2016.03.15 | ニュース

痛い水ぶくれ「帯状疱疹」はワクチンで防げるか?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

痛い水ぶくれ「帯状疱疹」はワクチンで防げるか?の写真

帯状疱疹は、体の左右どちらか片側に帯状に集まった水ぶくれと、その場所の強い痛みが特徴です。水痘(水ぼうそう)と同じウイルスが原因で、予防のためにワクチンがあります。ワクチンの効果についてこれまでに報告された結果がまとめられました。

◆水痘帯状疱疹ウイルスのワクチンはどれぐらい効くのか?

水痘帯状疱疹ウイルスは、子どもに水痘(水疱瘡、みずぼうそう)を起こすことで有名ですが、大人にも水痘を起こします。一度感染した人の体には一生潜伏感染を続け、体力が落ちたときなどに再び活動して帯状疱疹の症状を表します。

ワクチンとして、毒性を弱くしたウイルス自体をワクチンとする生ワクチンが現在使われています。

ここで紹介する研究は、水痘帯状疱疹ウイルスのワクチンにどの程度の効果があるか、これまでに研究された内容を集めてまとめたものです。

 

◆帯状疱疹が少なく

次の結果が得られました。

10件の研究が水痘帯状疱疹ウイルスの弱毒化生ワクチンを使っていた。3件の研究は、臨床使用にはまだ供されていない新しいタイプのワクチンを試していた。

生ワクチンの効果を調べた研究が10件、ウイルスが含む物質などを使った新しいワクチンの研究が3件ありました。そのうち1件で、次の結果が報告されていました。

フォローアップが行われた最大3年間で、帯状疱疹の発生は、偽薬を使った人よりもワクチン接種を受けた人で低かった。リスク比は0.49、95%信頼区間0.43-0.56、リスク差は2%、NNTBは50であり、GRADE基準で中等度の質のエビデンスがあった。ワクチン接種を受けた群では軽度から中等度の有害事象の頻度がより高かった。

対象者を接種後最大3年追跡した結果、ワクチン接種を受けた人のグループでは、帯状疱疹の頻度がおよそ2分の1になりました

新しいワクチンを調べた研究の1件では次の結果でした。

[...]新しいワクチンの接種を受けた群は、3.2年後のフォローアップ時点で帯状疱疹の発生率が低かった。リスク比0.04、95%信頼区間0.02-0.10、リスク差3%、NNTBは33であり、GRADE基準で中等度の質のエビデンスがあった。ワクチン接種を受けた群では有害事象の発生率がより高かったが、ほとんどは軽度から中等度だった。

接種後3.2年で、ワクチン接種を受けた人のグループでは、帯状疱疹の頻度がおよそ25分の1になりました

どちらの研究でも、副作用と疑われる症状などがありましたが、ほとんどは重度ではありませんでした。

研究班は「帯状疱疹のワクチンは帯状疱疹を予防するために効果的であり、その防御効果は3年間持続しうる」とまとめています。

 

これまでの研究報告を見る限り、効果はありそうだという結果でした。ただし、数字は報告によって違う点もありました。効果の程度や副作用の起こりやすさは、使われるワクチンの種類、対象者の年齢や健康状態などによっても変わると考えられます。どのワクチンが特に効果的なのか、どんな人が接種に適しているのかなど、より詳しくは、今後の研究によって明らかになってくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Vaccines for preventing herpes zoster in older adults.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 3. [Epub ahead of print]

[PMID: 26937872]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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