胆石症とはどんな病気なのか?
胆石症とは、胆のうの中に石のような塊ができてしまう病気です。日本ではおよそ20人に1人が胆石症といわれていて、比較的多くの人が経験する病気です。自覚症状がないこともあり、健康診断で初めて見つかったという人も少なくありません。このページでは胆石症の原因や検査、治療方法などに加えて、胆石症について知っておきたいことなどを説明しています。
目次
1. 胆石症とは?
胆石症(たんせきしょう、英語:cholecystolithiasis)とは、胆のうの中に石のような塊ができてしまう病気です。この塊は、胆汁に含まれる成分が何らかの原因で固まってしまったもので、大きさや数は人によってさまざまです。
胆石症はときに胆石
胆石はどこにできる?
このページで説明している胆石症とは、胆のうの中にある結石のことを指しています。胆石は見つかった場所によって以下のように名前が変わります。
【胆のうの解剖図】

胆石は見つかった場所によって、名前だけでなく
胆のうの役割や、胆石ができるメカニズムについては「胆石症の原因について」でより詳しく説明しているので参考にしてください。
胆石症の人はどのくらいいるのか?
日本人全体の約5%の人は胆石症だと推測されています。日本人の食生活が魚介類中心から肉類中心に変わってきたことや、肥満の人が増えてきたことで、胆石症の人が年々増えてきているといわれています。しかし、胆石症についての全国的な調査が2013年以降行われていないことから、最新の情報について詳細は分かっていません。
2. 胆石症の症状について:胆石発作や胆のう炎のときの症状について
胆石症の代表的な症状は、お腹や背中の痛みです。胆石症で治療を受けた人では、多い順に次の症状がみられました。
- 腹痛・背部痛(57%)
- 発熱(10%)
- 吐き気(8%)
黄疸 (3%)
腹痛や発熱などは胆石症に限った症状ではありませんが、お腹の右上あたりに強い痛みが突然あらわれた場合に胆石症を疑うことが多いです。この痛みは背中や右肩にも広がって感じられることがあります。
胆石による急激な強いお腹の痛み(胆石発作)が起こるタイミングとして多いのは、次のような時です。
- 脂肪の多い食事を摂って2-3時間後
- 疲れている時
- 精神的な緊張が強い時
- 寝ている時
胆石症に伴って胆のう炎や胆管炎が生じる可能性もありますので、症状がある時はすみやかに医療機関を受診するようにしてください。詳しくは「胆石症の症状について」で説明しています。
3. 胆石症の原因について:胆石ができやすい人の特徴について
胆石には
コレステロール胆石は、さまざまな原因により血中のコレステロール濃度が高まることで、胆汁に含まれるコレステロール成分も増えてしまうとできやすくなると考えられています。
コレステロール胆石ができやすくなる原因とされる、具体的な病気や状態は次のとおりです。
- 脂質異常症
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 糖尿病
- 脊髄損傷
消化管 の手術後- 完全経静脈栄養(栄養剤を血管に直接注入して栄養をとる方法)
- 食事を摂らない期間(絶食期間)が長い
胆石の中で最も多いコレステロール胆石は、高カロリー・高脂肪な食事や肥満でできやすいといわれ、糖尿病や脂質異常症などとも深く関わります。胆石症が気になる人は、普段の生活習慣や適正体重について見直してみてください。
また、色素胆石のうち黒色石と呼ばれる胆石は、血中のビリルビン濃度が高くなる病気に伴って生じやすいといわれています。具体的には以下のような病気や状態が原因としてあげられます。
以上のような病気が原因となる他に、胆石ができやすい人の特徴として、次の条件があげられています。
- 年齢が50歳以上である
- 女性、または女性
ホルモン を投与している - 家族に胆石症の人がいる
- 肥満である
- 高カロリー、高脂肪な食事を好む
また、アルコールは適量であれば問題ありませんが、過量のアルコール摂取は胆石ができやすくなると考えられていますので注意が必要です。
詳しくは「胆石症の原因について」で説明しています。
4. 胆石症の検査について:画像検査や内視鏡検査など
胆石症が疑われたときには、
- 血液検査
- 画像検査
レントゲン (X線 )検査腹部超音波 (エコー )検査CT 検査MRI 検査
内視鏡 検査
胆石症を見つけるのが最も得意とされている検査は腹部超音波(エコー)検査です。人間ドックや健康診断で
胆石症が疑われた人は、腹部超音波検査に加えてCT検査やMRI検査など、いくつかの画像検査を受けることになります。検査では胆石の数や大きさ、種類などのほか、胆のうや胆管の状況を調べられます。また、血液検査の結果なども合わせてみることで、胆石による胆のう炎や胆管炎が伴っていないか、別の病気が隠れていないかなども詳しく確認されます。
尿検査は必ずしも行われるとは限りませんが、黄疸の有無や尿路結石との区別などのために行われることがあります。
詳しくは「胆石症の検査について」で説明しています。
5. 胆石症の治療について:手術や胆石を溶かす治療など
症状があるかないかで、胆石症の治療方針は大きく異なります。 胆石症が疑われた人は、さまざまな検査を受けて胆のうや胆管の状態のほか、別の病気が隠れていないかも確認されます。とくに胆のうがんが隠れていないかは入念に調べられることとなります。
胆石による症状がない無症状胆石の人は、検査で胆のうがんを併せ持っていないと診断されれば、とくに治療は行わずに1年に1回程度の定期検診で様子を見ていくことになります。 胆石によってなんらかの症状がある人は、まず最初に手術をすすめられます。胆石症の手術とは、胆のうを丸ごと取り除く胆のう摘出術です。 手術には開腹手術と
ただし、以下のような人では腹腔鏡下手術よりも開腹手術を選んだほうが良いといわれています。
- 胆のうがんを
合併 している可能性がある人 炎症 が非常に強い人- 特殊な胆管炎(Mirizzi症候群)を伴っている人
炎症が強い胆のう炎や特殊な胆管炎についての詳しい説明は、「胆石症の治療について」を参照してください。
さまざまな理由で手術を選ばなかった人のうち、レントゲン写真に写らないようなコレステロール胆石で、胆のう機能が正常な人には以下のような治療法もあります。
- 胆石溶解療法(ウルソデオキシコール酸の内服など)
- 体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)
上記の方法は身体に傷がつかないため、手術に比べて身体の負担は少なくなります。一方で胆のうは残るので、胆石が再発したり、胆石を完全に除去できなかったりする点では手術と比べて劣っています。
胆石症の診療では、日本消化器病学会が作成している「胆石症
さらに詳しい解説は「胆石症の治療について」にありますので参考にしてください。
6. 胆石症について知っておきたいこと
胆石症は、食生活の変化や肥満の増加に伴って年々増えていると言われています。胆石症の予防方法や胆のうがんとの関係、術後の注意点など胆石症にまつわる知っておきたいことについて説明します。
胆石症を予防する方法について
胆石全体の3分の2を占めるといわれるコレステロール胆石は、普段の生活習慣の影響を少なからず受けるといわれています。自分でできる、コレステロール胆石を予防する方法を以下に挙げます。
- 次のような食事をできるだけ控える
- 一日の摂取総カロリーが高い食事
- 炭水化物(米、パン、麺類など)
- 糖分(お菓子、ジュースなど)
- 動物性脂肪(牛肉や豚肉の脂肪、バターなどの乳製品、牛乳など)
- 次にあげる食べ物を積極的に取り入れる
- 果物
- 野菜
- ナッツ類
- 多価不飽和脂肪酸を多く含む食品(マグロ、サバ、ごま油、菜種油など)
- カフェイン(コーヒーなど)
これらに加え、大豆や穀類に含まれるような植物性たんぱく質や、食物繊維を多く摂ることも胆石の予防につながるといわれています
- アルコールは摂り過ぎない
お酒は適量であれば胆石ができるリスクを下げますが、お酒の量や頻度が過剰になると胆石ができやすくなると言われています
- 肥満を解消する
ただし、急激な体重変動は胆石ができやすくなってしまうため、無理なダイエットやリバウンドは避けるようにしてください
- 食べない時間を長く空けすぎない
絶食期間が長いと、胆のうの収縮も長い時間起こりません。この間に胆のうの中の胆汁は濃縮がすすみ、胆汁の成分が結晶になりやすくなります。結晶はしだいに胆石として固まってきてしまいます。食事は抜いたりせずに、普段から規則正しい食生活を心がけるようにしてください。
食事や飲酒に関する詳しい解説は、「胆石の原因になりやすい食事と飲酒について」を参照してください。胆石と肥満の関係については、「 胆石ができやすい人の特徴」で詳しく説明しています。
胆石症と胆のうがんの関係について
胆石症と胆のうがんは今のところはっきりとしていません。しかし、胆のうがんの人に胆石症が多いことは知られています。
胆のうがんは比較的まれな病気です。胆石症である全ての人に対して、胆のうがんを予防する目的で胆のうの摘出手術がすすめられることはありません。いくつかの画像検査を組み合わせて診断した結果、胆のうがんがあると疑われる人や、画像検査では胆のうがんがあるかどうか分かりにくい人などに手術がすすめられることがあります。
「胆石症の治療について」でさらに詳しい説明をしているので参考にしてください。
手術で胆のうがなくなったあとの生活について
なんらかの症状がある胆石症の人は、基本的に胆のうを取り除く手術をすすめられます。胆のうがなくなったら、その後の生活で困ることがあるのではと心配になるものです。
これまで胆のう摘出術を受けた数多くの人を調査した結果では、手術で胆のうがなくなっても、消化機能が影響をうけることはほとんどないといわれています。一時的に下痢の症状が出る人もいますが、手術をうけておよそ3ヶ月ほど経つと、ほとんどの人が改善します。手術前の日常生活とほとんど変わりないと感じる人が多いです。
ただし、胆のうがんが見つかった人や、手術で
【参考文献】
・胆石症診療ガイドライン2016
・「NEW外科学」(出月康夫, 古瀬彰, 杉町圭蔵/編集)、南江堂、2012
・今村直哉、七島篤志、甲斐真弘. 胆石症の外科治療 胆道 32 (1): 51-61, 2018
・日本胆道学会学術委員会 胆石症に関する2013年度全国調査結果報告. 胆道 28: 612-617, 2014
・正田純. 性差による臨床像の差異ー胆石症ー. 胆と膵 39 (6): 515-519, 2018
・山口和哉、谷村広、石本喜和男ほか 剖検例からみた最近の胆石保有率と胆嚢癌合併率. 日臨外会誌 58: 1986-1992, 1997