てんかん
てんかん
脳の細胞が一時的に異常な活動をすることで、さまざまな発作を起こす病気
26人の医師がチェック 275回の改訂 最終更新: 2018.08.23

Beta てんかんのQ&A

    てんかんで受けられる助成制度について教えてください

    てんかんになると、治療が長期間にわたることや日常生活に支障があらわれることもありお金の負担が大きくなります。てんかんの助成制度には自立支援法や精神障害者保健福祉手帳、心身障害児医療費助成などがあります。

    精神障害者保健福祉手帳はどのようにして申請することができますか?

    てんかんなど精神科に関わる病気があり、長期にわたって日常生活に障害がある場合(食事を準備する、規則正しく生活をする際に身の回りの方の介助や助言が必要)に精神障害者保健福祉手帳を申請することができます。

    申請は市町村の窓口(障害福祉課もしくは精神保健福祉課)で行ってください。また、家族や病院のスタッフの方が代理で申請することも可能です。

    手続きには一般的に以下の物を準備する必要があります。詳しくはお住まいの市町村の担当窓口や精神保健福祉センターに確認ください。

    • 障害者手帳用申請書(市町村窓口に置いてある、医療機関にも置いてある場合がある)

    • 医師の診断書もしくは精神障害の程度がわかる障害年金などの書類の写し

      • てんかんと診断を受けてから6か月以上経過した後に記載したもの
      • 担当医が精神科以外の医師でもてんかん治療を行なっていれば診断書は書いてもらえる
    • 本人の顔が映った写真

    精神障害者保健福祉手帳の等級はどのように分けられますか?

    症状の程度に合わせて精神障害者保健福祉手帳の等級が分けられます。

    大体以下のような4種類の発作の頻度を基準にして手帳の等級が決められます。

    1. 意識障害が起き、状況にそぐわない行動を示す発作

    2. 意識障害の有無に関わらず転倒してしまう発作が月に1回以上あらわれ、常時介護が必要な場合

    3. ぼーとしてじっと動かなくなってしまい、意識を失ってしまうが倒れない発作

    4. 意識がはっきりしているが、意図した動きができない発作


    ●1級(日常生活を1人で送ることができない)

    • 上記で述べた1と2の発作が月に1回以上あらわれ、常時介護が必要な場合

    ●2級程度(日常生活を送るうえで援助が必要)

    • 上記の1または2の発作が年に2回以上おこる場合
    • 3または4の発作が月に1回以上あらわれる場合

    ​●3級程度(日常生活や仕事など社会生活に制限を受けている状態)

    • 上記の1または2の発作が年に2回未満おきる場合

    • 3または4の発作が月に1回未満おきる場合

    精神障害者保健福祉手帳で受けられる補助、サポートについて教えてください

    精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービスは全国とお住まいの市町村に分けられます。以下に実際に受けられるサービスの例を紹介します。

    ●全国で受けられるサービスの種類の例

    • 所得税や住民税、相続税、自動車税など

    • 携帯電話の基本使用料が安くなる

    • 障害者職場適応訓練

    • 生活保護の障害者加算の手続きが楽になる

    ●市区町村で受けられるサービスの種類の例

    • 交通運賃割引(バスや電車など)

    • 医療費助成

    • 公共料金の割引

    • 福祉手当

    • 公営住宅の優先入居など

    実際に受けられるサービスは症状や自治体で様々ですので、詳しくは住んでいる市町村の申請窓口でご相談ください。

    精神障害者保健福祉手帳について説明しましたが、自立支援医療制度や障害年金など他の助成制度を同時に申請することもできますし、1つの助成制度を使って申請をすると手続きが楽になることもありますので、市町村の担当の窓口に確認してください。また、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間になりますので、手帳が必要な場合は更新を行うようにしてください。

    てんかんは遺伝するのでしょうか?

    一部の家族性てんかん(家族性本態性ミオクローヌスてんかんや歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、ミトコンドリア脳筋症など)を除いて多くのてんかんは遺伝しないと考えられています。その一方で、てんかんの発症しやすさに関しては遺伝する可能性があります。なお脳梗塞などといった脳の機能障害による症候性てんかんの場合は遺伝することはありません。もし遺伝について気になる点がある場合は専門のカウンセラーによる遺伝カウンセリングを受けることが良いかもしれません。

    妊娠中のてんかん発作は赤ちゃんに影響しますか?

    てんかん患者さんが妊娠を希望される場合は妊娠中にてんかん発作が起きることによってお腹の中にいる胎児に与える影響とてんかんの治療薬である抗てんかん薬が生まれてくる子どもに与える影響について考慮する必要があります。

    まず妊娠中に大きなてんかん発作が起きた場合は胎児の脳が低酸素状態に陥る可能性があると報告されていますので、発作をうまくコントロールする薬の適切な調整が大切になります。その上で、胎児へ影響の出にくい薬を選ぶ必要があるので、医療機関で相談するようにして下さい。

    妊娠中の抗てんかん薬の使用について注意することはありますか?

    てんかん発作をコントロールする抗てんかん薬の一部の種類を飲む場合もしくは薬を大量に飲むことによって新生児の催奇形や認知機能の低下(IQの低下など)が生じる危険性があると言われています。

    米国のFDAは抗てんかん薬の中でもバルプロ酸に関して通知を出しています。その通達では、可能であれば妊娠中はバルプロ酸は避けるようにして、使用が避けられない場合は徐放剤を使用することを推奨しています。なお抗てんかん薬の飲み合わせによる胎児への危険性も報告されているため、以下の薬の飲み合わせを避けることが勧められています。

    • バルプロ酸とカルバマゼピンの併用

    • フェニトインとプリミドン、フェノバルビタールの3剤併用

    一般的な対処方法としては、効果のある抗てんかん薬のみの単剤にする、あるいは少量に減らせるように調整します。出産してからはお子さんへの授乳中でも一部の抗てんかん薬を除いて使用可能です。

    なお近年、イーケプラ®やガバペン®、ラミクタール®など新規抗てんかん薬が販売され、胎児に与える影響が少ないとされており使用される機会が増えてきています。

    ◎妊娠前から葉酸の摂取を推奨

    抗てんかん薬によって葉酸の不足が生じてしまうことがあります。葉酸が欠乏すると神経管閉鎖障害、新生児頭蓋内出血の発症リスクを高めてしまうため、妊娠する前から葉酸を取ることが推奨されています。葉酸とはほうれん草などに含まれるビタミンB群の一種でビタミンB12と同じく血液をつくる働きがあります。

    厚生労働省の報告によると葉酸の摂取時期は妊娠する1か月以上前から妊娠3か月まで投与することが良いとしています。

    妊娠する予定がある、妊娠中だからといって急に薬の服用を中断したり自己判断で減量したりすると病状を悪化させる原因となり非常に危険です。必ず担当の医師の指示に従うようにしましょう。

    てんかんになったら自動車に乗ったり運転免許をとることはできますか?

    2002年の自動車交通法の改正に伴い一定の条件を満たした場合に限り、てんかん持ちの人も自動車の運転免許が取得が可能になりました。ですが、運転中のてんかん発作が交通事故につながる危険性もあるため注意しなければなりません。

    ◎てんかんの方の運転免許取得、運転適正について

    運転に支障があらわれるてんかん発作が2年間起きていないうえで、以下の点に当てはまる方はそれぞれ決められた期間経過を追います。その後医師の判断により運転許可が出れば診断書をもらい免許センターに提出して免許を取得、更新します。

    • 運転に支障があらわれるおそれのないてんかん発作がある場合は(単純部分発作がある:意識のある発作)、1年間以上の経過観察

    • 睡眠中に限り発作がある場合は2年以上の経過観察

    ただし、大型免許、第2種免許の取得は控える必要があります。日本てんかん学会によると5年以上てんかん発作がコントロールされており薬の服用が終了している場合に大型免許、第2種免許の適正があるとされています。

    なおてんかん発作や症状が良くないことが理由で免許を取り消しになった場合は、免許が取り消されて3年未満に運転が適正が得られる状態まで回復できれば運転免許取得試験が免除になります。

    症状が安定しており、てんかん発作がおきていないからといって免許を取るときや免許を更新するときに虚偽(嘘)の報告をしないようにしてください(改正道交法や自動車運転死傷処罰法によって罰則されます。傷害事故をおこした場合は処罰が重くなります。)。

    以上、てんかん発作がある場合の自動車の免許取得、どういった状態で運転適正があるかを説明しましたが、不明な点がある場合は各都道府県にあります運転適正相談窓口に問い合わせください。

    詳しくはこちら(2014年5月時点のデータ)

    また日本てんかん協会が相談窓口を行っていますので何かありましたら相談いただくのが良いかと思います。

    電話番号 03-3232-3811

    お問い合わせ可能な曜日および時間 平日の月曜、水曜、金曜日 13:15-17:00

    難治性てんかんの「レノックスガストー症候群」とは?

    レノックスガストー症候群は、1歳から8歳までの幼児期に発症する難治性のてんかんで、全身が突っ張るてんかん症候群のことです。レノックスガストー症候群を含め、てんかんでは発症年齢やてんかん発作の種類、脳波検査、画像検査の結果からてんかんの種類を診断し、治療方法を選択します。

    ◎レノックスガストー症候群の発作の特徴とは?
    レノックスガストー症候群の特徴は以下のとおりです。

    • 様々な形のてんかん発作が現れる

    • 急に意識がなくなる(失神)

    • 急に全身が突っ張る(強直)

    • 脱力発作

    • 手足がピクピク震える(ミオトニー)

    • 特徴的な脳波が見られる

    ◎レノックスガストー症候群の治療方法は?
    レノックスガストー症候群の治療は薬物療法が基本となります。レノックスガストー症候群の治療薬として第一に選択される薬はバルプロ酸ですが、発作の特徴にあわせて以下のような薬が選択されることがあります。

    • 失立、転倒発作

    • ラモトリギン

    • トピラマート

    • 高容量クロバザム

    • 強直発作

    • ゾニサミド

    • フェニトイン

    • 臭化カリウム

    • 脱力発作

    • エトスクシミド

    これらの治療薬は使い分けが簡単ではありません。そのため、てんかんを専門的に診ている医療機関にかかって判断してもらうのが最も望ましいです。