たいじょうほうしん
帯状疱疹
水ぼうそうを起こすウイルスの感染が原因。身体の一部に、帯のように痛みのある赤いぶつぶつができる
22人の医師がチェック 195回の改訂 最終更新: 2022.05.27

帯状疱疹に予防接種(ワクチン)は効くの?

帯状疱疹の予防には、水ぼうそうの予防接種が有効です。水ぼうそう水疱瘡水痘)の原因である水痘帯状疱疹ウイルスが帯状疱疹の原因にもなりますので、ワクチンで水ぼうそうを予防することには帯状疱疹を防ぐ意味もあります。水ぼうそうのワクチンの効果は多くの研究や実際に使った結果によって確かめられています。

ワクチンが効くメカニズムを説明します。我々の身体に細菌ウイルスなどの病原体が侵入すると、身体は病原体を排除するように白血球を増やしたり、抗体を作ったりします。これが免疫の仕組みです。

免疫のシステムは、同じ異物から2回目の攻撃は受けないように敵を記憶することができます。この記憶があることで2回目の攻撃にしっかりと準備ができていることになり、以降に感染が起こりにくくなります。ただ、ここで注意すべきは、一度経験したのと同じ病原体の攻撃は防げるのですが、違う病原体の攻撃は防げないことです。

ワクチンは、病原体の成分を少量入れたり毒性を弱くした病原体を体内に入れたりしています。言わば擬似感染を体内で起こさせて、免疫に病原体の情報を記憶させているのです。先述したように、記憶したものと違う病原体は予防できないため、ワクチンは病原体の種類ごとに接種していく必要があります。

以前の日本では、水ぼうそうウイルスのワクチンは希望者のみの接種でしたが、現在の日本では、平成26年10月1日からワクチン定期接種(義務化)が始まっています。対象者は1歳から3歳の子供で、この2年の間に2回接種することとなっています。

1回の接種で重症の水ぼうそうをほとんど予防でき、2度打つことで免疫がさらに高まり(ブースター効果)、軽症の水ぼうそうも予防できるようになると言われています。一度水ぼうそうにかかることが帯状疱疹の原因になりますので、水ぼうそうを予防すれば帯状疱疹も予防できるというわけです。

こちらで水痘(水ぼうそう)の予防接種を受けられる病院・クリニックを検索できます。

※検索結果は常に最新かつ正確とは限りませんので、確実な情報が必要な方は各医療機関にお問い合わせください。

ワクチンも万能ではありません。副反応といわれる症状が出ることがあります。ワクチンの接種してから数時間程度までに、発疹じんましん紅斑、かゆみ、発熱などがみられることがあります。非常にまれですが、アナフィラキシー様症状と言われる、口や喉の奥のむくみが起こり息苦しくなることがあります。

息苦しさが出た場合は、命にかかわる状態になる危険性がありますので、必ず病院あるいはクリニックににかかってください。また、接種してから 1~3 週間くらい経ったのちに、発熱やみずぼうそうのような皮疹がみられることがありますが、たいていの場合は数日中に症状はなくなります。

ワクチンのしくみをよく理解している方は、「わざわざワクチンを打たなくても、一度感染すれば自然に免疫ができるのではないか?」と思われるかもしれません。残念ながら帯状疱疹の場合はこうは行きません。

帯状疱疹の原因である水ぼうそうのウイルスは、水ぼうそうの症状が治まってからも体の中に隠れています。そして加齢やストレスで体が弱ったときに再び暴れだして、帯状疱疹を起こします。水ぼうそうに一度かかってウイルスが体の中に入ることが帯状疱疹の原因なので、水ぼうそうにかかったあとは帯状疱疹に免疫がつく反面、帯状疱疹へ一歩近づいた状態にもなるのです。

免疫で帯状疱疹を防ぐには、大元の原因である水ぼうそうを防ぐのが第一、それにはやはりワクチンが必要ということになります。