いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう
遺伝性球状赤血球症
赤血球膜の生まれつきの異常により、血球が壊されて貧血が起きやすい病気
5人の医師がチェック 25回の改訂 最終更新: 2017.12.14

遺伝性球状赤血球症の基礎知識

POINT 遺伝性球状赤血球症とは

血液中の成分である赤血球は、肺で酸素を取り込み全身に届ける役割があります。遺伝性球状赤血球症では、赤血球表面の膜に遺伝的な異常があることで赤血球が簡単に破壊され、貧血が引き起こされます。症状としては、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、だるさ、疲れやすさなどの貧血症状に加えて、黄疸(おうだん:皮膚や目が黄色くなる)、脾腫(脾臓が腫れてお腹が張る)などがあります。診断は採血検査、遺伝子検査で行います。貧血が軽度の場合には治療は必要ありませんが、重症の場合には脾臓の摘出を行います。遺伝性球状赤血球症が心配な方や治療したい方は小児科や血液内科を受診してください。

遺伝性球状赤血球症について

  • 赤血球膜に生まれつき異常があることにより、赤血球が壊されたり貧血が引き起こされやすい病気
    • 正常の赤血球寿命は最大120日間ほどだが、遺伝性球状赤血球症ではより短くなっている
    • 赤血球が早く壊れすぎて、骨髄で赤血球が作られるスピードが追いつかない状態になり、貧血をおこす(溶血性貧血
    • 子どもの時に重症の貧血で診断されるケースから、大人になってから健康診断で見つかるケースまで病気の進行具合は様々
  • この病気の頻度は、日本人5-10万人あたり1人程度と言われている
    • 生まれつきの溶血性貧血の原因のうち7割程度を占める
    • 常染色体優性遺伝という形式で遺伝することが多い
  • 胆石症合併しやすい

遺伝性球状赤血球症の症状

  • 貧血による症状
    • めまい、ふらつき、立ちくらみ
    • だるさ、疲れやすさ
    • 息切れ
    • 動悸
    • 顔色が悪い
  • 赤血球が壊れる(溶血)ことにより、黄疸や脾腫がみられる
    • 黄疸:皮膚や眼球が黄色くなる
    • 脾腫:脾臓が腫れてお腹の張りや不快感を生じる

遺伝性球状赤血球症の検査・診断

  • 血液検査
    • 溶血性貧血の有無を調べる
    • 実際に赤血球の性質を調べたり、顕微鏡で形を確認する
    • 遺伝子検査を行う
  • 画像検査:脾臓が腫れていないかを検査する
    • 腹部超音波エコー)検査
    • CT検査
    • MRI検査

遺伝性球状赤血球症の治療法

  • 貧血の程度や、胆石症合併の有無などから重症度を判断して治療を決定する
    • 軽症の場合には様子見のみを行う
    • 重症の場合には脾臓を摘出(脾摘)して、赤血球の破壊されるスピードを緩和する
      • ヘモグロビン値8g/dl以下、ビリルビン値3mg/dl以上などは重症の目安
      • 脾摘すると肺炎球菌などによる重症感染のリスクが高まる
      • 脾摘は6歳までは控える方が安全と言われている(感染症のリスクのため)
      • 脾摘する場合には肺炎球菌、インフルエンザ菌B型を含めたワクチン接種を術前に行う
      • 胆石症に対して胆のうを摘出することもある
  • 一般的に、生命予後は良好な病気である

遺伝性球状赤血球症のタグ

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