たんせきしょう(たんのうけっせき)
胆石症(胆のう結石)
胆のうの中に、砂つぶのようなかたまり(胆石)ができた状態。突然の痛みが起こることがある
12人の医師がチェック 146回の改訂 最終更新: 2024.11.08

胆石症を診断するための検査について

胆石症とは、胆のうの中に石のような塊ができてしまう病気です。胆石症が疑われた人は、症状を詳しく聞かれたうえで、いくつかの検査を受けることになります。胆石症の診断においては、腹部超音波検査が胆石を最も見つけやすいといわれています。このページでは腹部超音波検査をはじめ胆石症に関連する診察や検査について説明していきます。

1. 胆石症の診察や検査の目的

診察や検査の目的は、胆石の数や大きさ、胆石の種類、胆汁の性状を推定することです。胆石が胆のうや胆管の中のどの位置に存在しているかも重要な確認事項です。また、胆石のほかに胆のう内に腫瘍(ポリープやがんなど)が存在しないかも入念に調べられます。

胆石があると胆のうや胆管に炎症が起きやすくなります。胆のう炎や胆管炎の有無は、治療方針を決めていく判断材料の一つになるので、炎症がどの程度あるかも調べられます。

胆石が原因で起こる急性胆のう炎は、胆のう炎全体の90~95%を占めるとされています。胆のうの炎症の程度は血液検査の結果に加えて、画像検査を用いて胆のう壁の厚さや浮腫(水分量)の程度、胆のうの張り具合、胆のうの周りに水が溜まっている様子などから判断されます。

胆石症は、消化器内科や消化器外科で精密検査をすることが多いです。

2. 問診

問診は患者さんの症状を詳しく把握し、症状の原因が胆石症によるものか、その他の疾患によるものかを判断する最初の手がかりとなります。身体の状況だけでなく、普段の生活や過去の病気の状況などについても聞かれます。問診は身体診察を行う前に行われることが多いです。

以下は、胆石症が疑われる人が聞かれる質問の例です。

  • どんな症状があるか
  • 症状はいつからどの程度あるか、急に出現したものか
  • 腹痛があるとしたら、痛みの場所が移動することはあったか
  • 症状が出るきっかけとして考えられることはあるか(脂質の多い食事の後や精神的な緊張がある時など)
  • 過去に同じような症状を経験したことはあるか
  • 症状に対して市販薬などを試したか
  • 普段から脂質の多い食事や高カロリーな食事を好むか
  • 無理なダイエットなどで短期間のうちに体重が減ったり増えたりしていないか
  • 妊娠経験が複数回あるか
  • 持病や過去にかかったことのある病気はあるか(脂質異常症肝硬変糖尿病溶血性貧血など)
  • 過去に受けたことがある手術について(とくに食道や胃の手術、心臓弁置換術など)
  • 持病がある場合には内服中の薬の種類
  • 最近、内服を中止した薬の種類(とくにHMG-CoA還元酵素阻害薬)
  • 家族に胆石症の人がいるか

胆石症の症状は腹痛、背部痛、発熱、吐き気・嘔吐、黄疸などですが、これらの症状は胆石症以外の病気でも現れることがあります。このためお医者さんは患者さんにさまざまなことを聞いて、他の病気の可能性を除外したり診断のあたりをつけたりします。

3. 身体診察

身体診察とは、身体を触ったり聴診器を使ってお腹の音を聞いたりすることで、問診であたりをつけている診断にさらに迫ることができます。その方法には次のようなものがあります。

  • バイタルサインの測定
  • 視診
  • 聴診
  • 触診
  • 打診

胆石症の症状からは多くの病気が推定されます。このために全身のあらゆる部位を診察して原因となっている病気を絞り込んでいきます。身体診察の例について、各々の診察方法を説明していきます。

バイタルサインの測定

どんな病気の診察でもバイタルサインの測定は欠かすことはできません。バイタルサインは生命徴候という意味の医学用語です。一般的にバイタルサインは脈拍数、呼吸数、体温、血圧、意識状態の5つのことを指します。また、身体に酸素が行き渡っているかを調べる酸素飽和度も同様にバイタルサインとすることが多いです。

一般的に胆石症のみの人はバイタルサインに異常がないことが多いです。しかし胆石症に伴って胆のう炎がある人は、炎症によって命の危険が迫っていないかを判断するためにバイタルサインを確認されます。

視診

視診は全身の見た目を観察する診察方法です。身体の凹凸の変化や色の変化などが起こる病気は視診で異常がわかります。

胆石症では黄疸を確認することが多いです。皮膚や眼球結膜(白目の部分)が黄色に染まっていないかをみられます。また、眼瞼結膜(まぶたの裏側)の赤色の程度をみることで、貧血の有無を推測できます。色素胆石がある人は、持病に溶血性貧血がある人が多いので眼瞼結膜を確認されることがあります。

また、コレステロール胆石は、肥満や体重減少があるとできやすいといわれているため、栄養状態も視診で観察されます。

聴診

聴診器を用いて身体で起こる音を聞く診察方法を聴診といいます。この方法では肺の音や腸の音、心臓や血管を通る血液の音など多くの音を聞くことができます。また、本来聞くことのできる音が聞こえなくなる場合にも異常を探知することができます。

胆石症のみでは聴診に異常がないことが多いです。しかし、胆のう炎を伴っていて、胆のう炎が広がって胆汁性腹膜炎という重篤な状態に陥っている人では、腸の動きがとまってしまい、本来聞こえるはずの腸の音が聞こえなくなることがあります。

触診

触診は身体の一部を念入りに触ったり押したりすることで異常を探知する診察方法です。普通は存在しないしこりを触ったり、押すことで現れる痛みを探知したりすることで、体内の様子を推定できます。

胆石症では腹痛の症状が最も多く現れます。胆石症の手術を受けた人を調査では、心窩部(みぞおちの辺り)に痛みがあった人が38.0%、右季肋部(右脇腹の辺り)に痛みがあった人が23.5%、両方の場所に痛みがあった人が13.9%いたと報告されました。胆石症で痛みの症状が全くない人であっても、お腹の診察でいくつかの場所を押さえると22~57%の人が痛みを感じたという報告もあります。そのため、痛みの症状がある人だけでなく、痛みがない人であっても、お腹を中心に全身を入念に触診し、痛みの場所や痛みの程度を調べることが大切です。

胆石症や胆のう炎の人に特徴的な反応として、マーフィー徴候(Murphy sign)と名の付くものがあります。マーフィー徴候とは、息を吸うタイミングにあわせて右季肋部(右脇腹の辺り)を押さえると、痛みのために呼吸が止まることです。胆石症や胆のう炎が疑われる人には、マーフィー徴候の有無を確認されることが多くあります。

打診

打診は身体の一部を軽く叩くことで反応をみる診察方法です。叩いた時の音や振動の伝わり方を調べることで、身体の中で起こっている変化を探知します。胆石症や胆のう炎では主にお腹を打診します。胆のうのあるお腹の右上を中心に全体を叩いていくことで、異常がないか探していきます。

4. 血液検査

血液検査では血液中に含まれるさまざまな成分の数や濃度を計測して異常を探知することができます。主に腕や足の血管から血液を採取します。胆石症や胆のう炎が疑われる人に対しては、一般的に以下の項目が調べられることが多いです。

炎症の程度:白血球数、CRPなど

胆石があるだけで炎症を伴っていない人では正常範囲内であることが多いです。白血球数やCRPの値が下記の基準値より高い人は、胆石症に加えて胆のう炎の状態に陥っている可能性が考えられます。

  • 白血球数(WBC)基準値:3500~9000/μL、CRP正常値:0.5㎎/dL未満

肝機能検査:ビリルビン、肝逸脱酵素(AST、ALTもしくはGOT、GPT)

ビリルビンは胆汁に含まれる色素のことです。胆石症や胆のう炎によって胆汁の流れが滞ってしまうことで、血中のビリルビンの値が上昇することがあります。また肝硬変などで肝機能が著しく低下している人もビリルビン値が上昇していることがあります。

肝逸脱酵素であるトランスアミナーゼは肝細胞で作られる酵素で、AST(GOT)とALT(GPT)が含まれます。肝臓に炎症がある人や肝機能が低下している人など、肝臓に異変があると異常値を示すことがあります。

  • 総ビリルビン基準値:0.2-1.2mg/dL、AST(GOT)基準値:7-38IU/L以下、ALT基準値:4-44IU/L以下

胆道系酵素:ALP、LAP、γ-GTP

ALP、LAP、γ-GTPは胆道系酵素と呼ばれ、胆汁の流れが滞ることによって異常値を示すことがあります。

  • ALP基準値:50-350IU/mL、LAP基準値:80-160IU/L、γ-GTP基準値:男性80IU/L以下、女性30IU/L以下

上記以外にも、貧血や脱水の有無などを含めて全身状態に問題がないかを確認するために、腎臓の機能や電解質の状態、血液の色素量や凝固機能(固まりやすさ)などを調べます。

5. 尿検査

尿検査には尿定性検査と尿沈渣の2つの種類があります。尿定性検査は、尿中に白血球や血液、タンパク質などが混じっていないかを確認する簡便な検査で、短時間で結果が判明します。

胆石症の人で尿検査が異常となるのは、主に胆汁の流れが滞ることで黄疸が出ている人です。血液中のビリルビン値が上昇して黄疸となっている人は、尿中のビリルビン値も高くなっています。尿定性検査において、本来陰性となるべきビリルビンが陽性になることが多くなります。

同じ結石でも、尿の通り道にできる尿路結石をもつ人は、尿中に血液が混じること(血尿)が多くあります。尿中の赤血球が陽性であれば、胆石症よりも尿路結石を強く疑う根拠の一つとなります。

6. 画像検査

胆石症では、胆石の状態を調べるために画像検査を用います。同時に胆のう炎や胆のうがん胆のう結石以外の石(総胆管結石や肝内結石)などが隠れていないかも確認されます。

侵襲の少ない腹部超音波エコー)検査は人間ドックや健診でも導入されていて、胆石症の人をみつけるのに最も有用とされています。

レントゲン(X線)検査

レントゲン検査では放射線を使うので、少ないながらも放射線被曝があります。

胆石はコレステロール胆石と色素胆石の2つに大きく分類されます。カルシウムの成分が少ないコレステロール胆石はX線を透過させてしまうため、レントゲン検査でも映らないことが多くあります。色素胆石はカルシウム成分が多く、レントゲン検査で確認できるものがあります。

腹部超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査は超音波を利用した検査です。放射線は使用しないので被曝の心配はありません。胆石を調べるのは超音波検査が最も得意で、胆石の検出率は非常に高いとされています。

超音波検査では、お腹にプローブという機械を押し当てて身体の中を観察します。超音波検査は簡便で被曝がないので繰り返し検査ができ、その場で画像が見えるので、検査室の中だけでなく救急外来や病室などさまざまな場面で使われることがあります。診断をより正確なものにするために、超音波検査だけではなくCT検査やMRI検査なども用います。

超音波検査では胆石の数や大きさ、種類をある程度調べることができます。石と呼べるほどの大きさがなく、胆汁に細かい砂状のものが混じっている場合もあります。これは胆砂や胆泥と呼ばれ、胆のうの中にみえます。

胆のうの中にみえるものは胆石だけとは限りません。胆のうポリープ胆のうがんが隠れている可能性もあるので、身体の向きを変えたり、深呼吸をしてもらったりして念入りに調べます。また、胆のうの壁に胆のう腺筋腫症や壁内胆石がみつかることもあります。

胆石症に胆のう炎が伴っているかどうかも、超音波検査である程度推定されます。胆のう炎の原因となるような、胆のうの出入り口となる胆のう管やその手前の胆のう頸部に胆石が嵌頓(はまり込むこと)していないかも確認されます。炎症の程度は、胆のうの大きさや壁の厚み、むくみ具合、胆のうの周りに水分や膿瘍が溜まっていないかなどの様子からわかります。胆のう壁の一部は肝臓と接しているため、胆のうから肝臓へ炎症が広がっていないかも確認されます。

CT検査

CT検査はレントゲン(X線)を使った検査で、レントゲン検査より精密な画像を得ることができます。X線は放射線なので、CT検査で身体は放射線被曝を受けます。

レントゲン検査と同じく、カルシウムの成分がほとんど含まれないコレステロール胆石はX線を透過させてしまうため、CT検査でも映らないことがあります。

CT検査の方法の一つに造影剤を使用する造影CT検査があります。造影CT検査は造影剤を注射で身体の中に入れてCT検査をします。造影剤は血管の形をくっきりと浮かび上がらせます。胆石によって胆のう炎が起こると炎症が起きているので血液の流れが増えています。このためくっきりと厚みのある胆のうの壁を目にすることができます。

しかし、胆石には血流がないため、造影CT検査を用いても、カルシウム成分がほとんど含まれない胆石が新たに映し出されるようになることはありません。

一方で、胆道造影剤併用CT(DIC-CT)とよばれる特殊な造影剤を用いたCT検査があります。この検査は胆汁の通り道である胆道が詳しく映し出されるため、胆のうの中の胆石は、嵌頓(かんとん)していなければほぼ100%映し出されるといわれています。また、DIC-CT検査の結果は胆のうが正常に機能しているかを判断する材料の1つになります。

この検査は、身体の中に金属が入っていてMRI検査を受けることのできない人にとっても、胆道を詳しく調べるのに役立ちます。

MRI検査

MRI検査は、磁気を利用する画像検査です。MRI検査では大変強い磁場の中に身をおくことになります。このため、身体に装着している金属によってはMRI検査を受けられない人がいます。

MRI検査の中でも胆汁の流れを映し出すMR胆管膵管撮影(MRCP)が胆石症の診断には有用です。胆石の数や大きさ、存在する位置を客観的に把握することができます。胆石ができて胆管や胆のう管の流れの妨げになると、胆管が拡張したり胆のうが腫れたりするなどの特徴が確認できることがあります。

また、胆のうや胆管の全体的な形が把握しやすいことから、手術を受ける準備のための検査として行われることがあります。

内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)

胆管に造影剤を注入して、胆のうや胆管の形をレントゲンを利用して観察する方法です。ERCは口から内視鏡と呼ばれる細長いカメラを入れて行う検査なので、MRI検査より身体の負担は大きくなります。ERCのメリットは総胆管結石に対する検査から治療までを一度に行えることです。総胆管結石とは、総胆管(胆のう管を出て十二指腸に入るまでの胆汁の通り道)にある石のことです。

胆石症が疑われるだけでERCを行うことはあまりありませんが、総胆管結石を含めて胆管に何らかの異常があると疑われる人には、必要性をよく見極めたうえでERCが行われることがあります。

【参考文献】

胆石症診療ガイドライン2016
・「NEW外科学」(出月康夫, 古瀬彰, 杉町圭蔵/編集)、南江堂、2012
・今村直哉、七島篤志、甲斐真弘. 胆石症の外科治療 胆道 32 (1): 51-61, 2018
・日本胆道学会学術委員会 胆石症に関する2013年度全国調査結果報告. 胆道 28: 612-617, 2014
・正田純. 性差による臨床像の差異ー胆石症ー. 胆と膵 39 (6): 515-519, 2018
・山口和哉、谷村広、石本喜和男ほか 剖検例からみた最近の胆石保有率と胆嚢癌合併率. 日臨外会誌 58: 1986-1992, 1997