは、腫瘤の一部を採取して顕微鏡で調べることで判断されます。

「腫瘤が見つかった」と言われたら、その腫瘤の正体ががんかそうでないかはまだわからないという意味合いがあります。「がんかもしれない」と思うと怖くなってしまうかもしれませんが、結局治療の必要がないと判断されることもよくあります。落ち着いて精密検査を受けて、正体を見極めることが大事です。

超音波検査とは、人の耳には聞こえないような高い振動数を出す音波を利用して体の中を絵として描出する方法です。レントゲン写真やCT検査と違って放射線被曝の心配はありません。マンモグラフィでは分かりづらかった病変などがはっきりと見えることがあります。このために、マンモグラフィでははっきりしなかった病変の精査に用いることで診断精度の向上などが期待できます。超音波検査は検診で必ず行われる検査ではありません。

マンモグラフィと超音波検査を組み合わせると乳がんの発見が多くなるとする研究結果があります。この研究ではマンモグラフィと超音波検査を組み合わせると早期の乳がんを多く発見することができましたが、同時に乳がんと良性の病変を区別するための検査も増えました。

この研究に続けて、超音波検査を併用することによって乳がんによる死亡が減るかは追跡調査中です。マンモグラフィと超音波検査を併用するときは乳がんを発見する確率は上がるけれども、その分紛らわしいものも見つかり、検査を追加で受ける可能性があることも念頭において選択する必要があります。

参照:Lancet. 2016;387:341-348. 

MRI検査は磁気を利用した検査法です。マンモグラフィや超音波検査と比較し乳がんを見落とすことが少ないとされています。

MRI検査の問題点は、良性の病変などを含めてより多くの病変を見つけ出してしまうことと考えられています。

多く見つかるのはいいことと思えるかもしれませんが、治療の必要がないものを見つけても利益はありません。同時に検査自体がごくまれに起こす害が多く現れる恐れがあります。

たとえば良性か悪性かの判断を行うための検査(生検)は体に傷をつける検査です。出血などのリスクがあります。検査結果によって「がんかもしれない」と不安に感じることも検査の害です。良悪性の区別をできるだけ正確に行うには、閉経前の女性は生理の出血が始まってから2週間以内を目安に検査を受ける方がよいとされています。

欧米では遺伝的に乳がんを発症する危険性が高い人に対して、年に1回程度MRI検査を受けることが勧められています。日本でも乳がんを発症しやすい遺伝子(BRCA1、BRCA2の異常)をもつ人に対しては、欧米を参考にして25歳頃から年に1回MRI検査による検診が勧められています。ただし保険適用となってはいません。

MRI検査は放射線を利用しないので被曝の恐れがない点が若年者に対する検診としては優れていると考えられています。

乳がんが疑わしい場合に行う検査に細胞診あります。細胞診には穿刺吸引細胞診と乳頭からの分泌物を調べる細胞診があります。穿刺(せんし)とは針を刺すこと、吸引は刺した針から細胞を吸い取ることです。

  • 穿刺吸引細胞診
  • 分泌物細胞診

細胞診は、細胞の形を顕微鏡で観察して良悪性の判定を行います。後述する組織診とは異なり検査するものが少量なので判定が難しい場合があります。

細胞診はクラス分類で悪性の可能性について評価されます。クラス分類は5段階評価です。

クラス分類

クラスI 正常
クラスII ほぼ正常な細胞
クラスIII 正常か悪性の判断が難しい
クラスIV 悪性の疑い
クラスV 悪性

クラスは、「乳がんがありそうか、なさそうか」を分類したものです。がんの分類で「ステージ」という言葉もありますが、クラスとステージの意味はまったく違います。クラスIVやクラスVだからといって「末期がんに違いない」と思う必要はありません。クラスIVでも調べてみると乳がんではない場合はよくあります。

穿刺吸引細胞診は、腫瘍に細い針を刺して細胞を吸引して取り出し、腫瘍の細胞を顕微鏡で確認する検査です。

針はかなり細いために麻酔をかけずに行うこともあります。針を刺すので血の塊ができたりすることがありますが、検査による全身への影響はほぼないと考えられます。

穿刺吸引細胞診で悪性の可能性が高いと考えられても、後述する組織診は行います。乳がんの治療では組織診が非常に重要だからです。

組織とは細胞がいくつも集まってくっつき合い、秩序を持ったまとまりになったものです。正常組織はそれぞれの機能を発揮できるような秩序を持っています。がんの組織は正常組織の本来の秩序が崩れて違った特徴を現しています。組織を顕微鏡で観察することで、組織の特徴をもとに、正常か異常か、異常があるならがんかどうかを判定できます。

組織診を行うには腫瘍から塊として組織を採取する必要があります。組織診にはいくつか種類があります。

  • 針生検
    • コアニードル生検
    • 吸引式乳房組織生検
  • 外科的生検

組織診では採取する腫瘍の量が多くなるので、細胞一つ一つを見て判断する細胞診に比べて診断の精度は高くなりますが、多くの腫瘍を取り出さないといけない分、痛みなども伴います。組織診の種類ごとの特徴を説明します。

腫瘍に対して細胞診に使用する針より太い針を刺して組織を採取します。局所麻酔を行ったあとに針を刺します。バネの力を利用して組織を採取するので「パチン」と大きな音がします。数回行うことがあります。基本的には外来で行います。医療機関ではCNB(core needle biopsy)と呼ばれることもあります。

吸引式乳房組織生検は、吸引細胞診と名前が似ていますがまったく異なる検査です。コアニードル生検より太い針を刺して、吸引する力を利用して組織採取を行います。

コアニードル生検に比べて少し時間がかかり30-60分程度の時間が必要です。

検査で使用する器具の名前からマンモトーム生検、バコラ生検と呼ばれることもあります。

吸引式乳房組織生検はコアニードル生検と比べると負担する費用が高額になります。

針生検で組織の採取が難しいと判断された場合は皮膚を切開して組織を取り出す外科的生検が行われることがあります。外科的生検は腫瘍をしっかりと確認しながら採取できるので評価する方法としてはもっとも確実な方法です。針生検で診断が難しいときなどに行われます。