てんかん(癲癇)発作の原因について
てんかんは原因によって
1. 特発性てんかんと症候性てんかんの違い
てんかんは「症状」を軸にして分類する方法と「原因」を軸にして分類する方法の2つがあります。ここでは「原因」を軸にした分類の方法について説明します。「症状」を軸にした分類は「てんかんの症状」で説明しているので参考にしてください。
原因で分類をする場合、てんかんは「脳に明らかな原因病変がない特発性てんかん」と「脳に原因病変がある症候性てんかん」の2つに分けることができます。
それぞれについて説明します。
特発性てんかん
特発性てんかんは脳に明らかな原因病変が見られないタイプのてんかんのことです。 ここでいう「明らかな原因病変」とは画像検査などで病気が指摘されるもののことを指します。例えば脳腫瘍や脳卒中などのことで、これらの病気がてんかんの原因になることがあります。検査を行ってもこのような明らかな原因が指摘できない場合は、特発性てんかんという診断になります。
症候性てんかん
画像検査などで明らかな原因病変が指摘できない場合を特発性てんかんと呼ぶのに対して、症候性てんかんは画像検査などで原因病変が明らかなものを指します。
子どもの場合には「脳の先天異常」や「出産時の脳の低酸素」などが原因として知られ、大人の場合は「脳腫瘍」や「脳卒中」などが原因として知られています。
2. 赤ちゃんや子ども(小児)のてんかんの原因
子どものてんかんは原因がわからないことも多いのですが、一方で原因がはっきりしていることもあります。子どもに特徴的なてんかんの原因は「分娩時の頭部外傷や低酸素状態」と「脳の先天異常」などです。
分娩時の頭部外傷や低酸素状態
分娩時のトラブルで赤ちゃんの頭部に強い力が加わったり、酸素が十分に供給されないと脳にダメージが起こってしまいます。脳が傷つくと脳の機能に影響が及ぶことがあり、てんかんの原因になることがあります。
脳の先天異常
お母さんの体内で赤ちゃんの脳が作られる過程で問題が起こり、脳の形に異常が起こることがあります。脳や脳の血管の形が通常とは異なることで脳の機能に悪影響を及ぼして、てんかん
3. 大人のてんかんの原因
大人のてんかんも原因がわからないことが多いのですが、一方で原因がはっきりすることもあります。大人に多いてんかんの原因は「脳卒中」、「脳の
それぞれについて詳しく説明します。
脳卒中:脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、一過性脳虚血発作
脳卒中は脳の血管が破れたり詰まったりする病気の総称で、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、一過性脳虚血発作などがあります。脳卒中が起こると脳の一部が栄養不足で死んだり脳の形が変わったりしてダメージを受け、脳に異常な電気的興奮が起こりやすくなり、てんかん発作を引き起こします。脳卒中の後遺症でてんかん発作が起こる場合は、抗てんかん薬(てんかんを抑える薬)を内服して治療します。脳卒中について詳しく知りたい人は「脳卒中」を参考にしてください。
脳の変性疾患
神経変性疾患は、脳や
神経変性疾患には他にレビー小体型認知症やピック病などがあります。
それぞれの病気については「アルツハイマー病」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」で詳しく説明しているので参考にしてください。
4. 子どもにも大人にも起こるてんかんの原因
ここまでは子どもと大人に分けててんかんの原因について説明しました。次に子どもにも大人にも共通しててんかんの原因となる病気について説明します。
髄膜炎
脳や脊髄を包む膜を髄膜といい、髄膜の内側は
脳炎
脳炎は脳の実質に起こる炎症のことです。髄膜炎と同様にウイルスや細菌、
脳腫瘍
脳腫瘍は脳にできる
悪性腫瘍はいわゆる「がん」ですが、悪性の脳腫瘍には「がん」という表現は用いられません。また、他の臓器にできたがんが脳
脳腫瘍ができると、腫瘍が周りに刺激を与えて脳の一部または広い範囲に異常な電気的興奮が起きててんかんを起こすと考えられています。悪性の脳腫瘍だけがてんかん発作の原因になるのではなく、
てんかんの症状は脳腫瘍ができた場所によってさまざまです。症状についての詳しい説明は「てんかんの症状」を参考にしてください。脳腫瘍が原因のてんかんの治療は、「手術で腫瘍を取り除くこと」や「薬でてんかん発作を抑えること」などです。必要に応じて
脳腫瘍について詳しい情報が知りたい人は「脳腫瘍の基礎情報ページ」を参考にしてください。