帯状疱疹の原因:加齢・ストレス・疲労・癌でウイルスが再感染
帯状疱疹の原因は、加齢やストレス、疲労、
目次
1. 帯状疱疹の原因は?
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因となる病気です。最初に水ぼうそうにかかったときに症状が治っても、ウイルスは体内の神経の一部(神経節)に潜んでいます。加齢やストレス、疲労、
もう少しわかりやすく順を追って説明します。ウイルスが最初に感染したときは、皮膚を中心に全身に感染を起こし、全身に水ぶくれが出る水ぼうそうを起こします(初期感染)。

その後ウイルスは免疫の働きで排除されますが、一部のウイルスは排除されずに神経に息を潜めて隠れています。

なんらかの原因で体力や免疫が落ちると、この潜んでいたウイルスが再び勢いを取り戻し、神経を伝って皮膚などの周りに広がるなど、身体を蝕んできます。

神経に潜んでいたウイルスの感染が皮膚にまで広がると帯状疱疹(二次感染:再感染)の典型的な症状である痛みや水ぶくれが現れます。症状について詳しくは「帯状疱疹の画像:初期症状のかゆみ、赤み、水ぶくれとかさぶた」で説明しています。

ここで大事なポイントは、帯状疱疹は免疫力が落ちている人に起こりやすい
健康で持病のない若い人は、ストレスや疲労がなければ帯状疱疹が起こる可能性は非常に低いです。
お酒は帯状疱疹の原因になる?
帯状疱疹の原因と飲酒の関係は医学的には明らかではありません。
しかし、お酒の量が多い人や、ストレスでお酒を飲んでしまう人は体力が落ちているかもしれません。帯状疱疹の治療中を含め、病気のときはお酒はがまんして、体力を回復させるのに専念したほうが良いと考えられます。
2. 帯状疱疹は20代でもかかる?

帯状疱疹は50歳以上の人に多く
しかし、重いストレスや過労で体力が極端に落ちたときは20代・30代の若い人にも帯状疱疹が出やすくなります。さらに10代以下の子どもにも少数ですが発症します。
一生のうちに10-20%の人が帯状疱疹を経験すると言われていますが、男性と女性で頻度に大きな違いはありません。また、帯状疱疹にかかった人のうちおおよそ4%で再発すると考えられています。特に若い人で原因不明に帯状疱疹を繰り返す場合には免疫の低下に要注意で、HIV感染症が進行してAIDSに至っていないかなど調べられることがあります。
3. 帯状疱疹の原因は治療できる?
帯状疱疹の原因のウイルスには抗
薬で原因のウイルスを退治して、帯状疱疹を早く治すことができます。ただし、身体の中のウイルスを完全になくすことは難しいため、治療を行ってもどうしても再発の可能性は残ります。
帯状疱疹に市販薬は効く?
帯状疱疹に厳密な意味で有効とされる市販薬はありません。間違った薬を使うとかえって悪化させてしまうことも考えられるので、自己判断で買ってきた薬を塗ったりしないで、早めに病院に行ってください。
4. 帯状疱疹は予防できる?
帯状疱疹は水ぼうそうのワクチンで予防できます。子供には水ぼうそうの予防接種をして、水ぼうそうと帯状疱疹を予防してください。
大人のワクチン再接種にも予防効果がある
50歳以上の人は水ぼうそうワクチンの再接種を受けることができます。水痘帯状疱疹ウイルスの
関連記事:痛い水ぶくれ「帯状疱疹」はワクチンで防げるか?(参照文献:Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 3)
5. 帯状疱疹後神経痛の原因は?
帯状疱疹によって神経が傷付いてしまったことが原因で、一部の人に帯状疱疹後神経痛という後遺症が残ります。60歳以上で帯状疱疹にかかった人のおよそ3分の1に帯状疱疹後神経痛が現れます。
帯状疱疹後神経痛は治療できる?

帯状疱疹後神経痛の治療には、痛みの原因である神経の興奮を抑える方法が使われます。
飲み薬や注射薬、漢方薬のほか、
6. 免疫の落ちている人の帯状疱疹は特に危険!
帯状疱疹に特に気を付けるべき人は50歳以上の人、ステロイドの長期内服中の人、
ウイルスが勢いを増すと弱った免疫では抑えきれず、力のバランスがかなりウイルス優勢に傾いていることが多く、通常の帯状疱疹よりも症状が激烈になりうるので注意が必要です。
関連記事:帯状疱疹の年齢ごとの頻度、入院期間は?統計から解析した結果(参照文献:BMC Infect Dis. 2016 Mar 1)
関連記事:新薬研究中に帯状疱疹が発生、副作用か(参照文献:Ann Rheum Dis. 2016 Mar 23)
極端に免疫が落ちている人が帯状疱疹にかかるとどうなる?
特に通常の帯状疱疹よりも重症で全身に水泡ができる汎発性帯状疱疹(はんぱつせいたいじょうほうしん)は、主に免疫抑制薬(めんえきよくせいやく)を服用中であったり、HIV感染症などにより免疫が極端に低下している状態(免疫不全)になっている人でで起こりやすいです。
そもそも免疫が弱くなっている人に帯状疱疹が出たときは、素早く的確にウイルスの量を減らす治療の必要が出てきますので、飲み薬での治療よりも点滴薬での治療が望ましいです。そのため、広範囲に症状が出てきてしまっている人は、入院して治療することが強く勧められます。
帯状疱疹にも注意、免疫を抑える薬とは?
免疫抑制薬は、体内の免疫反応を抑える効果をあらわす薬の総称です。異常な免疫反応が自分自身の身体を攻撃してしまう状態を改善するために使用されることがほとんどです。
体内で過剰に起こっている異常な免疫反応を抑えることにより、
正常な免疫反応では、ウイルスや
免疫抑制薬を使っているときの注意は?
関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫が生じている状態に対して免疫抑制薬は有効である一方で、服用中は免疫機構が抑えられているため感染症などにかかりやすい状態になっています。ウイルス感染症の一つである帯状疱疹に対しても注意が必要です。
免疫抑制薬による治療を行う場合には、感染症に対しての注意や対策の下で治療が行われますが、日常生活における体調管理も非常に大切です。身体に無理のかかる生活はせずに、いつも以上に手洗いを徹底してください。場合によってはマスクの着用も有効です。